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【明日方舟】緑野の幻夢 DV-4「無人の巷」行動前 翻訳

サリア
サリア

……

サリア
サリア

誰だ?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

誰、ですか?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

悲しいことを言いますね。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

“シエスタ・アイスティー”を一杯ちょうだい。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

――そちらの男性の方に。

酩酊した男
酩酊した男

ッ……

サリア
サリア

どうした?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

きっとバーの冷房が効き過ぎていたんじゃありません?だからそちらの方はさっきからずっとベラベラと話されていたんでしょう。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

一杯飲んで身体を暖めてみては如何?

酩酊した男
酩酊した男

どうして……

ホルハイヤ
ホルハイヤ

あ~、忘れるところでした、酒の好みが変わったんでしたっけ。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

昔まだ執刀医だった頃、あなたの一番のお気に入りはこの“シエスタ・アイスティー”でした。アルコールが強いものですから、飲めばローキャン・ウィリアムズからの叱責と侮辱の言葉を忘れられますからね。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

彼は122年もの刑期を課せられ、そしてあなたは……自由を得た。

酩酊した男
酩酊した男

自由だと……テメェが自由を語れる筋合いかよ!?

酩酊した男
酩酊した男

俺はずっとテメェらに従って、毎週身体のデータを送るハメになってるっていうのに……

ホルハイヤ
ホルハイヤ

シー。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

今は仕事の話はやめましょう。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

バーに来たからには羽を伸ばさないと。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

それとも、あなたの古くからの友人と飲むより、そちらのお二方……表情の見えない人と表情のない人とお喋りに興じたほうがいいと言うんですか?

酩酊した男
酩酊した男

古くからの友人だと?ケッ……ふざんけんじゃねえぞ!

酩酊した男
酩酊した男

俺がこんなザマになったのは、全部テメェらが……

ホルハイヤ
ホルハイヤ

さあ、ひとまず乾杯しましょう、自由に。

酩酊した男
酩酊した男

……

酩酊した男
酩酊した男

サリア、こいつが現れたからにはもう俺に選択肢はない。

サリア
サリア

――!

酩酊した男
酩酊した男

あとは一人で頑張りな。

男は目の前に出されたグラスに手を伸ばし、皆の目の前でグイッと大半を飲み干した。
彼は目を強く睨みつけるも、その目は誰にも向けられていない。果たしてそこに浮かぶものは怒りなのか、それとも絶望なのか。
すぐに、男は直立不動のまま地面に倒れ込んでしまった。
両足は電撃を受けたかのようにガクガクと震えており、左手は力いっぱい自分の右腕を掴んで離さんとしている。
指先は自分の肉に食い込みそうになり、まるで彼を苛んできた電子パーツを過去の罪悪感諸共、身体から引きずり出そうとしているような様であった。

???
バーの客

ちょっとちょっと、あの人どうしたの?

???
バーの客

はやく救急車を呼んで!

サリア
サリア

――

(サリアが倒れた男を確認する)

ドクター
ドクター

・急病か?
・酒に何か仕込まれたか?

サリア
サリア

……癲癇を起こしてる。

サリア
サリア

血液内の成分も異常だ、薬物が引き起こした症状で間違いない。

サリア
サリア

彼に救急薬剤を注射する、それで少なくとも命は持つだろう。

サリア
サリア

あの酒……

ホルハイヤ
ホルハイヤ

半分しか飲み干してないじゃないですか……勿体ない。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

――

サリア
サリア

残りの酒を飲んだ?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

ええ、見ての通り。

サリア
サリア

……

ホルハイヤ
ホルハイヤ

理解が及ばないのなら、そのお友だちの歯を診たら分かるかもしれませんよ?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

――左側二番目の小臼歯です。

サリア
サリア

……

サリア
サリア

中身がくり抜かれた入れ歯?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

ローキャンの水槽から逃げ出す前に、彼は最後のオペを敢行したんです、自分へのオペをね。

サリア
サリア

最初からそれを知っていたのか。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

この不確定要素は、本来なら私自ら片付けるつもりだったんです。だって、歯を一本くり抜いたところで彼の仕事にはなんら影響が及びませんから。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

けど、私はそうしなかった。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

ずっと信じていたからですよ……クルビアでは、少なくとも死ぬ自由は保障されるべきだって。

ドクター
ドクター

ドクター――

サリア
サリア

この病人を運んで、距離を取ってくれ。

ドクター
ドクター

・分かった。
・まさか……

サリア
サリア

目の前に今片付けねばならないことが起こった。

(研究員が駆け寄ってくる)

ライン生命研究員
ライン生命研究員

フェルディナントさん、新しいテスト結果が出ました!

