
偵察完了~、敵の確認はなしっと。

にしてもあの人たちがくれた地図すごいね、一回も足止めを食らわずにここへ辿りつけちゃったよ。

新区画の設計は、どれもクルビアからの技術を採用しているんです。

そのうちの多くは、未だにファミリーらでも理解できないものがありますから。

たとえば私たちが通過した後、この司令塔に通じてるルートならもうすでに封鎖されていますよ。

ほか一部のルートも、多かれ少なかれ技術的な手段で封鎖されています。

それに、ここに来るまでの途中も見えたでしょう。

ファミリー同士の争いが徐々に広まりつつある。おそらく大方のファミリーが司令塔を奪おうと考えても、ほかのファミリーに邪魔されてしまっているでしょうね。

しかもウチらがすでに司令塔を占拠しちゃってるって、向こうはまったく思いついちゃいないだろうね。

ええ、しかしまだ油断はできません。

ベッローネにしろ、ロッサーティにしろ、それともサルッツォにしろ。少なくともこの三家が副中枢区画を諦めるとは思えませんし、きっとすでにこちらへ向かってきてるでしょう。

アタシとテキサスがいるから問題ないよ。

……申し訳ありません、本当はあなたたちを巻き込むつもりはなかったのに。

好きでやってるだけだ。

そそ、アタシも!あとでどこのピッツァが美味しいか教えてもらえればそれでいいから。

ええ。

……

ところでさっき、ここにある技術はすべてクルビア由来だと言ったな。

はい、ほとんどはロッサーティが持ち帰ってきたものですから、向こうが封鎖を突破してくるんじゃないかと少し心配でして。

……ならあいつらが辿るかもしれないルートを教えてくれないか?
(ウォーラックがマフィア達を切り倒す)

……

おかしい、何かがおかしい。

あんたも勘付いたか。

ほかのファミリーに邪魔されているってのもあるが……

もしさっき通ったところの門が、なんらかの原因で起動させられていたとしたらだ。

こうも回り道ばかりをしてるもんだから大方は確信がつく。絶対誰かがわざとルートを封鎖していやがるぞ。

……それはつまり、俺たちよりも先を行ってるヤツらがいるってことか?

しかもその連中は、ここの区域の構造をよく理解している。

……それを理解しているのは、おそらくは俺たちロッサーティの人間だ。

それか、この副中枢区画の建造に関わったヤツだろう。

……相手が誰なのかはひとまず後だ。

で、俺たちはどうここを突破しりゃいいんだ?

……俺の部下に精通してるヤツがいる、そいつに任せてみよう。

それじゃあ時間の無駄だ。

それに……

もしこれが意図的に起こされたことなら、必ず念には念を入れてくるはずだ。

あんたの言いたいことなら分かるさ。

お互い仲良くなくてもそれなりにやって来たが、それもここまでのようだな。

ああ、そうだな。

……

なあベッローネの、ある意味俺たちは似た者同士だよ。

あんたと一緒にしないでもらいたいね。

なんだ、違うとでも?

見りゃ分かるさ。あんたも頭は冴えちゃいるが、実際は死ぬほど忠誠心が高いバカの類なんだろ。

あんたに言われたくはないね。

自分を持ち上げるつもりならないさ。俺なら俺が何をしてるのかはよぉく分かっている、後悔もしちゃいない。

だがあんたはどうなんだ?もし本当にあんたの言った通り、自分んとこのドンがすべての元凶で、自分の兄弟とも対立しなきゃならなくなるかもしれないってことになったらだ。

あんたは本当に手を出せるのか?

自分が求めているものを掴み取ってやれるのか?

そう言うあんたはもう掴んだのかよ?

いいや、ないさ。申し訳ないとは思っているが、ほかに選択肢はなかったんでな。

ラヴィニアさん、一か所に隠れてたこの司令塔の技術職員らを見つけましたよ。

あなたと話がしたいと。

分かりました。

あなたは……裁判官さん!?

