アークナイツストーリー翻訳

【明日方舟】吹雪過ぎ行く BI-6「岐路」行動前 翻訳

ヤール
ヤール

ほか両家に攻め入ることはせず、曼珠院の保護に転じたと……

ヤール
ヤール

まったく、よくもまあ考えたものね。

ヤール
ヤール

これでエンシオディスは堂々と曼珠院を支配下に置くことができたいうわけか。

ドクター
ドクター

・現状では彼の勝ちのようだな。
・歴史というのは常に勝者が書き上げるものだ。

ヤール
ヤール

はぁ、そういうことになるわね。

ヤール
ヤール

私もようやくエンシオディスのやり方がわかってきたわ。

ヤール
ヤール

執政権返還はただの大義名分で、本当は最初から何もかもをひっくり返すつもりだったのね。

ドクター
ドクター

・イェラグの民は神のいない生活を想像できないだろうな。
・エンシオディスは神のいない生活の過ごし方を知っている。
・イェラガンドに問題があるわけではない。

ヤール
ヤール

あら、私は感心しただけよ、別に落ち込んだりしてないから。

ヤール
ヤール

時代が進むにつれ、信仰は徐々に阻害となっていく……少なくともイェラグ人がイェラガンドへ向けてる信仰はそうなる、それはとっくに分かっていた。

ヤール
ヤール

でもありがとうね。

ヤール
ヤール

……はぁ、まあ巫女をお世話してるただの侍女長である私には関係ない話ね。

ヤール
ヤール

てっきりあなたは、なんで私がまだついてくるのかって、聞いてくると思っていたわ。

ドクター
ドクター

誰にだって傍観を選ぶ理由は無数にある。

ヤール
ヤール

あなたが手を出すのに無数の理由があるのと同じってことかしら?

ヤール
ヤール

……ありがとうね、ドクター。

ヤール
ヤール

私は自分の選択を守ってみせるわ、だからあなたも頑張ってね。

(Sharpとオーロラが近寄ってくる)

Sharp
Sharp

ドクター、任務完了だ。

ドクター
ドクター

・あの二人は?
・お疲れ様。

Sharp
Sharp

イェラグの当主二人なら連れて来られなかった。ラタトスはあんたに礼を伝えていたが、どうやらなにか考えがあるらしく、自分の領地に戻っていった。

Sharp
Sharp

アークトスも同じだ、どうやら兵力を結集させてエンシオディスと雌雄を決するつもりらしい。

オーロラ
オーロラ

ドクター、あの二人を自分の領地に戻させても、本当に流血沙汰は避けられるの?

ドクター
ドクター

・あの二人でしか自分たちの人を押さえつけられないからな。
・現時点でこれが被害を最小に抑えられる方法だ。

Sharp
Sharp

つまり、あの二人がもし捉えられてしまえば、衝動に駆られて処刑される可能性があったというわけか。

Sharp
Sharp

処されはしなくとも、なにかしらの裁きは免れないだろうな。

ヤール
ヤール

今でこそあの二人は裏切者扱いだけど、それでも両家の人間、特にペルローチェ家の忠実な手下たちは死んでもそんなことを認めないわ。

ヤール
ヤール

それで争いや内乱を引き起こしたにしろ、その時になったらイェラグは必ず混乱に陥ってしまう。

Sharp
Sharp

だがエンシオディスからすれば、どうであれすでに大義は掴んだ。

Sharp
Sharp

混乱が発生しようが、その過程で死傷者が出ようが、あいつからすればどのみち終息可能なんだろう。

オーロラ
オーロラ

……

ドクター
ドクター

彼もきっと動くはずだ、ただ待つような人間じゃない。

Sharp
Sharp

そうだな、エンシオディスは心を鬼にして今の局面を作り上げた、なら民衆を無視するような人間じゃないはずだ。

Sharp
Sharp

俺がカランド貿易に“招かれた”時、あいつのやり方は耳に届いていた、確か従業員たちも彼は遠いヴィジョンを持ってるとも言っていたな。

Sharp
Sharp

そんなあいつの計画が表沙汰になった今、ああいったリスキーな下策があいつにとっての最善策になったんだろう。

オーロラ
オーロラ

そうだと……いいんだけどね。

Sharp
Sharp

シルバーアッシュ家とブラウンテイル家はむかし良好な関係だった、その時にきっと幾つか駒なり手なり打ってるはず、ならその駒たちが混乱を収拾する作用を起こしてくれるかもしれない。

Sharp
Sharp

だが問題はペルローチェ家だな、ヤツらの装備と軍事素養は確かに落ちぶれちゃいるが、それでも無視できない規模を持ってる。

ヤール
ヤール

そうね、それにシルバーアッシュ家とはずっと関係が悪かったわ。

ヤール
ヤール

それに、ペルローチェ家の人間はみんな固い忠誠心を抱いている、今みたいな事態が起こっても、彼らがペルローチェ家を裏切る可能性は皆無と言っていいわね……

Sharp
Sharp

だからドクターがあの二人に手を貸すやり方はなんとなく理解できる。

Sharp
Sharp

当主がいる限り、その家は一枚岩のままでいられる、当主に影響を及ぼせるのならドクターの計画も融通が利くようになるからな。

Sharp
Sharp

しかしだドクター、俺が言わなくともわかってると思うが――

Sharp
Sharp

イェラグの地勢は複雑で交通も不便だ、俺たちに残された時間はもう多くないぞ。

ドクター
ドクター

とりあえず二人に会ってみよう。

(扉の開く音)

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

大奥様、お待たせいたしました。

ラタトス
ラタトス

こんな時に手伝わせてしまって悪いわね。

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

何をおっしゃいますか、私はブラウンテイル家の人間です、こういう時こそ大奥様のお役に立つべきではございませんか。

ラタトス
ラタトス

エンシオディスが言ってたアレだけど、アンタは信じるの?

