アークナイツストーリー翻訳

【明日方舟】己が導く行末へ GA-ST-2「アヤメの花」 翻訳

ショルース
ショルース

もはや休暇にも思えてきたわ、今回のラテラーノ訪問……まさかあんなことまで起こるなんて。

ショルース
ショルース

ねぇユカタン、小国とは言えイェラグだって信仰を持っているでしょ……なのになんでラテラーノはあんなことができるの?

ユカタン
ユカタン

ラテラーノの影響力は広大だからね……万国トランスポーターもラテラーノの教皇がかなり前から設立した組織だ。

ユカタン
ユカタン

イェラグにはまだそういった基礎ができ上げっていないんだよ。

ショルース
ショルース

ハッ……影響力影響力って、イェラグを出てようやく分かったわ、影響力とかいう厄介極まりないものが。

ショルース
ショルース

今思うと、あのエンシオディスが一人で近隣諸国を回ったことに感謝したいわね。

ユカタン
ユカタン

巫女様の影響力も今じゃ徐々に上がってるからね……とは言え、ボクたちにもボクたちなりの勝る点ってもんがあるよ。

ショルース
ショルース

そうね……それにしても、教皇が言ってたアレ、本当に叶うと思う?

ユカタン
ユカタン

……どうだろう。

ユカタン
ユカタン

各国がこれ以上に緊密な関係を築いたらこの大地がどうなるのかなんて、想像できないよ……まるで夢みたいな話だよね。いい夢かどうかはさておいて。

ユカタン
ユカタン

けどあの日に起こった奇跡……そして教皇の演説に、目を背く人は誰一人としていなかった。

ユカタン
ユカタン

やっぱりラテラーノって、神に愛されてる都市……なんじゃないかな?

ショルース
ショルース

エイゼルさん、あなたたちサンクタは今回の一件をどう見てるのかしら?

エイゼル
エイゼル

え?あー……すごい、衝撃的でしたかね……

ショルース
ショルース

それもそうよね、あの鐘が鳴ったのは数千年ぶりだって聞いたし。

ショルース
ショルース

それで、これからラテラーノはどうなるの?

エイゼル
エイゼル

……どうもならないんじゃないでしょうか、ボクのラテラーノ人に対する見解から言わせれば……いや、多分みんな同じことを考えてると思います。

エイゼル
エイゼル

今後歴史を変えるような大事件が起こったとしても……その時代に生きる人たちはみんな、なにも実感しないんじゃないでしょうか。

エイゼル
エイゼル

けど変化が起こってることとか、自分が背負うべき責任とか使命なら、意識せずとも気付くと思います。

ショルース
ショルース

……真っ当なことを言うじゃないの、お兄さん。

ショルース
ショルース

それじゃあ、送迎はここまでで結構よ、後はこちらの車両がここまで迎えに来てくれるから。

ユカタン
ユカタン

お疲れ様です。

エイゼル
エイゼル

いえ。ボクもちょうど病院に用があったのでお構いなく、ヴァイエリーフ枢機卿がすく近くの病院にいますので、命令を受けに。

ショルース
ショルース

あっ、そういえばその枢機卿にだけど、代わりにお礼を伝えてくれないかしら。

エイゼル
エイゼル

“満足頂けたのならこちらとしては幸いです”――そう枢機卿はおっしゃっていましたよ。

ショルース
ショルース

隙がない人ね……

ショルース
ショルース

そうだ、お兄さん、私と夫のツーショット写真を撮ってくれないかしら。

エイゼル
エイゼル

分かりました。

(エイゼルがショルースとユカタンのツーショットを撮る)

エイゼル
エイゼル

いかがですか?

ショルース
ショルース

いい腕してるじゃない、お兄さん。

ユカタン
ユカタン

ありがとうございます。

エイゼル
エイゼル

恐縮です。

(ユカタンとショルースが立ち去る)

モスティマ
モスティマ

フィアメッタ、足取りすっごい重たいようだけど大丈夫?

フィアメッタ
フィアメッタ

なんでそう思うのよ?

モスティマ
モスティマ

教皇猊下のあの演説を聞いた後、肩に重荷を感じない?

フィアメッタ
フィアメッタ

だから?

