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【明日方舟】10章 破砕日輪 10-9「異郷での再会」行動後 翻訳

サルカズの戦士
サルカズの戦士

敵を発見した!鉤爪をつけてるおん――

(ダグダが斬りかかる)

ダグダ
ダグダ

……まずは一人。

(サルカズの戦士が倒れる)

サルカズの戦士
サルカズの戦士

一撃でサルカズを倒しやがっただと?フェリーン、いい腕をしてるな。お前もヴィクトリア兵か?

ダグダ
ダグダ

黙れ!

(ダグダが斬りかかる)

サルカズの戦士
サルカズの戦士

あの軟弱なダブリンどもよりは骨がありそうだ。いいだろう、フェリーン、俺の剣の錆になるがいい。

モーガン
モーガン

――危ないッ!

(ダグダが攻撃を避けながら斬りかかる)

ダグダ
ダグダ

……誰が剣の錆になるなど、貴様が決められたことではない。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

ぐああああ――

(サルカズの戦士が倒れる)

ダグダ
ダグダ

できることなら我が剣でどれだけ貴様らを処してやりたいものか……だがその剣も、今や貴様らの同族の身体の中で折れてしまった。

モーガン
モーガン

ダグダ、戦いに固執するんじゃないよ!

ダグダ
ダグダ

……

モーガン
モーガン

あんたの考えてることは分かってる、復讐したいんでしょ?だとしても今じゃない。騒ぎを起こして敵軍を惹きつけた後に撤退するって、ドクターと約束したでしょ――

サルカズの戦士
サルカズの戦士

ハァ……ハァ……フェリーンめ、多くのサルカズを殺してきたってことがあるな!貴様の命は……いずれ必ずサルカズがもらい受けるぞ。

ダグダ
ダグダ

私の命などどうだっていい。

ダグダ
ダグダ

あの時選択の余地さえあれば、貴様らの手から逃れることなどしていなかったさ。

(アーツ音)

モーガン
モーガン

あんたどうしちまったんだい?至近距離のアーツも避けないで!

ダグダ
ダグダ

……死ぬぐらいなら、できるだけ多くのサルカズを道連れにしてやると思っただけだ。

モーガン
モーガン

だったらあんたを連れて来るんじゃなかったよ……いいかい、ヴィーナがまだ地下であんたを待っているんだ、それを忘れるんじゃないよ!

ダグダ
ダグダ

シージ……

モーガン
モーガン

死ぬのは結構だけどね、ドクターとアーミヤちゃんまでをも道連れにするのは勘弁してちょうだい!さもないと、あんたはヴィーナの恥だ!

ダグダ
ダグダ

……わかった。それでモーガン、あとどれぐらい敵を惹きつけておけばいい?

(ダグダが敵に斬りかかる)

モーガン
モーガン

あと五分ってとこね。五分後に、ほかの人がここを引き継いでくれるってドクターが言ってたよ。

(砲撃音)

ホルン
ホルン

この先で戦闘が発生してるわね。

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

ええ、俺たちより先にサルカズたちとやり合ってるようですけど、誰なんですかね……

ホルン
ホルン

……ブレイク、私がどうやってダブリンから逃れたのかって話、まだ憶えてるかしら?

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

確か助けられたとか……

ホルン
ホルン

そう。顔は見えなかったけど、強かったわあの人、単独で数百回もダブリンの拠点に潜り込むほどにね。

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

え?じゃあそんなに強かったら、こんな大騒ぎを引き起こす必要なんてないんじゃ?

ホルン
ホルン

だからあっちで戦ってるのはその人じゃないのかもしれないわね、とはいえ孤軍奮闘するような人でもないわ。サディオン区には、ずっとダブリンと戦ってるもう一つの勢力がいるのよ。

ホルン
ホルン

だからブレイク、今までにこんなことはなかったけど、今ようやっと確信がついたわ――

ホルン
ホルン

私たちだけがサルカズと抗ってるわけじゃない。私たちにも……まだ仲間はいたんだ、この暗黒の夜に、火を灯してくれるような仲間が。

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

ではその仲間たちに加勢しましょうか?

