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【明日方舟】11章 淬火塵霾 11-9「命のやり取り」行動前 翻訳

いいえ、エルシー、変わらないものだってあるわ!
たとえばこのわたし!わたしは必ず大きくなったら蒸気騎士になる、あのリッチ様のように!いいえ、リッチ様をも超えてみせるわ!
わたしがあなたたちを守って、悪者たちを追い返してあげる!
ひいひいひいひいお婆様と同じように、カンバーランドの名を永遠のものにしてあげるんだから!
約束よエルシー、絶対なってあげるからね!

(アラデルが火元に駆け寄る)

アラデル
アラデル

エルシー!!!

アラデル
アラデル

頑張ってエルシー!私が、今すぐ……

アラデル
アラデル

約束したじゃない!私が必ず……

(炎が更に勢いを増す)

???
???

アラデル殿、今すぐそこからお逃げください。

???
???

ブラッドブルードが来ています、ヤツに見つかってはなりません。

アラデル
アラデル

エルシーがまだ中に残っているのよ!そんなの――

???
???

あの方の命令に従ってください、勝手な真似は許されませんよ。

アラデル
アラデル

エルシーを、エルシーを見捨てることなんて……

???
???

我々には関係のないことです。我々はあくまで公爵様の命によって“任務を達成するよう”あなたに協力してるだけなのですから、我々はあなたの従者ではないのですよ。

???
???

あの方から伝えられたことを努々お忘れなきよう。

???
???

ご自身の立場もお忘れなきように。

アラデル
アラデル

……

???
???

あなたのすべきことはたった一つ、ご自分の使命の完遂です。

ふとした瞬間、アラデルはいま自分がどこにいるのか、また傍に誰が立っているのかすら忘れてしまっていた。
何があっても、彼女は人生の残りそのものを今に燃やし尽くしている炎の中へ飛び込みたい一心だった。
二十六年前のあの夜、父を連れ去っていく議会の兵士たちと止めるために、火へ飛び込もうとした時と同じように。

???
???

それ以外に関しては、あなたにはもうなすべき資格すらないのですから。

アラデルは目を大きく見開くも、その目に浮かんでいた涙は炎の熱によって干からびていた。
だがその燃え盛る庭園の中、彼女は確かにとある巨大な影が起き上がってるところを目で捉えたのである。
あれは、あの欠損した蒸気鎧だろうか?かつて彼女が何度も憧れを抱いていたあの蒸気鎧なのだろうか?

???
???

今すぐ対象者の傍へお戻りください、今すぐにです。

困難な時が訪れる度に、かの偉大なる先祖が再びその蒸気鎧へ舞い降り、難関を乗り越えさせてくれるよう、アラデルはいつも全身全霊で祈りを捧げてきた。
そんな今、彼女は見てしまったのだ。その古く錆びついた鎧が、恐ろしくも炎を吐き出している様を。
炎の中に蠢く陰影が、自分に向かって吼えている様を。
あれはもはや彼女の希望ではなくなっていた、彼女自身もとっくにそれから遠のいてきた。
仮に先祖が本当に舞い降りたとしても――
それはきっと彼女自身の悪夢になるだろうと、その時アラデルは察したのである。

アラデル
アラデル

……

アラデル
アラデル

彼女に伝えなさい。

アラデル
アラデル

いつもと同じように、必ず彼女の意思に従うわ。

貴族の男
私利私欲な貴族

な、なぜなのですか!大君様……

貴族の男
私利私欲な貴族

我々のもてなしに、十分満足されていたとてっきり……

貴族の男
私利私欲な貴族

時折私どものパーティにもお越しくださっていたではありませんか?大君様はここがお好きなのでしょう?

ブラッドブルードの大君
ブラッドブルードの大君

確かに僅かばかりではあるが、貴公らは私に愉快な思いをさせてくれた。

ブラッドブルードの大君
ブラッドブルードの大君

貴公らが臆するも媚びへつらう様や大袈裟に見せてくる友好的な態度も、実に愛らしいものであったぞ。

貴族の男
私利私欲な貴族

もしや勘違いをされておられるのでしょうか?誓ってでも、私はあの大公爵とレジスタンスとはなんら関係はありません……!

貴族の男
私利私欲な貴族

もし本当に疑問に思われるところがあるとすれば、それはすべてあのカンバーランドの女の仕業です!告発だってできますとも!