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

まさか、きっとヤツはあなたを貶めているのですよ。

ラタトス
ラタトス

……

ラタトス
ラタトス

用意させといたモノはどうなった?

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

シルバーアッシュ家の領地からブラウンテイル家の領地まで戻るには少々時間がかかりますが、すでにお車は用意できております、それにコネも少々撒いておきました。

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

あとはあなたとスキウース夫人の準備次第でございます、必ずやお二方をブラウンテイル家へ送って差し上げましょう。

ラタトス
ラタトス

……領地の動向は?

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

祭典での出来事が広まった後、シルバーアッシュ家の領地と接してる数か所の町はすぐさまシルバーアッシュ家に寝返りました。

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

中央付近はまだ動向を確認しておりませんが、しかし……

ラタトス
ラタトス

平気よ、ブラウンテイル家にどれだけエンシオディスの人間が仕込まれているかは分かっているから。いざその人たちが集まったら数えきれなくなることのほうが恐ろしいわ。

ラタトス
ラタトス

エンシオディスの動向は?

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

霊山の麓周辺にはすでにシルバーアッシュ家の戦士が配備されております。

ラタトス
ラタトス

フンッ、曼珠院保護の話だけ本当なのね。

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

周辺の人々はどれもヤツらを歓迎しておりましたよ、まったく恥知らずな連中だ。

ラタトス
ラタトス

彼らはアークトスが祭典で裏切った場面をその目で目撃していたからね。

ラタトス
ラタトス

フンッ、今一番アークトスを信用していない連中を言うなら、むしろ彼の“裏切り”を目撃した領民のほうよ。

ラタトス
ラタトス

アークトスの話はさておいて、アンタ、エンシオディスからいくら貰ったの?

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

なにを……私がそんなことをするわけが……

ラタトス
ラタトス

芝居したって無駄よ、アンタ下手くそすぎ。

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

……全員出てこい、ラタトスを捕らえろ。

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

……

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

……!?

(ブラウンテイル家の貴族が殴られ倒れる)

ブラウンテイル家の貴族
ブラウンテイル家の貴族

ぐほッ……

ラタトス
ラタトス

こんなしょうもない罠も見破られなかったら、当主失格よ。

(スキウースが部屋に入ってくる)

スキウース
スキウース

ラタトス、車が来たって聞いたけど……

スキウース
スキウース

ちょッ、何事!?

ラタトス
ラタトス

何事かしらね?

スキウース
スキウース

……こいつ、私たちを売ろうとしてたの?

ラタトス
ラタトス

あら、救えないほどのバカじゃなかったわね。

スキウース
スキウース

私を皮肉ってる場合?

スキウース
スキウース

……それで、今はどれぐらい私たちに味方してくれる人がいるの?

ラタトス
ラタトス

どれくらいですって?さあね、一体どれくらいいるのかしら……

ラタトス
ラタトス

スキウース、アンタどれだけやらしかしたのか自分で分かってるの?

スキウース
スキウース

私は……

スキウース
スキウース

こんな事態になるとは思わなかったから……

ラタトス
ラタトス

……はぁ、アンタが思いつかないことなんて、ほかにも山ほどあるわよ。

スキウース
スキウース

だって仕方なかったでしょ……!私はただ、ただ私だってブラウンテイル家のために何かしてやれるって、みんなに知ってほしかっただけよ。

スキウース
スキウース

……私はただ……

スキウース
スキウース

あなたの力に……

ラタトス
ラタトス

……

スキウース
スキウース

ちょっと……疲れてるようだけど、ラタトス、大丈夫?

ラタトス
ラタトス

大丈夫じゃないって言ったら?

スキウース
スキウース

……

スキウース
スキウース

わかった、わかったわよ!ケジメをつければいいんでしょ?

スキウース
スキウース

私がやらかしたのなら、私がケジメを付けてやるわよ!今はユカタンも……私の部下もどうなってるかわからないんだから、さっさとつけに行ってやるわよ!

ラタトス
ラタトス

ちょっと待ちなさい、どこに行くのよ!

スキウース
スキウース

エンシオディスのクズのところよ!これは全部このスキウースがやったことです、ブラウンテイル家は関係ありませんって伝えにね!

スキウース
スキウース

私を煮るなり焼くなり好きにしても構わないけど、その代わり――私の人は全員返してもらうんだから!