ホルン
ホルン

……いいえ。今はまだ任務の目標を変更することはできないわ。

ホルン
ホルン

あちらの友人たちがサルカズの気を惹き付けてくれている隙に、この先から潜入しましょう。

(ロッペンが駆け寄ってくる)

ヴィクトリア兵
ロッベン

ホルンさん!ダブリンの部隊が今そちらに急接近しています、気を付けてください、部隊を率いているのは……

ホルン
ホルン

……マンドラゴラ。

(マンドラゴラが歩いてくる)

マンドラゴラ
マンドラゴラ

……

マンドラゴラ
マンドラゴラ

ヴィクトリア兵。

ハイディ
ハイディ

……所々で爆発と光がちらついてますね。

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

ええ、先ほど何人から、交戦してる音が聞こえるって報告を受けています。

ハイディ
ハイディ

衛兵の状況は?

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

ほとんどの衛兵は持ち場に留まっています、惹きつけられてはいませんね。

ハイディ
ハイディ

やはり……向こうも備えていましたか。

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

俺たちも行動に移りましょうか?

ハイディ
ハイディ

私たちの行動ならすでに始まっておりますよ、外に見える爆発が教えてくれています。

ハイディ
ハイディ

皆さんにも備えておくように伝えておいてください――

ハイディ
ハイディ

チャンスは一度っきりです、忘れないように。

(爆発音)

サルカズの戦士
サルカズの戦士

なっ――何が起きた?テメェら、わざと工場の機械を破壊したのか?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

ここに来ていいと誰が許可し……なるほど、テメェだな?

ハイディ
ハイディ

またお会いしましたね。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

フンッ、テメェが腹に何か抱えていることなんざとっくにお見通しなんだよ、ささっとこっちに来い!

サルカズの戦士
サルカズの戦士

私が腹に何かを抱えていようが、あなたのような戦士からすればどうでもよいことなのでは?

ハイディ
ハイディ

蒸気騎士が声を潜み、塔の騎士が尽く敗れて以来、ロンディニウムで……いいえ、ヴィクトリア全土で、あなたに一目置かれる戦士などもはやいるはずもないではありませんか?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

急に人を持ち上げやがって……俺を油断させるつもりだなフェリーン?ハッ、サルカズもナメられてもんだぜ。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

テメェが言ってた通り、今晩はまだテメェを殺すことはできない。だからってテメェの首に矢を突き立ててはならない道理にはならねぇよなぁ?

ハイディ
ハイディ

んっ……

サルカズの戦士
サルカズの戦士

こんなヤワな首、軽く引っ掻いただけで血が流れちまうな。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

ハッ、ここで見てるといいさ、テメェの仲間が一人ひとりと死んでいく様を、そんでもって明日の朝になりゃ、テメェも血が流れ切って干からび――

ハイディ
ハイディ

私の血でご満足頂けるのなら、願ってもないことです……

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

――これでも食らえッ!

(瓶が割れる音)

サルカズの戦士
サルカズの戦士

ぎゃああああ!な、なんだこれはッ!目が……あっちぃぃぃ!

(サルカズの戦士が殴られる)

サルカズの戦士
サルカズの戦士

がはッ――!

(サルカズの戦士が倒れる)

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

ハイディさん!大丈夫ですか?

ハイディ
ハイディ

軽傷です、血もすぐに止まりますよ。

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

それよりも見ましたか?あのサルカズ、見事にハマりましたよ!あなたが蓄えておくようにって言われたこの試薬が本当に役に立ったとは!

ハイディ
ハイディ

彼にはここで暫く眠ってもらいましょう。ふぅ……クロスボウを奪って気絶させただけでも、危うく手が……折れてしまうところでした。

ハイディ
ハイディ

サルカズは……本当に頑丈な身体をしていますね。血と恨みに目を奪われていなければ、あなた方の接近にも気付けたはずなのに。

ハイディ
ハイディ

……まあよしとしましょう。それでベニーさん、ほかの皆さんは?

