Loading...

【アークナイツ大陸版】イル・シラクザーノIS-9「文明の偽り」行動後 翻訳

ウォーラック
ウォーラック

チッ、結局あいつを逃がしちまった。

ディミトリー
ディミトリー

途中からもうすでに戦う気ではなくなっていたさ。

ディミトリー
ディミトリー

まさかあんた気付いちゃいなかったのか?あいつがもし本気で俺たちを殺そうと思えば、ただの時間の問題だ。

ディミトリー
ディミトリー

あいつはその時間すらも無駄にしたくなかったんだよ。

ディミトリー
ディミトリー

シラクーザのファミリーを舐めないほうがいい、どのファミリーであってもだ。

ウォーラック
ウォーラック

あんた一つ誤解してるな。

ウォーラック
ウォーラック

俺は一度だってシラクーザのファミリーたちを舐めちゃいないさ。

ウォーラック
ウォーラック

本気でどいつも俺の敵だって認識しているよ。

ウォーラック
ウォーラック

ベッローネも含めてな。

(ウォーラックがディミトリーに剣を向ける)

ディミトリー
ディミトリー

もしかしてあんた、焦っているのか?

ウォーラック
ウォーラック

なんだ、こんなもんじゃ怯まないか。

ディミトリー
ディミトリー

あんたは自分んとこのドンを裏切ったんだ、ならあんたが俺たちと本気で手を結ぼうとしてるなんて信じられるわけがないだろ。

ディミトリー
ディミトリー

だから一つ忠告していこう、今はこんなことをしてる場合じゃないぞ。

ウォーラックに刃を突きつけられるも、ディミトリーは微塵も動揺を見せることなく、何事もなかったかのように顔を横にいる部下へと向けた。

ディミトリー
ディミトリー

街の状況は?

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

……まずいとしか。

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

副中枢区画が分離を始めたことなら、もうすでにどこのファミリーにも知られています。

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

ベッローネとサルッツォは今じゃいい的ですよ。

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

ついさっきだって、他んとこの連中に襲われてしまいましたし。

ディミトリー
ディミトリー

そっちに目を張っておけと言ってたことはどうなった?

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

お察しの通りですよ……

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

ほかんとこのファミリーに紛れ込ませたスパイが寄越した情報によれば、みんなベッローネとサルッツォを狙っちゃいますが、重要なのはそこじゃありません。

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

いま街中が混乱した状態は、ほかのファミリーにとっても好都合です。

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

スィニョーラにずっと抑えつけられた不満が、とうとうここで爆発しちまったんですよ。

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

ベッローネとサルッツォというケーキを切り分けることを皮切りに不満を爆発させたとこがいれば、この一件をきっかけに以前の雪辱を晴らそうとするとことか……

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

とにかく、今じゃどこのファミリーも騒ぎ立ててきています。自分から動き出したとこもいれば、単に巻き込まれたとこもいるしで。

ディミトリー
ディミトリー

(小声)……ドン、これがあんたの求めていたことなのか?

ディミトリー
ディミトリー

(小声)あんたもやっぱり、俺たちを裏切ったんだな。

ディミトリー
ディミトリー

……

ディミトリー
ディミトリー

ウォーラック、あんたはバカじゃない。だから俺たちが今ここで争ってもなんのメリットにもならないことぐらいは分かるはずだ。

ウォーラック
ウォーラック

大きな問題を先に解決する、これがメリットじゃないだって?

ウォーラック
ウォーラック

なら聞くが、ロッサーティはクルビアじゃ一声でもかければどこもかしこも集まってきてくれるほど、人徳は備わっていたのか?

ディミトリー
ディミトリー

自分たちだけでシラクーザを掌握できるとでも思うなよ。

ディミトリー
ディミトリー

手を結ぶ相手はしっかりと選ぶことだな、ウォーラック。

ウォーラック
ウォーラック

チッ。

(ウォーラックが剣を引っ込める)

ディミトリー
ディミトリー

まあそう気を落とすな。

ディミトリー
ディミトリー

もしこんなことになってなけりゃ、こっちだってあんたとは手を結びたかないね。

ディミトリー
ディミトリー

ところでレオンは?

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

……

ディミトリー
ディミトリー

どうした、ファミリーんとこに戻っていないのか?