ラタトス
ラタトス

……

(回想)

お姉ちゃん、お姉ちゃん!なんでまたお爺様に怒られたの?もう十分よくできてたじゃん!
お姉ちゃんは当主になるから、仕方がない……?
じゃ、じゃあわたしが当主になってあげる!お爺様にもそうお願いしてくる、わたしが当主になるからもうお姉ちゃんを叱らないであげてって、叱るならわたしを叱ってって!
えへへ、大丈夫だよお姉ちゃん、心配しないで、わたしにはユカタンがいるから、ずっと一緒にいるって約束してるからね!ユカタンもきっとわたしを手伝ってくれるわ、頭もいいしね!
それに……
それに、お姉ちゃん叱られても、もう泣かなくなった。
いや、お姉ちゃんは一度も泣いたことはないんだけど、それでもなんだか、見ていて辛いよ……

(回想終了)

ラタトス
ラタトス

ふ、ふふ……

スキウース
スキウース

なによ!?このクソアマ、こんな時になっても私をバカにするつもり!?

ラタトス
ラタトス

ふふふ、あははは……

ラタトス
ラタトス

(ルース、ほんっとバカな妹ね……)

スキウース
スキウース

……いま心の中でバカにしてたでしょ?

ラタトス
ラタトス

そんな感じ。

スキウース
スキウース

アンタねぇ……!

ラタトス
ラタトス

ほらほら、帰ってきなさい、エンシオディスのところに行ったって無駄よ。もうこの件には首を突っ込まないでちょうだい……今回のコレはそう簡単じゃないんだから。

ラタトス
ラタトス

スキウース、アタシらが最後にきちんと話したのっていつだったかしら?

スキウース
スキウース

私たちが今まできちんと話したことがあるなんて思えないけど。

ラタトス
ラタトス

……そうかもね。

ラタトス
ラタトス

とにかく、アタシはこれからのことについて考えるから、アンタは自分のことでもやってなさい。

ラタトス
ラタトス

そうだ、帰り道には気を付けるのよ、道半ばで捕まえられないようにね。

スキウース
スキウース

それどういう意味よ、あなたは領地に帰らないわけ?

ラタトス
ラタトス

アークトスはきっとまだ領地に戻ってる途中だと思うわ。

ラタトス
ラタトス

彼がドッシリ構えた時には、十中八九エンシオディスとドンパチ始めてる頃ね。

ラタトス
ラタトス

だからその前に、こっちもなんか仕掛けておきたいのよ。

スキウース
スキウース

……無茶だけはしないでよね、ユカタンたちがまだエンシオディスに捕らえられてることだけは忘れるんじゃないわよ!

スキウース
スキウース

それと……もしあなたに何かあったら、ブラウンテイル家は私が貰うわよ、そ、それも忘れないでちょうだい!

(スキウースが部屋から出ていく)

ラタトス
ラタトス

……

ラタトス
ラタトス

ブラウンテイル家を……スキウースに譲る、か……

ラタトス
ラタトス

……それも悪くないかもね。

若い領民
ペルローチェ家の庶民A

見ろ、アークトス様の部隊だ……

お隣さん
ペルローチェ家の庶民B

祭典で旦那様が大長老に毒を盛ったって……

グロ
グロ

そこの者たち、黙れ!旦那様がそんな毒で人を殺めるような卑しい人なわけがあるか!

若い領民
ペルローチェ家の庶民A

いや……でも……

グロ
グロ

ペルローチェ家に身を置く者であるにも関わらず、旦那様を信じないのか!?

若い領民
ペルローチェ家の庶民A

ひぃ!!

アークトス
アークトス

……そこまでにしろ、グロ。

アークトス
アークトス

庶民に八つ当たりするな、恥を知れ。

グロ
グロ

しかし旦那様……!

アークトス
アークトス

あれがエンシオディスによって仕組まれたことかどうかはともかく、すでに起こったことだ、今更何を言おうが虚しくなるだけだろ。

グロ
グロ

ではこのまま屈辱に耐えるつもりですか、旦那様!

アークトス
アークトス

耐える?そんなわけあるか!

アークトス
アークトス

フンッ、確かにエンシオディスは一枚上手だった、だがヤツは一番犯しちゃいけない過ちを犯した、それがなんだか分かるか?

アークトス
アークトス

私を祭典で殺さなかったことだ。

アークトス
アークトス

我々は一旦本家に戻って、兵たちを召集する、それからヤツを叩きのめしに行くぞ。

アークトス
アークトス

自分がどれだけ大きな過ちを犯してしまったのかを思知らせてやるのだ。

グロ
グロ

なるほど!さすが旦那様!

(イェティとヴァレスが近寄ってくる)

ヴァレス
ヴァレス

そうはさせませんよ、旦那様。

グロ
グロ

ヴァレス!?

グロ
グロ

後ろに従わせているその者たちは……ペルローチェ家を裏切ったのか!?

アークトス
アークトス

……ヴァレス、ペルローチェ家から悪くない扱いを受けてきたはずだ、なぜそんなことをする?

ヴァレス
ヴァレス

悪くない扱いですか……

ヴァレス
ヴァレス

……旦那様、この期に及んでまだ思い出していないのですか?

アークトス
アークトス

何のことだ?このアークトスがやったことにウソや誤魔化しはない、いつそんな――

(回想)

ヴァレス
ヴァレス

こ、これは?