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

みんなハイディさんから教わった方法で、工場を制圧しに行っています。ただ長くは持ちそうにありません。それにサルカズの衛兵たちがこっちに向かってきています、二度目は通用しないかと。

ハイディ
ハイディ

では急ぎましょう。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

将軍、ヤツらが現れました。

マンフレッド
マンフレッド

どの入口でだ?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

三か所の入口で同時攻撃を受けています。

マンフレッド
マンフレッド

……想定内だな。

マンフレッド
マンフレッド

ダブリンの動きは?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

レジスタンスと交戦中です。

マンフレッド
マンフレッド

マンドラゴラの位置は?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

ヤツらの首脳ならまだこちらでは確認できていません。

マンフレッド
マンフレッド

そうか。もしかすればここに興味を持っているのかもしれないな。

マンフレッド
マンフレッド

ヘドリーはどうしている?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

それが……

ヘドリー
ヘドリー

……俺ならここだ。

マンフレッド
マンフレッド

南西の入口の防衛はどうした?

ヘドリー
ヘドリー

戦場に戻る前に、一つ報告しておきたくてな。

(ヘドリーがサルカズ傭兵を放り投げる)

サルカズ傭兵
サルカズ傭兵

ぐはッ……ハァハァ……

マンフレッド
マンフレッド

……重傷を負っているな。この傭兵は誰だ?

ヘドリー
ヘドリー

シュワブってヤツだ。昔からの付き合いだが、俺を裏切った。そのせいでこちらの計画に誤差が生じてしまった。

サルカズ傭兵
サルカズ傭兵

裏切り……ちょいと人聞きが悪すぎないか?なあヘドリー……お前自分がどういうヤツだったのか忘れちまったのかよ?

ヘドリー
ヘドリー

自分がどういうヤツだったかを忘れたのはお前のほうかもしれんぞ、シュワブ。

サルカズ傭兵
サルカズ傭兵

ハッ、俺たち傭兵は……傭兵だ……それ以外ありゃしねぇ。

サルカズ傭兵
サルカズ傭兵

ヘドリー、彼女が来やがったんだ……だがお前のことはまだ教えちゃいねぇよ……長い付き合いだ、それに免じてな。はは……見てみたいぜ……お前ら二人が会った時にどういう顔をするのかが……

(ヘドリーがサルカズ傭兵に刃を突き立てる)

ヘドリー
ヘドリー

……なにを言ってるのかさっぱりだ。

マンフレッド
マンフレッド

裏切者に耳を貸す筋合いはない。

ヘドリー
ヘドリー

マンフレッド――

マンフレッド
マンフレッド

お前は何も言うな、ヘドリー。

マンフレッド
マンフレッド

私が知りたいのは一つだけだ、お前はまだ私のために尽くしてくれるか?

ヘドリー
ヘドリー

……無論だ。

マンフレッド
マンフレッド

なら結構。ではまた新しい仕事ができた、お前に任せたい。

フェスト
フェスト

ロックロック、ジョニー、ガビー、みんな着地できたか?よし、なら安心した。

フェスト
フェスト

ふぅ……オレたちも侵入成功だぜ。ドクター、気分はどうだ?

ドクター
ドクター

・まあまあかな。
・……
・さすがに慣れた。

フェスト
フェスト

すなねぇな、いつもは一人で上がるもんだから、このロープが二人分の体重に耐えられるかどうかが心配だったんだ……

フェスト
フェスト

……だからその、ちょっときつくドクターを掴んじまった、すまねぇ。

ドクター
ドクター

・だが無事に着地できた。
・……
・君なら頼りになると思ってたのに。

アーミヤ
アーミヤ

クロージャさん、中の様子は見れますか?

