あの、Missy、この街に来てもう何日も経ちましたけど、ちっともリンさんを探しに行くつもりないじゃないですか。
最初はこっそり彼女を驚かしてやると言ってませんでした?
アイスクリーム食べない?
ボール三つください、ミントと、ストロベリーと、チョコで。
せいぜい太るといいわ。
すみません、ボール三つを一つ、バニラ、ストロベリー、チョコで。あとボール四つも、さっきのヤツにレモンもトッピングで。
はいよ。
あなたに言われたくないです。
ユーシャは公務で来てるの、アタシらとは違うわよ。それにアンタはアタシのおかげでVIPみたいな待遇を楽しんでるんじゃないの。
それに、アイツはきっと今頃まだこっちに向かってる途中よ、ははは!
休暇はまだまだあるんだし、のんびり待ちましょう。
クソネズミめ、アタシに黙ってこんないい場所でバカンスを過ごすとは、見つけた暁にはただじゃおかないわよ。
はぁ、Missy、なにを代償に今回の休暇を得られたのか忘れないでくださいよ。
年末年始の祝日と帰ってから一か月の日曜休日だけでしょ、どうってことないわよ。
あなたが無茶しないように私もその休暇を全部支払って来てますけどね。
もう、帰ったら借りを返してあげるわよ。
はいはい。
ん?
え?
はあ!?
どうしたの、アイツでも見つけた?
ユーシャどころか、もっとすごい人を見つけちゃいました。
それって誰よ……
は?
お二人さん、アイス、落ちちゃうよ!お二人さん!
(大歓声)
はぁ……なんでこんなことになったんだ。
(エルネストが駆け寄ってくる足音)
ふぅ……はぁ……やっと見つけましたよ。
お二人さん、追っかけてたんじゃないんですか、なんで選抜会場なんかに。
道路脇のテレビでお二人を見かけなかったら、見つけられませんでしたよ。
誤って入ってしまったのよ。
じゃあどうしましょう、いっそお二人でチームを組んでグランプリに参加されますか?
私はそのつもりよ、彼女とじゃないけど。
奇遇だな、私もだ。
フェイゼ、別の選抜戦に参加してもいいのよ。
何を言う。この選抜でもう最後なんだぞ。
どうやら、その前にどちらが上か決めなきゃならないわね。
お二人とも、今ほとんどの街の人たちからモニター越しに注目されていますよ。
もうお二人で一緒に参加されたらどうでしょうか、そのほうがお互いやりやすいと思いますし。
……
……まあいい。
じゃあ、俺も手伝います。
なんせ俺はお二人のガイドですから、もし俺だけ参加してなかったら、絶対市長に怒られちゃいますし。
戦力で言えばお二人に及ばないと思いますが、俺は地元民ですからね、きっと助けにはなりますよ。
三人メンバーでもいいのか?
もちろん、チーム人数の上限は七人までですからね、本選が開始する前に登録しておけば、勝ったあとにメンバーを探しても問題はありません。
実際この試合は人数が多ければ多いほど有利になりますからね。
多勢に無勢だ。それでいいな、ユーシャ?
ご勝手に。
本選が開始されるまであと二日はあります、その間にほかのメンバーを加えることもできますよ。
いや、私たち三人で十分だ。
あの、そちらのお二方、もうステージに上がれそうですか?
あと一人入れてくれ、全部で三人だ。
では、本選抜戦の勝者に一番熱い拍手を!
ところでお三方のチーム名はもう決まっていますか?
どうする?
……あなたが決めて。
では……チームLUNG wRAThで。
……
お前が言ったことだぞ。
あとで見てなさい。
えっとぉ……はい、チームLUNG wRAThです!では、パンチョさんからお二人に選抜戦突破の景品が贈与されます!
カンデラはまた大した若者二人を招待してきたな。
私たちのことを知ってるのか?
市長に龍門から招いた二人の若者を知らない人などいるものか?
エルネスト、お二方をしっかりおもてなししているんだろうな?