落ち着いて、あなたたちを傷つけるつもりはありません。

今の私はファミリーの者でもなく、スィニョーラの者でもありませんから。

……じゃあ、なんなんです?

ただのラヴィニア・ファルコーネです。

……そう。

私たちに手を出さないってんなら、少しだけ助けてやってもいいわよ。

……その前に一つ聞きたいことがあります。

なに?

あなたたちに副中枢区画の分離工程を起動させたのは誰ですか?ベッローネの人間ですか?

……ベッローネのドン、ベルナルドだって人にやれって言われたわ。

ベルナルド……やはりあなただったのね。

権力のためにここまでするだなんて――

それに、ファミリーのいないシラクーザを想像したことはあるかって、そんなことも聞かれたわ。

……今、なんと言いました?

この先が門の制御室なんだな?

はい。

よし、そんじゃ――

また会ったな、チェッリーニア。
(テキサスが姿を現す)

……
(テキサスが剣を引き抜く)

まあそうだろうな。俺とあんたは生きるか死ぬかってことしかねえだろうさ。

……ラヴィニア、あの裁判官か?

はい。

ドンの指示通り、突破する前に少し回り道をしたら、役人を一人とっ捕まえることができました。今のも全部そいつが吐いたものですよ。

司令塔ならすでに自分のモンを率いたラヴィニアに占拠されてしまいました。

なるほど。まさかたかだか裁判官風情が、役人どもの助力であんなことをしでかすとはな。

だがそんな小細工でファミリーらを足止めできるはずもない。
(ファミリーメンバーが急いで部屋に入ってくる)

ドン、大変ですッ!

なんだ?

ラップランドが、ラップランドがつい先ほどこっちに戻ってきて!何も言わずにファミリーの連中を襲って、今こっちに向かってきています!

……

ヤツを止めろ。

はい!
(ラップランドが通りがかりにマフィアを切り倒していく)

ラップランド、お前の殺しの技量も少しは進歩したじゃないか。

昔だったら、ここまで来るのにもう少し時間がかかっていたぞ、傷もたくさん付けながらな。

そっちこそ、相変わらず自分の部下たちが殺されてもまったく動じないね。

使えない部下を惜しむ必要なんてどこにあるんだ?

じゃあ使えない子供はどうなの?あぁそうだった、パパにとっちゃ部下も子供も一緒か。

お前も知ってるだろ。私が一番毛嫌いしているのは、無能で働き者のタイプの人間だ。

お前がこの家に戻ってくるまでの間、私はずっと待っていたぞ。

お前が私に牙を向けてくる時をな。

その時が今ようやくやってきた。

なあ教えてくれ、私の娘よ。一体なぜこれまで何年もの間ずっと、何度も何度も私を怒らせ、私に逆らい、私に歯向かってきているのだ?

教えてくれ、そうじゃなきゃ教育のしようもないだろ。
アルベルトの言葉を聞き、ラップランドはニコリと笑った。
そして手にしている武器を下ろしたのであった。

そろそろパパの暗殺を計画したほうがいいんじゃないかって、ずっと考えていたんだよね。

ほう?

お前にとって、親殺しはそこまで迷うようなことなのか?

迷っているのはその行為じゃなくて、やる意味にあるのさ。

意味だと?ハッ、お前も意味を探ることなんてあるんだな。

ボクにとっての意味は、パパにとっての利益と同じぐらい大事なものだからね。

ねえパパ、どうしてボクがいつもテキサスのことを気にしちゃってるか分かる?

一度もお前から聞いてはいなかったから知らんな。

ボクは生まれてから、ここのファミリーの一員として育てられた。

パパは一番シラクーザ人らしい教育をボクに施し、ボクもパパにその期待を応えてきた。

シラクーザ人を演じるってことに関しては、ボク以上に上手くやれてる人間はいないだろうね。

お前が自分の身分を認めているとは思いもしなかったぞ、娘よ。

パパの支配から逃れられたことなんて一度もあったと思う?

