アークナイツストーリー翻訳

【明日方舟】サイドストーリー「画中人 WR-ST-2 一日の禍」

村人
村人

こっちだ!こっちも手伝ってくれ、そうだ!

村人
村人

おいあんた、この門に釘を打って固定してやってくれ、落とすなよ!

村人
村人

うちの三男坊、うちの三男坊を見た人はいないかい?

村人
村人

ねぇあんた、うちの三男坊を見なかった?

サガ
サガ

すまぬ、拙僧は……

村人
村人

そう……

村人
村人

ユゥ、ユゥちゃん、どこにいるの……

サガ
サガ

……ふむ。

子供
女の子

……

ウユウ
ウユウ

そうだ、おじさんが飴を買ってあげようか、ん?

子供
女の子

……

ウユウ
ウユウ

なら花火を見に行こうか?

子供
女の子

……

ウユウ
ウユウ

……君のお母さんは、阿然ちゃんが飲まず食わずのところは見たくないと思うぞ?

子供
女の子

……お母ッ……

子供
女の子

お母さん……お母さあああああん……

ウユウ
ウユウ

うん、泣きな、たくさん泣きな、内側に溜めこむよりはいい。

(ラヴァの足音)

ラヴァ
ラヴァ

烏有、その子は?

ウユウ
ウユウ

恩人様……この子の名は阿然、この子の父親はこの子がまだ幼いうちに仕事を探すためにここを出て、一度も戻ってきていないというんだ。昨日の出来事で、母親も見つかっていない、ずっとフラフラしてて、今日まで何も飲まず食わずなんだ……

ラヴァ
ラヴァ

……

ウユウ
ウユウ

恩人様!恩人様や、そんな顔をしなさんな、もし君やクルース嬢のお二人がいなかったら、この村は、死者で溢れかえっていたところだ、俗に言う……

ウユウ
ウユウ

……はぁ、俗に言うのは無粋か。

ウユウ
ウユウ

恩人様、これからどうすればいいんだい?

ラヴァ
ラヴァ

……黎とあの講談師を探そう。

ラヴァ
ラヴァ

あの二人は明らかに何かを知っているからな。

黎

あら……これは珍客ですね。

講談師
講談師

私を知っているのか?

黎

庭園の主の、煮傘先生ですもの、この婆山鎮で、知らぬ者などいましょうか?

黎

あなたという講談の先生が、あの大商人の庭園を受け継いだのですよ、であればこの婆山鎮の旦那様ではなくて?

講談師
講談師

……

黎

お好きなところにおかけくださいな。

講談師
講談師

……結構だ。

黎

もう行かれるのですか?

講談師
講談師

……

黎

今日の先生はやけに寡黙ですね……しかし、どうかお待ちください。

黎

いつもはあなた様がみんなにお噺を語って気晴らしさせて、形式だけのお茶代を頂いている。

黎

今日はよろしければ、私が先生にお噺を一つさせて頂きませんか?お茶代は結構です、この一杯は私からの贈礼ということで。如何でしょう、先生?

講談師
講談師

……

黎

今日のお噺は、先生がいつも語ってくださる志妖小説よりも、簡単なものでございますよ。

黎

数十年前、大炎南の端に、婆山鎮という名の村にまつわるお噺です……

講談師
講談師

君は……

黎

なんでしょう?

講談師
講談師

や、続けてくれ。

黎

ええ、では。

黎

この婆山鎮は、どこにでもあるような村でした。村には百戸ほどの村人が住んでおり、山を頼りに生計を立て、実に素朴な日々を過ごしていました。

黎

たまに隊商が村にやってくる日もあって、そういった日は、子供たちにとってとても嬉しい日でもありました。

黎

しかしそんな小さな村は、ある日、天災に見舞われたのです。

黎

天災は徹底的に村を滅ぼそうとはしませんでした、しかし活性源石によって水源は汚染されてしまったのです。大人たちは付近の都市に救援を求めましたが、村に信使はおらず、村を出た大人も、消息を絶っており連絡を取ることはできませんでした。

黎

そこで、やむを得ず、村人たちは村を捨て、途方も目的もない長い旅に出たのです――

黎

村にはこの先向かう目的地も、さらには最近の都市のことについて知ってる人は誰一人いなかったのです、なので彼らは天に向かう方角を決めてもらい、それに従い旅を進めました。

黎

村の子供たちにとって、温かな床も、編み組まれた垣根も、壁にあった趣のあった水垢も、今ではすべて手を伸ばしても指が見えないほど暗い夜と、長い長い……道となってしまいました。