フェルディナント
フェルディナント

今度の結果は君が私の目の前でそう大喜びするに値するようなものであるといいな。

フェルディナント
フェルディナント

……

フェルディナント
フェルディナント

67%だと?

ライン生命研究員
ライン生命研究員

こ、これでも尽力したほうでして……

フェルディナント
フェルディナント

重複実験の結果は?

ライン生命研究員
ライン生命研究員

こ、ここにあります。

フェルディナント
フェルディナント

パラメーターを見せてくれ、全部だ。

ライン生命研究員
ライン生命研究員

は、はい……

フェルディナント
フェルディナント

……

ライン生命研究員
ライン生命研究員

あの……

フェルディナント
フェルディナント

あのヤギめ、本当に何もしなかったとは。

フェルディナント
フェルディナント

これであとはホルハイヤのほうだけだな……きちんとサリアを阻止してくれるといいんだが。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

元ライン生命警備課主任に片付けねばならないことと称して頂けるなんて、とても光栄に思います。

サリア
サリア

一体何者だ?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

お会いするのは初めてですね、サリア主任。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

けど、あなたに関することは色々と聞いていますよ。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

ライン生命の創設者の一人であり、ツリーマウンズ理工大学の卒業生にして、生物医学課程で博士号を取得するも、その後はほぼ学界から姿をくらまし、警備課に移転したと――

ホルハイヤ
ホルハイヤ

ライン生命のことを話せば、どこもみんなクリステン・ライトのことを指しますけど、あなたを口にする人はめったにない。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

今までずっと、悔しくはなかったのですか?

サリア
サリア

そんな必要はない。

サリア
サリア

これは私自らが選んだことであり、私の責務だからだ。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

まあ、そうでしょうね。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

あなたは自分を火消し役だと思い込んでいますけど、実際は炎上した現場に乗り込むのを一番楽しんでいるのは、その自分なのではなくて?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

だってあなた、戦うの好きじゃありませんか。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

とは言え、あなたは戦士というわけでもありません、サリア主任。あなたには挑戦と破壊をしたいという欲望を持っていませんから。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

ただまあ、そのおかげであなたは学界の中でも浮いた存在になってしまっていますけど。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

五年前に、ミュルジスからキレイな接ぎ木をされた植物を送られてきましたよね?一番得意とする彼女の小細工を駆使して、植物を踊らせるようにしたアレです。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

それをあなたは受け取った。しかもそれから毎日朝七時には、自分のオフィスで好き放題伸びてくる新芽を剪定し続けている、そうですよね?

サリア
サリア

ライン生命を監視しているのか?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

オフィス内の噂話を聞いただけなのかもしれませんよ?

サリア
サリア

ならきっと、その夏にミュルジスが三人の主任のオフィスをサルゴンのジャングルに変えたことは、まだ耳に入っていないんじゃないのか?

サリア
サリア

色々と警備課を困らせたものだったよ、あれは。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

となれば……

ホルハイヤ
ホルハイヤ

あなたを一番困らせたのは、あの炎魔なのではなくて?

サリア
サリア

……

サリア
サリア

さっきまでお前はグダグダと生産性のないことばかりを喋っているが、一つだけ正しいことがある。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

なんでしょう?

サリア
サリア

戦いは嫌いじゃないということだ。

(サリアがホルハイヤに襲いかかり、ホルハイヤが押し返す)

ホルハイヤ
ホルハイヤ

まあ、キレイなアーツですね。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

あなたが自分の総括に手を出したあの時も、この技を使ったんですか?

サリア
サリア

傭兵にしては、些か好奇心が旺盛過ぎるぞ。

ツリーマウンズ市
バーの客

キャーッ!ケンカよ、あの人たちケンカをおっぱじめたわ――

ツリーマウンズ市
バーの客

酔っ払い……?ちょっと、警備員は何をしてるのよ!

Mechanist
Mechanist

……

ツリーマウンズ市
バーの客

あなた警備員?早くなんとかしてちょうだい!

Mechanist
Mechanist

私はただの技師だ、すまないな。

Mechanist
Mechanist

むしろここから逃げたほうがいい、死ぬほど危ないぞ。

(天井が崩れ始める)

ツリーマウンズ市
バーの客

オーマイ!天井が崩れかけてるわ、はやく逃げなきゃ!