貴族の男
私利私欲な貴族

ですので大君様……なんでも、なんでも欲しいものがございましたらお譲りいたします!私のコレクションでも財産でもなんでも!ですので命だけは……

ブラッドブルードの大君
ブラッドブルードの大君

愛い奴め、私がそんなものを手にして何になるというのだ?

貴族の男
私利私欲な貴族

私を殺すことなんて、そんなことありませんよね?この先も大君様がお喜びになられるパーティなら開いて差し上げましょうぞ!まだ私の秘蔵の美酒をお試しになられてはないではありませんか……

貴族の男
私利私欲な貴族

レイトン中佐殿、私はきっと無事でいられるはずだね、そうだね?ここはロンディニウムなのだぞ!

貴族の男
私利私欲な貴族

彼らは、サルカズたちはあのキャヴェンディッシュ公とかいう腑抜けたヤツからの要請を受けて、ロンディニウムを保護しに来ただけだ!無闇な殺戮などするはずがない、そうだね?

レイトン中佐
レイトン中佐

……

レイトン中佐
レイトン中佐

お連れしろ。

ブラッドブルードの大君
ブラッドブルードの大君

まったく騒々しい。早々にやってしまわれよ。

貴族の男
私利私欲な貴族

や、やるって何を……?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

合図が出たら、この中に入れ。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

もし上手く部屋の中に入って、生き残ってる連中がいないのを確認できたのならお前を生かしてる。

貴族の男
私利私欲な貴族

中って……火の中にか!?こんな大火事の中に?そんな、無理だ!私も焼き死んでしまうだろ!

サルカズの戦士
サルカズの戦士

いいや、お前ならやってくれるさ。

ブラッドブルードの大君
ブラッドブルードの大君

――

古のサルカズはヴィクトリアの心臓部に位置しながら、静かに指を見せて弾かせた。

貴族の男
私利私欲な貴族

ひぃぃぃ――!

(貴族が走り去る)

その貴族は自分の後ろをナニが追いかけてきているのか、はっきりと見て取ることはできなかった。
しかし先ほどサルカズの戦士が言ったように、彼がしっかりと命令に従い、必死こいてこの先に向かって走り出した。
前にあるのは燃え盛る炎だが、少なくともまだ一縷の生きる望みはある。彼を追いかけてきているのは、絶対的な死の気配なのだから。
しかし彼の足取りは慌ただしいものであり、少し進んだところで躓いてしまった。

(貴族が転び、ブラッドブルードの大君のアーツが発せられた後、辺り一面に血が流れ始める)

それも束の間、赤黒い血が彼の身体から噴き出してきた。
噴き出した血は元の主に属することをやめ、別の主のしもべへと成り代わったのだ。
大君が指揮する中、血はこの先に広がる敷地へ、崩れゆく屋敷と猛然に燃え盛る炎を目掛けていく。残骸や花草を貪食しながら、灰燼を覆っていった。
進軍していく血を阻める者はいない、たとえ炎でさえも。

ブラッドブルードの大君
ブラッドブルードの大君

しかしレイトンよ、ヤツは一つ正しいことを言った。

[

ブラッドブルードの大君
ブラッドブルードの大君

まだヤツの秘蔵の酒とやらを味わえていない。

ブラッドブルードの大君
ブラッドブルードの大君

どうだね?これから一杯嗜みに行くのは?

サルカズ傭兵B
サルカズ傭兵の隊長

よしついたぞ、ここで待ってろ。

キャサリン
キャサリン

ルンド、チャーリー……

キャサリン
キャサリン

ここであたしらを処分するつもりなんだね。

サルカズ傭兵B
サルカズ傭兵の隊長

……なんでそれを知ってんだ?

キャサリン
キャサリン

見りゃ分かるさ。

キャサリン
キャサリン

この二年間、あんたらは一度だって作業員たちに造ってるものを打ち明かしてくれはしなかった。

キャサリン
キャサリン

だがあたしらみたいな頭をやってる人間は、多少なりともそれが何なのかを知っている。

キャサリン
キャサリン

近頃やけに催促しに来ているのは、おそらくそろそろ終わりも近いからだろうね。となれば、あたしらみたいな中身を知ってる連中は処分するに限る。

サルカズ傭兵B
サルカズ傭兵の隊長

……お前、さっき俺を騙しただろ。

キャサリン
キャサリン

安心しな、本当にただ引き継がせただけだよ。

キャサリン
キャサリン

あたしらは三年も文句を言わずにせっせと指示に従って働いてきたんだ、今さら騒ぎを起こせる気力も持っちゃいないよ。

サルカズ傭兵B
サルカズ傭兵の隊長

余計なマネはすんじゃねえぞ。

サルカズ傭兵B
サルカズ傭兵の隊長

おいお前ら、俺と一緒に外の様子を確認しに行くぞ。

サルカズ傭兵B
サルカズ傭兵の隊長

パプリカ、こいつを見張ってろ。

パプリカ
パプリカ

……うす。

(サルカズ傭兵の隊長が立ち去る)

キャサリン
キャサリン

タバコ吸ってもいいかい?

