目に入ったこの都市を脳裏に焼き付けるのだ。
新しい建物が建てられるにつれ、必ず古い家屋の解体は伴うものだ、そうした数百年もの塵と灰が積み重なったことで、今日のロンディニウムがある。
その土地を受け継いだ者は、ただ目に映るばかりの華やかな毛皮を受け継いだわけではない、その下に隠れた傷痕もすべて受け継がなければならない。
だが敷き詰められた家屋の中で、また新しい家屋を築くのはとても困難なことだ。
肉を裂き、骨をへし折り、この都市を支える最も堅牢な地盤という名の脊椎を探さなければならないからだ。
それでようやくスタートと言えよう。
忘れるなヴィーナ、受け継ぐべきものをすべて忘れ去ることによって初めて、お前は相応しき継承者になれるのだ。

……

我が王よ、どうかもう一度私の諫言を再考して頂きたい。

今すぐにでも、この陽も差しこまないような薄暗い地下空間から出よう。

地下に隠れるのは臆病なカニとムシだけだ。ここに隠れ、地上にいる敵の横行を許すなど、私は到底耐えられん。

……もうテメェのそのワケ分かんねぇ言い回しにはうんざりだ。

サルカズに抗おうとしてる人たちのどこが臆病だって言うんだ?みんなビクビクと死ぬのに怯えていたら、とっくに大人しくサルカズに降伏してるっつーの。

誤解するな、彼らのことを言ってるわけではない。ただ……彼らとて実力にも限界がある。

実力には限界があるだぁ?じゃあ俺たちがロンディニウムから逃げ出したテメェを助けた時、なんで同じことを俺たちに言わなかったんだ?

……お前とは喧嘩したくない。

別にふっかけてねぇよ、テメェのその性格が気に食わねぇってだけだボケ。

一年ちょい前、お前がばったり俺たちと出会った時、俺とモーガンが言ってただろ、俺たちと一緒にいたきゃ、まずはそのお貴族サマの振る舞いを棄てろって。

先に擁護させてもらうが、ダグダは変わった、これでも彼女なりに頑張ってるんだからね。

今の彼女を見て、昔は貴族の騎士だったって見抜けるヤツはいないと思うよ?

そうだ、お前たちは私に色々と……教えてくれた。お前たちも知っての通り、私はとっく昔にグラスゴーの一員になったと自負している。

だがロンディニウムに戻ったことでどうしても蘇ってしまうんだ、かつて塔の騎士であった自身のこと。

ロンディニウムに戻れば事態もよくなるって腑抜けたこと考えてんじゃねぇよ。

どれだけの人間がヴィーナを狙ってると思ってんだ?安全になったことなんざ一度もねぇ。いや、帰ってきたからこそ、今までよりももと危険に晒されちまう。

その点は私とて同じ考えだ。

だからこそ安全を考慮して、この正体も分からない者たちから距離を取るべきだ。

ダグダ、それってつまり、ヴィーナにとってレジスタンスは危険だってことかい?

この組織には……色んな人がいる。万が一邪な考えを抱いてる者がいれば……

じゃあどこに行けばいいんだよ?

私の知る限り、信頼できる者たちが今も市内に残っている、私の母の古い友人たちだ。

塔の騎士の事件当時は色々と切羽詰まっていたから、彼らと連絡を取ることは叶わなかったが、それでも……今こそが絶好のチャンスだと私は考えている。

……それってつまり、貴族に身を寄せろってことか!?

ヴィーナの親父さんを殺して、ヴィーナを路頭に何年も追いやったのかが誰なのか、テメェだって知ってるだろ!?

一体誰が俺たちを……俺たちをロンディニウムから追い出し、ベアードたちが生きてるのか死んでるのかも分からねぇ状況にしたと思ってやがんだ!?

あの頃の貴族は……きっと各々考えがあったのだろう、だがサルカズが攻めてきた今なら……

ハッ……俺たちの敵はサルカズだけってかッ!?

いいかよく聞け、騎士様よ、ヴィーナをあの陰湿な貴族のクソジジイのところに連れて行きたきゃ、まずは俺を殺してからにしろ。

……ちょっとハンナ!

