
確認はしたが、連絡の出来るレユニオンのチームは全て撤収したようだ。

随分な人の数だな。

どこまでも続いていて…川のようだな。

荒原に川が流れているような…避難者の川が流れているな。

ウルサス人もいれば、龍門人もいる。感染者もいれば一般人も。来た時は彼らは貧乏だったり金持ちだったりしたのだろうが、行くときは手ぶらだな。

元々彼らは自分を受け入れてくれる所をあると思っていたようだが、今の彼らは自分たちに行くべき所が無いことを分かっている。

この川はきっとこの荒原からも消えてしまうだろう。

…。

(彼の口調はとても物悲しいものがあるな)

(父さんから習ったんだろうな)

(無理も無いさ。こういう時は人はどうしても少しは感傷的になるもんだ)

父さんがここにいたら、俺達はきっと勝てると思う。ここまで行く必要もなかったんじゃないのか?

運の良し悪しってことだよ。もう一つの結果をどう考えても無駄だ。

…準備しろ。幻影射手達と相談をしてみる。

急かすなよ。俺だって分かってない訳じゃないんだからさ。

さっさと行け、跡は残すなよ。

俺だって感傷に浸ってるんだよ!

それって確定なの?

ええ、雪怪小隊です。

アーミヤたちは?

もう現場に行きましたよ。アーミヤさんからの言伝です。”興奮はしないでください”と。

…

その話は話さなかったことと同じになるよ。彼女だって分かってる…衝動的と言えばロドスで一番なのは私なんだから。

ブレイズ!何処に行くんです!

人助け!

射手達!ちょっと待ってくれ!

雪怪…待て、お前は何をするつもりだ?

…フロストノヴァ姐さんの体はもう長くは持たないんだ。

彼女は龍門の部隊を撃退するために、力を使い果たしてしまった。しばらくは起きることは出来ないかもしれない

お前たちが彼女を連れて行くという意味か?

だが、俺達はもともとチェルノボーグに戻るつもりは無いんだ。ファウストもメフィストもそれを望んではいない。

俺はお前たちにお願いをしたい!

俺たちは姐さんには最期はパトリオットと一緒に過ごしてほしいんだよ!

彼らの関係が今は少し悪いのかもしれないが、俺達は知っているんだ…彼らの間の心は血よりも強いんだってことを。

俺たちは…だから頼む。

…。

お前たちは?

俺たちは殿をお前たちに渡す。少しでもお前たちに時間を渡してやらなければ、すぐにお前たちが龍門に追いつかれてしまうからな。

お前たちと他の人達が遠くに行くことが出来れば、龍門に対しての脅威が無くなることになり、あいつらもお前たちを追跡することは出来ないはずだ。

そんなことをしたら、お前たちは…

戦っていればいつかは戦死する。だけどここでなら戦死してもいいと思うんだ。

フロストノヴァ姐さんが言っていた未来は少し遠いものかもしれない。それに俺たちは実際にこの目で見なくても良いんだ。

またお前たちの命を借りることになってしまうな。

お前たちは俺達の姐さんを連れてきてくれたんだ。こんなことどうってことないさ。

…必ずお前たちの依頼は完遂してみせる。

これを、アームと保護具を着用してくれ。

これは?

姐さんの温度は寒くてたまらないからな。

…彼女…。

…とても軽いな…。

アーツが彼女の体を抉ったからな。軽いってことはもう…。

彼女を起こさないでやってくれ。

彼女をよく見てくれ…よく寝ている。

じゃあな、姐さん…。

待ってるからな。

…そのまま。

俺たちが…先に行くから。

俺たちが先に行かせてもらう。

いつかまた会おう、雪怪達。

その日が来るのは出来るだけ遅くしろよな。

…。

俺たちは死んだのか?

…。

*ウルサスでの悪口*お前どうして涙を流しているんだ?

それでも雪怪か!

お前も泣いてるじゃねえか?!

俺が何で泣いてるのかだって!…姐さんが何て言ったのか忘れたのかよ!

彼女は泣くなと言ったんだ。

そうだ!彼女は泣くなって言ったんだ…十数年前も泣くなって言った!涙を流すなって!俺たちにはふさわしくない…まだ勝っていないんだからって!

俺たちは勝ったら、自由になれるんだ…。

俺たちは自由になって、大声で泣くんだ、荒野の雪の中でいっぱいの麦の山の中で大声をあげて泣くんだよ!

姐さんもそう言いながら泣いてたけどな

彼女はあの時まだ9歳だったんだぞ、俺達は彼女より何歳年上だって言うんだ。

姐さんがいなければ、俺達はあの鉱場で死んでいたな。

お前持ってるか?

持ってるって…何を。持ってはいけないものでもあるか?

行軍の時は飲酒禁止だろ。お前が持ってること知ってるんだぞ。

俺も飲みてえ…。

だめだ、まだそういう年齢じゃないだろ?

ま、まあ飲んだことはないけど、だからといって味わったことが無いからって飲みたくない訳じゃ…。

彼にもすこし分けてやれ。

ペトロワ…

まあ良いか。少し飲もう。飲みすぎるなよ。俺たち均等にだ。

兄弟たち、少し飲んで体を温めるとしよう!

尊敬する姐さんと父さんに!

尊敬するフロストノヴァとパトリオットに!

この感染者を知っているか?

はい、チェン長官。

しかし、この最後の戦いは今始めなければならないだろう。

私達が選ぶべきことがあるのですか?

