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【明日方舟】11章 淬火塵霾 11-21「避けて通れない」翻訳

シージ
シージ

……

インドラ
インドラ

ヴィーナ!

シージ
シージ

ん……私は、眠ってしまっていたのか?

モーガン
モーガン

その傷で気絶しただけなら大したもんだよ。

ダグザ
ダグザ

……自救軍が救援に来てくれたんだ、シージ。ここは比較的まだ安全だから、しっかり休んでくれ。アタシらが傍で守ってやるからよ。

シージ
シージ

ああ……

シージはさっと仲間たち一人ひとりの顔を見やる。
みな彼女と同じように満身創痍だ。だが少なくとも……彼女らはまだ生きてはいるし、目には希望が見えていた。
ただ……

シージ
シージ

……アラデル。

クロヴィシア
クロヴィシア

王たちの眠る墓所の門なら塞がれてしまった。

クロヴィシア
クロヴィシア

きっと蒸気騎士の騒動も、こちらが諸王の息吹を入手したこともサルカズ側は気付いているはずだ。ヤツらなら今、宮殿の周辺に大勢の人員を配置している。

クロヴィシア
クロヴィシア

アラデルについてだが、こちらの偵察兵が入口付近を調査したところ、発見はできなかった。

シージ
シージ

……

クロヴィシア
クロヴィシア

ここで何が起こったか、話してみてはくれないか?

シージ
シージ

みなが想像してるのと同じだ。

シージ
シージ

アラデル・カンバーランドは我々を救うために自らを犠牲とした。

クロヴィシア
クロヴィシア

……そうか。

クロヴィシア
クロヴィシア

まあ、彼女ならそうするだろうな。永久に高潔なるカンバーランドであるのだから。

シージ
シージ

カンバーランド……

シージ
シージ

永久に高潔なるカンバーランドなんてものは存在しないさ、クロヴィシア。

シージ
シージ

アラデルは己の命をもって、自分の守りたいものを守ったんだ。

シージ
シージ

使命などといったもののためではなく……アラデル自身の選択でな。

クロヴィシア
クロヴィシア

彼女自身の選択、か……

クロヴィシア
クロヴィシア

そうだな。本当に勇敢な人だよ、彼女は。

クロヴィシア
クロヴィシア

しかし残念だ……本当ならアラデルが戻ってきた時に、サプライズをしてやろうと思っていたんだがな。

シージ
シージ

これは……

クロヴィシア
クロヴィシア

公爵邸ならすでに廃墟となってしまったが、そこを調べた際に戦士らがこれを見つけたんだ。

シージ
シージ

……カンバーランドの、蒸気甲冑。

シージ
シージ

そうか……あの火事で、燃え尽きはしなかったのだな。

シージ
シージ

ふふっ。

シージ
シージ

彼女にも……見せてやりたかったものだ。

シージ
シージ

そうすれば、己が決める道もあると……本人も理解してくれたはずだったのに。

シージ
シージ

貴様がこの甲冑に込められていた思いも、燃え尽きはしなかったぞ。

シージ
シージ

……

シージ
シージ

実は我々が墓所に入った際、 蒸気騎士と出くわしたんだ、クロヴィシア。

シージ
シージ

おそらくは最後の蒸気騎士だったのだろう。

シージ
シージ

公爵軍によって墓所に誘き寄せられた蒸気騎士らは、サルカズの待ち伏せに遭った。それが四年前の出来事だ。

シージ
シージ

だからあの地下空洞は……蒸気騎士らの墓場みたいなものなのだろう。

クロヴィシア
クロヴィシア

この目で見たわけではないが、いかに悲惨な場面だったかは想像つく。

クロヴィシア
クロヴィシア

その蒸気騎士は、キミたちを襲ったんだな?ヴィクトリアの……王位継承者に。

シージ
シージ

……彼は、ただ己の責務を果たそうとしただけだ。

シージ
シージ

あの騎士は、今もなお諸王の息吹を守ってくれていたんだ。たとえあの時……蒸気騎士ら全員が墓所へ誘き寄せられた口実であったとしてもな。

クロヴィシア
クロヴィシア

戦友たちが一人ひとり殺されていくところを目の当たりにしただけでなく、こうも長い間ひとり、暗闇の中を耐えてきたんだ。きっと苦しむあまり、錯乱状態に陥ってしまったのだろう。