パプリカ
パプリカ

あっ……うん。

キャサリン
キャサリン

どうも。

(キャサリンがタバコをふかす)

パプリカ
パプリカ

逃げようとは思わないんすか?

キャサリン
キャサリン

逃げる?逃げるってどこに逃げるんだい?

キャサリン
キャサリン

仮にあたしがここで逃げれば、工場にいる作業員たちがその尻拭いをさせられちまうだろ、お嬢ちゃん。

パプリカ
パプリカ

……

キャサリン
キャサリン

どうやってあたしらを処分するのかってずっと考えてきたんだが、どうやらあんたらの上の人はまだ情けがあったようだね。

パプリカ
パプリカ

これで……まだ情けがある方なんすか?

キャサリン
キャサリン

あんたらに命令を出した人は、きっと作業員にパニックを起こさせないために、こっそりとあたしらを一か所に集めて処分しろと言ったんじゃないのかい?

キャサリン
キャサリン

もしあたしの命だけで多くの者を救えるのなら、もってこいだ。

キャサリン
キャサリン

あんたらが連れてこられたほかの老いぼれ連中も、そんなことは考えていなかったとでも思っていたのかい?

パプリカ
パプリカ

ウチには分かんないっすよ……

キャサリン
キャサリン

ふぅ……

キャサリン
キャサリン

お嬢ちゃん、あんたいま何歳なんだい?

フェイスト
フェイスト

なあドクター、蒸気騎士の物語は知ってるか?

ドクター
ドクター

・知ってる。
・少しは聞いたことがある。

フェイスト
フェイスト

婆ちゃんは昔、その蒸気鎧を作ってた作業員だったんだ。

フェイスト
フェイスト

昔の人たちからすれば、あれはある種認められたってことらしい。

フェイスト
フェイスト

ロンディニウムを、俺たちの故郷を守ってくれる戦士、そいつらが着る甲冑を作ってるんだからな。

フェイスト
フェイスト

オレも昔は憧れたよ。オレもいつかは婆ちゃんみたいに、この目であのスゲーものが誕生するところを見てさ……加わりたかったんだ。

フェイスト
フェイスト

婆ちゃんも色々と経験してきたんだよ、このロンディニウムが一歩一歩どうやって今の形になっていったのか、とか。それで失望しちまってるんだ、見りゃ分かるよ。

フェイスト
フェイスト

でもオレは……そんなすぐに諦めたくはなかったんだ。

(フェイストが鍵を開ける)

フェイスト
フェイスト

タンスって、これで合ってるよな……

フェイスト
フェイスト

隠し場所、隠し場所っと……おっ、あったあった。

フェイスト
フェイスト

さすがは婆ちゃんだ、普通じゃこんなデスクが改造されてるなんて見分けがつかねえよ……

フェイスト
フェイスト

これって……オレの作業員証?

フェイスト
フェイスト

それと……これは日記か?

誰かに見せるわけもなく、なんの意味もあるわけでもないが、とにかく書いておく。
……シャビが死んだあの年、フェイストはまだ生まれてさえいなかった。
リンディは彼を理解しようとしたが、結局彼女の思いは私への恨みに変わってしまった。なぜあの日、シャビを止めなかったんだと。
言い返せなかった。彼女がフェイストを残して家を出ていったことも、私には責められない。
どうやら彼女はその後、またいい人を見つけたらしい。いいことだ。
フェイストにこのことは教えていない、知ってほしくないんだ。なんの成果も得られずに死んでいった父親と、恨んで家を出て行った母親のことを。

フェイスト
フェイスト

……

キャサリン
キャサリン

じゃああんた、クルビアで育ったのかい。

パプリカ
パプリカ

うん、ウチは婆ちゃんに育てられたんだ。

パプリカ
パプリカ

父ちゃんも母ちゃんも傭兵だったけど、みんな死んじまった。

キャサリン
キャサリン

じゃあなんであんたまで傭兵なんかになったんだい?