私達には他の選択肢は無いのかもしれないがな。

お前の後ろを見てみろ。今のあいつらはわざと自分を隠してはいない。

…黒色の雨衣。

つまり、私達はあいつらと戦わなければならない。

これは私達がしなければならないことだ。そうしなければ私達は手柄を落としてしまい、特殊部隊を強引に引っ張り出し、雪怪小隊を制圧するという行為にも説得力が無いこととなる。

だが、彼らを投降させることは出来るのだろうか?

彼らの背後に感染者がいる限りは…彼らは降伏はしないでしょうね。

…アーミヤ。

お前たちを戦闘に参加させるわけにはいかない。

すいません、チェン長官。ですが…ですが私達は目撃証言をすることは可能です。

近衛局は勇敢に戦っているのに誰にも認められない。あなた達は龍門のために侵略者に抵抗をし、攻撃をし戦っているのにも限らず。

これが私達が特殊部隊と戦うあなたたちを支援し、対抗するための手段です。

私達自身にとって…私達は感染者との戦いの全てを書き留める必要があります。

いつだろうと。

アーミヤ。

チェン長官?

戦いが終わったら一緒に食事でも行こう。

で、ですが私は感染者で…。

気にするな。声が大きいほうも、背が高いほうも気にはしない。

この戦いは…誰もが失ったものが多すぎる。

私達にとっては戦いです。

龍門にとってみれば確かにこれは戦争となるでしょう。

戦争というのはそういうものです。

だが、その全てを画策した者はここにはいない。

…。

私はお前たちに伝えなければいけないことがあると思う――。

――それは今ではないが。

そうです、今ではありません、チェン長官。

…

ドクター…。

・見たくない?

…はい。

私は…

・だが廃城の街の時のようには…。

…。

はい、そうです、私は決めました。

自分の目で…見なければいけないと。

・私達は共に

私達は共に。

姐さんと呼ぶのは…年齢が理由でそう呼ぶんじゃないだろ?俺はどうして今知ったんだろうな?

もういい、そう呼ばないといけないからだよ。この青二才。

ちっ!

ん、態度が悪いな。悪酔いでもしたか?腹が空いているのであれば、パンを減らしたか、それともスープが均等にならなかったか?

それはそれで、これは…これだ!

そういえばおかしいな。俺も突然ロドスの人たちを思っちまった。

あいつらは何をしたいんだろうな?

あの全身から湯気が立ち上っていた猫は俺達と一緒にそれを飲もうとか言ってたな。

ちょっと残念だったな。彼女、なかなか良さげだったし、ふざけたりするのもきっと良いものになっただろうなあ。

そうだったとしても、あの子ウサギは流石にそういう年齢じゃないだろう?

いくつくらいだろうな?16?17?

14位だろうな。大人が言うようなことと同じことを言って自分を追い込んでしまっている。

そこはあの時の姐さんと…一緒だな。

その点だけはあいつらを尊敬するよ。

あいつらが言ってることをやり遂げることを祈ってやる!

言ったことはやり遂げろ!

え、ああ…やれば出来る!

…。

龍門人は彼らよりも心を一つにすべきだ。

早く行こう。見るな。雪怪達だって少しは時間しのぎになってくれるかもしれない。

彼らの行為は尊いと思わないか?。

もし俺たちが命を落としてしまったら、あいつらはタダ働きになるだろう?

幻影射手によれば、俺達は本当に帰ることは出来ない。俺たちは新しい拠点に行くんだ

…。

新しい拠点はどこだろうな。

何処だろうとお前たちと一緒に行く。

ええと。お前たち龍門人は俺達と同じなんだ。

あいつらはお前たちにもっと親切にしてくれるんだろうと思っていたが、ウルサスと同じような部分もある。

感染者はどこにいても同じだ。

あんたが来たばかりの時はそうでも無かったんだ

人は変わるものだ。

これは雪怪?あれも雪怪?

雪怪だ!ああ…雪怪のせいか!

雪怪…雪怪!あの雪怪はどうしてこんなにも頑固なのよ!

くそ、くそ!死ぬな!死んじゃだめだ!!

私が来たから、助けてあげるから、私が連れて行く…連れて行くから!

どうしてあなた達のような感染者もここで死んでしまうのよ?!

特殊部隊の攻撃が止まった?いや、あいつら撤退をしたのか…?

そのようだ…主導権を私達に任せるみたいだな。

これで龍門の法執行の力を強調しているつもりか?*龍門での悪口*、徹底的に見下された気分だな!

…まあいい。

各位、最後の波状攻撃だ。市民とチェン殿の期待を裏切ってはいけない。

あいつらに見てもらえ、これがレユニオンに龍門の実力が分かるはずだ。全ての感染者に龍門を犯す勇気を失わさせろ!

はあ…。

幻影射手達、俺たちを失望させないでくれよ。必ず姐さんをじいさんの元に送り届けてくれ。

…彼女にはあまり時間がない。最期の時間はじいさんと一緒に過ごしてくれよ、姐さん。

俺たちにもあまり時間はないよな?

手配はしたか?

全部完了した。俺たちの命を返すとするか。

あいつらに見せてやれ、ウルサスの偉大な戦士である博卓卡斯替によって訓練された、ウルサスで最も凍える悪魔が率いる分隊、それがどういうものなのかをな!

姐さんが最後に残したオリジ二ウムアーツ…。

霜凍源石、解放準備!

大熊!行くぞ!

雪怪!!!