いや、パパの支配じゃないや。このシラクーザからの、ファミリーの、血筋の、ルールからの支配だろうね。

全部嫌いだったよ、全部。でも気付いてしまったんだ、こいつらから逃れることはできないんだって。

こいつらは影も形もなくボクを支配し続けてきた。

ボクがいくら抗っても、結局その抗いもパパの支配下に置かれていただけに過ぎなかったんだって。

そんなんじゃ抜け道なんて見つかるわけもないよ。

シラクーザを、踏み込めば二度と抜け出すことのできない泥沼と考えているのはお前だけだ。

泥沼だよ。パパも他の者も含めて、みーんなそこの泥水さ。自分がどれだけ濁っているのかも知らないような、ね。

まあ当然だけど、あの頃のボクはそんなこと考えつくこともなかったんだけど。

あの頃の自分は十分過ぎるほどイカレていたって、反逆心が旺盛だって思っていたけれど、今思うとただ勘違いだったね。

あの頃のパパもさ、あと何年か経てばボクもきっと現実を受け止めてくれるって思ってたでしょ?

そうだな。

お前が歯向かってきていることはよく分かっていたよ。だが、その反逆心が一体どこからやってきたのかだけは分からなかった。

それはね、パパが自分の暮らしと行いは絶対的に正しいって、ずっとそう思い込んでいたから。

いずれボクはパパみたいな人間になるんだって、パパは一度も疑わなかったからだよ。

でもね、そんな時に彼女が現れたんだ。

最初はさ、遠いクルビアって場所でボクよりもシラクーザ人らしいヤツがいるってことで気になっていたんだ。

チェッリーニア・テキサス、サルヴァトーレの孫娘。

冷酷で、情け容赦なく、しかし情も義理も厚いそんな彼女が。

シラクーザの地を踏んだ後、彼女はすぐさまファミリーの間で一番名のあるシラクーザ人になったよ。

ただのクルビア人なのにね。

お前もよくできていたさ。

ハハッ、そりゃもちろん。

でもボクが彼女を気にしてるとこはそこじゃない。

彼女もシラクーザ人になったのに、この泥沼に足を突っ込んだはずだったのに。

なのに結局、彼女は自分の血筋に見切りをつけ、自分のファミリーが清算に遭っても放っておいたとこにあったのさ。

あれの元凶はすべてジュゼッペにある、チェッリーニアが放任するのも当然だ。むしろ、親殺しの大義名分を履行したまであるだろ。

オオカミの群れの中で、裏切り行為は決して珍しいことじゃない。

でも彼女は諦めることを、見切りをつけることを選んだんだよ。

想像できるパパ?

あの日、彼女がシラクーザを離れ、すべてを捨て去ろうってした時、ボクはどれだけ――

興奮したことか!

フッ、それも一種の抗いか。だが、それでチェッリーニアが無事ここから抜け出すことができたとでも?

抜け出せられてはいないさ。最初からこの地が彼女を逃すはずがないってことは、ボクにも分かっていたからね。

ならなぜ私に立ちはだかろうとしているのだ?それもすべてヤツがいるから?

彼女がいるから?

いやいや、そんなことはないよ、パパ。

ボクがここに立っているのは、別に彼女の成功と失敗から何かを学んだからってわけじゃないさ。

こういう選択肢もあるんだって、向こうがボクに教えてくれたからだよ。

彼女がいずれまたここに戻ってくるのは分かっていた。だから彼女が戻ってきた後に何をするのか、それが楽しみで楽しみでね。

だがヤツは何も成し遂げられなかっただろ。

違うよ、パパは何も分かっていないね。

彼女は選ぶことにしたのさ。

おいチェッリーニア、あんた自分が何をやっているのか分かってんのか?