そんなに大声を出すんじゃないよ!周りにヴィーナの正体が知れ渡っちゃうでしょうが!

……

……

二人とも落ち着きなさいよ。ケンカしたって解決できないものもある、この肝心な時じゃ特にそうだよ。

自分たちの言ったことがどういう結末をもたらすのかを考える前に、まずはその口を閉じておきな。

ヴィーナのためだと思ってるのなら……

……構わん。

……ヴィーナ、そう言うあんたは……どうしたいんだい?

ダグダの言ってることも一理ある。ここまでずっとアーミヤちゃん、それからドクターと一緒に着いてきたけど、それでも吾輩たちには……吾輩たちなりの目的がある。

彼らの目的は市内にいるサルカズたちを阻止すること、その点はレジスタンスと一致してるわ。

けど吾輩たちは……

私たちの目的とは、一体何なのだろうか?

えっ……

モーガン、インドラ。

なぜお前たちはあの時、私をボスに選んだのだ?

……ロンディニウムでグラスゴーを存続させるためさね。

あの頃の吾輩たちはまだ幼かったし、揉め事も多かった。色んなチンピラに目をつけられていたものだよ、しかも悪いサツにも散々ちょっかいをかけられていたから……

俺がお前を選んだ理由は、お前は俺たちよりもよっぽど強かったからだ。

拳を振ってばかりじゃいいボスにはなれねぇ、そうお前は俺に教えてくれた。それにお前は俺たちから厄介事を追い払って、たくさんの仲間を集め、グラスゴーを少しずつだが大きくしてくれた。

それがあったから俺はお前を信じた、お前ならいいボスになれる、将来はいいリーダーになれるって……

……そうか。どうやら、みんな初志を忘れていないようだな。

あのレジスタンスの指揮官が言ってたことだが……聞いただろ?

彼らはロンディニウムを救う前に、人を救うと言った。

それが我々の目的と一致しないとでも?

この金槌はこの都市のため……ヴィクトリアのために作られた。仮に私の力が一人でも多くのヴィクトリア人を救えるのであれば、この戦場に残らない理由もない。

……

ダグダ。

すまない……今後はもう、あのような話は控えておく。

……いいや。お前は間違っていない、そう言いたかったんだ。

え……?

もしお前に成し遂げなければならない使命があるのなら、私ではなくその使命に従うといい。

お前は優秀な騎士だが、その称号は私が叙勲したものではない。

なにより私は、お前が生ま以て忠誠を誓うべき主でもないさ。だからお前は……血筋に囚われた誓いではなく、自分自身が本当に忠義を誓いたいと思うようなものを探せ、お前はいつだって自由なのだから。

……何を言っているのだ、我が王!?

ヴィーナ、それはちょっと……

ダグダが……

言わずともよい。私の考えなら、もう聞いたはずだ。

どうするかはお前次第だ、答えを待っているぞ、ダグダ。

……

承知した、我が王よ。

クロウェシア指揮官、こちらとの協力協定に関することですが、お考えはまとまりましたか?

アーミヤさん……アーミヤって呼んでもいいかしら?私のことはクロウェシアで構わないわ。

あっ……はい、お構いなく、クロウェシアさん。

あなたとドクターはすでにここへ来た理由を説明してくれたわね。私が理解してる限りじゃ、ロドスはその……感染者問題の解決に尽力する、製薬会社で間違いないのよね?

ほかの都市、あるいは国とも協力協定を結んだことがあるのは分かったわ……あなたたちのところにいるサルカズのほとんどが……感染者だってことも。

けどね……アーミヤ、それでも確認しておきたいことがあるんだけど、ロンディニウムにやってきたのは、それらと同じ動機からなのかしら?

それとも、サルカズの問題解決もロドスの業務における範疇の一つなのかな?

……サルカズがこの問題の本質なんじゃありませんよ。

今目の前で起こってるサルカズとヴィクトリア人の戦争こそが問題の本質なのです、クロウェシアさん。

この戦争で、もう十分というほどの血が流れました、ロンディニウム人も、サルカズ人も……

仮にこの戦争がもっと大きくなかったら、一体何が起こるのでしょう?どれぐらいの人々が、国が、この戦争に巻き込まれるのでしょうか?