モスティマ
モスティマ

だからこっちはそろそろ転職したほうがいいかなーって真剣に考えてるんだよ、重い責任が伴う仕事なんて私には合わないからさ。

モスティマ
モスティマ

だから君なら適役なんじゃないかな、私の跡継ぎとして。

フィアメッタ
フィアメッタ

寝言は寝てから言いなさい。

エイゼル
エイゼル

お二人とも、こんにちは。

モスティマ
モスティマ

やぁエイゼルくん、久しぶりだね。

エイゼル
エイゼル

いやまだ二週間しか経ってませんけど……

フィアメッタ
フィアメッタ

あなた……任務中?

エイゼル
エイゼル

ヴァイエリーフ枢機卿がちょっと任務を手配してまして、それを請け負いに。

エイゼル
エイゼル

ボクがラテラーノで執行する最後の任務になります。

モスティマ
モスティマ

素晴らしい、エイゼル君、ここから出て行けば分かるよ、ラテラーノがいかにつまんない都市なのか。

モスティマ
モスティマ

外にはここよりも美味しいスイーツはないけど、私たちの人生はなにもスイーツだけを楽しみにしてるわけじゃない、でしょ?

フィアメッタ
フィアメッタ

ヴァイエリーフに用があるの?彼女は今どこに?

エイゼル
エイゼル

ステファノ区の中央病院にいます。

フィアメッタ
フィアメッタ

……

モスティマ
モスティマ

じゃあ目的地は同じだね、エイゼルくん、一緒に行こう。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

決心した?

レミュアン
レミュアン

うん、もう決めた。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

もっと迷うのかと思っていたわ。

レミュアン
レミュアン

ううん……ただ、みんな次の一歩に踏み出してるのに、私だけこれ以上足踏みするわけにはいかないって思っただけ。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

ならもうこれ以上聞く必要もないわね。頷いてくれただけでも、こっちは嬉しいよ。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

こういう時期に、あなたみたいな人が加わってくれて何よりだもの。

(エイゼル、モスティマ、フィアメッタが近寄ってくる)

モスティマ
モスティマ

やっぱりここにいた、ヴァイエリーフ。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

あなたたち、どうして……

フィアメッタ
フィアメッタ

途中でエイゼルとばったり会ったんです。

エイゼル
エイゼル

イェラグ使節のお二方ならすでに目的地まで送迎致しました。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

ご苦労様。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

まあまあちょっと待ちなさい、あなたにはまだ別件があるから、私と一緒に来て。

エイゼル
エイゼル

……わかりました。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

それじゃあね、レミュアン、また来週。

レミュアン
レミュアン

ええ、また来週。

(ヴィエリーフが立ち去る)

フィアメッタ
フィアメッタ

第七庁に行くのね、レミュアン?

レミュアン
レミュアン

そこでは前々からもう仕事を始めていたからね。

フィアメッタ
フィアメッタ

……会議の後の第七庁って、きっと大変だと思うけど。

レミュアン
レミュアン

私にとってもお似合いな部署でしょ?

フィアメッタ
フィアメッタ

そうだけど……

レミュアン
レミュアン

あなたたちはもう自分たちの道を歩み出したんだから、私もそろそろ自分でできることを探さないとなーって。

モスティマ
モスティマ

こっちはさっきまで万国トランスポーターを辞めたいって、フィアメッタと話していたところなんだけどね。

レミュアン
レミュアン

もう面倒臭いから?

モスティマ
モスティマ

あの老いぼれ……これから面倒まみれの未来が見え見えなんだよね。

レミュアン
レミュアン

でも逃げられないわよ~、モスティマ。あなたは私の直轄下に入ったから。

モスティマ
モスティマ

えぇ。

レミュアン
レミュアン

だからまずはちょっとしたお手伝い、この手紙をエルちゃんまでお願いね。

モスティマ
モスティマ

……拒否権は?

レミュアン
レミュアン

ない。

レミュアン
レミュアン

絶対手渡しでお願いね。

モスティマ
モスティマ

なおさら辞めたくなってきた……

フィアメッタ
フィアメッタ

自分にウソつくんじゃないわよ。

モスティマ
モスティマ

厳しいなぁ、フィアメッタは。

フィアメッタ
フィアメッタ

どうせ諦めないんでしょ、あんた。

モスティマ
モスティマ

言い切るね?

