エーン、エーン…
お腹すいたよ!
パパは?パパは何処に行ったの?
パパがいないとだめなの…パパは!パパは!
パパを連れてきてよ!
…!
子供?
こちらBlaze-4、Amiya-1小隊に通達、スラム街40区10号にある廃墟の建物の中で生存している子供を発見、感染者です。
エーン、エーン…
…こんにちは。
あ、あなたは誰?
龍門人?
…私はあなたを傷つけはしないわ。ウルサス語はあまり得意じゃないけど。あなたの敵じゃないよ。
何を言ってるの?
私と一緒に来て、ここは混乱しているわ。
おじさんがここにいろって行ってたから、動いちゃいけないんだ…。
…でも私ならあなたを連れてお父さんを探すことが出来るわよ。
本当に?
本当よ。
私の後ろで待ち伏せしている人、出てきなさい。
お前は…。
お前はあいつらじゃないのか。
お前は…お前はロドスか?
ぼうや、後ろに下がって。こっちに来ちゃだめよ。
武器を捨てなさい、捕縛するわ。
え?
俺たちを手伝いに来たんじゃないのか?
ロドス!お前たちはここに何が潜んでいるのか分かっているのか?
俺たちはせっかく待ち伏せをしていたのに…あいつらは誘い出せず、あいつらを殺せなかった、俺たちは殺されるんだよ!
子供を待ち伏せの餌にするくらいなら殺されたほうが良いわ。
…何を考えているんだ?俺たちが殺されれば解決すると思っているのか?
例え俺たちが殺されたとしても、あいつは子供を見逃しはしない。あいつらは誰も見逃しはしないんだぞ!
そんな簡単に事が終わるのであれば、俺達は喜んで殺されてやるし、子供を餌としても扱わねえよ!
俺たちはお前を攻撃しなかっただろ!
誰がそんなことを…まさか黒い雨衣を着た人なの?
あいつらに会ったことがあるなら、どうして分からねえんだ!あいつらは皆殺しにするつもりなんだぞ!
それって言い訳じゃないの。とにかくあんたを制圧した後、私はあんたの保護を要請するわ。
誰がお前を信じる?お前の矢に射抜かれて人がもう死んでるんだぞ。何を保護するっていうんだ?
あんた達の命は守るわ。
ほっといてくれよ、まずはあの女をどうにかして、俺達はもう一回やり直すからな!
集合命令と撤退命令が聞こえていたのに、このままここで死んだら、子供を守るために死んだ両親に申し訳が立たねえ。あいつらは俺達の仲間だったんだ!
…ぼうや、遠くに隠れて!
ぐ…
私、行きてる?
いいや、あなたは死んだほうが良いと思ったの?
ブレイズオペレーター?
あなたが死んでも、あのことはこの地上から消えることはない。なら生きていたほうが良いでしょ。
あの…レユニオンは?子供達は?
…。
オペレーターグレイスロー、あなたのこと誤解していたみたい、ごめんなさい。
子供は!
レユニオンは始末した!子供は隠しておいた!あなたは私の話をよく聞かないんだね!
必要無かったのに…子供が安全ならそれで良かったのに。
…あなたが他の人にとても怒るなんて何かあったの?
あんたは私を何と誤解しているのよ?
あなたが感染者である子どもたちのために必死に戦っている姿を見たんだ。わあ、いい女になったなって。
あんたって話すの下手くそね。
私は情緒的に勝手に話すからね。以前のあなたは血も涙もない非感染者だと思っていて、ロドスに入ったのも情報を探るためだと思っていたけど、私はあなたを誤解していたみたい。
もし私がスパイだったら、私はこうこう方法であんたを信頼させるでしょうけどね。まああんたが馬鹿では無い限り、私は血を流して死ぬことになるだろうけど…。
包帯を巻いてくれたの?
私はエリートオペレーターだからね、こういうのも私がすべきことだから。
あなたの話は正しいかもしれない。
あなたがスパイだと分かっても…あなたが正しいことをしたことに変わりはない。あなたがスパイだったら、私は先にあなたを救って法務部に送り飛ばすけど。
私は逃げるかもしれないけどね
あるものないものばかり考えてだめだよ。どうして私を追い越すことが出来ると思うの?