黎

そしてその道では、たくさんの人が飢え死にました。

講談師
講談師

……

黎

とある子供がいました、彼女は年端もいかないほど幼く、家も貧寒でした。

黎

彼女は自分の父母についていき、今まで親しかったお隣さんたちがどんどん寡黙になっていくところを見てきました。

黎

今まで一緒に遊んでいた年上のお兄さんやお姉さんが、半分もカビが生えた焼餅のために、鋭い石を使ってお互いを殴り合うところを見てきました。

黎

彼女は考えました、きっとこれからまた良くなると。彼女も頑張って、果物や、小動物、川辺で鱗獣を捕りに行きました。

黎

危うく鱗獣を捕るために川で溺れそうになったり、数度飢えで意識を失ってしまうこともありました。

黎

運命の悪戯だったのか、彼女の両親は突如こんなことを思いついたのです、この痩せこけた小娘の最後の用途など、食料を一口程度省くことができるだけだかと。

黎

そして彼女が口に入れられるかどうかもわからない果物を抱えて「家」に戻った時、そこはすでにもぬけの殻でした。

黎

寒夜の峭壁から届く獣の鳴き声が彼女に教えました、彼女の命など一文の儲けにもならないと。彼女が恍惚としていた間はまるで天界に向かわれるかのように、皮膚は彼女に死の温度を示したのです、そして――

黎

彼女はある人と出会いました。ある……とても奇妙な人と。

講談師
講談師

……

講談師
講談師

それから話はどうなったのでしょうかね?ふむ……続きが気になるのでしたら、また次回に留めておきましょうか。

講談師
講談師

……

黎

いつもこんな盛り上がりの時に気を持たせて終わらせるなんて、ホントひどいですよね、先生もせっかく普通の人と同じようにそれを味わってみたのです、如何でしたか?

(サガの足音)

サガ
サガ

おお、番頭殿、探しておったぞ――

サガ
サガ

――ん?なぜ先生がこちらに?先ほどの大難で、みな心配しておったぞ。

講談師
講談師

なんでもない……ただここ付近で散策していただけです。

講談師
講談師

サガ殿。

サガ
サガ

ん?なに用だろうか。

講談師
講談師

画中に入って久しい、もう気付いているのだろう。

サガ
サガ

――

講談師
講談師

君はなにゆえ無意味だと知りながら水中の月を掬おうとするのか?

講談師
講談師

衆人皆酔いしれ、唯君だけが醒めている、しかしそれでも酔ったフリをしている、それではむしろ反感を買うことではなかろうか。

サガ
サガ

そなたはあの講談師殿ではござらんな……ではそなたがあの……

講談師
講談師

ご想像にお任せする。

ウユウ
ウユウ

……

ウユウ
ウユウ

……

クルース
クルース

いい扇子だね。

ウユウ
ウユウ

おや、恩人様のクルース殿ではないか、突然入ってきてどうかしたのかい?

ウユウ
ウユウ

はぁ、今回はひどい目にあったね、心配はいらないよ、私もあとでお二人と一緒に庭園の再建を手伝おう。

クルース
クルース

……ウユウ。

クルース
クルース

あなたは本当にただのトランスポーターなのかもしれないけど、それでも一言だけ言わせてね……

クルース
クルース

今の状況下で、それでも自分をひた隠しにするんだったら……残念だけど私たちは君への信頼を諦めなくちゃならない。

ウユウ
ウユウ

……恩人様!一体何を言ってるんだい!

クルース
クルース

いい扇子を持ってるね。

ウユウ
ウユウ

……見たのかい?

クルース
クルース

うん。

クルース
クルース

炎国の功夫は多種多様で、私は専門家じゃないからわからないけど、でもあなたのさっきの身のこなしは……相当のものだってわかるよ。

クルース
クルース

自分の正体を隠しているのもきっと何かやむを得ない事情があるのはわかる、私たちもそれを問いただすつもりはないよ……

クルース
クルース

……でも実力はあるくせに、自分に言い訳して何にでもビクビクして思い切らない行為は私は好きじゃないかな。

クルース
クルース

きつく言うとしたら、そんなの自分勝手すぎるでしょ?

ウユウ
ウユウ

……

クルース
クルース

はぁ、話が重くなっちゃったね、でもあなたは阿然ちゃんを助けたんだし、そんな気を落とす必要はないよ。

ウユウ
ウユウ

本当に申し訳ない、恩人様。お二人は私を助けてくれた、であれば包み隠さず私から正体を明らかにするのは当然の理。

ウユウ
ウユウ

恩人様はとっくに……見破っていたのかい?

クルース
クルース

そりゃもちろんだよ、ただネコ被ってる様子が面白かったから言わなかっただけだよ。

ウユウ
ウユウ

あははは……ここから脱出した暁には、必ずお二人に説明すると約束しよう。

クルース
クルース

言質取ったからね。

ウユウ
ウユウ

恩人様……一つ考え事をしていたんだ。

クルース
クルース

ん?

ウユウ
ウユウ

考えていたんだ、この庭園で翻然大悟するまで、私たちはこのおかしな村で……一体どのくらい迷い込んでいたのかと。完全に記憶はない……ということはつまり……

ウユウ
ウユウ

私たちはあの灰斉山で茅屋の門を押し入った時から、どのくらい時が経ったのだろうか?

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