フィアメッタ
フィアメッタ

自分にこの仕事は合わないなんてウソはやめなさい。

フィアメッタ
フィアメッタ

あんただって答えを探し求めてるんでしょ?

モスティマ
モスティマ

私は別にアンドーンじゃ……

フィアメッタ
フィアメッタ

あいつだとは言ってないでしょ。

フィアメッタ
フィアメッタ

けどそれでもあんたは選んだ、そうでしょ、自分は一体何なのかを。

フィアメッタ
フィアメッタ

それの答えを得るには……長い道を歩まざる得なくなる、誰であろうと例外なく。

モスティマ
モスティマ

……

レミュアン
レミュアン

あらあら、モスティマ、他人に分からされた気分はどう?どうやらヘイローがなくても分かってあげられちゃったわね?

モスティマ
モスティマ

……じゃあそれが私の歩む道ってヤツだね。だから私についてこなくてもいいんだよ、フィアメッタ。

フィアメッタ
フィアメッタ

自惚れないで、誰がついていくって言ったよ?たまたま道が同じってだけ。

フィアメッタ
フィアメッタ

あいつの銃はいま私が持っている。

フィアメッタ
フィアメッタ

もしあいつがまだ自分はサンクタだって真面目に考えているのなら、必ずこの銃を取り返しに来るわ。

フィアメッタ
フィアメッタ

その時になったら、今度こそ自分がやったことのツケを払わせてやる……!

フィアメッタ
フィアメッタ

だからあんたにはその手助けをしてほしい。

モスティマ
モスティマ

……はいはい、分かったよ。

レミュアン
レミュアン

その話についてなんだけど、以前市内で捕まったロストシープたち、もう全員釈放されたわよ。

フィアメッタ
フィアメッタ

……それは猊下の恩赦で?

レミュアン
レミュアン

ええ。

フィアメッタ
フィアメッタ

猊下が許したからって、私には関係ないわ。

レミュアン
レミュアン

……フィアメッタらしいわね。

レミュアン
レミュアン

それと、後で第五庁の手続きを踏んで、公証人役場の協議契約に従ってあなたをロドスに借用させるから先に伝えておくわ。

フィアメッタ
フィアメッタ

えっ、モスティマとレミュエルが兼業してるあの製薬会社に……?

フィアメッタ
フィアメッタ

なんで?

レミュアン
レミュアン

ヴァイエリーフがその会社と関係を深めたくてね、最適な人選としてあなたが選ばれたのよ~。

レミュアン
レミュアン

それに聞いた話じゃ、ウチとあの会社ってかなり仲がいいらしいのよ、きっときっとあなたの心強い味方になってくれるわ。

フィアメッタ
フィアメッタ

了解。

レミュアン
レミュアン

それとね、フィアメッタ、超グッドニュースがあるの!

レミュアン
レミュアン

今ならなんと、この三つのコードネームから!次の任務の時のコードネームとして、一つ選べられま~す!

フィアメッタ
フィアメッタ

……正直に言っていいかしら、今はあなたと私たちだけの関係でしょ、いい加減そのルールは消してもらえないかしら?

フィアメッタ
フィアメッタ

当時こいつを監督するポストが確立していなかったから、臨時的にコードネームを取っただけでこんな……

フィアメッタ
フィアメッタ

毎月毎月、そのポストのネームを変えるのはもういい加減うんざりなのよ!

モスティマ
モスティマ

キラキラお通夜人は結構気に入ってたじゃん、ようやく少しはセンスがマシになったって言ってたしさ。

フィアメッタ
フィアメッタ

あんたは黙ってて。

モスティマ
モスティマ

あっ、この花キレイだね。

レミュアン
レミュアン

そうは言われてもね……あなたのポストネームの変更はもう慣例になっちゃったんだから、観念なさーい。

レミュアン
レミュアン

“虚空なる美食家”、“野原の飛行パイロット”、“黎明の破壊者”、どれか一つ選んでね。

フィアメッタ
フィアメッタ

……“黎明の破壊者”。

モスティマ
モスティマ

いや~、フィアメッタ、なかなかいいセンスしてるんじゃん、ホントホント。

フィアメッタ
フィアメッタ

あんたは黙っててッ!