シージ
シージ

……いいや。

シージ
シージ

そんな単純な言葉だけでは……あの戦士の意志は語れまい。

シージ
シージ

王たちの墓所と、戦友たちの亡骸。彼はこの静かな墓場を、何年も守り続けてきた。

シージ
シージ

狂ってはいなかったさ、ましてや彷徨える亡霊などでもなかった。彼は……死すらも退けるほどの強靭な意志を手に入れたんだ。

シージ
シージ

彼はそんな己の意志だけで、自身を裏切ったヴィクトリアに復讐を果たした。

シージ
シージ

ヴィクトリアの象徴も、その意志によって守ってきたんだろう。

シージ
シージ

……

シージ
シージ

この先、再び彼と相見えるかどうかは分からない。

シージ
シージ

だがもし……彼がこの暗闇から抜け出すことができたのならば……

シージ
シージ

彼にはもう一度……守りたいものを見つけてほしいものだな。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

マンフレッド様、ハイバリー区にいたあの傭兵どもを見つけました。

マンフレッド
マンフレッド

連れてこい。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

はっ。

パプリカ
パプリカ

ゲホッ……ゲホゲホッ……は、放しやがれ!

マンフレッド
マンフレッド

……

マンフレッド
マンフレッド

……子供じゃないか。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

ハイバリー区の街中にいたほか傭兵らと一緒に見つけたガキです。全員何者かによって拘束されていたみたいでして。

サルカズの戦士
サルカズの戦士

こいつの所持している武器を調べてみたんですが、戦った痕跡はほとんど見られませんでした。傭兵失格ですよ、こいつは。

マンフレッド
マンフレッド

……そうなのか?

パプリカ
パプリカ

……

マンフレッド
マンフレッド

正直に話したまえ、傭兵。

マンフレッド
マンフレッド

一人も、ヴィクトリア人を殺さなかったのか?

パプリカ
パプリカ

うっ……

マンフレッド
マンフレッド

どうした、私を恐れているのか?

パプリカ
パプリカ

そ、そんなことないやい!

パプリカ
パプリカ

確かに、ウチは全然任務を全うできていないし、罰せられるのも当然だ……だからほかのみんなは放してやってくれよ!

マンフレッド
マンフレッド

……

マンフレッド
マンフレッド

戻してやれ。

パプリカ
パプリカ

えっ……?

サルカズの戦士
サルカズの戦士

しかしこいつは……

マンフレッド
マンフレッド

……お前もさっき言っただろ、こいつは傭兵失格だと。

マンフレッド
マンフレッド

サルカズとは言え、まだ若すぎる……我々がなんのために戦っているのか、我々の敵の正体すらまだ理解できていないはずだ。誰からも教わってはこなかったのだろう。

マンフレッド
マンフレッド

しかしだ……もうじき真の戦争が始まろうとしている。

マンフレッド
マンフレッド

その際はこの戦争が我々サルカズにどんな意味を持っているのか、しっかりと彼女にも理解させてやるとも。じっくりと、私の傍でな。

ロックロック
ロックロック

フェイスト!

フェイスト
フェイスト

ロックロック……へへッ、自救軍第十一小隊、これでまた合流できたな。

ロックロック
ロックロック

合流って……第十一小隊はもう、残りアタシと君だけじゃない。

フェイスト
フェイスト

……そうだったな。

フェイスト
フェイスト

だがまあ、きっとすぐにでもまたメンバーが増えてくるはずだ。

フェイスト
フェイスト

だって……オレたちにはドクターとクロヴィシア司令がついているんだしよ。

ドクター
ドクター

・クロヴィシア、状況は?
・クロヴィシア、自救軍の状況は?

クロヴィシア
クロヴィシア

……撤退は間に合ったが、犠牲は大きい。

クロヴィシア
クロヴィシア

アラデルが行方不明となってしまったため、また物資不足に悩まされることになってしまった。

クロヴィシア
クロヴィシア

はぁ……もっと人手が増えれば何かと助かるんだがな……

(ヴィクトリア傭兵達が近づいてくる)

ヴィクトリア傭兵
ヴィクトリア傭兵

なら、俺たちも数に入れてくれ。

クロヴィシア
クロヴィシア

トター殿?

トター
トター

雇い主が行方不明になってしまった以上、契約は破棄になってしまった。

クロヴィシア
クロヴィシア

みんな、ここに残ってくれるのか?