???
ドローン

バッチリだよアーミヤちゃん、キミの耳に生えてる毛一本一本まではっきりと……

アーミヤ
アーミヤ

……ちょ、ちょっと、そんなにドローンを近づかないでください!こ、声が大きすぎます!

アーミヤ
アーミヤ

というか……どうしてドローンから声が出てるんですか?通信機を使えばいいのでは?

???
ドローン

通信機は傍受されるからダメだよ!だってほら、あのサルカズの指揮官はすごく上手だって言ってたじゃん!

???
ドローン?

そこでアタシのココ1651号の出番ってわけさ、新しく書き換えたセーフティシステムを搭載してるからね、そうそう、出発する前に本艦を丸ごと更新しておいたヤツで……

ロックロック
ロックロック

……ココ1651号?

???
ドローン

あっ……そのぉ……もしかしてネーミングが気になっちゃった?ちょ~っとキミのドローンからインスピレーションを受けてね……

ロックロック
ロックロック

……

ロックロック
ロックロック

いいよ。その名前……可愛いじゃん。

???
ドローン

ありがと~!

???
ドローン

それじゃあココ……えっと~、何号だったっけ……まあいいや、とにかくスキャン開始!捜索目標は――ハイディ・トムソン!

???
ドローン

目標の居場所は……ここからかなり距離が近いね……やばッ、サルカズ兵だ!敵が接近してきてるよ!

アーミヤ
アーミヤ

総員臨戦態勢、作戦準備!

サルカズの戦士
サルカズの戦士

……おい貴様ら、ここで何をしている?

自救軍の戦士
自救軍の戦士

気を付けろ!

サルカズの戦士
サルカズの戦士

……レジスタンスか?よもやここで網にかかるとはな……ハッハッハ!

(複数の矢が飛んでくる)

フェスト
フェスト

アーミヤ、あいつ以外にも十数人のサルカズがついて来てるぞ!

ロックロック
ロックロック

ロック17――

アーミヤ
アーミヤ

ここは私に任せてください。

(アーツ音)

サルカズの戦士
サルカズの戦士

黒い線だ――貴様が例のコータスだな!

アーミヤ
アーミヤ

……戦士たちよ。

アーミヤ
アーミヤ

一つ聞きます、降伏する意志はありますか?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

降伏だぁ?冗談言うんじゃねぇぞ、コータス!貴様がその力を弄ぶとこを見ただけで、全身に悪寒が走っちまうぜ!

サルカズの戦士
サルカズの戦士

俺の感情に触れることは断じて許さねぇぞ!

アーミヤ
アーミヤ

……同じようなアーツを見たことがあるんですか?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

笑わせるな!ここにいるサルカズで見たことがないヤツなんざいねぇ!

アーミヤ
アーミヤ

……

サルカズの戦士
サルカズの戦士

この手で直々に貴様を嬲り殺してやりたいところだが……今は将軍にこのことを知らせてあげ……

(サルカズの戦士が矢を受け倒れる)

フェスト
フェスト

なっ、あいつ背後から攻撃を受けたぞ?見たところじゃ矢だ……どっから撃たれた?

ロックロック
ロックロック

ロック17号、狙って――!

(ハイディが近寄ってくる)

ハイディ
ハイディ

自救軍の皆さん、それと……初めてお会いするロドスの皆さん。

ハイディ
ハイディ

ご機嫌よう。

アーミヤ
アーミヤ

ハイディさん……ですか?

ハイディ
ハイディ

ええ、まさしく。やっと会えましたね、アーミヤさん。

ハイディ
ハイディ

けど、今はあまり説明する時間がありません。ドクターは……あなたですね?ケルシー先生が仰ってた通りのお姿ですね。

ドクター
ドクター

・それはお世辞として捉えてもいいんだな?
・……
・どうせロクな風に教えてもらってないだろ。

ハイディ
ハイディ

まあ……反応も私が予想したものとそっくり。ではドクター、脱出方法はもうお考えになられましたか?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

こっちだ!こっちに誰かがいるぞ、はやくあつま――

(サルカズの戦士が矢を受け倒れる)

サルカズの戦士
サルカズの戦士

ぐはッ――

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

静かにしてろ、サルカズ。増援なんか呼ばせはしないぞ。

ハイディ
ハイディ

ありがとうございます、ベニーさん。ほかの皆さんは?