ガードマン
ベッローネファミリーのメンバー

はい、途中から見失ってしまいまして。明らかにわざと俺たちを避けているんじゃないかと。

ディミトリー
ディミトリー

……

ディミトリー
ディミトリー

レオン、まさかあんたまでもじゃないだろうな……

ディミトリー
ディミトリー

……

ディミトリーは深く一息ついた。
今ここで余計なことを考えても意味はない。彼は当面、今起こってる現実と向き合わなければならないのだ。

ディミトリー
ディミトリー

今じゃどこのファミリーもお互いに噛みつき始めやがった、となれば今が副中枢区画を奪取する最大のチャンスだ。

ディミトリー
ディミトリー

あそこを押さえとかなきゃ、俺たちに未来はないぞ。

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

ドン。

アルベルト
アルベルト

状況は?

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

まずいの一言です。

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

ほかんとこの大勢の連中が騒ぎに乗じてこっちに襲い掛かってきました、うちの下のモンも応戦してます。

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

もう収拾がつかない状況になってしまったかと。

アルベルト
アルベルト

まったくやってくれたものだな。だが、今の状況があのレオントゥッツォの小僧が思いついたものとは思えない。

アルベルト
アルベルト

ラップランドの思いつきとは言え、あの時からすでに我々サルッツォも計算のうちに組み込んでいたな、ベルナルドめ。

アルベルト
アルベルト

スィニョーラの権力が揺れ動く中、数十年來続いて来たシラクーザの根幹がいとも容易くお前によって火を点けられてしまった。

アルベルト
アルベルト

これがお前の求めていたことなのか?一体なぜなんだ?

アルベルト
アルベルト

ところでラップランドは?

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

昨日からまったく連絡がつきません。

アルベルト
アルベルト

……まあいい、放っておこう。

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

ドン、今じゃ街中がしっちゃかめっちゃかです、俺たちはこのまま静観したほうがいいですか?

アルベルト
アルベルト

フンッ、今さら私たちサルッツォが不干渉を貫いたところで、厄介事から逃れられるはずもないだろ。

アルベルト
アルベルト

ベルナルドの老獪め、ここまで考えていたとは。

アルベルト
アルベルト

外のいる者たちを全員召集しろ。

アルベルト
アルベルト

それから、選りすぐりの者たちを何人か副中枢区画の司令塔に送り付けるんだ。ベッローネとロッサーティなら、そこを手放すはずがないからな。

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

それって――

アルベルト
アルベルト

あの新都市なんぞには興味はないが、私を裏切った者の手に渡らせるつもりもない。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

親父!

ベルナルド
ベルナルド

レオン……まさかここを見つけ出すとはな。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

俺は単に記憶を辿ってここじゃないかと思い出しただけだ。

ベルナルド
ベルナルド

まあ来たからには、お前も座りなさい。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

親父の目的はもう分かったよ。

ベルナルド
ベルナルド

何をだね?

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

最初から親父は、シラクーザを六十年前のあの暗黒時代に戻そうとしていたんだな。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ファミリーらが互いに食い争い、スィニョーラが介入してこなかったらみんな互いに食い殺されていたであろうあの時代に。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

で今回、親父はそいつらをスィニョーラの首輪から解放し、ファミリーという存在がいなくなるまでもっと熾烈に互いを食い荒らすように企んでいたんだろ。

ベルナルド
ベルナルド

ふむ……どうやらしっかりと理解してくれたみたいだな。

ベルナルド
ベルナルド

しかし、それを言うためだけにここへ来たわけではないのだろ?

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

……なぜそんな思いに至ったのか、それが知りたい。

ベルナルド
ベルナルド

……

ベルナルド
ベルナルド

まだ二十歳だった頃、私はベッローネファミリーの一員に過ぎなかった。

ベルナルド
ベルナルド

その時私は、とある暗殺に失敗してしまってな。それで名前を変え、付近の村落に逃げて隠れるハメになった。

ベルナルド
ベルナルド

私はそこで半年ほど暮らしたよ。

ベルナルド
ベルナルド

まあその半年もの間、これと言った出来事は起こらなかったがな。

ベルナルド
ベルナルド

しかしその半年間もの暮らしを経て、自分が今いるこの国に対する見方がすっかりと変わった。

ベルナルド
ベルナルド

シラクーザにはファミリーが関わっていない箇所など存在しない。だが都市周辺にある村落からすれば、ファミリーのやってることはその村々にいる悪徳地主のやってることとなんら変わりはない。

ベルナルド
ベルナルド

当時の私はそこで靴職人の仕事をしていたんだ。あの時は夏で、私はとある通りで仕事をしながら、仇の動向に目を離さず見張っていた。

ベルナルド
ベルナルド

まあ結局、その仇は別に大したことはしなかったが、あの汗にまみれた熱い夏の日は生涯忘れられなかったよ。

ベルナルド
ベルナルド

レオンよ、お前にしろ私にしろ、ファミリーから出た者はな、生まれつき烙印を押されるんだ。

ベルナルド
ベルナルド

だからあの夏、私は一つのことに気付いたよ――

ベルナルド
ベルナルド

シラクーザはファミリーがいなくても生きていける、とね。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

だから親父はラヴィニアを助け、俺がラヴィニアに接近してもとやかく言ってくるようなことはしなかったんだな。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