アークトス
アークトス

案ずるな、ヴァレス。

アークトス
アークトス

この大長老から頂いた霊薬を飲んで邪気を払えば、お前の父はきっとよくなる。

アークトス
アークトス

彼は聖猟の際、私を庇って傷を受けてしまった。

アークトス
アークトス

大長老が言うには、はぐれてしまった時にあの伝説のイェティに襲われてしまったらしい……

アークトス
アークトス

それでこんな弱まった姿になってしまったのだ……さあ、私が薬を飲ませてやろう。

ヴァレス
ヴァレス

なぜ父は目を覚まされないのですか、それに口元にあるこの緑色は……

大長老
大長老

もはや払えきれぬほどの邪気を受けてしまったため、イェラガンド様に召されたのだ。

大長老
大長老

こいつは以前に何度も曼珠院に逆らったことがある、おそらくそれでイェティの呪いにかかり、今日の聖猟でその命を刈り取られたのだろう。

大長老
大長老

霊薬をもってしても己の意志と信仰心を取り戻せなかったということは、相応の審判を受けたということになる。

アークトス
アークトス

……

(回想終了)

アークトス
アークトス

大長老に飲ませたあの酒はまさか!?

ヴァレス
ヴァレス

その通りです。

ヴァレス
ヴァレス

当時大長老が私の父を訪れた際、あの霊薬をなくしてしまったことがありましたが、憶えておりますか?

ヴァレス
ヴァレス

申し訳ありません、旦那様。祭典で大長老が倒れるまで、私も半信半疑だったのですが……

ヴァレス
ヴァレス

……

アークトス
アークトス

まさか……まさか私はこの手で我が重臣を……

ヴァレス
ヴァレス

旦那様、あなたに恨みはありません、旦那様のせいではありませんので。

ヴァレス
ヴァレス

しかしイェラグは確実に変化を迎える必要があるのかもしれません、ですのでどうかそれの邪魔をしないで頂きたいです。

ヴァレス
ヴァレス

イェラグに忠誠を誓った戦士たちがこれ以上同じような目に遭わないためにもどうか……

Sharp
Sharp

アークトスが危険に陥る場面を阻止したか……またドクターの想定通りにいったな。

Sharp
Sharp

だが――

Sharp
Sharp

こうなると知ってりゃ最初からブレイズを寄越してこればよかっただろ、正面戦闘に長けたエリートオペレーターの中でこの立体的な山の環境で一番機動力があるのはあいつなんだからよ。

Sharp
Sharp

鉄道が止まっちまったあと、イェラグの交通はあまりにも不便すぎるからな。

Sharp
Sharp

はぁ、まあいい、こっちもそろそろ動くか。

ノーシス
ノーシス

……

エンシオディス少年
エンシオディス少年

本当に行かなきゃならないのか?

ノーシス少年
ノーシス少年

ああ、両親が決めたことだからな、イェラグにはもうボクたちの居場所はない。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

あれはきっとおじさんとおばさんがやったことじゃない、おまえともなんの関係もないだろ。

ノーシス少年
ノーシス少年

……だとしても信じられないんだ。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

どういう意味だ?

ノーシス少年
ノーシス少年

あれが本当に父さんと母さんがやったかは知らない、ましてや……ボクたちは間接的に共犯になったかどうかも。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

……だとしてもおれが許す。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

おまえは誰よりもおれの父を尊敬していただろ、分かるさ。

ノーシス少年
ノーシス少年

……エンシオディス、ボクたちの夢をまだ憶えているか?

エンシオディス少年
エンシオディス少年

当たり前だ。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

二人で一緒にこのイェラグを強い国に造り替えるんだろ。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

……でも、おまえは行ってしまう。

ノーシス少年
ノーシス少年

帰ってくるさ。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

本当か?

ノーシス少年
ノーシス少年

ああ。両親はヴィクトリアに引っ越すつもりだ、ボクもそこの学校に通う。

ノーシス少年
ノーシス少年

いい機会だ、そこの最先端の技術を学んでおく、そして戻った時におまえの力になろう。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

……ふっ、おまえってヤツは。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

ならこの際、おれの考えを一つ教えてやろう、まだ誰にも教えてないやつだ。

ノーシス少年
ノーシス少年

なんだ?

エンシオディス少年
エンシオディス少年

エンヤとエンシアが成人した後、おれもイェラグを出るつもりだ。

エンシオディス少年
エンシオディス少年

おまえと同じように、色々と学んでからここに帰る。

ノーシス少年
ノーシス少年

……おまえは未来の当主になるんだろ、そんな長期間イェラグを離れていいのか?

エンシオディス少年
エンシオディス少年

その時は、おまえに会うよ。

(回想終了)

イェラグの戦士
イェラグの戦士

おい、ノーシス、飯を持ってきたぞ。

ノーシス
ノーシス

……

イェラグの戦士
イェラグの戦士

チッ、黙ってりゃ見逃してやれるとでも思うなよ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士

言っておくが、今じゃシルバーアッシュ家の人間全員がお前を殺したくてしょうがないんだ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士

旦那様と巫女様にあんなことをしておいて、もし旦那様がお前をここに収監しろと言わなかったら、飯どころか水一滴すらお前に飲ませたかねぇわ。

ノーシス
ノーシス

……

イェラグの戦士
イェラグの戦士

飲まず食わず、声も出さずってか?