オーロン
オーロン

うっ……

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

目が覚めた?

オーロン
オーロン

……最近はつくづく運が悪いって感じがするぜ。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

あら、横になるのがイヤになった?

オーロン
オーロン

そんなまさか、言わなかったことにしてくれ。

オーロン
オーロン

おや?エイゼルの兄ちゃんもいるのか?

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

ラテラーノを裏切ったらその人はどうなるのか、彼にも見てほしくてね。

エイゼル
エイゼル

えっと……

オーロン
オーロン

あんま若い連中を当て擦るんじゃないぞ、ヴァイエリーフ。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

私だってまだまだ若いんですけど。

オーロン
オーロン

すいません。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

あなたはもう万国トランスポーターではなくなったわ。

オーロン
オーロン

それが対価というのなら……

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

けど私の部下のままよ。

オーロン
オーロン

そりゃ大きな対価だことで。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

よくも私に大法螺を吹いてくれたわね、オーロン。ならあなたがヴィクトリアで一体何を学んできたのか、見せてもらおうじゃないの。

オーロン
オーロン

……それは俺のやり方でケジメをつけろ、って解釈してもいいんだな?

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

今なら、あなたがこの前にしてきた質問に答えてあげる。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

オーロン、私は高尚になろうとする人間には興味ない。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

けど高尚な人間のために努力を惜しまないことは嫌いじゃないわ。

オーロン
オーロン

それは……俺も同感だ。

エイゼル
エイゼル

それはボクにも言い聞かせてるんでしょうか、枢機卿?

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

もちろんよ。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

あなたもセシリアも手に入れたチャンスを大事になさい。あの子がラテラーノにどんな影響を及ぼすのか……その際は、分かってるわよね?

エイゼル
エイゼル

セシリアには……もう二度とラテラーノに戻ってほしくない、ということですか?

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

私がそんなことを望んでたら、どうしてその子にわざわざ戸籍を作ってあげの?

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

そうねぇ、あー、同情しちゃったのかしら。ただ……もしあの子にもっとほかの価値があるのなら、私はその価値のために喜んでリスクと危険を犯してあげるわ。

エイゼル
エイゼル

……

オーロン
オーロン

こう素直に認められたことはお前にとっていいこと尽くめなんだぞ、信じてくれ。

エイゼル
エイゼル

分かりました。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

そう緊張しないでよ。私はただあなたにラテラーノへの忠誠を示しただけなんだから。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

もしあなたもセシリアも旅に飽き飽きしてしまったのなら……いつでもラテラーノに帰ってきていいんだからね。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

あなたたちのために、ラテラーノは門を開けてくれるわ。

(ドアのノック音)

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

どうぞー。

エイゼル
エイゼル

]フェデリコ先輩?

フェデリコ
フェデリコ

ヴァイエリーフ枢機卿、こちら元万国トランスポーター、オーロン・アギオラスのここ二年の外出記録の報告書になります。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

ご苦労様、フェデリコ執行人。

オーロン
オーロン

げっ……

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

念のために、ね。

フェデリコ
フェデリコ

既存の情報によれば、執行人のリゲライも彼の共犯者かと思われます、リゲライにも通達致しますか?

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

結構よ。彼ならきっと“古い馴染にハメられた”って言うはずだからね、そうでしょ、オーロン?

オーロン
オーロン

……おっかねぇ女だぜ。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

リゲライのことなら追及しないわ……今のところはね。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

けど、後で君と彼とで少し話して合ってちょうだい、問題ないわね?

オーロン
オーロン

まったくもって、ありません。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

では現時点においてこの二名の処置はこのように暫定しておくわ、フェデリコ執行人。

オーロン
オーロン

……

オーロン
オーロン

ちょっと待て、フェデリコ。

フェデリコ
フェデリコ

なんでしょう?

オーロン
オーロン

あれからふっと思いついたんだ。お前があのノートにあった数少ない途切れ途切れの手がかりから、サルカズと接触していたあの女性がフィリアだったことを突き止めるのは、簡単なことじゃなかったはず……

オーロン
オーロン

なのになぜそこまで執着していたんだ?