お前が知る必要はない。

あんたはクルビアから、シラクーザから逃げて、そこにあるすべてを捨て去った。

なのに、しゃあしゃあとした面をしてまたここに帰ってきやがって。

自分がバカらしいとは思わねえのか?
(斬撃音)

この国はまだそこまで終わっちゃいないと思ったんでな。

だから私は逃げることをやめた、それだけだ。

逃げることをやめたから、戻ってくることにしたってわけか。

じゃああんたに捨てられた人たちのことはどうする?

言ってみろ!どうしてくれるんだ!

八つ当たりだな。

ジョバンナに手を出さざるを得なかったのはお前なのに、その原因を私になすりつけようしている。

俺はそこまで恥知らずな人間じゃねえさ。

だとしても、代償は払ってもらうぞ。
(戦闘音)

……チェッリーニア、ロクな死に方はしないぞ。

心配ない、どんな死も私からすれば一番の安らぎだ。
(斬撃音)

クソ……が……
(ウォーラックが倒れる)

そこで今度はボクの番になったってわけさ。

何度も悩んだよ、寝つけられなくなるほどにね。

でも、こうしてパパの前に立ってるとね、ふと気付くんだ――

そうか、別に難しいことでもないんだって。

ボクはパパに歯向かい、パパを殺したかったわけじゃなかったんだ。

パパに、ボクの父親に、このファミリーに、この泥沼にお別れを告げたかっただけだったんだってね。

だからボクはここに来たのさ。

そんなことをしてみろ、シラクーザそのものを敵に回すことになるぞ。

その逆だよ、パパ。

シラクーザがボクを敵に回したのさ。

……

もう会うことはないだろうね、パパ。さようなら。
ラップランドは自らの父親に深々と別れのお辞儀を済ませる。
今がこのバケモノを殺せる最後のチャンスなのだと、アルベルトは薄々勘付いていた。
そうだ、ヤツはバケモノだ。
私が自ら育てたバケモノだ。
決して無敵というわけではないにも関わらず、何者にも打ち破れぬような雰囲気を彼女は纏っている。
もしいま手を出せば、必ずと言っていいほど自分の娘をこの場で殺すことができるだろうと、アルベルトは思った。
彼女は決して何者にも恐れられぬ存在ではないが、自ら失えるすべてを捨て去った存在ではある。
ここで殺し、後顧の憂いを絶つべきだ。
しかし……
「パパ」
彼女は私が自ら育てたバケモノだ。
単に見切りをつけるだけであったのなら、私に会いに来る必要などあっただろうか?
群れから離れたオオカミなら、誰しも自分が属していた群れのことを忘れはしない。しかし今日、私の娘はとうとう群れから離れることを選んだ。
そう思いながら、アルベルトは深くため息をつく。

次会った時は必ず殺してやるぞ。私の娘、私の誇りにして、私の裏切者よ。
それを聞いてラップランドはニコリと笑顔を見せるが、言葉は返さなかった。
彼女はもう、群れを離れたオオカミではなくなった。
シラクーザには、もはや彼女を受け入れる余地はなくなった。
しかしそれは彼女も同じであり、彼女もまた必要とはしなくなったのだ。

さて、残りはキミだけだね、テキサス。
(ラヴィニアがエクシアと電話で会話をする)

あの、本当にチェッリーニアさんだけを向かわせて大丈夫だったんですか?

平気平気~。

一人で行かせてくれって言うぐらいなんだから、それなりの理由でもあったんでしょ。

気にならないのですか?

相手の言いたくないことには詮索しない!これいいバディーとしての必須条件ね、分かる?

本当に仲がいいんですね。

もっちろん!

あれ?

どうかしましたか?

なんか一人そっちに向かって来てる人がいるよ、しかも結構速い。

一人ですか?

うん、たったの一人。

黒髪で、すげー威張り散らしてるような服装を着たマフィアのボンボン、あと二丁拳銃。

……レオン?

ラヴィニア……やはりお前たちだったか。

……レオントゥッツォ、なぜここにいるんですか?