イェラグの戦士
イェラグの戦士

なら好都合だ、とっとこのこの部屋の中でくたばりやがれ!

(イェラグの戦士が部屋から出ていく)

ノーシス
ノーシス

……

エンシオディス青年
エンシオディス青年

ノーシス、随分と変わったな。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

以前のお前は人を鼻で笑うこともなく、無価値と蔑むこともしなかったはずだ。

ノーシス青年
ノーシス青年

変わったのは君のほうだ。

ノーシス青年
ノーシス青年

以前の君は自身の身分を武器にすることはせず、社交辞令や世辞など沸かすような人間ではなかったはずだ。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

あれはあの貴族たちを相手にするためだ、学ぶ必要がある。

ノーシス青年
ノーシス青年

よりよい研究のために、誰からどう見られようが私は気にはしないさ。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

なにを研究しているんだ?

ノーシス青年
ノーシス青年

生命科学、それと源石の解析だ。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

難しそうだな。

ノーシス青年
ノーシス青年

君はどうなんだ?あの貴族たちの中ではそれなりの地位を持ってるように見えたが。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

お前がイェラグを出る前に私たちが言ったことをまだ憶えてるか?

ノーシス青年
ノーシス青年

……

エンシオディス青年
エンシオディス青年

イェラグから出られて私は嬉しく思うよ、ノーシス。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

外に出てようやく知ったんだ、今はもう自分を殻に閉じ込めればいい時代ではなくなった。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

過去の百年、国同士は絶え間なく交流と衝突を繰り返し、その中でクルビアは急速に発展し、ガリアのような強国はその衝突の中で跡形もなく滅び去った。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

テラ大地にある諸国が天災によって隔てられていた時代は徐々に変わろうとしている。往来を拒否することはもはや時代にそぐわない選択となった。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

もしイェラグが依然と昔の姿のままでいれば、国を閉ざして自分たちの安寧な暮らしを享受することはできる。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

しかしそれにより私たちが迎えるのは、破滅だけだ。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

私たちはもう十分に平和と安寧を受けてきた、我々の門を他者に無理やりこじ開けさせるわけにはいかない、イェラグは外界と接触し、自らの足で歩みだす必要がある。

エンシオディス青年
エンシオディス青年

だから私に手を貸してくれ、ノーシス。

ノーシス青年
ノーシス青年

……フッ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士A

はぁ、イライラするぜ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士B

お前もいい加減にしてくれ、こっちまでイライラが移っちまう。

イェラグの戦士
イェラグの戦士A

マジでわからねぇ、なんで旦那様はノーシスを殺さずに閉じ込めることだけにしたんだ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士A

俺からしてみれば、バスンとあいつの首を刎ねちまえば何事も綺麗に収まんのに。

イェラグの戦士
イェラグの戦士B

お前に分かるかよ、あいつの首を刎ねたところで旦那様の怒りが収まるとでも思ってんのか?

イェラグの戦士
イェラグの戦士B

旦那様はあいつをあんなによくもてなしてやったのに、結局は裏切られたんだ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士B

きっちり痛めつけてやらんと割に合わないだろ?

イェラグの戦士
イェラグの戦士A

言われてみりゃそうかもな。でもよ、もうそろそろほかの両家と戦争し出しそうなんだろ、俺はやっぱり前線に行きたいぜ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士B

チッ、この戦闘狂が。

(エンシオディスが近寄ってくる)

イェラグの戦士
イェラグの戦士A&B

旦那様。

エンシオディス
エンシオディス

ノーシスの様子はどうだ?

イェラグの戦士
イェラグの戦士A

もうすでに丸一日飲まず食わずです。

イェラグの戦士
イェラグの戦士B

しかも一言も話さないどころか、俺たちにうんともすんとも返してくれません。

エンシオディス
エンシオディス

私が彼と話そう。

イェラグの戦士
イェラグの戦士A

はっ。

(エンシオディスが部屋に入っていく)

イェラグの戦士
イェラグの戦士A

なあ、二人で何を話すと思う?

イェラグの戦士
イェラグの戦士B

知るかよ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士A

ノーシスって旦那様の腹心だったんだろ、だからよ、もしかしたら毒の酒を渡して、綺麗な死に方をさせてあげると俺は思うんだ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士B

本の読み過ぎだろ。

イェラグの戦士
イェラグの戦士B

でも、あり得るかもな……

(回想)

エンシオディス
エンシオディス

どうやらラタトスは大長老に傾倒したらしい。

ノーシス
ノーシス

お互い知ってたことだろ、いずれはそうなる。

ノーシス
ノーシス

君のやってることがすべてイェラグのためだったとしても、彼らがそれを信じてくれることはない。

ノーシス
ノーシス

会社にいる人たちも、自分のやってることは所詮会社の利益のためと考えてる人が大半だろう。

エンシオディス
エンシオディス

……戦争は起こしたくない、あれはいつだってやむを得ない時に取る手段だ。

ノーシス
ノーシス

君は心配し過ぎだ。

ノーシス
ノーシス

君が今考えてる“メンツ”的なやり方より、あの両家を滅ぼして直接建て直したほうがよっぽど手っ取り早いではないか。

エンシオディス
エンシオディス

暴力を行使して権力を奪った私をイェラグが本心から受け入れてくれるはずもない。

ノーシス
ノーシス

そういうことなら、私に任せろ。

ノーシス
ノーシス

ほど心配性ではないのでな。

エンシオディス
エンシオディス

……お前に何を任せるんだ?