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

今のところ一番南側にある工場を制圧してます。

ロンディニウム市民
ロンディニウム市民

あなたから教わった方法のおかげですよ……一番か弱い織物作業員の女性でもサルカズの衛兵に打ち勝てちゃったんですからね。

ハイディ
ハイディ

皆さんが一番手に馴染む機械と工具を使ってくださったからですよ。

ハイディ
ハイディ

ここは私たちの工場ですからね、ベニーさん。サルカズたちはここを一切掌握できると考えておりますけど、そうはいきません。

アーミヤ
アーミヤ

ハイディさん……こうも戦闘に精通しているなんて思いもしませんでした。

ハイディ
ハイディ

アーミヤさん……

アーミヤ
アーミヤ

ケルシー先生と同じく、アーミヤでいいですよ。

ハイディ
ハイディ

分かりました、アーミヤ。

ハイディ
ハイディ

昔はケルシー先生から色々と教わって頂きました……

ハイディ
ハイディ

ご覧の通り、どうやって戦うのかも含めてね。

ハイディ
ハイディ

ただ残念なことに、私は先生の一番の学生ではなかったようです。

ハイディ
ハイディ

ずっと、限られたことでしか先生をお助けできませんでしたから。

ハイディ
ハイディ

だとしても、ロドスと共に戦うために、私は持てる力をすべて尽くしましょう、私が自救軍と共に戦ってきたようにね。

(ドローンが攻撃を放つ)

ロックロック
ロックロック

……またサルカズ兵が接近してきてるよ。

???
ドローン

そうだね、冷やかすつもりはないんだけど……今は戦局がひっ迫してるからお話はまた後でね。……うわっ、一個部隊どころか、工場内にいるサルカズ兵全員がそっちに向かってきてるよ!

ドクター
ドクター

工場を取り戻しに来たんだろう。

ハイディ
ハイディ

その通りです、ドクター。皆さんが尽力してくれたとは言え、制圧できる時間はごく僅かです。

ハイディ
ハイディ

ですので、ドクターにはなるべく早く脱出方法を考えて頂かなくては……

ドクター
ドクター

・待ってくれ、もうすぐこちら側の仲間が到着するんだ。
・彼ならすでに東側の入口についてるはずだな。

待ってくれ、もうすぐこちら側の仲間が到着するんだ。彼ならすでに東側の入口についてるはずだな。
ハイディ
ハイディ

仲間、ですか……

ハイディ
ハイディ

……彼?

 

 

ハイディ
ハイディ

向かってきてくれてる仲間とはお一人ですか?それとも一個小隊ですか?

ハイディ
ハイディ

ドクター、マンフレッドの指揮下にあるサルカズ兵はどれも厄介な相手です、彼らはどこかに潜んでいるかもしれませんから……油断は禁物ですよ。

???
ドローン

みんな、その……なんかおかしなことが起こったよ!前方にいるサルカズが戦い始めた……いや、サルカズ同士で争いが始まった!

???
ドローン

ちょっと待って、あれは……サルカズの傭兵?

ハイディ
ハイディ

……あの怪しかった傭兵たちでしょうか。そのうちの一人が、どうやら私たちに手を貸してくれたようなんです。

ロックロック
ロックロック

サルカズの傭兵が?

ロックロック
ロックロック

そんなの信用しちゃダメだよ!午後にビルを連れて行ったのはまさしくアイツらなんだから……ゴホッゴホッ!アタシは……

自救軍の戦士
自救軍の戦士

落ち着け、ロックロック。傷に障るぞ……

ロックロック
ロックロック

アタシは平気、そんなことよりビルが心配だよ!