トター
トター

……もうここまで来てしまったからにはな。俺たちも今じゃサルカズたちの目の敵だ、逃げ出したくても無理がある。

トター
トター

それに、俺たちはダグザ殿と一緒にあの墓所で戦った。

トター
トター

もし彼女らの助けがなければ、俺たちは生きてあそこから脱出するとはできなかっただろう。

トター
トター

その恩返しとしても、な……やれやれ、どのみち引退は先延ばしか。

(Miseryが近寄ってくる)

Misery
Misery

……ドクター、こちらもただ今帰投した。

ドクター
ドクター

・やあ、Misery。
・相変わらず時間ピッタリだ。

ホルン
ホルン

申し訳ありません、本当ならもっと早く帰投できていたはずなのですが……そうすれば、先の司令塔攻略戦にも加勢できていたはずです。

クロヴィシア
クロヴィシア

こちらの方は一体……

ホルン
ホルン

申し遅れました、ヴィクトリア軍テンペスト特攻隊第二分隊隊長のホルンと申します。

ホルン
ホルン

つい数時間前、Miseryさんの協力のもと、オークタリッグ区とハイバリー区の区境近辺にある監獄の急襲にあたっていました。

ホルン
ホルン

そこでサルカズとの協力を拒否していた都市防衛軍の部隊を、処刑寸前のところで救出に成功しました。

ホルン
ホルン

今後はロドスと自救軍の指揮下に加わりますので、どうぞよろしくお願い致します。

ドクター
ドクター

どうやら新たな仲間が加わってくれたようだな、クロヴィシア。

クロヴィシア
クロヴィシア

うむ、感謝する。

クロヴィシア
クロヴィシア

しかしキミたちには驚かされてばかりだ、様々な可能性をひしひしと感じるよ。

クロヴィシア
クロヴィシア

それにサルカズの補給線についてもだ。我々は大きな損害を受けながらも、見事それに関する重要な情報を入手できた。

フェイスト
フェイスト

そのハイバリー区にある補給線の中継拠点とされる詳細情報がこれだ、すでにこっちでまとめておいたぜ。

フェイスト
フェイスト

あとはクロージャさんが都市防衛軍の司令塔から抜き取ったデータを照らし合わせれば……

ドクター
ドクター

・補給線を見つけることができるということだな。
・我々の次の目標がこの情報の中にあるということか。

クロヴィシア
クロヴィシア

そうだな。

クロヴィシア
クロヴィシア

では諸君、次の戦闘のためにもしっかりと備えておいてくれ。

シージ
シージ

……

シージ
シージ

諸王の息吹、か。

シージ
シージ

ガウェイン、そこにいるのは分かっている。

シージ
シージ

出てこい。

だがシージの傍に誰かが現れることはなかった。

シージ
シージ

……使命か。

シージ
シージ

貴様はなんの使命をもって、今日に至るまで私の傍に寄り添ってきたのだ?

シージ
シージ

私をヴィクトリアの王にするためか?

いくらシージが呼びかけても、返ってくるのは沈黙だけだ。

シージ
シージ

アラデルにとって……蒸気騎士は彼女の理想そのものだった。だが……

シージ
シージ

その人がこの先どこへ向かうのかなど、当の本人からすれば知る由もない。

シージ
シージ

もしいつか――

シージ
シージ

いつか貴様が私のために選んだ使命とやらに、私が背くことになれば……

シージ
シージ

……貴様も、私の悪夢になり得るのか?

そう問いかけるも、ガランとした地下空間からは、微かな溜息の声しか返ってはこなかった。

アスカロン
アスカロン

……

ドクター
ドクター

・アスカロン。
・やあ、アスカロン。

アスカロン
アスカロン

……

ドクター
ドクター

ケルシーの容態は?

アスカロン
アスカロン

……酷いものだ。

アスカロン
アスカロン

だがシャイニングが見てくれている、じきに回復するだろう。

アスカロン
アスカロン

もし私とバンシーが間に合っていれば、こんなことには……

ドクター
ドクター

・大君を撃退できただけでも大きい。
・君たちは悪くない。
・我々が撤退できたのは、君たちがあの“赤い眼”を阻止してくれたおかげだ。

アスカロン
アスカロン

……

ドクター
ドクター

それとアーミヤのほうは……

アスカロン
アスカロン

彼女も今は徐々に回復している。お前も知ってると思うが、いつまでも昏睡してる彼女ではない。

ドクター
ドクター

・私には見えなかった、アーミヤが見たものを。
・いつまでも傍にいてあげて、一緒に受け止めてあげるわけにはいかないだろう。

アスカロン
アスカロン

昔のお前も今のお前も、アーミヤにはえらくご執心だな。

ドクター
ドクター

ずっと聞きそびれてしまっていたんだが。

ドクター
ドクター

・君も私の記憶喪失は嘘だと思っているのか?

・アスカロンは、私を信じてくれているか?