本気で彼女の理想を叶えようとしていたために。そうなんだろ、親父。

ベルナルド
ベルナルド

彼女の考える正義とは一体どういった正義なのか、私も確かに見たかったからな。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

だから、今回の計画にはなんの保険もかけることはしなかったのか。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

俺やラヴィニア、そのほかの誰もがこの計画の保険として動いてもらう必要がなかったから。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

一般人のためにファミリーという名の障碍を排除してやれれば、彼らの暮らしは以後いかなる悪影響を受けることはなくなると信じていたから。

ベルナルド
ベルナルド

その通りだ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

……でも、それだけじゃ足りないんだ、親父。

ベルナルド
ベルナルド

足りない?

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ああ、まったく足りない。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ファミリーが消えるまでお互いを争わせておけば、今のファミリーが支配する社会構造を覆すことはできるのかもしれない。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

だが、それでシラクーザが一般人の手に渡るとは思えないんだ。

ベルナルド
ベルナルド

スィニョーラがいるから、かね?

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

いいや、慣わしがあるからさ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

俺はカラッチの助手として一緒に働いていくうちに、次第にあることに気付いたんだ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ファミリーという存在は、この土地にずっと根付いてきた。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ここに住まう人たちは誰しもがファミリーを疎く思っているのかもしれないが、その人たちはファミリーのいないシラクーザをまったく想像することができないんだ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

そんな場所がファミリーを覆せてやったとしても、その後に新しいものを生み出せると思うか?

ベルナルド
ベルナルド

……

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

俺は無理だと思う。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

みんなどうすればいいか分からなくなるんだ、なぜなら何が起こったのかすら理解していないのだから。彼らはただ、自分らが住んでいた家が急に廃墟になったとしか思えないんだ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

それから彼らがその廃墟をもう一度建て直そうとした時、またファミリーという存在が出来上がってくる。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

何も変わらないのさ、何も。

ベルナルド
ベルナルド

……

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

このまま続ければ、俺たちはしばしの間だけファミリーが存在しないシラクーザを作り出すことができるのかもしれない。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

でも親父が夢見ているシラクーザなら、永遠に来ることはない。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

考えがあまりにも傲慢なんだよ、親父。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

親父は親父が考えたシラクーザをそこに住まう人々に与えることばかりを考え、相手がそれを望んでいるのか、それを受け入れようとしているのかをまったく考慮しちゃいないんだ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

この土地に住まう一人ひとりに、今ここで何が起こっているのかを思い知らせてやらない限り、彼らもこの戦いに組み込んでやらない限り。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

どうやって“ファミリーが存在しないシラクーザ”を作るかという話さえも、できるはずがない。

ベルナルド
ベルナルド

……

ベルナルド
ベルナルド

どうやら、私の息子は自分で成長してくれたみたいだ。

ベルナルド
ベルナルド

てっきりここに来ては親子喧嘩をするだけに留まるのかと思っていたのだが。

ベルナルド
ベルナルド

まさかお前に教えられることになるとはな。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

……親父。

ベルナルド
ベルナルド

それで、お前はどうするつもりなんだ?

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ラヴィニアと合流して、ほかの人たちを集結させて副中枢区画の司令塔を奪う。ファミリーの力なら、もう借りないさ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

新都市というカードが俺の手の中にあれば、少なくとこっちがも受け身で動く必要もなくなるはずだからな。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

それでその後スィニョーラと話し合うのか、それとも彼女に歯向かうのかは、その時々にまた考えるつもりだ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ただまあこれだと俺たちはディミトリーや、自分らのファミリーを裏切ることにはなってしまうがな、親父。

ベルナルド
ベルナルド

……そこまでまとまっているのなら、自分のやり方でやってみなさい、レオン。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

この騒ぎはお前が引き起こしたんだ、親父。言い逃れはなしだからな。

ベルナルド
ベルナルド

……心配するな、すぐお前に追いついてやるさ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

分かった。

(レオントゥッツォが走り去る)

ベルナルド
ベルナルド

……

ベルナルド
ベルナルド

敬愛なるスィニョーレ・アジェーニル、君は絶対に教会へ足を踏み入れないと聞いているんだがね。

(アジェニールが近寄ってくる)

アジェニール
アジェニール

シラクーザは教会を必要としていない。だがラテラーノの思想の一部を受け入れたのであれば、その文化的な影響も、形はどうであれば少なからず受けてしまうというものだ。

アジェニール
アジェニール

だから私もこうしてここから離れざるを得なくなってしまったのだよ。

アジェニール
アジェニール

だが、君という相手だ。一度だけ例外を認めてもバチは当たらんだろう。

ガードマン
法廷のガードマン

ラヴィニアさん、みんな揃いましたよ、五十人あまりです。

ラヴィニア
ラヴィニア

かなり減りましたね。

ラヴィニア
ラヴィニア

ファミリーが寄越した連中なら、みんな自分たちのところに戻ったんですか?

