大騎士領の感染者に十数日間医療サービスを提供、感染者の大部分を治療した後にロドス医療チームは大騎士領での任務を完了させてロドスに戻り、次の場所に向かう準備をしていました。
残念なことに大騎士領は大きすぎて全ての感染者を収容する事はできませんでしたが、ニアールさんは優勝した後、大騎士領に残る事を選択、ロドスのカジミエーシュ事務所の設立の手助けを行い、同時にドクターも大騎士領の感染者たちを庇護するために全力を尽くすと約束をしました。
ニアールさんもロドスが必要とするのであれば、何処にいようがロドスに戻ると言っていましたが、私たちは結局の所はしばらくお別れとなってしまうので、少し悲しいです……お別れの時、私は長い間研究していたヘルシーコースのメニューをニアールさんに贈りました。
この贈り物が少しでも彼女を助けになる事を願い、ニアールさんのカジミエーシュでの事業が成功をする事を祈っています。
ああ、そうでした。おじいさんのことをニアールさんにお話したんです。彼女は機会があればおじいさんに会いに行くと言っていました。応援していた人が目の前に現れたら、おじいさんはどんな反応をするのでしょうね?
大騎士領、何というか、私はここを離れるまでこの街を完全に理解していませんでした。
それは私が以前にいた町とは異なるだからだと思います。私の印象としてはこのような都市は他にはありません。3年ごとに他の3つの異なる都市と合併して、超大規模な「四都市連合」を形成、合併する主な理由はカジミエーシュメジャーを開催するというだけ。
合併後、3つの都市と首都は1つになりまるが、交流、取引、交通には全く支障がないようです。これはヴィクトリアでは間違いなく不可能です。ドルン郡やレイトン郡のような辺鄙な都市をロンデニウムに合併させても、ヴィクトリアの貴族のおじいさんが怒るだけでしょう。このような事がカジミエーシュでは特に起こる事が無いのです。
しかしですが、まあ、感染者に対してはあまり違いは無いようです……あの感染者騎士競技を私はこっそり見に行きました……死ぬか生きるか、退路の無い戦いでした……観客はみんな楽しそうでしたが、彼らの目の中の熱狂っぷり、私は少し怖かったです……いつか、感染者騎士も普通の騎士のように、保護され、公平に競技場で戦う事が出来るようになればいいのですが……いつの日か、感染者と非感染者が手をつないで公園で遊ぶことが出来るようになればこの大地の全てはもっと美しくなるでしょうね。
これがロドスの理想であり、ニアールさんの理念なのかもしれません。だから彼女は大騎士領に残って、感染者を守ることを選んだのでしょう。
「何かを信じて、それを実現させる」