ノーシス
ノーシス

とぼけるな、エンシオディス。

ノーシス
ノーシス

一度ぐらいは思いついてるはずだ。

ノーシス
ノーシス

この罪人の子が、カランド貿易に潜んでいる悪人が再び裏切者になる、これ以上に適したことはないだろ。

エンシオディス
エンシオディス

……

ノーシス
ノーシス

エンシオディス、私は君の駒でも、ましてや部下でもない。

ノーシス
ノーシス

私は君のパートナーだ。

ノーシス
ノーシス

君が頷かなくとも、私はやってみせるさ。

ノーシス
ノーシス

むしろ頷いてくれるのならもってこいだ、そのほうが芝居も迫真めいてくるからな。

ノーシス
ノーシス

このイェラグはもとから私に居場所など与えてくれなかった、ならこっちも受け入れてくれようがくれまいが知ったことではない。

ノーシス
ノーシス

ただ汚名をもう一つ背負うことになるだけだ、気にはしないさ。

エンシオディス
エンシオディス

……

ノーシス
ノーシス

……

エンシオディス
エンシオディス

……

エンシオディス
エンシオディス

なにか考え事か?

ノーシス
ノーシス

君は二十年前となんら変わっていないなと、思ってただけだ。

エンシオディス
エンシオディス

その心は?

ノーシス
ノーシス

相変わらずの完璧主義で、自惚れてる。

ノーシス
ノーシス

君はいつだって最善の結果だけを求め、自分ならそれを手に入れられると思い込んでいるからな。

エンシオディス
エンシオディス

その最善の結果とやらは、アークトスとラタトスが私たちの前に立ちはだからなかったことか。

エンシオディス
エンシオディス

大長老はすでにイェラグで起こりえる変化を受け入れてくれた、ならこれから私たちも求めていた段階をスムーズに渡っていけるはずだ。

ノーシス
ノーシス

あれは最善の結果とは言えないさ、君も分かってるだろ、あれは最善の憶測と言ったほうが正しい。

ノーシス
ノーシス

彼らは私たちが見ているモノを見えていないんだ、なら私たちと同じ考えを抱いてることには期待しないほうがいい。

エンシオディス
エンシオディス

それならお前も私も異なる考えを抱いてることになるぞ。

ノーシス
ノーシス

言ったはずだ、エンシオディス、私は君の駒でも、ましてや君の部下でもない。

ノーシス
ノーシス

私には私の考えがある、だが我々の考えにも多少なりとも重なる部分はあるはずだ。

ノーシス
ノーシス

それとも、今ここで私を殺して、今までやってきた偽芝居を本物にでもするつもりなのか?

エンシオディス
エンシオディス

……

ほの暗い明かりの下、エンシオディスはノーシスに手を差し伸べた。

エンシオディス
エンシオディス

お前が私の親友で助かったよ。

ノーシス
ノーシス

……

ノーシスはしばらく口を噤んだ後、ようやく手を伸ばし、エンシオディスの手を固く握りしめた。

ノーシス
ノーシス

言ったはずだ、私はただ汚名をもう一つ背負うことになるだけだと、とっくに慣れているさ。

あの時と何も変わってない。

エンシオディス
エンシオディス

アークトスがすでに兵力を集結させている。

ノーシス
ノーシス

ラタトスのほうはどうだ。

エンシオディス
エンシオディス

これを見てくれ。

拝啓 
エンシオディス様

ブラウンテイル家は長らくの間シルバーアッシュ家と良好な関係を保っておりました。近年の諸々の諍いも、各々がイェラグの前途に対する考え方の違いによるものでしょう。
イェラグの情勢が明らかとなった今、シルバーアッシュ家はすでに民心が向かうところの指標となっております。

この変革の時に際して、不必要な争いを避けるため、同時にイェラグの平和のために、わたくしラタトスはブラウンテイル家を代表して、ここにシルバーアッシュ家へ帰順することに致しました。
もしこれまでの宿怨を顧みずに頂けるのでしたら、ぜひお会いしたい所存でございます。
また、ご両親が亡くなられた真実も、その際に明かして頂きたいと存じます。