ガードマン
法廷のガードマン

はい。

ラヴィニア
ラヴィニア

フッ、皮肉だけど、手間が省けましたね。

ラヴィニア
ラヴィニア

では皆さん。

ラヴィニア
ラヴィニア

法廷は現在ここシラクーザにおいて、とても微妙な立ち位置にいます。

ラヴィニア
ラヴィニア

我々はスィニョーレの意志の代弁者として、ある一定程度までの権力を得ることができました。

ラヴィニア
ラヴィニア

しかしこの権力はあろうことか、いま私たちの義務を果たすべき歩みの障壁となってしまっています。

ラヴィニア
ラヴィニア

また今までにおいても、そんな権力を握ってきた私たちでしたが、いかにファミリーという存在に対して無力であったか……本当に骨に染みる思いです。

ラヴィニア
ラヴィニア

そんな私たちであっても、ほかの大多数の一般人と同じように、理不尽に耐え忍ぶこともできず、かといってファミリーに溶け込むこともできずにいました。

ラヴィニア
ラヴィニア

そうした中、私たちの多くの仲間たちはそんな環境に耐えかねて、次々と鞍替えを強いられ、駆逐され、酷い場合は惨殺されてしまった。

ラヴィニア
ラヴィニア

しかし彼らが最後に己の職責を放棄したとしても、私には彼らを責め立てる資格はありません。

ラヴィニア
ラヴィニア

なんせ私も、ベッローネファミリーに支えてもらったおかげで、今日まで来られた人間なのですから。

ラヴィニア
ラヴィニア

今日起こったこと、それと今まさに外で起こってることについてなら、おそらく皆さんもすでに把握してるはずでしょう。

ラヴィニア
ラヴィニア

私も本来なら、また昔のように耐え忍んで見て見ぬフリするしかないと思っていました。

ラヴィニア
ラヴィニア

ファミリーの争いに一般人が巻き込まれないようにと、最後にはスィニョーレが私たちのために“正義を執行してくれる”ようにと、祈りを捧げながら。

ラヴィニア
ラヴィニア

しかし、とある勇敢な人が私たちに教えてくれました。ファミリーは悪なのだと、この国のすべては不公平であると。

ラヴィニア
ラヴィニア

彼はそのすべてを変えようとし、そしてその希望を私に託してくれたのです。

ラヴィニア
ラヴィニア

あなたたちならきっと私と同じように、ファミリーではないところからやってきたのでしょう。

ラヴィニア
ラヴィニア

私と長年ずっと一緒に働いてきてくれたのですから、きっとあなたたちの中にも、私以上にファミリーへ不満を抱き、私以上に現状を理解している方がいると思います。

ラヴィニア
ラヴィニア

ですのでどうか、ここで皆さんの力をお借りして頂けないでしょうか?

沈黙が広がっていく。

ガードマン
法廷のガードマン

私たちに、何ができるんです?

ラヴィニア
ラヴィニア

つい先ほど、新都市の中枢区画が分離する工程が始まりました。

ラヴィニア
ラヴィニア

ルビオさんが暴いてくれたベッローネとサルッツォの陰謀、あれがその証明だと言えるでしょう。

ラヴィニア
ラヴィニア

ファミリーたちからすれば、あの出来事は彼らの争いの火蓋が切られたことを意味すると思いますが、私たちにとっても同様にチャンスではあります。

ラヴィニア
ラヴィニア

あの新しい移動都市は、間違いなくこの混乱とした情勢下における私たちの切り札になる存在です。この先スィニョーレとの談判するにしろ、ファミリーと争いことにしろ。

ガードマン
法廷のガードマン

……

またもや沈黙が広がっていく。

ガードマン
法廷のガードマン

……でも私たちの今の人数じゃ、少なすぎますよ。

ラヴィニア
ラヴィニア

大丈夫です、とても頼もしい二人の友人を連れてきましたから。

(テキサスとエクシアが近寄ってくる)

テキサス
テキサス

……

エクシア
エクシア

どもども~!