信頼っていうのは防犯的な意味じゃない。信頼はあなたが何を出来るのか知って、何が出来ないのか知るっていうこと。
あなたがしたことは正しいし、私はそれを支持する。あなたが間違ったことをすれば私はそれを正して、やめさせたい。それが信じるってことじゃないかな。
ありがとう、グレイスロート。私を信じてくれて。あなたの行動が私の考えを正してくれた。
ごめんなさい。
…
でも、あなたの勧告の仕方は良いものじゃない。彼らは片隅で頑固に抵抗しようとしているんじゃなくて、これは生きるための表現なんだ。
何かあれば、やっぱりあなたは法務部に行くべきだ。
勝手にして。
・悪くないみたいだな!
・…
・彼女たちの関係は少しは良くなった?
たぶん…少なくともブレイズはそうですね。彼女がこんなにも早く先入観を捨てて事実を話し合うことが出来たなんて。
ロドスのエリートオペレーターは優れた戦闘能力を持つだけではありません。ブレイズはグループに溶け込み、他人とのコミュニケーションも流動性も、非常に上手です。ただ彼女も自身の立場を持っていた。
彼女をうまく指揮したいのであれば、彼女の支持を得るべきですし、信頼も得るべきですし、どうやって彼女を信頼するかも学ぶべきでしょう。
私はブレイズと長い間共に戦ってきました。私は…ドクターも試してみてほしいです。
・私は大丈夫だ
・…
・それには彼女の協力も必要だ。
まだ足りないのではないでしょうか?
表面上は彼女は大雑把ですが、ブレイズの内面はとても複雑です。
もう少しの時間を経て、いろんなことを経験すればDr.◯◯◯もそうなれると思います。
なのでもう少しだけ頑張って下さい!
今は…
オペレーター達がロドスのいくつかの命令に合理的に従っているのは往々にして責任感からであり、信頼からによるものではありません。
真の信頼は理解の上に成り立つのです。ブレイズが今グレイスロートを信じ始めたように…。
あ…
ここで敵の動きがまとまっているようですね。
私達はもっとブレイズに謝る場所を作ってあげましょう。こういうことに関して彼女は口下手ですので。
・彼女たちにはもっと時間をあげないとな!
・…
・彼女って口下手なのか?
ええ。
話が上手くても、感情表現は得意ではありません。
事実、ブレイズは時間を掛けてグレイスロートに謝ることもなく、むしろ彼女は対抗意識の中で他者に対して誤解をしており、更には根強い偏見も持っています。
一般人だけが感染者に偏見を持っているわけではないのです…感染者も一般人に対して持っています。
内在する敵と外在する敵というのはどちらも敵なんです。
・私達は全ての敵に打ち勝たなければ。
…そうですね。
そうです。
先程のレユニオンの目は恐怖に満ちていました。
私達と近衛局は彼らをあそこまで驚かせるためではなく、言うまでも無く彼らに彼ら本来の主張を破らせることを強制するためでもありません。
彼らはどのような敵と出会ったのか…一体何が彼らをこのようにしてしまったのでしょうか?
私達は…その人達の敵になるのでしょうか?
(戦闘)
(くっ、がっ…!はあ、はあ…)
(…策にハマっただと?!さっきの攻撃はフェイントだったのか?)
(さらにはあの女、私の隊列を切り分けて全体の戦力を失わせるとは…)
(まずい、すぐにあいつらに連絡をしなければ!)
(くそ、どうして指が動かないんだ?どうして私は震えているんだ!)
(くそ…あいつに追いつかれてはいけない!)
!
ぐあ、ごほっ!
(低い唸り声)
レッド、彼女は殺すな。
…。
ごほ、ごほ…!ぐっ!
彼女か?
間違いない。赤い臭いがする
(クンクン)
だめ、偽物、こいつは狼じゃない。
この臭い、本当の狼。本当の狼は初めて。
本当の狼?