パプリカ
パプリカ

婆ちゃんを養わなきゃならないからっすよ。

パプリカ
パプリカ

サルカズはどこに行っても歓迎されないから、仕方なく傭兵をやることになったんだ。

キャサリン
キャサリン

イイ子だね。

キャサリン
キャサリン

じゃああんたは、あの摂政王のやり方には賛同しているのかい?

パプリカ
パプリカ

この都市を奪ったことすか?

パプリカ
パプリカ

うーん……わかんない。

パプリカ
パプリカ

ウチらは金を貰って仕事をしてるだけだからな。こんな大きな都市を占領するためにやって来たことも、最初は知らなかったんすよ。

パプリカ
パプリカ

クルビアじゃウチらは、闇商人のためにモノを運んだり、獣を殺すだけだったすから。

パプリカ
パプリカ

でも確か、グリムがあんな興奮してたのは初めて見たんだっけ。あいつウチに、もしこれが成功したら、サルカズはいい暮らしができるって言ってた。

キャサリン
キャサリン

グリム?あのスモークジャンキーのグリムかい?

パプリカ
パプリカ

あっ、うん。

キャサリン
キャサリン

そいつは今どうしてるんだい?最近まったく見かけなくなったが。

パプリカ
パプリカ

そいつならもう死んじゃったすよ。

キャサリン
キャサリン

……悲しくはないのかい?

パプリカ
パプリカ

グリムが言ってくれたっす、ウチら傭兵からすれば、死ぬも別れも普通なことだからって。

キャサリン
キャサリン

死ぬも別れも普通のこと、か。この都市が無茶苦茶にされて何年も経つが、ヴィクトリア人はまったくサルカズを理解しちゃいなかったようだね。

キャサリン
キャサリン

お嬢ちゃん、これをやるよ。

パプリカ
パプリカ

これは?

キャサリンはシガレットケースから小さい何かをパプリカに投げ渡した。
それは小さく、フカフカで、毛糸で編まれたものだ。色もまだ鮮やかである。

パプリカ
パプリカ

これは……指貫……

パプリカ
パプリカ

グリム……

キャサリン
キャサリン

……それ、あんたがあの歳を食った傭兵に編んでやったものなんだろ?

キャサリン
キャサリン

あいつは人差し指をケガさせていた、痛むって言っていたが、それでも頑なにタバコをやめようとしなくてね。そいつをシガレットケースに入れてるとこを見たことがあるんだ。

キャサリン
キャサリン

大方勿体なくて使いたがらなかったんだろう、あんたの気持ちを無駄にしたくないためにね。

パプリカ
パプリカ

……

キャサリン
キャサリン

あいつが行っちまう前に、そのケースをあたしに渡してきたんだ。数か月分、タバコを分けてくれたお駄賃としてね。

キャサリン
キャサリン

あいつは一度もあんたのことを話には出さなかったが、あんたを一目見て分かったよ、あいつがずっと心に思っていた子供が誰だったのかを。

パプリカ
パプリカ

ウチ……悲しくなんか……

キャサリン
キャサリン

あいつがこの戦争をどう見ていたかはもう知る由もない。

キャサリン
キャサリン

でもあたしには分かるさ、お嬢ちゃん。言われなくとも分かるさ……あんたはまだ、戦争というものを理解しちゃいないんだね。

……
実は、フェイストも出て行ってしまう予感はしていたんだ。
あの子はシャビに似すぎているからね。
頭が少しだけ回るというだけのことを頼りに、なんでもかんでも解決してやれると思い込んでいる。
あの子を見てると、よくシャビのことを思い出すよ。
自分の心にあるこの失望感は、はたして結果の見えない争いに対してなのか、それともシャビが貴族たちを見誤ったことに対してなのか、あたし自身でも分からない。
もしかしたら、そのどちらでもあるのかもしれない。
とはいえ、あたしはフェイストを行かせてしまった。
あたしじゃあの子は止められなかった。
……

フェイスト
フェイスト

ドクター、あんたをここに連れて来る前に、オレはたくさん婆ちゃんと話がしたいって思っていた。

フェイスト
フェイスト

こんなに長い間、十分に色んな経験を積んできたからよ、オレは……自分は覚悟が決まっているって思ってたんだ。

フェイスト
フェイスト

でも今思うと、やっぱり婆ちゃんに一回謝りに行きてえよ。

ドクター
ドクター

・君たちは家族だからな。
・謝罪の言葉なら必要ないはずだ、そうだろ?