ガードマン
法廷のガードマン

お前は、チェッリーニア!?なんでここに――

ガードマン
法廷のガードマン

いやそれよりも、ヴォルシーニにほかのサンクタがいるなんて聞いたことが……

ラヴィニア
ラヴィニア

ひとまず、チェッリーニアと彼女の友人は私たちの味方であることを知って頂ければ結構です。

ラヴィニア
ラヴィニア

それとこのお二人だけじゃなく、ルビオさんが私に書き残してくれた助っ人たちにも連絡がつきました。

ラヴィニア
ラヴィニア

その人たちもきっと私たちの力になってくれるでしょう。

ラヴィニア
ラヴィニア

……

ラヴィニア
ラヴィニア

ただし、これだけは正直に言います。

ラヴィニア
ラヴィニア

私たちが向かおうとしているのは茨の道、全員が生きて帰れる保証はありません。

ラヴィニア
ラヴィニア

命を危険に晒したくないのであれば、ここから立ち去って頂いても結構ですから。

ガードマン
法廷のガードマン

……

ガードマン
法廷のガードマン

仮に成功したところで、私たちだけでも何かできるんですか?

ラヴィニア
ラヴィニア

それも保証はできません。

ラヴィニア
ラヴィニア

ただこれだけは皆さんに約束しましょう。この国のためなら、私は命を差し出しても構わないと。

ガードマン
法廷のガードマン

……

(何人かが去っていく)

残りは僅か三十人あまり。
しかし彼らはこの場から立ち去るつもりはなかった。

ガードマン
法廷のガードマン

私にこんな機会を与えてくださってありがとうございます、ラヴィニアさん。

ガードマン
法廷のガードマン

もしあなたがこの法廷にいなかったら、おそらく私はとっくにイカレていたでしょうね。

ガードマン
法廷のガードマン

ラジオなら私も聞きました、何が起こったのかも大体想像はつきます。

ガードマン
ガードマン

正直言って、私ももう我慢の限界でしたよ。

ガードマン
法廷のガードマン

私たちだけじゃ何もできないのかもしれません。でもせめて、私たちはまな板に置かれた肉なんかじゃない、それだけはファミリーの連中に思い知らせてやりましょう。

ラヴィニア
ラヴィニア

……ありがとうございます、皆さん。

(携帯のバイブ音)

???
シラクーザの役人

ラヴィニアさん、こっちも準備ができましたよ。

ラヴィニア
ラヴィニア

早いですね?

???
シラクーザの役人

ふふふ、今じゃどこのファミリーもてんやわんやです。

???
シラクーザの役人

連中はいつも私たちみたいな人間を眼中にすら入れていなかったじゃないですか?だからきっと、まさかそんな私たちがこんな時に横槍を入れてくるとは思わないでしょうね。

???
シラクーザの役人

ただこれだけはあいつらに思い知らせてやりますよ、自分らは一度だって都市の営みに関わったことはないってことをね。

???
シラクーザの役人

都市を動かし続けてきたのは、私たちなんですから。

???
シラクーザの役人

ですので、ラヴィニアさんたちは司令塔のほうに向かってください。

???
シラクーザの役人

ファミリーたちのことなら、こっちであらゆる手を尽くしてでも足止めしてみせますよ。

ラヴィニア
ラヴィニア

ありがとうございます、ただ無理だけはしないでくださいね。

???
シラクーザの役人

なんのなんの、むしろ申し訳ないぐらいですよ。

???
シラクーザの役人

私たちは面と向かってファミリーに歯向かえるほどの力は持っていませんから、結局一番危ない仕事をラヴィニアさんに押し付けることになっちゃいました。

ラヴィニア
ラヴィニア

望んでやってることですから、気にしないでください。

???
シラクーザの役人

分かりました、じゃあお互いに幸運を祈っておきましょう

ラヴィニア
ラヴィニア

ええ、幸運を。

アジェニール
アジェニール

カラッチを餌にして、まあ自分の息子を計略に組み込めたことはともかく、シチリアーナを相手にするという大義名分のもと、自身の手下すらも騙し、街を混乱に陥れた。

アジェニール
アジェニール

サルッツォ家のあの子オオカミが一時的に横槍を入れはしてきたが、君はまったくそれに動揺することもなく、むしろサルッツォ家までをも巻き込むことに成功。

アジェニール
アジェニール

片やアルベルトに安心して自分と手を結ばせるように、片やほかのファミリーへの示しとして、大胆にもロッサーティ家の小娘の暗殺に敢行した。

アジェニール
アジェニール

そして最後のテキサスというカードも十分に利用することができた。ジョバンナにとってロッサーティは、言うなれば鞘に潜ませた鋭利な剣といったところかな。

アジェニール
アジェニール

だがウォーラックの手に収まれば、それはもはや悍ましく冷酷な光を見せる刃となる。

アジェニール
アジェニール

それとルビオとカラッチの関係性もあって、君は彼の怒りすらも利用することにした。自分が耐え忍んでいることを知っている人はいないと彼は思っていたようだが、すでに君に見抜かれていたとはな。