この…畜生が!
動くな。
ぐっ、何故…?力が出せないんだ?
こいつが…こいつが私を抑えている?
彼女はまだ力を出すつもり。狼の技だ。彼女は狼から咬み付きを学んだことがある。
彼女は反撃するつもり。レッド、彼女の脊髄を刺して、麻痺させる。
必要ない
うん。
待て。お前…。
…お前。お前は。やっとお前を見つけたぞ…!
裏切り者…裏切り者め。見つけただぞ、裏切り者!
お前は…。
イベリアの娘のリュドミラか?
黙れ!お前がどうして私の父の名前を口にする!
研究所と研究者の全てはウルサスによって口減らしされたんだぞ。
お前はそう思っているのか?
よくもそんなことが言えたものだな?!
お前のせいだ、お前という卑劣な裏切り者はセルゲイと一緒に私の父を裏切ったんだ、他の科学者の全てを売ったんだ!
…
お前の髪の色はお前の父にそっくりだ。
…何を言っている?お前は何を…。
動くな。
ぐっ!
ならば、何故私はお前の非難に反応しなかったと思う?
このクズが!
クズか。お前は私を一体どういう人だと望んでいる?
私は矮小で臆病で、金銭と安寧を貪れば良いのか…それとも私は冷酷で残酷で、目的を達成するために選ぶべきではないのだろうか?
今の私は君の想像を満たすものか?
考えたこともなかった…お前が徹頭徹尾そこまで無情で冷血な女だったとはな!
お前がセルゲイを殺している時、彼は懺悔はしたんじゃないのか?
…どういうことだ…。
彼がアレックスとミーシャの父親ということは知っていたか?
ふっ、ははは…アレックスが私を連れてあいつを見つけたんだよ!
…レユニオンはアレックスを加入させて、彼の父を殺し、姉を追跡したのか。
ふん。
レッド。彼女に機会を与えるんだ。
分かった。
…お前何をするつもりだ?
私を殺す機会をくれてやる。
チャンスだと?自分が何を言っているのか分かっているのか?
命を投げ捨てるつもりか?同僚を裏切りチェルノボーグの上層に紛れ込んだセルゲイと同じ用に懺悔したいのか?
…お前は後悔をしろ。お前が自身でしたこと全てを後悔しろ!
私は常日頃こう言っている「後悔をしたことはない」と…。
だが今日は君には素直に教えるとしよう。私にはとても悔しいことがあった。
――だが、それは君の父とは何の関係も無いことだ。
…お前を殺す。お前を殺してやる!
がっ、はぁ…
”犠牲者の苦しみを飲み込み”…。
霧か?
アーツ。
霧…いや本質は煙か。
口腔内の発煙器官を利用し、神経伝達で煙を引き起こす。感覚器官を頼りにした特殊なアーツか。
そんなところに突っ立って話続けるとは…救いの無い奴め。恐怖をどうやって表現するかも忘れてしまったのか?
お前はどうして私の父を裏切った?何故科学者達を裏切った?
何故だ!何故お前は――
”ケルシー所長”
リュドミラ、私はただ幸運にも逃げられただけだ。
お前のでたらめを信じろと?
はあ。お前の父は《正当と正義》を読み教えてくれたことはあるのか?
――!
5歳のお前にこの本を見せていればな…イリアも非常識なことだ。
彼は本当にこの本が好きだった。真夏のある日、彼は君と本を抱いて窓に通ったんだ。灌木の間に日光のオレンジ色が映えていた。彼は君に手を振るように言ったんだ、意地になって顔を背けちゃいけないともな。
もういい。
その日の夜に彼は私に聴いたんだ――もし私達が石棺を封鎖出来たら、石棺内の機械構造の存在をウルサスに漏らさなければもっと多くの人を救えるのか?
この機械を戦争に使うことを阻止出来るのか?と。
お前はそんなことを使って、そんな…そんな甘言を使って私の邪魔をするのか?!