親父、ミス・カンデラから俺に仰せつかった任務なんだ、誠心誠意尽くしてるよ。
ならいいんだ。
二人は親子なのか?
そうだ。
景品だ、受け取ってくれ。
純金の彫像……
選抜を突破しただけでこんなものがもらえるのか?
そうだ、それがこの都市、ドッソレスのもてなし方だ。
存分に楽しんでくれ、若いの。
……ありがとうございます。
では本選でのチームLUNG wRAThの活躍を期待しましょう!
ぶははははははは、Missy、聞きましたか、LUNG wRAThですって、あははははははははは!
少しはボリュームを抑えなさいよ。
リンさんのあのしかめっ面を見てくださいよ、あの名前絶対チェンがぱっと思いついたヤツですよ。
いや、そんなことより、なんでチェン・フェイゼもここにいるのよ!しかも二人で試合に参加だなんて!まさかあのネズミはチェンがここにいることを知ってて来たの?
ぐぐぐ、やってくれたわね、リン・ユーシャ、よくもアタシに黙って……
こらこら、Missy、落ち着いて。
リン・ユーシャはウェイ長官の公務で来たってあなたも言ってたじゃないですか、だからきっとチェンがここにいるのも長官が仕向けた……んだと思いますよ。
……そう、あなたの言う通りかもね。
それとなんですけど、リンさんも来ましたし、チェンもいるし、挨拶でもしに行きます?
……ふん、それよりもっといいことを思いついたわ。
アイツらはチームを組んで試合に参加したんでしょ?ならちょうどいいわ。
その試合はきっとノーカット生放送のはずよ、挨拶はとりあえずなし、アイツらの試合を見て、負けた後に嘲笑ってやるのよ。
はっ、そんなことしたらチェンの恨みも買っちゃいますよ。
ふん、アイツも私に黙ってたのが悪いのよ、アンタはムカつかないわけ?
どちらかというと、ちゃんと暮らせてるようですし、嬉しさのほうが強いですかね。
はぁ、アンタに言うアタシがバカだった、でアンタはどうするの?
今の私はあなたのボディーガードです、あなたに従いますよ。
そう来なくっちゃ。
途中でばったり出会っちゃっても知りませんからね?
分かってるわよ!
ねえ、はやく見て、あれってさっき乱闘選抜戦で勝った二人よね?
LUNG wRAThか、頑張れよ、もうお前らを推してるから!
……
じゃあ俺はちょっとお先に……
エルネスト、この街にいる人だが、ほとんど軍人のようだな。
鋭いですね、実はこのドッソレスは誰でも入れる街じゃないんですよ。
ここに来てバカンスを楽しみたいのであれば、十分な金が必要になる、ここに住み着きたいのであれば、もっとお金が必要にある。
ボリバルで、二番目に稼げる仕事はここで働くこと、そして一番稼げるのは、軍に入隊することです。
君の父親も軍人なんだろ?
確かに親父は以前軍人でした、確か大佐までだったかな。
大佐か……高い職業/サブクラスだな。
なぜ親父がこの街にいるのか疑問に思ってるんじゃないですか。
気になってはいる。
大したことじゃないですよ、親父は頑固でしてね、いつも戦争のことばっかり考えてるし、上のご機嫌を窺うのも好きじゃなかったので、失脚させられて軍を追い出されたんですよ。
すまない。
いえ、あいつもバカだなって俺も思ってますから。
大して力もないくせに、いつもあの見てくれを維持して誰に見せようとしてるんでしょうね?
……そうかもな。
あなたなら言い返すのかと思ってたわ。
言い返したいとは思ってる、だが私はまだここを、ボリバルを理解していないからな。
けど親父もここに来てから少しは人間らしくなってきましたよ、じゃなきゃ俺も市長のところで仕事できていませんからね。
そういえば、お二人ともドッソレスに来てもう二日ぐらい経ちましたよね、この二日間で、この街にどんな印象を抱きましたか?
腐敗。
天に昇るほどの腐った臭い。
……
……珍しく同意見ね。
おかしいなぁ、市長様のお客人ならみんなここを気に入るんだけどなぁ。
あなたはどうなのよ?