ベルナルド
ベルナルド

……君がこの街にいることは分かっていたが、まさか私の策略がすべて筒抜けだったとは思いもしなかったよ。

アジェニール
アジェニール

結果をもとに逆算すれば簡単な話だ。

アジェニール
アジェニール

まあ、事態がすでにここまで及んでしまっている以上、こうして逆算したところで何かできるわけでもないのだがな。

アジェニール
アジェニール

おそらく今、シチリアーナがこの街に出現したとしても手を焼くことになるだろう。

アジェニール
アジェニール

最大勢力を誇るファミリーのドンが、まさか自分のファミリーを餌にして、その他すべてのファミリーを葬り去ろうと企んでいたことなど、誰も想像はつくまい。

ベルナルド
ベルナルド

腹を立てているようには見えんな。

アジェニール
アジェニール

シチリアーナが私に求めているものは、永遠に栄えるシラクーザではないのでね。

アジェニール
アジェニール

私もこの地に対して、一切の権力あるいは富を求めているわけではない。

アジェニール
アジェニール

君のしでかしたことなら、弁解の余地もなくシチリアーナが定めた秩序への破壊行為だ。だから私は、君を片付けるためにここへやって来た。

アジェニール
アジェニール

しかしまあなんだ、その前に親子同士の談話が聴けるとは思わなかったよ。

ベルナルド
ベルナルド

おや、気が変わったのかね?

アジェニール
アジェニール

秩序の破壊行為なら、シチリアーナは断じて許しはせん。なぜならば、未だかつてそんなことをして彼女に満足いく答えを返してやれた者がいないからだ。

アジェニール
アジェニール

君はそんな優秀な息子を持っている、ベルナルド。

アジェニール
アジェニール

君だけでは、シチリアーナが自ら作り出したこの時代を揺れ動かすことはできないだろう。

アジェニール
アジェニール

だが君と君の息子でなら、あるいは……

アジェニール
アジェニール

できないこともない。

ベルナルド
ベルナルド

ワハハハハ!

ベルナルド
ベルナルド

いやぁ人生というのは、やはり予想がつけられぬものだな。

ベルナルド
ベルナルド

私は今日をもって、ようやく己の終生の悲願を達成したと、それで遺憾なく目を瞑ることができると思っていたのだが。

ベルナルド
ベルナルド

レオントゥッツォがこの先どうするのか、それがたまらなく見てみたくなってしまったよ。

ベルナルド
ベルナルド

しかしまあ、名残惜しいものだな。

アジェーニルは一瞬だけ、サラ・グリッジョが構えられている方向へ視線を向けた。
ヒトではないナニかが、こちらへ近づいて来ているからだ。

アジェニール
アジェニール

なるほど、アレについては私も耳にしたことがあるが、これも君の計算のうちなのかな?

ベルナルド
ベルナルド

止むを得ん。

ベルナルド
ベルナルド

まあそういうことだ、スィニョーレ・アジェーニル、もうここを離れたほうがいい。

ベルナルド
ベルナルド

ここからは私のツケ払いの時間だ。

アジェニール
アジェニール

……そうか。

ベルナルド
ベルナルド

……

ベルナルド
ベルナルド

あぁ少しお待ちを、スィニョーレ。

アジェニール
アジェニール

何かね?

ベルナルド
ベルナルド

スィニョーレ、いや、修道士よ。実はな、私は生まれてこの方一度も人に祈りを捧げたことがないんだ。

ベルナルド
ベルナルド

自身が抱えている疑惑が、他人に預ければ答えを得られるとも思ってはおらん。

ベルナルド
ベルナルド

主もきっと、私に答えをお導きになられてはくれないだろう。

ベルナルド
ベルナルド

だが今、君にしか導き出してもらない疑惑を抱えているんだ。それをどうか、少しだけ聞いてはくれないかね?

アジェニール
アジェニール

話してみたまえ。

ベルナルド
ベルナルド

あの時、スィニョーレがラテラーノから帰って来た時のことだ。その時の彼女は一体、何を思っていたんだね?

