半月後
諸君の支援には本当に感謝している、コーエン、ケッツ、ティナ、アレキサンドル。
アインタウィルの……代表として……
すまない、あまりこういった世辞で話すのは得意ではなくな。
君たちのおかげで、私は弟の魔の手から生き延びれた、私の領民たちもまた再び自分たちの土地での生活に戻れることができた。
本当に感謝する。
礼には及ばないわ。
この危機は私たちが引き起こしたようなもの、だから私たちがこれを終わらせる義務があっただけよ。
もし私の救いようがない弟がいなければ、すべては起こり得なかったことだ。
本来なら君たちに報酬を与えてやりたいものなんだ。
だが、見ての通り、アインタウィルは尽く破壊されてしまった。
残った資産は、すべてこの町の復興のために注ぎたい。
だから現金報酬については……君たちに払えそうになくてな。
だがこの屋敷内にあるものに、君たちの欲しいものがあれば、好きに持って行くといい。
ついでにこいつを取り壊せればベストなんだがな、そうすれば私も残った人たちと一緒に新たなアインタウィルを築けられる。
それについてなんだけど。
アレキサンドル?
このヘルメットは気に入った、だから貰ってもいいだろうか?
ンフッ。
確かに、外殻がピカピカ過ぎて眩しいったらありゃしない、俺も盾に一つ付けたいもんだ、今後バッテリーを使うこともなくなりそうだし。
この事件の結果としては、とても満足しているわ、だから報酬ならもう十分よ。
なに、ほかは必要ないのか?
私の武器も、父のほかのコレクションだって、何だって持って行っても――
お気持ちだけで結構よ、あなたのほうがもっとこれらを必要としているはずよ。
……
かたじけない。
さあみんな、そろそろ行きましょ。
ケッツさん、みなさん。
やっと来たわね。
……
領主のお嬢さんと別れは済ませたようだな。
ならわしらもそろそろ帰ろうか。
俺の小隊がお前たちをロドスまで護送しよう。
苦労をかけるのう。
ミス・コーエン、そちらの小隊は俺たちと同行するとのことだが、それで構わないのだな?
ええ、私も私の隊員もずっと戦いっぱなしだから、彼らに十分休められる場所を提供してあげたいの。
それよりも重要なのことなんだけれど、私たちには身分が必要だわ。
この世界を渡り歩ける……いいえ、この「大地」を渡り歩ける身分がね。
そうか。
車はすでに回してある、出発しよう。
皆さんの情報はすでにロドスの端末にインストールしました、これで今後は大地各所に点在するロドスの事務所およびセーフハウスでの滞在と補給が可能になります。
皆さんはまだロドスの正式人員ではありませんが、任務ネットワークはすでに皆さんに開示されていますので、いつでも任務を受けて報酬を獲得することができます。
大体はこんな感じです、ほかに何か知りたいこととかはありますか?
ちょっと聞きたいんだが、ロドスにSF小説は置いてあるか?
はい??
というわけで、これが俺たちの新しい身分か。
少なくとも俺の盾はまだまだ使えるってことだな、そいつはいい。
何かプランはあるの?
この大地を見て回りましょ、私たちはこの世界についてまだまだ理解できていないもの。
より具体的なプランなら私も欲しいところよ。
でも今回ばかりは、残念ながら。
自分たちを頼るしかないわね。
それじゃあ俺たちの最初の目標はどこかな?
シエスタというところに行くわ、結構いい町らしいわよ。
なら行こう。
我が家に戻るまで、俺たちはまだまだ道の途中だからな。