そんな惨劇は絶対にあってはなりません、必ず阻止しなければ。

アーミヤ、とても……高い理想をお持ちなのね。あなたは感染者、だから感染者のために戦ってる、それは理解できるわ……けどあなたは、一体サルカズとどんな関係があるの?

私は……私の理想はとあるサルカズから受け継いだものなんです。彼女はサルカズでしたけど、それでもコータスとしての私を、ほかのすべての人を愛していました。

ロドスは……そんな彼女の愛によって生まれたんです。

ロドスは感染者のために、サルカズのために、すべての迫害されてる人たちのために戦ってきました。だから分かるんです、その人たちは戦争で、いつも残忍な支配者たちに見捨てられているんだって。

だから私たちは、いくらそういったお高く留まっている人たちと手を結ばざるを得なくなったとしても、私たちを必要としてる人たちから目を逸らすつもりは決してありません。

残忍な支配者……そう。

なるほどね。アーミヤ、あなたの気持ちはよく分かったし、ロドスの理念も尊敬するわ。

それでも……自救軍とロドスは違うの、そこは理解してちょうだい。自救軍の戦士たちはそれぞれの社会階級、それぞれの理念からここに集まってきているわ、それでも私たちが戦ってる目的はただ一つ。

――ロンディニウムを奪い返す、それが私たちの目的よ。

ロドスがこちらの立場にいることを確認できない限り、私を納得できても、戦士たちを納得することはできないわ。

私たちも君たちと同じ立場さ。

ドクター……それは一種の誓約と捉えてもいいのかしら?

・誓約を必要としてるわけではないのだろ。
・誓約よりもロドスの行動が見たいのでは?

そう、あなたたちにはぜひ行動で示してほしい。見ての通り、自救軍の人手は限りがあるの。だからそちらに人員を割いてあげることはできないわ。

あなた方の足を引っ張ったりはしませんよ。

それは誤解よ、アーミヤ。私たちは別にあなたたちの実力を疑ってるわけじゃない――むしろその逆。

あなたたちの掲げてる目標はあまりにも大きすぎるわ、それに見てきたでしょ、自救軍は今でも都市の隙間に隠れて、戦いの中から生き延びなければならない。

もしあなたたちが求めているものがもっと大きな戦争、それにちょうどロンディニウムで起こってるような都合のいい戦争なのであれば――

・ロドスだけで、市内にいるサルカズに敵うとでも?
・同じスタートラインに立たないと、鎬は削り合えないだろ。

……

ドクター、あなたがそんな率直な人だったなんて、意外ね。

それは私を納得させているのかしら?今のロドスはまだサルカズ軍と戦えないけど――

時が満ちたら、あの暴虐な摂政王の力を必ず奪い取ってみせるって。

・我々の今の目的は君が想像するよりも明確だ。
・我々は中央に攻め入ると考えてくれても構わない。
・協力を求む武装組織と手を組んで損はないぞ。

オホン……あの、ドクター……

(ここに来る前はそんなこと言ってませんけど……)

アーミヤ、彼女は一応軍の指揮官だ。

・政客は駆け引きしか見ない。
・商人は利益しか嗅がない。

だが将はより多くの兵を必要とするものだ。

しかし、それは私たちが今までしてきた協力を結ぶ方法とは……

でも……ドクターの言う通りですね。私たちはずっと戦争の終結を求めてきましたけど、戦争を避けることはしてきませんでした。

クロウェシアさん、私たちの目的は明確です。ロドスも自救軍同様、サルカズの摂政王を阻止するその日まで戦い続けます。

・自救軍に医療物資を提供しよう。
・我々のクロージャはすでにそちらのエンジニアと意気投合してる。
・ほかの誠意を示す方法はならまだある。

その際、次の行動でロドスの実力をお見せしよう。

クロウェシア殿、これで満足頂けないか?

