これまで外回りをしていた医療チームがロドスに戻り、休養後にこちらの救助活動に加わってくれたので、これでようやく人手に余裕が出来るようになりました。医療が必要な感染者の数も前ほど多くなく、最近は少し休む事が出来ています。
ちょうど、グラベルさんが監察会がロドスオペレーターの外出申請に同意したと言っていましたので、これで都市の中心部を観光することができます、イェイ!
出かける前に感染者のおじいさんがチケットを2枚くれました。
「ハイビスカスさん、街に行くそうだね。ほら、ここには前にニアール様が勝利した時用に買った競技チケットが2枚ある。私は年を取っていて動くのが大変なんだ。ニアール様が勝ったのであれば、両替をしてきてもらえないだろうか」
おじいさんの依頼はなかなか断りきれず、「安心してください。ニアールさんならきっと勝ちますから」と答えてチケットを受け取りました。凄い数字でした。おじいさんの一生の蓄えかもしれないというほどなのですが、お金を全て使ってしまって本当に良いのでしょうか。
もちろん、ニアールさんに対しては自信がありますが、勝負というのは……実際の所は何とも言えません……。
勝った?勝ちました!!ニアールさんが勝ちました、良かった!チケットを両替しに行かなければいけません。ですがカジミエーシュにはあまり詳しくは無く、どうしましょうか……そうだ!グラベルさんを探しにいきましょう。
うーん……グラベルさんはいないので、アーミヤを探すしか無さそうですね。
簡単にアーミヤに説明をすると、彼女はまだ迷っているようでしたが、彼女は大騎士領に対する理解が私よりも深く、観光地図をしばらく見ていた後、私たちはようやく競技場でチケットを両替する窓口を見つけました。この大金はおじいさんの老後を安らかなものにしてくれるでしょう。
うーん……ですがこれは何でしょう……ミュシェコ競技チケット?これは……カジミエーシュ幣との額面為替レートの差はこんなにも大きいのですか?
おじいさんにはいっぱい稼いでもらったと思っていたのに、結局何度かの食事代程度の勝ちでした……
私たちが両替した賞金をおじいさんに渡したとき、彼はとても喜んでいたようでした。彼はひたすら私たちに感謝をして、それからチケットを丁寧に小さな鉄の箱の中に入れていました。
私はアーミヤとおじいさんとしばらく話をし、点滴を交換、彼を寝かせてからそっとその場を離れました。
チケットを購入するという形はあまり良い形ではないような気がしますが、おじいさんのニアールさんへの支持は確かなものでした。
機会があれば、ニアールさんに教えてあげて下さい。静かに応援している人がいることを知れば、彼女はきっと喜ぶに違いありませんから。