敬具
ラタトスより

ノーシス
ノーシス

……見え透いた罠だな。

エンシオディス
エンシオディス

しかし行く価値はある。

ノーシス
ノーシス

情勢はまだ君が無意味なリスクを冒すほど明らかにはなっていないぞ。

エンシオディス
エンシオディス

私たちはもう勝ったんだ、ノーシス。

エンシオディス
エンシオディス

本来の目的なら達成した、ペルローチェ家とブラウンテイル家も今ではイェラグの裏切者だ。

エンシオディス
エンシオディス

ブラウンテイル家の論調なら私がそこに仕込んでおいた人がズラしてくれる、ペルローチェ家も同じだ、あそこの人たちは頑固だが、正直でもある。

エンシオディス
エンシオディス

彼らがアークトスの“罪”を理解してくれた後、ペルローチェ家のほとんどの門は私たちのために開かれるだろう。

エンシオディス
エンシオディス

その際、後処理のための時間なら十分だ。

ノーシス
ノーシス

アークトスとラタトスがあのまま手を引くとは思えない。

エンシオディス
エンシオディス

だからこそラタトスと直接会いに行く。

エンシオディス
エンシオディス

ラタトスもあの時私と一緒にヴィクトリアへ留学しに行っていれば、今頃は私と同じぐらい成果を上げていたはずだ。

エンシオディス
エンシオディス

もしあのような人がこんな交渉まで持ちかけても私が行かなかったとすれば、趣がないだろ。

ノーシス
ノーシス

君はいつか必ずその自惚れで命を落とすことになるぞ、エンシオディス。

エンシオディス
エンシオディス

そうかもな、だが今日ではない。

エンシオディス
エンシオディス

アークトスについてだが、向こうもなんら変化がないわけではない、だからこそお前の力を借りにきたわけだ。

ノーシス
ノーシス

ただの粗忽者だろ、彼に一体どんな波風が起こせるというのだ?

エンシオディス
エンシオディス

確かにアークトスでは波風は起こせん、だが手を出してくるのは彼ではなく、ドクターだ。

エンシオディス
エンシオディス

彼は今回における最大の不確定要素と言える、こちらも構えずにはいられない。

ノーシス
ノーシス

ドクターか。

ノーシス
ノーシス

その人がイェラグに来てから想定外なことをしたのは認めよう、だが本当に君がそれほど重視するほどの人物なのか?

エンシオディス
エンシオディス

イェラグにまったくの理解がない上に、短時間でこの一連の出来事の核心にまで迫り、私たちの計画を攪乱した人物だ。

エンシオディス
エンシオディス

私だったとすれば、あそこまでのことは到底できん。

エンシオディス
エンシオディス

それに彼が次にどんな手を打つのかまったく想像がつかないんだ。もしかすれば何もしないのかもしれない、あるいは――

エンシオディス
エンシオディス

私ですら想像もしなかったようなことをしでかすかもしれない。

ノーシス
ノーシス

フッ、初めて言っておくことではないが――もし負けが怖いのなら、その挑戦をあたかも喜んで受けようとしてるフリはやめたほうがいい。

ノーシス
ノーシス

君は色んな人を騙してきたが、私にウソは通用せん、あのカジミエーシュからきたボディーガードにもな。

エンシオディス
エンシオディス

ならその言葉に返そう、ゲームの駆け引きを楽しむことと勝ち負けは別だ。

エンシオディス
エンシオディス

ゲームの楽しみは結果ではない、勝利へ進む過程なのだよ。

ノーシス
ノーシス

そこが私と君が一番かけ離れているところだ。なら私はせいぜい君が自身の自惚れに殺される前に助けてやれるように構えておくとしよう。

エンシオディス
エンシオディス

それについてならこれからも言葉を交わす機会はごまんとある。とにかく、私がラタトスと会ってる間の指揮権はお前に委ねる。

ノーシス
ノーシス

カランド貿易にまだ私の言うことを聞いてくれる者が残っているとでも思うか?

エンシオディス
エンシオディス

ヴァイスと、マッターホルンが残っている。

(ヤーカとヴァイスが部屋に入ってくる)

エンシオディス
エンシオディス

彼ら二人がお前の代わりに命令を下に伝えてくれる。

ヤーカ
ヤーカ

ノーシス、事情は知った、ご苦労だったな。

ヴァイス
ヴァイス

いやー、まさか今までのあれはフリだったとは……

ノーシス
ノーシス

世辞なら結構だ。

ノーシス
ノーシス

フンッ、ようやく時間が空いたと思ったらこれか。

ノーシス
ノーシス

私の研究はもうすでに長い間停滞している、ここに収監されてる間は、少なくとも本ぐらいは読めると思っていたんだがな。

エンシオディス
エンシオディス

お前は私のパートナーなのだろ、ならお前の研究は私の研究だ、時間ならこの先いくらである。

ノーシス
ノーシス

……君が無事に戻ってこれればの話だがな。

(デーゲンブレヒャーが近寄ってくる)

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

そろそろ出発だ、エンシオディス。

エンシオディス
エンシオディス

では任せたぞ、ノーシス。

(エンシオディスが立ち去る)

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

……

ノーシス
ノーシス

……

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

聞きたいんだが、お前があの祭典でやったことは、どれも本気だったのか?

ノーシス
ノーシス

そうだと言ったら?

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

ならその鈍った腕を鍛え直すといい。

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

昔と比べて面白さに欠けていたぞ。

ノーシス
ノーシス

善処しよう。

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

お前は私の相手になれたはずだ、辛うじて半分程度ではあるがな、私も少しは構ってやろう、さもないと生きててもつまらん。

ノーシス
ノーシス

術師はただ研究のついでに兼ねてるだけだ。

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

もしもう少し強ければ、演技も少しは迫真めいていたんだがな。

ノーシス
ノーシス

……

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

だがお前があんなに憤慨していた姿は初めて見た。

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

いい演技だったぞ。

デーゲンブレヒャー
デーゲンブレヒャー

まあ、お前のアレは本気だったらしいがな。

(デーゲンブレヒャーが立ち去る)

ノーシス
ノーシス

……

ヴァイス
ヴァイス

ノーシスさん、これからどう致しますか……

ノーシス
ノーシス

……メンヒはどこだ?