イリヤは石棺封じ込めの発起人の一人で、彼の信奉の理念は彼の一生に影響を与えた。
君は父の闘志を受け継いでいるのだろうが、父の中にあるのは闘志だけでは無かった…。
リュドミラ、私は裏切り者なんだと思う。私を殺したければそうすればいい。ただ――。
暴力を選んだ以上は、君は必ず君よりも力のあるものに出会うことになる。
はは…。
もっと生意気を言うが良い。どんな術師だろうと、この深い霧を見抜くことは出来ず、私の位置を見分けることは出来なかった。
お前は惨めに死ぬ。私は必ず、必ずお前を惨めな死に晒してやる。
…(舌を出しての声)
科学者達のためにも、感染者のためにも、私は必ずお前を殺す。ウルサスに飼われた悪霊め、このゴミが!
私が術師のように見えるか?私は感染者であることに間違いはないが…。
出てこい、Mon3tr。
…?
…え?な…なんだ?
な、なんだ?お前の脊髄は?!
君自身は霧の影響を受けてはいないようだな。君には見えるということか。
そんな…そんなこと…。
おぇ…!な、何なんだ、お前…お前!
何なんだよ!
私は術師ではない。私はアーツには依存しない。
行け、Mon3tr。
(イキイキとした唸り声)
あ、がああ!
何なんだ!これは何なんだよ!
ああああ、離せ、離せ、私を離せよ!
どうして殻に刺さらない?ぎっ!触るな、私に触るな!
潰せ…。
あ!!
…頭上に落下物。
(甲高い不満げな声)
騒ぎすぎだ。ビルが壊れるだろう。彼女は壊さないようにしろ。
…。
うぅ…。
…いや…。
(低い唸り声)
私を殺せ。
何故?
…お前は私を簡単に殺せるんだろ!お前も獲物を弄ぶのか好きだっていうのか?!
お前を殺すことが出来ない私が生きて何の意味がある?
だが、覚えておけ。死んでも永遠にお前を呪ってやる。
…本当に死ぬつもりなのか?
…
死にたいのか?
….。
もし私が裏切り者なのであれば?君は私を殺せば少しは楽になるのか?
…もういい…もういい!私はお前を殺す、必ず!
イリアは私の学生でもあり、友人だ。
君の父は私が持った中では最高の研究員の一人で、彼の無私と一心不乱っぷりはウルサスを推し進めたと言っても良い。
もう言うな!何故そんなことを私に話す?もう聞きたくない、興味など無い!
君は考えている。君は自分を疑っているから。
君はセルゲイに説明する機会は無かっただろう。だから私が代わりに彼に話をしたんだ。
――私は誰だろうと、セルゲイであろうと裏切りはしない。
セルゲイは優柔不断な人ではあったが、貪欲ではなかった。
彼は生まれたばかりの子供をウルサスに握られていた。彼は自分の家族を救うために、お前の父の行方を当局に伝えたんだ。
今ではミーシャもアレックスも死んでしまった。彼は秘密をも売ったのに誰も守ることは出来なかった。
もし…もし前にミーシャを助けに行っていれば、彼女とスカルシュレッダーは…死んでいなかったのかもしれない。
いや…違う、違う!お前はこんなにも力を持っているのに何故私の父を助けてはくれなかった?!
(威嚇する低い声)
…。
出来なかったからだ
私は君の父に研究所を離れるように説得出来なかった。
リュドミラ、私はチェルノボーグを離れる前に君をシラクーザに送った。だが君は自身であの都市に帰ってきた。
ほら。君も君の父と同じじゃないか。時に意志は時間にすらも勝つということだ。
君はいつだってチェルノボーグに帰る。君がここで私に出会ったように。
…。
だったら、一切のことに意味は無いってことか?父と私がしたことには全部意味が無いってことか?
いいや。研究員達は彼らの死という形で秘密を守ったんだ。
ウルサスは今の今まで摂関内の装置の解析は出来ていない。それらは研究施設の放棄と共に封印されたから。
今は、僅かなエネルギーしか再利用されていない、チェルノボーグのコアの駆動用だけだ。
”反逆”という称号が本当に似つかわしいのであれば、私はウルサスの反逆者だ。
君の父の努力は有意義だった。例えウルサスが全てを覆ったとしても君は覚えているのだから。
私も覚えている。
(あくび)
…しかし、君がしたことは一体何のためだ?