アスカロン
アスカロン

その質問なら、私のナイフが答えてくれる。

アスカロン
アスカロン

……必要とあらばな。

ドクター
ドクター

四年前に起った出来事を、知りたいんだ。

アスカロン
アスカロン

……

ドクター
ドクター

・ケルシーに聞いたことがある。
・アーミヤに聞いたことがある。

ドクター
ドクター

でも何が本当なのかは分からなかった。

アスカロン
アスカロン

……

ドクター
ドクター

・今までこうして君と話ができる機会はなかったな。
・君はいつも寡黙だな。

ドクター
ドクター

よかったら、あの時何があったのか教えてくれないか?

アスカロン
アスカロン

……四年前のあの時、私は本艦を離れていた。お前から受けた任務を遂行するために。

アスカロン
アスカロン

殿下なら、私が戻って来た時にはすでに去ってしまわれていた。

ドクター
ドクター

・当時のロドスはどんな感じだったんだ?
・アーミヤはどうだったんだ?

アスカロン
アスカロン

アーミヤなら魔王の力を引き継いだばかりだったからな、長い間昏睡状態に陥っていた。

ドクター
ドクター

じゃあケルシーは?

アスカロン
アスカロン

ロドスとアーミヤ、そしてお前を救おうとしていた。

ドクター
ドクター

私を?

アスカロン
アスカロン

……

アスカロン
アスカロン

殿下が最後にそう命じたからだ。

ドクター
ドクター

……

アーミヤ
アーミヤ

うぅ、ドクター……ド、クター……

ドクター
ドクター

アーミヤ……

ドクター
ドクター

・私ならここだよ。
・ずっと傍にいるから。

アーミヤは無意識にあなたの服の裾を掴むも、ゆっくりと手放した。
それから大粒の涙が一粒一粒、彼女の目尻から滲み出てきた。

アーミヤ
アーミヤ

ッテレジア、ッさんが……

アーミヤ
アーミヤ

私にッ、聞かせてきたんです……サルカズたちの、魂の声を。

アーミヤ
アーミヤ

サルカズを傷つけたすべての者に復讐するって、ケルシー先生に……ッ復讐してやるって。

ドクター
ドクター

・ケルシーを?
・なぜそこでケルシーが出てくるんだ?

アーミヤ
アーミヤ

……私が感じたものはどれも本物なんでしょうね、ドクター。

アーミヤ
アーミヤ

確かあの時のケルシー先生とテレジアさんはいつもいつも、夜遅くまでロドスの中で話し合っていました。

アーミヤ
アーミヤ

その中でもケルシー先生は一週間も不眠不休で、サルカズの感染者の治療に当たっていたはずです。

アーミヤ
アーミヤ

でも……先生が二百年前に、サルカズを傷つけたことも事実で……

アーミヤ
アーミヤ

先生はきっとあの時にはもうすでに、テレジアさんになぜあのようなことをしたのかという答えを出してあげてたんだと思います。

アーミヤ
アーミヤ

テレジアさんもきっとそれを理解してくれていたんでしょう。だからあの二人は、あんなに仲のいい親友になれたんだと思います。

アーミヤ
アーミヤ

でも、それでも私……あんなにずっと傍にいてくれたケルシー先生に……

アーミヤ
アーミヤ

あの戦争に関する記憶を見た時、怒りと悲しみを覚えてしまったんです。

アーミヤ
アーミヤ

……

アーミヤ
アーミヤ

もしかしたら、テレジアさんが私に伝えたかったのはこれだったんじゃないでしょうか。

アーミヤ
アーミヤ

自分がなぜサルカズ側についたのかって、そう私に伝えたかったんだと思います。

アーミヤ
アーミヤ

今だって、テレジアさんたちは今……このロンディニウムを見下ろせる、一番高い場所にいるのですから。

ドクター
ドクター

……

あなたは雷鳴が徐々に近づいて来ていることに気が付く。
窓のすぐ外で、あなたたちのすぐ頭上で、いつまでもどこまでもあなたたちを追いかけてきている。

ドクター
ドクター

戦争はここからが本番ということか。

あなたはアーミヤの手をしっかりと握りしめる。
共に空を見上げながら。

ゴゴゴ、ゴゴゴ。
ロンディニウムに留まらず、周辺都市も一様に激しい揺れを感知した。

そこに、今まで見たことがないような巨大な物体が暗雲から姿を見せる。
そんな物体の背後、ザ・シャードの上を覆っていた分厚い雲には小さな裂け目が生じた。そこで顔を上げて見上げた人々は、ようやくロンディニウムを覆っていたのは単なる暗雲ではないことに気が付く。
あれは天災雲であった。未だかつて、いかなる天災トランスポーターですら記録したことがない、巨大な天災雲であった。
分厚い黒雲は、余りある膨大なエネルギーを蓄えながら火花を散らしていく。そのために、雷鳴にも似た轟音を発していたのだ。
ならばこの奇怪な形状をした飛行物体は、さながらこの嵐の眼のようなものだ。
サルカズに敵対する者であれば、何人もこの眼から逃げ果せることは叶わないだろう。

2:28p.m. 天気/曇り
ヴィクトリア、トレーダーズミル

バグパイプ
バグパイプ

チャンちゃーん!