フェイスト
フェイスト

……

フェイスト
フェイスト

婆ちゃんはずっとしかめっ面してる人だけどさ、みんな忘れちまってるんだよ、婆ちゃんだって普通の暮らしを失ったただの一般人なんだって。

……
サルカズたちは絶対に作業員たちを工場のとある場所に近づかせようとしなかった。だがヤツらが危険なものを作っているのは分かりきってる。
大公爵が互いを牽制し合ってるせいで、本来ならヤツらは今日まで生き長らえるだけの十分な資源は確保できてないはずだ。
だが工場に入ってくる加工用の資材にしろ、耳にしたヤツらの境遇にしろ、向こうが自分たちの補給線を確保してるのは明白だろう。
本当なら、そんなこと私にはなんの関係もなかったはずだ。
私にできるのは、せいぜい工場内にいる人たちを守ってやるだけ。
でも――
私は、私が書き残すべきじゃないものを結局は書き残してしまった。
もしかすれば、フェイストがいつか私に助けを求めてきた際、ただシャビが去っていったとこを見てやることしかできなかった時よりも、少しは手を貸してやれると心のどこかで思ったんだろう。
普通の作業員じゃあの手掛かりに近づくことすらできない。でも私は、もうあまりにもこの工場地帯のことを知り尽くしてしまった。
補給線の中継地点に適した場所なら、以下幾つかのポイントに絞ることができる。

フェイスト
フェイスト

これだよ、ドクター!婆ちゃんが地図上に幾つか丸で囲ってる場所が――

ドクター
ドクター

・ここのポイントは、どこも警備は厳重だろうな。
・そこに収穫でもあればいいのだがな。

ここのポイントは、どこも警備は厳重だろうな。そこに収穫でもあればいいのだがな。

フェイスト
フェイスト

ああ、ここは近づくことすら難しいだろうよ。

フェイスト
フェイスト

そうだな、近づけられなくても、婆ちゃんが残してくれたこの情報だけでもすげー助けるぜ。

 

フェイスト
フェイスト

せめて婆ちゃんに別れの挨拶ぐらいはしたかったけど……

フェイスト
フェイスト

まあ、また今度に取っておくか。

フェイスト
フェイスト

ドクター、オレたちもそろそろ戻ろうぜ。

パプリカ
パプリカ

実はウチと一緒に来た傭兵のほとんどは、ウチらがなんのために戦ってるのか分かっていないんすよ。

パプリカ
パプリカ

ウチらはただ、どこも受け入れてくれなかったから来ただけ。どこもウチらは歓迎されていないから。

パプリカ
パプリカ

でもサルカズの王たちが言ってたっす。ウチらにも帰る場所はあるんだって、統治して未来を手にすることだってできるんだって。

キャサリン
キャサリン

あんたらのうちの何人かと知り合ってしばらくしてから分かったよ、あいつらは本物の戦いというものにすら加わったことがなかったね。

キャサリン
キャサリン

あんたはどうなんだい?

パプリカ
パプリカ

ウチは戦えるっす!

キャサリン
キャサリン

じゃあ人は殺したことがあるかい、お嬢ちゃん?道徳心を問われることすら必要のない悪人じゃなく、本物の……ただの一般人を。

パプリカ
パプリカ

……

パプリカ
パプリカ

あんたは工場の作業員、あんただってロクに人を殺したことないだろ。そんな先輩風を吹かせてウチを説教しないでほしいっす。

キャサリン
キャサリン

じゃあロンディニウムに来てしばらくは経つんだし、蒸気鎧の話なら少しは聞いたことがあるはずだろ?

パプリカ
パプリカ

うーんと、なんかすげー兵器みたいだけど、もうずっと現れていない、だったっけ?

キャサリン
キャサリン

そっ、でもありゃ凶器だよ。

キャサリン
キャサリン

そんであたしは昔、そんな凶器を一つずつ作っていったことがあったんだ。

キャサリン
キャサリン

でもあたしはそんなことで後ろめたい気持ちになることはないね。なぜならあの兵器たちはあたしらが生きる場所を守ってくれるからさ。

キャサリン
キャサリン

そういうあんたはどうなんだい、お嬢ちゃん?自分がなんのために、その手に持ってる凶器を振り回してるか理解してるのかい?

パプリカ
パプリカ

ウチは……

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