ヴァイス
ヴァイス

……メンヒなら別の部屋に軟禁しております、案内しますよ。

ノーシス
ノーシス

彼女は知ってたのか?

ヴァイス
ヴァイス

それはできればあなたの口から伝えてあげてくださいと、旦那様が。

ノーシス
ノーシス

……案内してくれ。

メンヒ
メンヒ

……

メンヒ
メンヒ

ノーシス様……

メンヒは靴から小さな短刀を取り出した、彼女の秘蔵の武器だ。
ノーシスが実験の際に出てきた余り物で、彼女にやったプレゼントでもある。
彼女はそっと短刀を撫でる、その目には翳りがあり定まってはいない。

(ノーシスが近寄ってくる)

ノーシス
ノーシス

……馬鹿な真似はよせ、メンヒ。

メンヒ
メンヒ

……

メンヒ
メンヒ

……お怪我は受けてなそうですね。

メンヒ
メンヒ

よかったぁ……

ノーシス
ノーシス

私は平気だ。

ノーシス
ノーシス

むしろ君には苦労をかけたな。

メンヒ
メンヒ

私……誓いましたから……

メンヒ
メンヒ

ノーシス様がお求めとあらば、メンヒはどこへだってお供しますって……

メンヒ
メンヒ

……

ノーシス
ノーシス

……その顔、どうやら今回の事情をある程度把握したようだな。

ノーシス
ノーシス

一連の事件は、すべて私とエンシオディスが企てていたものだ。

メンヒ
メンヒ

……

メンヒ
メンヒ

やはりそうでしたか……

メンヒ
メンヒ

崖の下で待ってたヴァイスに助けられてから、ずっとそうじゃないかって思ってました。

メンヒ
メンヒ

もし何もかもあらかじめ敷かれていた計画なら、私は一体どういった役目にあったんでしょうか。

メンヒ
メンヒ

あなたがここに現れたってことは、そういうことだったんですね……

ノーシス
ノーシス

……

ノーシス
ノーシス

すまなかった。

メンヒ
メンヒ

……ノーシス様が私に謝る必要は万に一つもございません。

ノーシス
ノーシス

メンヒ、君は君なりの考えを抱いていた。それは理解できるが、私にも私なりの考えがある。

メンヒ
メンヒ

……

ノーシス
ノーシス

私とエンシオディスが袂を分かち、カランド貿易を離れてからラタトスと接触したのは、すべて最初から計画のうちだったんだ。

ノーシス
ノーシス

この計画を知る者は最少に抑えておきたい、だから君には教えなかった。

メンヒ
メンヒ

……

ノーシス
ノーシス

この計画がどれだけ無茶なものかは私もエンシオディスも理解していた。

ノーシス
ノーシス

どんな些細な点も制御下におく必要があった上に、どの行動も万に一つの過失を起こしてはならなかった。この計画は私がいつもしてる実験とは違う……もう一度などという機会はないのだ。

ノーシス
ノーシス

それで君を不快にさせてしまったのなら、君に謝ろう。

メンヒ
メンヒ

……

メンヒ
メンヒ

そんな……なんでそんなことを。

メンヒ
メンヒ

……

メンヒ
メンヒ

どうして……

ノーシス
ノーシス

なんだ?

メンヒ
メンヒ

あなたが何をしようが、どんな計画を抱えていようが、私は……

メンヒ
メンヒ

……ずっとあなたの力になると誓いました。

ノーシス
ノーシス

……

メンヒ
メンヒ

なのになぜ私を信用してくれなかったのですか……

メンヒ
メンヒ

……私を信じてもよかったのに……

ノーシス
ノーシス

……

ノーシス
ノーシス

メンヒ、どうか理解してほしい。

ノーシス
ノーシス

君を信じているからこそ、この一番肝心な時に、君に頼ろうとしていたんだ。

ノーシス
ノーシス

君のことなら信じているさ。私の最も優秀な部下として、きっと完璧に私の計画の力になってくれるとな。

メンヒ
メンヒ

……

ノーシス
ノーシス

さあ、もう余計なことは考えるな、今回はよくやってくれた、もうすべて終わったのだからリラックスしていても構わない。

ノーシス
ノーシス

これから存分に羽を伸ばすといい。

メンヒ
メンヒ

……

ノーシス
ノーシス

……どうやら言葉を交わせるような余裕はないようだ。

ノーシス
ノーシス

またあとでも見に来るよ。

(ノーシスが立ち去る)

メンヒ
メンヒ

……

メンヒ
メンヒ

私を信じてる……?

メンヒ
メンヒ

私を信じてくれてる人は、一体どこに行っちゃったの……

メンヒ
メンヒ

……

メンヒ
メンヒ

ノーシス様……私、あなたを信じてもよろしいんでしょうか?

この記事を書いた人
おーちゃん

フロストノヴァ推し

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