……ドクターとアーミヤ、二人ともいいコンビね。

どうやらフェストの言ってることは正しかったようね。あなたたちこそが、我々がずっと待ち続けてきた救いの手だ。

フェストさんは何を……

私や大隊長全員の前であなたたちを庇ってくれたのよ。

じゃあ先ほどのあれは……

彼はまだ若いから、踏み出す勇気はあれど、その結末を背負う覚悟はできていない。だからその責任は私が背負います。

そんな……クロウェシアさんだって、若いじゃないですか。

ウフフ、けど私はここの指揮官よ。アーミヤ、あなただってそうするでしょ?

ええ……もう一度私たちの考えを改めて確認したいのですね。

そうよアーミヤ、だからしつこいと思わせてしまったらごめんなさいね……

そ、そんなしつこいだなんて!私もドクターも嬉しく思いますよ……とても素晴らしい仲間を得られたんですから。

・クロウェシアは優秀な指揮官だな。
・自救軍はすごいな。
・フェストに感謝だな。

ドクター、フェストからすでにどういう人かは聞いているけど、それでも……予想を上回るお人ね。

偵察に出向いた戦士たちが戻ってきたら、正式に作戦計画を一緒に作成しましょう。

今回は救助行動になるわ、だからそちらの皆さんはきっと経験豊富でなくて?

これからのロドスとの協力、期待しているわね。

ロックロック、ゴールディングさんから情報が届いた。

伝令係に、すぐ行くって伝えといて。

ふ~……トランスポーターと連絡が繋がったのは上々だ、彼女がいなけりゃ、監獄の居場所は見つかっていなかっただろうよ。

うん、今回の行動で色々進展があるといいね。

そうだ、お前フェストとなんかあったのか?

……なにも。

ケンカしたって聞いたぞ。俺たちが部隊を結成してから、お前ら二人はずっとよく相棒だった、まさに阿吽の呼吸ってヤツだ。だからそんな大ケンカしたのは初めて見たぞ。

彼と意見が違ったからよ。

はっきり言わないと、本当に違ってたかどうかなんて分かんないだろ?お前ももっとも早くあいつに昔のことを話してやればよかったんだ。あいついつも技術研究に没頭してるけどさ、話はちゃんと聞く人だ。

だからキミがついてきたの?人間関係もキミの溶接作業に入るわけ?

はは、当たり前だろ?お前たちはみんないい戦士だ、とっくに自分ん家の弟と妹として見ているよ。

……左に敵を確認ッ!
(サルカズの傭兵たちが姿を現す)

ふ~……バレるとこだったぜ。しかしなんでこんな街に傭兵が?

アタシたちを捕らえることに必死なんだよ。ロック5号……

あっ……ロック5号が伝令係を捕らえたよ、パン屋さんの前だ。ほら行って、アタシが傭兵の位置を逐一視といてあげるから。

ちょっとビルさん、この部品をハンマーさんとこに届けてくれ、食料運搬車を補強する際に役に立ってくれるはずだ。

あっ……うん。

レンチを渡してくれ。

……

それとフランクのシールドだが、表面の塗料を上塗りしておいた、これで火も防げるはずだ。でもずっと高温に晒したら割れちまうから、それだけは伝えておいてくれよな!

うーん……その塗料を塗るスプレーガン古いね、もっといいヤツならあるよ。

レイジアン工業の最新式を試してみない?値段はちょっと高いけど、ウチのエンジニア部が廉価版を作ってくれたからさ、興味があったら割引してあげてもいいよ~……

はぁ?

ええちょちょちょ!?あっつ!あっちぃ!

うわ……耐熱手袋に穴開いちゃってるじゃん、キミほんとにエンジニア?エンジニアは腕が何よりの命でしょうが!

手袋は贅沢品だ、そんなコロコロ買い替えれるかよ!

それに、お前が急に出てきたからこうなっただけだ、そしたら腕がブレることもねぇよ。

それと目つきもあんまよくないね~、睡眠不足?目も大事だよ、エンジニアに欠かせない十大必須素質の一つなんだからさ。

ゴホッゴホッ、ったく、これも全部ビルさんのせいだ……

まったくどこに行っちまったんだよ、いつもならオレにべったりなのに。

ああ、そういえばここに来る時、なんかキミの副隊長についていってた人がいたよ。

あの野郎……手伝うって言ってたくせに。

彼らが心配?