(バーの客が逃げる)

Mechanist
Mechanist

ドクター、無事か?

ドクター
ドクター

・無事だ。
・私よりこの情報提供者の容態のほうが危ない。

ドクター
ドクター

Mechanist、君はサリアに加勢してやってくれ。

(サリアがホルハイヤの攻撃を弾いて突き飛ばす)

ホルハイヤ
ホルハイヤ

そんな急いで戦いを終わらせなくてもいいじゃないですか……

ホルハイヤ
ホルハイヤ

そんなに私と一緒にいるのがイヤなんですか?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

クルビアであなたの一撃を耐えられる人はそうそういませんよ?

サリア
サリア

お前こそ、その腕を雇える人は相当限られてくる。

サリア
サリア

この一件はヴォルヴォート・コシンスキーとあまり関係性はない上に、お前の戦闘スタイルは軍のそれではない。

サリア
サリア

それに、この試験管の中身の手掛かりを断とうと焦ってすらいる。

サリア
サリア

ということは、お前の雇い主はフェルディナントか、あるいは……

ホルハイヤ
ホルハイヤ

……総括?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

ここまで来ても、彼女を一番には疑わないんですね、サリアさん?

(サリアとホルハイヤがぶつかる)

サリア
サリア

お前は知り過ぎた、だからここに残ってもらうぞ。

Mechanist
Mechanist

サリア!

サリアは自分の同僚の姿と位置を確認した。この女の退路は塞がれている、逃げ場はない。
これ以上のやり取りも必要はなく、彼女は躊躇なくアーツを放つ。
エナメル質の壁が即座に現れ、ホルハイヤの急所に手刀が迫らんとした。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

どうやらお喋りはここまでのようですね。

サリア
サリア

避けないのか?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

必要ないですもの。成功確率が低いことはしたくないので。

本来なら、サリアの五指はこの女の腹部に接触するはずだった。
しかしおかしなことに、あれは人間の肉体の感触ではない。
ホルハイヤも、一切痛みの表情を見せなかった。
むしろ唇がサリアの耳たぶに触れるほど近づいていく。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

サリアさん、信じようが信じまいが勝手ですが、私は本当にただ話をしに来ただけなんです。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

あなたのこともライン生命のことも……とっても気になりましてね。

サリア
サリア

お前が現れたせいで私の知り合いが倒れてしまった、ナンパにしては過激過ぎると思うぞ

ホルハイヤ
ホルハイヤ

ウフフ……こっちだってやらなきゃならない仕事があるから仕方がないじゃないですか。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

最後に一つだけ。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

私を敵に回さないほうがいいですよ……

ホルハイヤ
ホルハイヤ

もちろん、ほかの人も。

(ホルハイヤが逃げる)

サリア
サリア

……

Mechanist
Mechanist

あの女、逃げたぞ?壁に穴が……いつの間に?

サリア
サリア

私が開けてしまった穴だ。

Mechanist
Mechanist

ヤツのアーツにハメられたのか?

サリア
サリア

アーツではない、そういうテクノロジーだ。

サリア
サリア

ヤツは周囲にある空気の成分を変え、私と私のアーツとの繋がりを断ち切り、最後の一撃を外させた。

サリア
サリア

あんなテクノロジー……今まで見たことがない。

ドクター
ドクター

・ミュルジスは……
・術者と水分子の繋がりを断ち切ったのは彼女なんじゃないのか?

ミュルジスは……術者と水分子の繋がりを断ち切ったのは彼女なんじゃないのか?
サリア
サリア

ミュルジスの失踪も、きっとヤツが大きく関わっているはずだ。

Mechanist
Mechanist

あり得る話だ。

Mechanist
Mechanist

空気をある一定の範囲内で加熱するテクノロジーなら最先端でもない一般的な技術だ、あれでミュルジスが抑えられるはずがないって、そう思っていたさ。

サリア
サリア

ドクター、今すぐヤツの後を追うことを推奨する。

サリア
サリア

ヤツが握ってる情報にしかり、あの奇特なテクノロジーにしかり――

サリア
サリア

あのリーベリの女は極めて危険な存在だ。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

マリー巡査部長、どちらへ?