オーロン
オーロン

お前は一体誰を探しているんだ?

フェデリコ
フェデリコ

……アルトゥロ。

オーロン
オーロン

アルトゥロ……ん?アルトゥロだって?

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

あの指名手配犯のアルトゥロ?

オーロン
オーロン

……フェデリコ、アルトゥロとはどういう関係なんだい?

フェデリコ
フェデリコ

私の遠縁です。

オーロン
オーロン

……ブッ、ブハハハハハハ!

オーロン
オーロン

あのな、フェデリコ。

オーロン
オーロン

俺が今ここで寝込んでいなかったら、ぜひお前と酒を飲み交わしたいと思ったぜ。

フェデリコ
フェデリコ

こちらにそんな時間はありません。

オーロン
オーロン

時間ならできるさ。なぜならちょうど数年前……俺はそのアンドーンよりも超有名なその指名手配犯、アルトゥロ嬢と会ったことがあるんだからよ。

ヴァイエリーフ
ヴァイエリーフ

……

オーロン
オーロン

ちょい落ち着け!落ち着けって!ヴァイエリーフ!!!

オーロン
オーロン

こっちからアルトゥロと接触したわけじゃない!ばったり出くわしただけだ!

オーロン
オーロン

ホント、自分でも見識は広いほうだとは思ってたんだが、あの時を思い返すと今でもゾッとしちまう……

フェデリコ
フェデリコ

どこで見かけたのですか?

オーロン
オーロン

三年前、リターニアでだ。

セシリア
セシリア

エイゼルお兄ちゃん!

エイゼル
エイゼル

セシリア!

エイゼル
エイゼル

それにリゲライ先輩も……

リゲライ
リゲライ

各種手続きなら済ませたから、この子はもう自由にラテラーノから出られるぞ。

エイゼル
エイゼル

ありがとうございます、リゲライ先輩。

リゲライ
リゲライ

なあに、当然のことをしただけさ。

リゲライ
リゲライ

それで、自分たちがこれからどこに向かうべきなのかは分かってるはずだよな?

リゲライ
リゲライ

はい……まずはフェデリコ先輩と合流して、ロドスという会社で協力協定を結びに行きます。外で長い間過ごすのなら……そうしたほうが色々と融通が利くと聞きましたので。

リゲライ
リゲライ

そうか、分かってるのなら何よりだ、先方への挨拶ならもう済ませてあるよ。

リゲライ
リゲライ

だがお前はまだ公証人役場の執行人だ。こっちに戻ってこれなかったとしても、ロドスを通じてお前に任務を通達する。

リゲライ
リゲライ

お前とセシリアちゃんとの旅はきっと順調に行くはずだ、そんな予感がするよ、もしかしたらすぐに探してる人が見つかったりしてな。

リゲライ
リゲライ

言っとくが、俺の予感は結構当たるんだぜ。

エイゼル
エイゼル

……あ、ありがとうございます?

リゲライ
リゲライ

それじゃあ俺はもう行くよ、それじゃあ達者でな、セシリアちゃん。

セシリア
セシリア

ばいばい、リゲライお兄ちゃん。

リゲライ
リゲライ

へっくしゅ!

リゲライ
リゲライ

うぅ……なんか面倒臭いことに巻き込まれるような予感がするなぁ。

エイゼル
エイゼル

リゲライ先輩も相当個性的な人だ。

エイゼル
エイゼル

えっ、ちょっと待って、どうして彼はボクたちが人を探してることを……

セシリア
セシリア

お兄ちゃん、どうしたの?

エイゼル
エイゼル

なんでもありませんよ、セシリア。

エイゼル
エイゼル

まだ何か……言い残したいことはありますか?

セシリア
セシリア

……

幼い女の子は若いサンクタから手を離し、花畑の中へ入っていった。

セシリア
セシリア

(ママ、わたしラテラーノを出るね。)

セシリア
セシリア

(でも逃げてるんじゃないよ。)

セシリア
セシリア

(パパを探しにいく、ママが言ってたことをパパに伝えるね。)

セシリア
セシリア

(わたしは自分の目で外の世界を見に行く……カズデルを探しにいくよ。)

セシリア
セシリア

(ママ、わたしとっても幸せだったよ。昔も、今も……)

セシリア
セシリア

(だから、どうかセシリアを見守ってて。)

セシリア
セシリア

シスターさん、白いお花を一つ摘んでもいい?