俺ですか?もちろん好きですよ。
ここにいれば、外のことなんて全然考えなくていいし、金さえあれば、遊んで暮らせます、朝から晩まで、晩から朝までね。
お二方が龍門でどんな暮らしをしてきたかは知りません、けどここよりずっといい場所はないと思いますよ。
そうかしら。
……そんなことより、今度の試合はさっきの乱戦みたいに頻繁に戦うハメになるのか?
あ、はい。
そっちに似た行事があるかどうかは知りませんが、この試合は、あくまで身体能力を競うように設計されたものなんです。
ただ、実際みんなが見たがってるのはただの身体能力の競い合いじゃないんです。
この街にいるのは、ほとんど刺激を求めている人たちばかりです、彼らが見たいのはお二人がさっき見せてくれた血を熱くするほどの戦いなんです。
つまり、私たちは全市民を楽しませる見世物ってことね。
あはは、そうとも言えますね。
嫌気がさすわ。
私もそう思う、だが参加する以上、準備も少ししておいたほうがいいな。
エルネスト、これからの具体的な試合スケジュールを教えてくれ。
喜んで。
とその前に、どこか武器ショップはないか?
ありますけど、武器をご購入されるのですか?
もしこの先もさっきのように頻繁に戦うのであれば、少なくとも武器を変えたい。
そうでしたら、俺が案内しますよ、ここで立ち話もあれですしね。
どうぞ、お入りください。
ここは君の店なのか?
はい、ちょうどチェンさんが求めてた武器ショップでもありますよ。
こういう店は街で何件も開いてます、一種の収入源みたいなもんです。
基本的な武器なら色々置いてますよ、でも、チェンさんはなぜ武器の交換を?
私が今使ってる剣はああいう試合の性質には相応しくないと思ってな。
ふむ……俺からすると、チェンさんが今使ってる剣で試合に参加してもなんら問題はないと思いますけどね。
もっとひどい武器を使ってる人なんてわんさかいるんですから、剣とかはとても危険な部類には入りませんよ。
つまり、あなたが剣を使わなくとも、ほかに使う人はいるってことです。
構わない。手加減は苦手なんでな。
あまり人に危害を加えられないような武器をくれればいい。
そうですか……ならこの高圧水鉄砲とかどうでしょう。
水鉄砲?
あ、こいつはちょっと特殊な武器でして、高圧の水弾を発射できます、強い衝撃で人を吹っ飛ばせますが、重傷には至りません。
クロスボウの類を使ったことは?
いやない、ただ射撃訓練の成績はそこそこよかった。
ではお試しにどうぞ。
けどその前に、お二人に大会の詳細を教えておきますね。
まず、この大会の正式名称は“極限トライアスロングランプリ”です。
大会は市内全域で行われます、試合を一瞬たりとも逃さないため、市長様が無数のドローンとカメラ、それと近距離飛行機を各地に配置しています。
街の一番陰湿な箇所だって見逃しません、また試合が開催されたあと、各チームには専用のドローンが追随していきます。
そしたらテレビ局もそれぞれ違う場面を放送して、市民たちに自分の見たいチームや内容を提供してくれます。
悪寒がするほど用意周到ね。
ミス・カンデラはこういったことに対して常に全力ですから。
それで、本選が開始される前、その第一戦が十日行われる予選で、お二人がさきほど参加されたのがそれです。
予選は毎日市内各地で二から三回行われます。
それって全部さっきの乱闘形式なの?
いえ、幸か不幸か、お二人が乱入したあれは選抜戦の中で一番危険なヤツだったんですよ。
予選の種類は各種様々ありましてね、たとえば大食い、短距離走、長距離走などなど、乱闘形式は一番危険な部類に入ります。
けどハイリターンなんでしょ?