マリー
マリー

あなたに報告する必要がある覚えはないんだけれど。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

車両のキーを取ったと記録にありますが……

マリー
マリー

あ~、ちょっとライン生命の社用車を借りるわよ。

マリー
マリー

あのクソッタレの主任に報告したいのなら好きにしてちょうだい。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

……マリー巡査部長。

マリー
マリー

なに、まだあるの?ならはやく言ってくれるかしら、こっちは急いでるんだけれど。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

マリー・バナー巡査部長、幼少期からツリーマウンズ北部の郊外にあるアイアンバーデン町で暮らし、サニー・ロマーノとは近所に住まう中学時代からの同級生兼親友。

マリー
マリー

私を調べてたの?

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

四年前、ロマーノは感染者として登記され、弁護士事務所での実習期間を終え、アイアンバーデン町に戻る。その後、彼の医療保険料の支払いは六か月後に停止してしまう。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

しかしそれから三か月と十七日後に、彼の名前はあの開拓隊のリストに出現。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

それまでの間に、彼はどこに隠れていたのですか?

マリー
マリー

そんなの知ってるわけないでしょ。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

問題の発生を未然に防ぐのも、我々警備課の仕事の一つです。

マリー
マリー

……あなた、たかが資料を読み上げただけで脅しになるとは思わないことね。

マリー
マリー

私は五年もかけてやっとこの地位に就けたのよ、あなたたちみたいな大企業が飼ってるクソ虫連中への処世術を知らないとでも?

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

オホン――そのようなことは決して……あなたの実力を疑ってるわけではありません。

マリー
マリー

だったらその口を閉じとけ、荒地に捨てて牙獣たちの餌にしてやるわよ。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

……マリー巡査部長、信じてくれないかもしれませんが、こっちはただあなたに忠告したいだけなんです。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

あなたを見てると……たまに思い返すんです、私の元上司のことが。すごく尊敬していましたが、個人的な感情のせいで、彼女は自らの手で自分の将来を台無しにしてしまったんです。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

ですので、あなたまでそんな目に遭ってほしくはありません。

マリー
マリー

フッ……個人的な感情ですって?

マリー
マリー

そんなものが人を救えるんだとしても……

マリー
マリー

……自分から死にに行くような人間まで救ってはくれないわよ。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

……

(マリーが車に乗って走り去る)

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

緊急事態だ――

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

急いでフェルディナント主任に連絡を入れてくれ。

エレナ
エレナ

……十七回目の記録送信テスト、座標はここ、第九区画の廊下。

エレナ
エレナ

目標となる位置と距離は前回の送信記録と同様……

エレナ
エレナ

うん……素粒子の結合状態も安定してるから、これなら……

エレナ
エレナ

――

エレナ
エレナ

やっぱりダメか……シグナルはなし、メッセージも何も送り出せない。

エレナ
エレナ

(これ以上時間を無駄にはできない、はやく別の方法を探さないと……)

エレナ
エレナ

(通信が戻ったら、すぐ上にここの事態を報告しなきゃ。)

(サイレンスが近寄ってくる)

サイレンス
サイレンス

……エレナ?

エレナ
エレナ

お、オホンオホン!

サイレンス
サイレンス

ここで何してるの?

エレナ
エレナ

ちょ……ちょっと息抜きしてるだけだよ。

サイレンス
サイレンス

開拓者たちに思うところがあるのは分かる……それでも一緒に集まってたほうがいい安全性は高いよ。

サイレンス
サイレンス

最後の襲撃は10分前に起った、それにここからも近い。

サイレンス
サイレンス

アレがまた現れたら、あなた一人じゃ危険だよ。

エレナ
エレナ

わかったわかった、すぐ戻るから。

サイレンス
サイレンス

ちょっと待って。

サイレンス
サイレンス

戻る前に何か……私に言いたいことがあるんじゃないのかな?

エレナ
エレナ

ちょっと何を言ってるのかよく分かんない。

サイレンス
サイレンス

今は開拓者たちも感情が不安定だから、また彼らを怒らせるようなことがあれば、ジョイスは危険な目に遭ってしまう。

サイレンス
サイレンス

だから、あなたが彼らの前で本当のことを言いたがらないもの理解できる。

サイレンス
サイレンス

でも、ここには私とあなたしかないんだよ。だから打ち明けてくれない?

エレナ
エレナ

実験のことを聞きたいの?