敬虔なシスター
シスター

構いませんよ。

セシリア
セシリア

ありがとう!

エイゼル
エイゼル

そのお花を持って行くんですか?

セシリア
セシリア

うん。

エイゼル
エイゼル

生のお花だとすぐに枯れちゃいますね……押し花にしてあげましょうか?

セシリア
セシリア

うん。作り方教えて、自分でも作れるようにしたいから。

セシリア
セシリア

ありがとうね、エイゼルお兄ちゃん。

エイゼル
エイゼル

……え?

エイゼル
エイゼル

いいえ、セシリア、お礼を言うのはこっちのほうですよ。

セシリア
セシリア

あれ……ねぇあれって……?

アンドーン
アンドーン

パディア、本当に私と一緒に行くのかい?

パディア
パディア

もちろんです。

アンドーン
アンドーン

君ならまだラテラーノに残れる、とは思っているんだがね。

パディア
パディア

ラテラーノに私が求めているものはありませんので。

パディア
パディア

……?

アンドーン
アンドーン

どうした、パディア?

パディア
パディア

……いえ、なんでもありません、失礼しました。

パディア
パディア

ただその……先導者様……笑ってらっしゃるのですか?

パディア
パディア

ああいえ、つまりその……いつもとは、ご様子が変わっている?

アンドーン
アンドーン

ああ、少し考えたんだ……

アンドーン
アンドーン

長い間、私たちはずっと独りに荒野を歩んできたと思っていたんだが、そうじゃなかった……私自身の未熟さと思い込むによるものだね。

アンドーン
アンドーン

パディア、あの日、君はあの老人の演説を聞いたかい?

パディア
パディア

……目が覚めた時に、ちょうど後半の部分だけは聞きました、市内全域の放送で流れていたので……すごいうるさかったです。

アンドーン
アンドーン

エヴァンジェリスタ、犠牲と結束の美徳を備え持つ聖徒……おそらくだが、今の彼は、この名を受け継いだ十名の先達よりも、遠くへ辿りついているのかもしれないね。

アンドーン
アンドーン

なんとも広大で砕けやすい願望だよ。

アンドーン
アンドーン

それでも、こちらからも細やかながらに祝福をしよう……

パディア
パディア

……あの日、先導者様は一体何を悟ったのですか?

アンドーン
アンドーン

それはもういいんだ、パディア、もういいんだ。

アンドーン
アンドーン

道の果てに褒美がなくとも、進むこと自体がかがり火だったんだ。ならこれからも私は前へと進もう。

アンドーン
アンドーン

私たちがしてきたすべては、恩寵を授かろうとするためではなく、憐憫に与ろうとするわけでもなかった、我々が今もなお自分が信ずるもののために道を進んでいるのは……

アンドーン
アンドーン

尊厳ある暮らしが、ただそこにあるから。そう思わないかい?

ロッセラ
ロッセラ

先導者様、そろそろ出発しましょう、日が暮れる前に急ぎませんと。

アンドーン
アンドーン

では行こうか、兄弟たち、姉妹たち。

混血の少女は先導する男が歩み出したところを目にした。
ゆっくりと沈んでいく夕日の光が、彼の頭上にあるヘイローを輝かせる。まるで王冠のようだ。
その時彼女は、小さい頃に聞いた聖徒の物語を……母が厳かな雰囲気でとある言葉を口にしたことを思い出した。
その言葉はどういう意味で、何を象徴しているのか、彼女はまだあまりよく理解できていない。しかしその言葉は突如と現れ、遠くにいるその男の姿へと映し出された。
“殉道者”、と。

エイゼル
エイゼル

セシリア、どうしましたか?

セシリア
セシリア

ううん、なんでもない。

セシリア
セシリア

ただ、夕日がキレイだなぁって。

少女はゆっくりと周りを見渡した、花畑、教会、遠くにある鐘楼と聖像。
そして、彼女はぎゅっと若いサンクタの手を握り、二人は遠くを目指して歩み出した。
彼女のその歩みはとても遅かったが、振り返らずに、ただ前へ進んでいくのであった。

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