その通り、ほかの選抜の勝利景品はお二人がさっき獲得した純金の彫像ほど豪華じゃありません。
なので、乱闘選抜戦は危険ですけど、それでも参加者は大勢います。
ちょっと待ってくれ、さっき試合で手を出すことは許されてるって言ってただろ、じゃあほかの選抜で勝った人たちは……
ええ、リンさんのさっきの反応しかり、チェンの今の反応しかり、さすがお二人は鋭いですね。
チェンさんはきっと選抜を突破しあくまで娯楽で参加してる一部の人たちに対して大会が不公平なのではと心配しているのでしょう。
では、結論から申し上げると、確かに不公平ではあります。
さっきも言ったように、観客が求めているのはただの身体能力の競い合いではなく、刺激的な戦いです、だから弱い人たちはさらに大きな脅威に晒されます。
……フン。
けどチェンさんもそんな心配しなくて大丈夫です、市長様もそれについては考えていまして、大会規則に新たなルールを設けました。
ん?
お二人はこういうことを考えませんでしたか?
試合中のアーツ使用は制限されていません、ですのでもし仮にアーツで自分の速度を極限まで上げた人がいれば――
――ちょっと大げさですけど、一瞬でゴールしちゃったら、つまんない上にやるせないと思いません?
そういう連中は絶対いると思っていたわ。
いないとでも?ほかならともかく、競走においてクランタはほかの種族と比べて明らかに突出してるだろ。
事実としてもちろんそういう連中はいます、ですので、市長は選択権を市民たちに預けたのです。
真の勝者を観客たちに決めさせたのね?
正確に言うと、勝者に相応しくない人を観客たちに決めさせたんです。
各試合を終えた後、観客への投票コーナーが設けられています、そんで投票数によっては、最終的な勝者を完璧に書き換えることができるんです。
鮮やかな方法で勝利した人ならともかく。
つまんない方法で勝った人は淘汰される可能性がある、そして見事な場面を見せたものの敗北に終えてしまった人が翻ってくる可能性があるってことです。
まあもちろん、必ずそうなるとは限りませんけどね。
ですので、勝利する人は最後の最後まで、誰にも分かりません。
方法というのは?
ええ、方法というのは、何も戦いだけじゃなくてもいいんです。
見事な戦いっぷりはもちろん一番注目される要素ですが、どんでん返しのやり方も観客たちの喝采を得ることができます。
これが戦いを苦手とする選手たちのために設けた試合ルールです。
それってきっとカジミエーシュから学んできたものでしょ。
確かに、騎士競技もそれらしきルールがあった気がする。
お二人は博識ですね、市長様は何度かカジミエーシュへ赴いたことがあるんです、龍門との貿易協定もそこで結んだと言われていますよ。
ウェイもそこに行ったのか……
何はともあれ、強いヤツらにとって有利な大会規則です、なので予選の景品のみに目掛けて試合に参加し、本選で棄権する人もいます。
だから毎回本選に参加するチームの数が合わないんですよね。
まあとにかく、無差別無制限の大会です、どんな方法で勝利を得ても大丈夫、ただし、勝者になるには全市民の認可が必要になるってことです。
私は試合の勝ち負けに興味はない。
分かってますよ、お二人の目的はグランプリに参加してミス・カンデラから委託された捜査を行うことですもんね、俺も手伝いますよ。
最初から負けてしまうと、捜査するにもできなくなるわよ。
それは分かってる。
あはは、それもそうですね、それにお二人も気付いてるんじゃないですか、人気争いはグランプリの全期間を通じて行われます、つまり、予選開始時点でもう始まってるんですよ。
そして一番危険な乱闘選抜戦を途中乱入で勝利したお二人は、今じゃ一番注目されてるチームと言っても過言じゃありません。
大会優勝を目的に試合を楽しんだっていいんですよ。
それは状況次第ね。これからの具体的な試合スケジュールを教えてちょうだい。
分かりました。
こちらに来てください、マップに合わせてお二人に説明致します。
試合は三つのラウンドに分かれて行われます。
第一ラウンド、疎開させた住宅地で銅金を探してもらいます。
この区域では、二十個の銅金が隠されています、参加チームはその中で少なくとも一個手に入れて、工業区域にいるスタッフに渡せばクリアとなります。
住宅地でやるのか?