エレナ
エレナ

プロジェクトのメンバーじゃないから教えることはできないよ、会社に申請を出してからお願い……

サイレンス
サイレンス

誤魔化しても無駄だよ。

エレナ
エレナ

……

サイレンス
サイレンス

あなたが私に色々と隠し事をしてるのは分かってるんだから。

サイレンス
サイレンス

怒ってるわけじゃないんだ。私たちは同じ仲間だし、友だち。ライン生命はそういう会社だからずっと守秘規定に関しては厳しいし、それ以外でも、みんな本音を隠すことが習慣化してる。

エレナ
エレナ

オリヴィア、私は別に……

サイレンス
サイレンス

分かってる、わざとじゃないって。

サイレンス
サイレンス

分かってるよ、分かってないはずがない。

サイレンス
サイレンス

会社にいる感染者は極々僅か。あなたがここに入って来たばかりだった頃、お昼休憩の時に、あなたは自分から私に挨拶しに来てくれたよね……その時エネルギー課の同僚が君を引き留めて、こっそり私が感染者であることをあなたに教えた。

サイレンス
サイレンス

それでも、あなたは私のところに来てくれた。

エレナ
エレナ

キミの身体に生えてる石ころなんか全然気にしなかったからだよ、病気を持たない人間なんていないんだし。キミのことを耳打ちしてきた人たちだって、完璧超人なわけないじゃん。

エレナ
エレナ

後から私もその石ころを貰っちゃったけど……でも全然気にしてないよ!

サイレンス
サイレンス

そうだね、それでこそ私の知るエレナ・ウビカだ。

エレナ
エレナ

だから私……

サイレンス
サイレンス

でもここの実験でトラブルが発生したことを、あなたは知っている。

サイレンス
サイレンス

最初から、あの銀色の物体の正体だって。

サイレンス
サイレンス

アレは今、私たちと……外にいる無関係な人たちを脅かしている。

サイレンス
サイレンス

私の知ってるエレナ・ウビカは、そんな人が死ぬような恐ろしいことが起こるのをむざむざ見過ごすようなことは絶対にしないはずだよ。

サイレンス
サイレンス

一体ナニがあなたの口をそうやって堅く閉ざしているの?

サイレンス
サイレンス

もしかしてフェルディナントに……

エレナ
エレナ

……オリヴィア、これは私個人の責務なんだよ。

エレナ
エレナ

ヘレンや、数多くのライン生命に所属してる研究員と同じ……私の夢はここにある。

エレナ
エレナ

キミも言ってたじゃん、キミだってパルヴィス主任とライン生命には感謝しているって。だから……

(回想)

この星図を暗唱しなさい。
物理のテスト結果を見せたところで興味はない。満点だからなんだ?そんなものに意味はない、零点と同じだ。
お前はウビカ家の娘なのだ。そんなくだらん大地にある知識を学んで、我が家の姓に泥を塗るつもりか?
お前には失望したよ、アステジーニ。

……これが君の一か月の努力の結果か?
……
君の才能は認めよう、だがここクルビアの科学技術界隈ではな、そんな才能なら誰だって持っている、一銭の価値すらない才能だ。
君の決心は堅いが、経験を得ていない決心は脆い。
君は勤勉でもあるが、方向が定まっていない勤勉さは無鉄砲に行動することと一緒だ。
この時代は変化を求めている。その際君が無駄にしてきたチャンスたちというのは、君自身や君が生きてるこの時代にとって、とてつもなく巨大な損失なのだよ。
私は無数いる門下生の中から君を選んだのだ、それが間違いではなかったこと切に願っているよ、エレナ。

(回想終了)

エレナ
エレナ

……だからフェルディナントは、私にとって努力の目標なんだよ。

サイレンス
サイレンス

彼から何か聞こえのいい約束をされたの?フランクス主任の実験を手伝ってやったら、自分のプロジェクトを持てるようにしてあげるとか?それとも……

エレナ
エレナ

なんでキミまで姉さんみたいに、いつまでも飴をせがんでる子供みたいに私を見てるの?

エレナ
エレナ

キミがフェルディナント……主任と色々誤解を抱えてるのは分かるよ。ここ数年、主任に対する調査で主任に多くの迷惑をかけてきたことだって……

エレナ
エレナ

いや、この際ことの詳細はどうでもいいとして……

エレナ
エレナ

本当なら、キミやロドスの介入を拒むことだって主任にはできてたんだからね。

エレナ
エレナ

彼だってライン生命を、クルビアを変えようとしているんだよ……私もチャンスさえあれば、主任ならやり遂げられるって信じてるのに……

サイレンス
サイレンス

そんなに……フェルディナントのことを信頼してるの?