ロックロック
ロックロック

隊長からも、みんなにはっきり言ってあげて……

フェスト
フェスト

……ハイディさん、そのサルカズの傭兵が手を貸してくれたってことだが、具体的にどう手を貸してくれたんだ?

ハイディ
ハイディ

私になにか合図を送っていたようでして……

ハイディ
ハイディ

定かではありませんが……

ハイディ
ハイディ

一体どういう合図だったんでしょう?

(爆発音)

ホルン
ホルン

……

マンドラゴラ
マンドラゴラ

……

ダブリン兵
ダブリン兵

ヴィクトリア兵たちです……殺しましょうか?

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

忌々しいダブリンめ!今日という今日は……

ダブリン兵
ダブリン兵

長官、どうされたんです?なぜ手を出さないのですか?

マンドラゴラ
マンドラゴラ

……

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

ホルンさん!俺を止めないでください!俺たちの仲間がどれだけこいついらに殺されたのか忘れたんですか!?

ホルン
ホルン

……

アーツを放つ前に、あのダブリンの術師は必ず手を上げる動作を行う。
あいつの手が、あのアーツロッドが、チェロを……ほかの多くのヴィクトリア兵たちの命を葬った。
ホルンは袖に仕込ませたボウガンに手を置く。
マンドラゴラの指がピクリとも動こうものなら、瞬時にトリガーを引くつもりだ。
もしかすれば……このままトリガーを引いたほうが、悪くない選択なのかもしれない。
そんなホルンは、相手の目にも同じ考えがあることを読み取った。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

なに?南区で爆発?壁一面に穴が開いただと?穴なんか内側からじゃないと開くわけが……クソッ!

サルカズの戦士
サルカズの戦士

急げ、増援に向かうぞ――

(サルカズの戦士たちが引き返す)

ダグダ
ダグダ

……これが撤退の合図か?

モーガン
モーガン

ドクターから何も伝えられてないからなんとも言えないねぇ……でもサルカズ兵たちが退いてるから、吾輩たちの任務は達成できたってことでいいのかな?

???
???

お前たちは先に行け。

モーガン
モーガン

……誰だい?

モーガン
モーガン

あ、あんたはロドスの……

???
???

これからの任務は、俺が引き継ぐ。

ダブリン兵
ダブリン兵

長官、サルカズたちが撤退しています!今が絶好のチャンスですので、今のうちに私たちも中に……

マンドラゴラ
マンドラゴラ

……

マンドラゴラ
マンドラゴラ

行くわよ。

(マンドラゴラが立ち去る)

ホルンは一瞬たりともボウガンから手を離さすこともなく、マンドラゴラの去っていく背中を睨みつけていた。
一矢……この距離なら、一矢で片が付く。彼女がトリガーを引きさえすれば、チェロの胸元で開いた血の花が、同じくあの人殺しの胸元にも咲き誇る。
だがこのボウガンは彼女の手作りであるが故に、威力には限度があることを彼女は分かっていた。
だからこそ今の距離なら、肩を過るこの一瞬なら……

ヴィクトリア兵
ロッペン

ホルンさん、ヤツら行ってしまいました。

ホルン
ホルン

……

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

さっきは暴走してしまいましたけど……あなたが止めてくれたおかげで助かりました、ホルンさん。今ここでダブリンたちと衝突を起こすわけにはいきませんもんね。

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

もし殺り合ったら、みんなサルカズに見つかってしまう。

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

しかしあのマンドラゴラも我慢が利いていたとはな。昔のあいつなら見つけるなり私たちを追い掛け回していたのに……何しに行ったんでしょうね?

ホルン
ホルン

……

ダブリンは何をしに行ったのか?
ホルンはその分析を拒んだ。彼女の指先は今も熱く、血もまだ引いてはいなかった。なぜ彼女はトリガーを引かなかったのだろうか?
マンドラゴラも……なぜ手を出さなかったのだろうか?
そういった声がホルンの胸の内を飛び交い、ぶつかり合う。そしてはっきりと湧き上がり、感じたのだ……無念を。
だが口には出せなかった。
そんなこと、彼女の兵士たちは聞きたくもないからだ。

ホルン
ホルン

……マンドラゴラは放っておきなさい。今はまだ、その時じゃないから。

ヴィクトリア兵
ロッペン

分かりました。ではこれからどうします?ダブリンを追いますか?