お前を探していた。でもお前、ファミリーとの連絡手段を全部シャットアウトしてただろ、おかげで連絡がつかなかったぞ。

探してる途中でほかのファミリーの連中から聞いたんだが、どうやらファミリーでない何者かが副中枢区画の各種通路を閉鎖して回っているらしい。

だからここに来た。

……そう。長い間カラッチの傍にいたものだから、当然ここが一番の突破口だってことも分かっているものね。

けど、こちらはもうあなたと話すことなどありませんよ、レオン。

違うんだ、ラヴィニア……

俺は――
(ディミトリーがマフィアを連れて近づいてくる)

レオンか!?それとラヴィニアと、法廷の人たちまで……

そうか、後ろで副中枢区画を操っていたのはあんただったんだな、ラヴィニア。

……

おいレオン、あんたあれからどこに行ってたんだ?まさかずっとラヴィニアの傍にいたわけじゃないだろうな?

……

いや、俺は親父を探していた。

なに?

なんでそれを俺に教えなかったんだ!?

……アルベルトと会った時、あの洗車屋からの訴えを聞いた時、俺は――

過去の俺がどれだけ間違っていたのかに気付かされたんだ。

だから――
広々としたら大通りの中、ディミトリーとラヴィニアが互いに睨みを利かせている。
その間に立っているレオントゥッツォは大きく息を吸った後、ついにはラヴィニアの傍に寄り添った。

それがあんたの答えなんだな?

ああ。

俺はもうベッローネのドンではなくなった。

……自分が何をやっているのかは、分かっているはずだよな、レオン?

ああ、分かっている。

分かっているだと?

ドンは自分のデカい理想のために、このファミリーを捨てやがった!

それで今度はあんたの番か!あんたもそのデカい目標かなんかのために、ファミリーを棄てるつもりなんだな!?

俺たちは一つの家族だろうが、なあレオントゥッツォ!

俺の目を見ろ、答えろ!

一緒に育って、一緒にたくさんのことを経験してきたのに。

それが全部、あんたにとってどうでもいいものだったのかよ!

親父はこのファミリーを利用して、シラクーザにとっての新しい時代という導火線に火を点けた。

その点で言えば親父は間違っていると思う、だが……
レオントゥッツォはゆっくりと視線を上げ、ディミトリーと目を合わせる。

俺もいずれは、すべてのファミリーを敵に回さすつもりでいたさ。

そういうことが起こると決まっていたのなら――

痛みは短く済ませてやったほうがいいだろ、なあディミトリー。

……
しかし、一触即発といった時に、とある悪寒がその場にいる全員を包み込んだ。
逃れられぬ、と。
やり遂げられぬ、と。
楽には死ねぬ、と。

なんだ……これは……

くッ……頭の中で……声が……
やがてその場に、黒い霧が集まっていく。
霧が大きくなるにつれ、見えない圧が少しずつその場にいる人たちの頭に、肩に、心に圧し掛かる。
一方その場にいた人たちは、この威圧にとある親近感を覚えていた。まるで自分たちの血脈と繋がりがあるような……いや、まさに繋がりがあるものであったのだ。
だが次の瞬間、彼らはただ果てしない恐怖に苛まれた。なぜならこの見えない威圧には、果てしない怒りすらも含まれていたからである。
人としての理性もこの時ばかりは抑圧されるがあまり、まるで訴えかけてくるような声を発してきたのだ――
跪づけ、と。
服従せよ、と。

さ、寒い……
(ガードマンが倒れる)
この威圧に耐えられなかった者たちが続々と倒れていく中、残ったのはラヴィニアとレオントゥッツォ、そしてディミトリーだけであった。

この感覚、見覚えがあるぞ……
レオントゥッツォが視線を、その黒い霧から生じた実体に向けた時――

気を付けて、その黒い霧ヤバいよ!

狼の……主。
言い終えるや否や、黒い霧から生じた狼たちの群れが、こぞってレオントゥッツォに襲い掛かってきたのだ。