サイレンス
サイレンス

分かってるの?ライン生命が今……

(物音)

サイレンス
サイレンス

そこにいるのは誰……?

エレナ
エレナ

あの物体がまた追ってきたんじゃ!?

(開拓隊隊員が近寄ってくる)

サイレンス
サイレンス

開拓隊の!

開拓隊隊員
開拓隊隊員

近づくんじゃない!

開拓隊隊員
開拓隊隊員

やっぱり……やっぱり隊長の言ってた通りだ。お前らは、本当に俺たちを実験動物にようとしていたんだな……

エレナ
エレナ

ちがっ、それは誤解で……

開拓隊隊員
開拓隊隊員

まだ俺たちを騙そうって魂胆か?

開拓隊隊員
開拓隊隊員

もう……これ以上信じられるか!俺たちによくしてくれたのも、全部ウソだったんだな!

サイレンス
サイレンス

どうか落ち着いて、えっと……マイヤーさん、だったよね?

サイレンス
サイレンス

マイヤーさん、信じられないのなら、サニーさんに説明させてもらえればきっと誤解は解けるよ、彼なら傍にいるから。

開拓隊隊員
開拓隊隊員

イヤだ……こんなとこで死にたくない……

開拓隊隊員
開拓隊隊員

クソ……なんなんだよこの廊下は!走っても全然終わりが見えねえ……感染者収容区域にある息苦しい壁と同じだ……

開拓隊隊員
開拓隊隊員

もう俺を出してくれ、ここから出してくれ……頼む、頼むからよ!

開拓隊隊員
開拓隊隊員

もし俺を外に出してくれないのなら……こ、こいつを殺すぞ!

ジョイス
フィリオプシス

……

サイレンス
サイレンス

ジョイス!

エレナ
エレナ

なんで……なんでこんなことに……?

エレナ
エレナ

やめて、ジョイスを……ジョイスを放して!

Mechanist
Mechanist

地面の痕跡を見るに、あの女はここを通ったはずだ。

サリア
サリア

向かった方向は特定できるか?

Mechanist
Mechanist

この先にある巷だな。

サリア
サリア

よし、追うぞ。

ドクター
ドクター

・待ってくれ。
・まだ解明できてない謎がある。

サリア
サリア

何か分かったのか、ドクター?

ドクター
ドクター

・さっきの戦いは、はたして私たちの勝ちだったのだろうか?

サリア
サリア

戦いの勝ち負けなど気にしたこともない。

Mechanist
Mechanist

……ドクターの言いたいことが分かったぞ。

Mechanist
Mechanist

あの時、あのリーベリに勝ち目はなかったが、あんなあっさりと負けるはずもなかったんだ。

Mechanist
Mechanist

少なくともあと3分は持ち堪えられていたはずだろう。

ドクター
ドクター

・あるいは、Mechanistが加勢する前に逃げられたとも言える。

ドクター
ドクター

・向こうはまるで私とMechanistの加勢を待っていたようだった。
・彼女はわざと何かの情報を残していったようだった。

サリア
サリア

つまり、この巷に私たちを誘き寄せようとしていた、ということか。

Mechanist
Mechanist

じゃあこのまま追うのか?

ドクター
ドクター

行こう。

クルビア傭兵
クルビア傭兵

マム、準備が整いました。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

分かった。

クルビア傭兵
クルビア傭兵

向こうはすぐにでも追いついてくるはずなんですよね?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

サリアの性格なら、誘き寄せられてると知っていても、きっと追いかけてくるはずよ。

クルビア傭兵
クルビア傭兵

だとしても、やっぱりまだ不安ですね……このパワーアーマー……

クルビア傭兵
クルビア傭兵

本当にフェルディナントさんの同意を得なくて大丈夫なんですか?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

それって、私が前に言ってたアイデアのほうがよかったって意味かしら?

クルビア傭兵
クルビア傭兵

それってパワーアーマーを俺に着させて……いやいやいや、やっぱりなんでもないです。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

これはテストよ。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

このテストの結果を見れば、私たちの雇い主はきっと大喜びになってくれるはずだわ。

クルビア傭兵
クルビア傭兵

足音が聞こえてきました、マム!

ホルハイヤ
ホルハイヤ

ナビゲーション小隊に通達、行動を開始しなさい。

ホルハイヤ
ホルハイヤ

了解、それで俺たちはどうします?

ホルハイヤ
ホルハイヤ

退くわよ。

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