ウルサスは研究所全体を洗浄し、科学者という天性の中でも希少で貴重な哀れみまでも虐殺をした。真の裏切り者は帝国そのものだ。
今の様子を見てみるが良い。お前はセルゲイを殺し、自身の子供すら守れない人までをも殺した。
今、君は龍門に来ているが、もし君と感染者の同胞がこの都市を奪ったのであれば、次はどうやって一般市民に対応をする?
彼らを殺すのか?奴隷にするのか?それとも彼らを荒野に追いやり、自滅でもさせるつもりか?
…私は…。
彼らを全員オリパシーに感染させて、感染者にし、君たちの苦痛を彼らに与えでもするのか?
…それとも、君は彼らと平和的に共存でもするのか?
君たちにそれが出来るのか?リュドミラ、今のレユニオンにそれが出来るのか?そうやって君は感染者の国を造りたのか、それともこういったやり方でウルサスに対抗をしたいのか?
ウルサスに対抗したいのであれば何故龍門に来る?恐怖で敵に対抗をするのであれば、君たちはどうやってウルサスよりも恐怖を増長させる?
(ケルシー、あいつ疑ってる、怖くて、逃げたがってる)
…。
Mon3tr、戻ってこい。
それで良いの?
彼女には聞こえたはずだ。
”クラウンスレイヤー”レユニオンの憎しみと君の憎しみは重なり合い、人を翻弄させることとなった。
父のことを考えるが良い。彼の教育について考えてみると良い。
考えろ。君は誰に復讐がしたいんだ?
暗殺と恐怖で舗装されたこの道に君を導いた…君の指導者はまともな人ではない。
本当の理想主義者は他人を放任し、自分のために死なせるなんてことは出来ない。
そこを離れるんだ。行こう、ここを離れて、道を変えよう。
真にこの大地を変える道に変えるんだ…もし君が本当に望むのならばだが。
あいつの匂いが消えた。
ケルシーはずっとあいつに会いたかったのか?どうしてあいつを殺さない?
家の無いハイエナを殺してはいけないんだ。例えその家が偽りだったとしてもだ?
その問題難しい。レッドはよく分からない。
じゃあ、レッド、彼女は私を殺すことに喜びを感じていたか?
そうじゃなかった。あいつは今も辛い。
私達は法律の代表では無いし、他人を裁く権利もない。私達には人を殺す力はあるが、殺戮が正しいと宣言する権力はない。
彼女が殺人に対して興奮と喜びを感じているのならば、すぐに彼女を殺す。私はかならずそうする。
レッド、分かってた。あいつは楽しくなかった。息が乱れてた。
今の彼女はウィルスの株だ。熱狂的なチェルノボーグ感染者の中に「不安」というウィルスを撒き散らす存在だ。
…一人でいくつまで生きられることが出来るのだろうか、そしてどれくらいまで道を歩くことが出来るのだろうか。私達がだまされていた時間は、常に私達が事実を見極める時間よりも多い。
まして事実を見極めることと選択をすることは別だ。
彼女が集団的復讐心から目覚めた日には、彼女はレユニオンから離れるだろう。セルゲイの血は、チェルノボーグ人の血として永遠に彼女の指の間に流れているのだから。
レッド…選択をしてしまったら、もう後には戻れないんだ。
レッド、分かった。レッド、頑張って、狼だけ殺す。
良い子だ。
この味を覚えたか?
レッド、覚えた。
どんな味だ?
…嫌いじゃない。
血なまぐさい味、だけどケルシーがさっき言ったのじゃなくて、何かよくある普通の人。
馬鹿な、タルラはドラク人だ、狼がどうして彼女なのか。
んん。
行こう?
ああ、行こう。
…気温が下がってきたな。時間が迫っている。効率を上げるときだろう。