はい。大会期間中、この区域の住民たちは臨時的にほかの区域の旅館やホテルに泊まることになります、費用はすべて市政府が負担します。
また、試合で発生した住宅施設の損害などの支出費用もすべて市政府が負担してくれます。
そのためほとんどの市民は賛成の声を上げていますよ、参加選手に自分の家を壊してもらって建て直そうとする人もいるぐらいですから。
……
銅金を探して、奪って、渡すと、フッ、どうりで戦いは避けられないわけね。
はい、探す担当の人もいれば、奪う担当の人もいる、競走相手を減らす担当の人だっていますよ。
すべての銅金がスタッフの手に渡らない限り、第一ラウンドは終了しません。
もしかして、銅金も景品の一つよね?
その通り、もしより多くの銅金を手に入れたけど渡さない選択をしても全然OKです、その代わりそれなりのリスクを背負うことになりますけどね。
もし私がすべての銅金を手に入れたら、どうなるの?
うーん……理論上可能性はありますけど、実際一度もそんなの起きたことがありませんからね、だから俺にも分かんないです。
リンさんは全部奪うおつもりなんですか?
そんなの趣味じゃないわ。
第一ラウンド終了後、二日間のインターバルが設けられます、勝者は各種様々な番組や、豪華な宴会に招待されることになります。
試合以外で自分の人気を増やす手段みたいなものですかね。
その後第二ラウンドが始まります、お二人もご存じじゃないでしょうか、伝統的なトライアスロンになります。
伝統的なのか?
伝統的なのです。
まずはビーチを一定距離走った後、サイクリングで街を一周します、最後にまたビーチのスタートポイントに戻って、海の中央にある客船までスイミングしてゴールです。
ただここも当然ながら、勝ち方は様々です。
ランニングとサイクリングの部分は、大通りを走らなくてもいいんでしょ。
その通り。ただ、市長は近道に大量の戦力を設けています、つまり、近道を行くには武力で突破する必要があります。
フッ、やっぱりね。
第二ラウンド終了後、第一ラウンドと同じく二日間のインターバルがあります、この二日間は比較的単純な休憩時間となっています。
勝者は金持ちしか乗れない客船の全娯楽施設をタダで楽しむことができます。
事実、多くの参加者はこのラウンドを目標としています、最終ラウンドじゃなくてね。
それはなぜだ?
第三ラウンド、つまり最終ラウンドは、非常は単純で暴力的だからです。
客船をフィールドとして、混戦で生き残った最後のチームが勝者となります。
つまり、第三ラウンドでは、小細工はほぼ効きません。
そういうことか。
そうだ、お二人とも俺が会場で話したことはまだ覚えていますよね、チーム人数の上限は七人までです。
基本的に、人が多ければやれることも多くなります。
けど山分けの人数も多くなるんでしょ。
はい。それにある点に関しては制限がないわけではありません。
試合中の通信装置の使用は禁止、つまり、最初からプランを練る必要があります、またチームで分担行動をする場合、各個撃破された後の用意も必要になってきます。
ただしチームの一人でも目標に達すれば、チームとして上に上がれるんでしょ?
はい、なのでチーム人数に関して多くても少なくてもそれぞれメリットデメリットはあります。
本選はあと何日で始まるんだ?
二日後です。この二日間はインターバルですので。
どうやら急がないといけないな。
あっちに行くと小型の射撃場と訓練場がありますよ。
わかった。
リンさんはいいんですか?
大丈夫、私はアーツがあるから。
手加減出来ないから武器を交換しようと思う人なんて彼女だけよ。
リン・ユーシャ。
なに?
こっちはもうずっと我慢してきたんだ、たぶんお前も同じだろ、中に訓練場がある、一発かますぞ。
コテンパンにしてあげるわ。
ぬかせ。
フッ。
(チェンとユーシャが去っていく足音)
……こりゃまた。
面倒臭いヤツが二人来たもんだ。