チェン
チェン

……

バグパイプ
バグパイプ

なにボーっとしてるべか?ヒューズがウチらを待ってるよ。あの興奮した様子を見ると、きっとすっごい役に立つ情報を手に入れたはずだべ!

チェン
チェン

……

アルモニ
アルモニ

……

(アルモニが通り過ぎる)

チェン
チェン

おい、今ヒューズの家から出てきたあの女を見たか?

バグパイプ
バグパイプ

ん~?どれだべ?街中じゃ人が多すぎて見分けがつかないよ。

チェン
チェン

あの緑色の髪をしたフェリーンだ。

チェン
チェン

見覚えがある。

バグパイプ
バグパイプ

はあ……まあチェンちゃんはウチより人の顔は憶えやすいもんね。でもヒューズさん家から出てきたってことは、二人で商売話でもしてたんじゃない?もしかして数日前に駅で見かけたことがあるとか?

チェン
チェン

……いや。

チェン
チェン

あの顔……何年も前に見たことがあるかもしれない。

バグパイプ
バグパイプ

うえ~、もしかしてむかし龍門でしょっ引いたことがある犯罪者とか?

チェン
チェン

それならしっかりと記憶してるはずだ。

チェン
チェン

……

チェン
チェン

まあいい、あとでヒューズに聞けばいいだけの話だ。

(チェン達が立ち去る)

アルモニ
アルモニ

……バグパイプ。

アルモニ
アルモニ

それとその横にいる人は……資料で見たことがあるわね。

アルモニ
アルモニ

うふふ……

アルモニ
アルモニ

あとちょっとで、同窓会が開いちゃうところだったわね。そしたら、感動の再会もできたんじゃないかしら。

ヴィクトリア南部にある事務所

リード
リード

……こんにちは。

ロドスオペレーター
ロドスオペレーター

あれ?えーっとあなたは……この前本艦の医療部で見かけたことがありますね。

リード
リード

少し……頼み事があるんだが。

リード
リード

この手紙を、ケルシー先生とドクターに渡してほしい。

ロドスオペレーター
ロドスオペレーター

えっ……オホン、その、事務所から離れるおつもりで?

ロドスオペレーター
ロドスオペレーター

それでしたら、ほかのオペレーターと同じように申請書類を記入して頂けますか?人事部のほうにも共有しておきたいので……

リード
リード

いい……向こうは事情を知ってると思うから。

リード
リード

会わなければならない人と、対処しなければならないことがあると……そう伝えれば分かってもらえるはずだ。

リード
リード

それに、このままここに居続ければ、みんなを巻き込んでしまう。

ロドスオペレーター
ロドスオペレーター

ロドスのために、ここから出て行っちゃうんですか?

リード
リード

ああ、ロドスは……とても静かな場所だ。

リード
リード

ここは好きだ、キミたちにもとても感謝している。特にあの、サンクタに……もういなくなってしまったが。それに私がずっと望んでいた静けさを、キミたちは与えてくれたから。

リード
リード

だから、その恩返しだ。キミたちに、この静けさを返そう。

リード
リード

覚悟なら、もうすでにできているから。

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

……サルカズの飛行艇がすでにロンディニウム市内で飛行を開始しました。

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

ほかにも、カンバーランド公の跡継ぎが、現在行方不明になっています。カスター公も諸王の息吹の入手に失敗してしまいました。

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

最後に、ほんの一日の間に、十数名ものトランスポーターが領地へ訪ねてきております。

ヴィクトリア兵
ヴィクトリア兵

皆、あの方々にお会いに行かれるのかどうかと、執拗に尋ねてきております、公爵様。

ウェリントン公
ウェリントン公

――

ウェリントン公
ウェリントン公

如何致しますかな、アイルラーナ殿下?

???
???

……心配は無用だ、公爵殿。

???
???

ターラーの新時代なら……すでに目前まで迫っているさ。

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