アジェニール
アジェニール

……

アジェニール
アジェニール

色々と複雑だったよ。

アジェニール
アジェニール

自分がこれから直面する挑戦に不安を感じていた。

アジェニール
アジェニール

だが自分がこれから切り開く時代にも期待感を抱いていた。

アジェニール
アジェニール

今の君と同じようにな。

ソラ
ソラ

……うん、うん、分かった、そっちも気を付けてね。

(ソラが電話を切る)

クロワッサン
クロワッサン

テキサスはんとエクシアはんは無事やった?

ソラ
ソラ

うん、今ちょうどラヴィニアさんと傍にいるよ、一緒に手伝うって。

クロワッサン
クロワッサン

あの裁判官はんかー、まあこの前のあのベッローネファミリーよりかはマシやろうな。

クロワッサン
クロワッサン

あっちが何も起こらんとええねんけどなぁ。

ソラ
ソラ

そうだね。

ジョバンナ
ジョバンナ

うっ……うぅん……

ソラ
ソラ

あっジョバンナさん、お、起きた!?

ジョバンナ
ジョバンナ

私……死んでないの……?

ソラ
ソラ

うん、やられた箇所が心臓から数センチだけズレていたから、死なずに済んだんだよ。

ソラ
ソラ

あと、自分の身体が丈夫だったってこともあるかな……そうじゃないと、多分持ちこたえられていなかったかも。

ジョバンナ
ジョバンナ

ウォーラック……

ジョバンナ
ジョバンナ

……私、どれだけ気絶してた?

ソラ
ソラ

一日だよ。

ジョバンナ
ジョバンナ

じゃあその間も、街では色々と起こったんじゃないかしら。

ジョバンナ
ジョバンナ

私に教えてくれない?

ソラ
ソラ

……うん。

ベルナルド
ベルナルド

ようやく来てくれたか、我が主、いや、ザーロよ。

ザーロ
ザーロ

ベルナルド。

ザーロ
ザーロ

貴様、一体何を企んでいやがる?

ベルナルド
ベルナルド

君とてバカではないから分かるだろ。いい加減、自分が出した結論を素直に受け入れたらどうなんだ?

ザーロ
ザーロ

貴様よくも――

ベルナルド
ベルナルド

しないとでも思ったか?

ベルナルド
ベルナルド

君はこれまでの間ずっと私に権力と裏切りの何たるかを教えてくれた。だが君は傲慢だな、そんな私がいつか君をも裏切ってしまうはずがない保証などあるものかね?

ザーロ
ザーロ

忘れたかベルナルド!お前の持っているものすべてはこの俺が与えたものだぞ!

漆黒の煙霧がベルナルドの首に纏わりつく。
だが彼はまったくそれに意を介さない。

ベルナルド
ベルナルド

まだ分からんのかね、ザーロ。

ベルナルド
ベルナルド

狼の主同士のゲームなど、私からすればどうだっていいことだ。

ベルナルド
ベルナルド

君のほうも、所詮はこのシラクーザという国を想像することが限界だったのだろうな。

ベルナルド
ベルナルド

権力の極みとは、一つの国を、あるいはより多くの国ないしはこの大地全土を掌握することなのだと、そう君は考えている。

ベルナルド
ベルナルド

だが私はそうは思わんね。

ベルナルド
ベルナルド

本当の意味における権力とは、一つの時代を率いるに足りる力のことを指すのだよ。

ベルナルド
ベルナルド

本来ならば、シラクーザは私の計画によって私に傾くはずだった。

ベルナルド
ベルナルド

だがつい先ほど、私の息子が私に教えてくれたよ。あの子が見てる図版はもっと遠く、広いものだった。

ベルナルド
ベルナルド

ザーロ、君はそのことに安堵を覚えるべきだね。

ベルナルド
ベルナルド

その安堵を覚えたまま、もう君の住まう森に帰りたまえ。

ベルナルド
ベルナルド

今回のこのゲームは――

ベルナルド
ベルナルド

君の……負けだ。

ザーロ
ザーロ

俺の負けだと?フンッ、そんなわけあるか!俺にはまだ無数もの方法で――

狼の主が牙たちをコントロールする方法ならいくらでもある。
しかし、一筋の血がベルナルドの口角から滴り落ちるのを、この時ザーロは気付いてしまった。

ザーロ
ザーロ

なっ、毒薬だと!?

ザーロ
ザーロ

貴様ァ、最初からそのつもりだったのか、ベルナルド!