ホルン
ホルン

……ええ。

ホルン
ホルン

各位、予定の作戦計画は中止する。ただしこれからの突入段階でも引き続き隠密を怠らないように。

ホルン
ホルン

ブレイク、引き続き先頭を任せる。もしサルカズの衛兵を見つけた場合は、即座に制圧して。ロッベン、あなたはブレイクの後ろをついて行って、必要の時は火力支援をお願い。

ホルン
ホルン

そのほかの全員は、私の後ろについてきて。

ホルン
ホルン

この先にある穴は見える?あれはダブリンたちが残してくれた入口よ。あいつらが先頭で敵を片付けてくれてる間に、利用させてもらいましょう。

ホルン
ホルン

ただこれだけは憶えておいて、私たちは五人でここに来た以上、五人で一緒に帰還する。いいえ……いずれはより多くの戦士たちを率いて、このサルカズの監獄から脱出するわよ。

ホルン
ホルン

ではハンドサインを出す、各位――

ホルン
ホルン

――

ホルン
ホルン

行動開始ッ!

フェスト
フェスト

ゲホゲホッ……ゲホゲホゲホッ……さっきの爆発はなんだ?おいクロージャ、お前がやったんじゃないだろうな?

???
ドローン

エラー――エラー――システムを再起動します――

フェスト
フェスト

あー、違うな、あいつは自分のドローンを壊すような人じゃなかったわ。

ハイディ
ハイディ

ドクター、これがあなたの脱出計画なんですか?些か……騒ぎを大きすぎるのでは?

ドクター
ドクター

・私の計画じゃない。
・……
・計画、なのかな?

アーミヤ
アーミヤ

ドクター、これってもしかして……

ロックロック
ロックロック

見て、土煙の中から人が出てきた!……またサルカズだ!ロック17――

???
???

まーた武器を突きつけられるなんて厄でもついてるのかしら?っていうか……見ない顔ね?

???
???

ちょっとドクター、あんたこれが援軍への歓迎の仕方ってわけ?

ロックロック
ロックロック

……ロドスの人なの?

アーミヤ
アーミヤ

ロックロックさん、そのままドローンで狙っていてください。

???
???

あらウサギちゃん、会わないうちにえらく薄情になったじゃないの?そんなんじゃあたし……傷ついちゃうわ。

アーミヤ
アーミヤ

フェストさん、この近くにまだほかの源石爆弾がないか確認できますか?

フェスト
フェスト

時間がひっ迫してる上に、人員救助もしなきゃならないから確認はできてねぇな……

???
???

そうねぇ、お互いゆっくり挨拶を交わすほど暇じゃないものね、残念。

???
???

ってなけでハイディさん、こっちに来てくれる?

ハイディ
ハイディ

……私を探しにきたのですか?

???
???

そんな初対面で嫌な顔しないでよ、ドクターに一目ぼれしたわけじゃないんだし。

???
???

あのクソババアが……あーっと、つまりあんたの一番大好きなあの人、あいつにあんたを探してこいって言われてなきゃ、あたしだってこんなとこ来たくなんかないわよ。

???
???

あたしのギャラは高いからね、ここにいるサルカズなら全員知ってるわ。

ハイディ
ハイディ

ケルシー先生に言われて来た?

ハイディ
ハイディ

それに爆弾の扱いを得意とするサルカズの傭兵って……

ハイディ
ハイディ

あなたが……Wなんですか?

W
W

あら、あいつから聞かされてたのかしら?ならこっちもちょっとは感極まったほうがいい?だってこんなにも見慣れた顔ぶれの中で、少なくともあたしのことを思ってくれてた人がいたってことだものねぇ。

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