ロックロックが急いでたせいで、最後にロック5号を診てやれなかった、そりゃ心配さ。

朝にあったあの乱戦でドローンの機能がやられてなきゃいいんだが……

うーん、心配するのは分かるけど……雑念があると、いいものも作れなくなるよ~?

あたし達がきちんと仕事をしたら、それを上で使ってくれる人たちも安心できるし、何より危険に晒される確率も低くなる、でしょ?

……はは、ロドスのエンジニアがこんなに宥めてくれるとは思わなかったぜ。

ちょっとちょっと~、あたしはこれでもロドスのスーパーバイザーなんだよ、ケルシーだって……ウチの怖~いトップもよくアタシに愚痴を漏らしてストレス発散してくれてるぐらい役に立ってるんだからね!

だからほら、しっかりレンチを握ること!

は?

仕事だよ仕事!なによ、もう何個か笑い話を言わないと元気出ないわけ?

これからもっと激しい戦いが起こるからね、ウチらエンジニアがみんなを支える大黒柱さ、そんな塞ぎ込んでちゃダメだよ!

は……ははは、分かったわかった、仕事仕事っと。

そうそう、あのドローン……えっと、ロック17号を見せてくれない?フライトスタビザイラーのモジュールが欠けてるからさ、ウチのぶっ壊されたベイビーから外して付けてあげるよ。

えっ、いいのか?その、特許とか?

シーッ、静かに!こっちはドクターに黙ってバラしてるんだからね!

ゴホッゴホッ、それいいのかよ……

これでそっちは儲けものでしょ?ほら分かったらボケっとしてないで、レンチ貸して!

なっ……なんだって?ゴールディングさんが見つかったのか?彼女はなんて?

……分かった、すぐ指揮官に知らせよう!

うわッ――!て、敵だ!バレちまった、ロックロック、撤退するぞ!

隊長に知らせろ、ユーストン通りでレジスタンスを発見したってな!

とっ捕まえろ!

逃げるよ!

なんだこりゃ?ブンブンとやかましい……ドローンか?そうか、朝、検問所にいた連中もテメェだったんだな!
(ドローンがサルカズ傭兵を攻撃する)

ロック5号――!そんな、攻撃が外れた……!?

まさか最終チェックをしてなかったから……きゃッ!
(斬撃音)

二度も通用すると思うなよフェリーン。あの王宮とつるんでる連中にはハマるかもしれねぇが、俺たちは違う。

おいロックロック、そのドローン壊れてるんじゃないのか?

……平気、ドローンがなくても、戦える。
(爆発音)

チッ……俺に傷を入れやがって。テメェのアーツも度胸も、それなりに骨はありそうだ。

隊長にはここで死んだって伝えといてやるよ。そうすりゃお前はあの工場に行かなくて済むし、なにより苦しまずに済む。

きゃッ――!
(斬撃音と戦士のビルが剣を弾く)

ロックロック、お前は逃げろ!ここは俺が持つ!

いやよ、逃げるなら一緒に逃げよう!

バカ言うんじゃねぇ、お前はゴールディングさんの情報を伝えるんだ……!必ず指揮官に……くッ!その……情報を……!
(戦闘音)

……

その情報は……命よりも大事だ!

ビルッ!

信じてるぜ……指揮官のことを……お前もフェストのこともな。

いいか、も、もうケンカはやめるんだ。俺たちはみんな……家族だからな。あの時はお前の親父さんが……こうして敵の足を止めてくれたおかがで、俺たちは……逃げきれたんだからよ。

アタシ……

いいから逃げろォッッ!!!
(爆発音)

ゲホッ……ゲホッゲホッ!すげぇ煙だ……あの野郎、グレネードを持っていやがったな?

俺たちの仲間を何人も傷つけやがって、もう許さねぇぞ畜生ッ!

……
(ビルが倒れる)

……た、隊長?

こいつを連行しろ、ほかのレジスタンスのところに放り込んでおけ。

しかし隊長、こいつ俺たちを巻き添えにするために、自爆しましたぜ、長くは持ちませんよ。

長く持たなくていい。

分かりました、将軍のご意向、なんですよね?ほかの者はどうしますか?

追え。

ただし、あまり期待はするな。