ベルナルドは答えない、もはやそんな気力すらも残っていないからだ。
彼はただ顔を上げ、教会にある隠し扉へ目を向ける。
やがて視線は花園を超え、ビルを超え、曇雲を超え。
ついには時間すらも超えていく。
その目に映ったのはあの年の夏。彼がいち靴職人として、烈日の下、せっせと労働の汗を垂れ流していた頃の夏の日だった。
その頃の彼は、今までにないほどの充実感を覚えていたのである。
今この時もなお、深く彼の心に染みわたった充実感を。
そしてやがて、ベルナルドはゆっくりと瞼を閉じる。
さながら一人の、一族の主であるかのように。

ザーロ
ザーロ

愚かだ。

ザーロ
ザーロ

愚かだぞ、ベルナルドォ!!!

巨狼の咆哮が教会の建物中に響き渡る。
しかし誰もその咆哮に応えてくれる者はいない。
しばらくして、ザーロはレオントゥッツォが離れていった方角に視線を向ける。
こんな失敗などあってはならない。
絶対にだ。

ヴォルシーニの街中には、今まさにファミリー間が闘争を繰り広げている箇所があれば、何事もなく平静なままでいる箇所もある。
そんなヴォルシーニの入口に、とある老婦人がゆっくりと現れてきた。それを知る者は、この時ばかりはいなかった。
だが遠くない場所で、アイマスクを被った一人のサンクタだけが、静かに彼女の到来を待っていたのである。

穏やかな老婦人
穏やかな老婦人

新都市の区画にある建物、もうここから見えるようになったのね。

アジェニール
アジェニール

ああ、中々に見物だな、違うか?

穏やかな老婦人
穏やかな老婦人

ふふ、私からすればちょっと目立ち過ぎね。

アジェニール
アジェニール

君のそのセンスはもう時代遅れだよ、シチリアーナ。

穏やかな老婦人
穏やかな老婦人

あなたに言われたくはないわ。

アジェニール
アジェニール

で、もう決めたのか?

穏やかな老婦人
穏やかな老婦人

まだよ。

穏やかな老婦人
穏やかな老婦人

ただまあ、とりあえず一番派手に騒いでるファミリーに少しだけ警告を入れておこうかしら。

スィニョーラがそう言い終えると、彼女の近くで幾つかの黒い影が現れる。
そしてすぐさま、ヴォルシーニの林立する建物の隙間へと消えていった。

穏やかな老婦人
穏やかな老婦人

あと、古い友人にも会ってやらないとね。

アジェニール
アジェニール

私の意見がまだ足りなかったのかね?

穏やかな老婦人
シチリア夫人

意見なら多いに越したことはないわよ。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

やっぱり、ここにいたのね。

ベン
ベン

アジェーニルが教えたんだろ、私がここにいるって。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

そうよ。

ベン
ベン

ここのトラットリアの飯は美味い、私好みだ。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

久しぶりね、ベン。

ベン
ベン

久しぶりだな、シチリアーナ。

ベン
ベン

それで、何しに来たのかな?

穏やかな老婦人
シチリア夫人

なんだと思う?

ベン
ベン

もし単に街を鎮圧するためなら、君がわざわざ私のところに来るはずもない。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

ベルナルドはよくオオカミの群れを理解していたわ。彼の計画もしっかりしていたけど、「流れに身を任せる」という言葉に尽きるわね。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

十二ファミリーの血腥い気性も彼によって目覚めさせられてしまった。ああいった気性を抑えつけるのも、中々骨が折れることよ。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

……まあ、とても骨が折れるとまではいかないけど。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

そこであなたからアドバイスを頂戴しようと思って来たのよ。アジェーニルからも色々とほかのことを聞いたからね。

ベン
ベン

アドバイスならないぞ。よく通ってるとこのシェフが変わらないでもらいたいとしか、今は考えていないかな。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

てっきり今のシラクーザに少しは思うところがあると思っていたわ。

ベン
ベン

懐かしむのもその一種だろ。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

薄情な人ね。

ベン
ベン

そっちこそ、本当に私の意見など必要としているのか?

穏やかな老婦人
シチリア夫人

いいえ、まったく。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

ただ文明の中に生まれるも、文明に疎い者であるあなたが何を考えているのか、それがどうしても知りたくてね。

ベン
ベン

……その時代に生まれた人というのは、必ず自分が生まれ落ちたその時代に縛り付けられるものだ。

ベン
ベン

誰もこの理から逃れることはできない。

ベン
ベン

だからベルナルドのあの考えは、君の時代から生まれた執念みたいなものだと言える。

ベン
ベン

暴力で時代をバラすことはできても、その後どうすればいいのかはてんで分からないまま。

穏やかな老婦人
シチリア夫人

じゃあ彼の息子は?

ベン
ベン

知らないね、未来のことなど分かるわけがないだろ。

ベン
ベン

けど君はもう分かっているはずだ、違うか?

ベン
ベン

この時代に生まれた新芽であると。

タイトルとURLをコピーしました