強い、強すぎる!チームLUNG wRATh、手を組んだ三つのチームに囲まれた局面でも、難なく彼らを突破した!
しかし、リン選手が戦いの時に使ったのは一体なんの能力なんだろう?
ディレクター、プレイバック!
彼女の手が傍の家屋のガラス窓を軽く触れた後、ガラスは溶けるかのようにゆっくりと消えていった。
その後、彼女の手から鋭利な刃物が現れた、刃物はほぼ無色透明だ、反射した日差しがもたらす微かな光でしかその存在を示せずにいた。
今のでようやくわかった、リン選手はガラスを武器に変えられることができたんだ、予想外の能力だぜ!
まさかリン選手は武芸に通じてるだけでなく、見事なアーツも使えるとは!
ねえ、Missy、リンさんのあれってどういう能力なんですか?
鼠王と同じ、彼女も砂を操れるのよ、ただタイプが違うだけ。
小さい頃から適当に砂をガラスに変えられたのよ、アタシもいつも彼女にせがんでいたわ。
へえ、なるほど、確かに、ガラスも砂で造られてますもんね。
あれ、鼠王は砂を操って砂嵐を起こせるって聞きましたけど、リンさんもできるんじゃないですか?
さあね、彼女も起こせると思うわよ、ただ趣味じゃないってだけかも。
そうですよね、リンさんって派手好きなようには見えませんし。
リン選手の防ぎようのないアーツと、チェン選手の正確な射撃、それとエルネスト選手のサポートが加わり、見事な連携を見せてくれた!
どうですか、パンチョさん、今回の勝利はこのチームが勝ち取ってくれると思いますか?
このチームの個々人の実力は強いが、まだ連携が不十分だな。
なるほど、確かに、こういった試合の中で、個人の実力が強調されると、ほかの連中に狙われて真っ先に排除されるかもしれませんからね。
そのことはすでに歴史が証明済みだ、最後の勝利をもぎ取れるのは団結のみ!
あの爺さん鋭いですね、一目でチェンとリンさんの一番の問題点を見抜きましたよ。
確かに、あの二人ならね、チェンはアンタとずっとバディを組んでたから多少連携が取れるけど、ユーシャがどう動くかは見当もついていない、自分の一番得意な剣も使ってないんだし、そりゃ思い通りに動けないわよ。
ユーシャに至っては、連携という言葉自体理解していないわ。
何度もチェンに攻撃が当たりそうになってたわね、チェンが全部反応できたから避けられたけど。
知らない人からは二人とも阿吽の呼吸に見えるだなんて、ホント大笑いだわ。
あのエルネストってヤツは中々賢いわね、まったく二人の傍に近づいていないわ。
でないと彼、命がいくらあっても足りないもの。
やりますね、Missy、観察力がどんどん鋭くなっていますよ、てっきり解説してあげようかと思ってました。
チェンの席に座る以上アタシだって頑張ってるんだから。
その点については小官も理解しています、ただMissyがこんなに早く進歩するとは予想だにしませんでした、その調子ですよ。
先輩風を吹かないでちょうだい、アンタの給料減らしてあげようかしら。
え、それはどうかご勘弁を、上に立つ者なんですから、小官みたいな一兵卒なんていちいち気にしなくたっていいじゃないですか。
ふん、アンタはそうでなきゃ。
でも、彼女たちのあの連携っぷりを見てると、小官がチェンと初めて出会った時のことを思い出させますね。
アイツってあの時もこんな感じだったの?
いえいえ、むしろ逆です、あの時の彼女は、今のリンさんみたいなもんでしたよ。
もしあの時の彼女とリンさんを組ませたら、戦ってるうちにお互いシバキ合ってると思いますよ、あはは。
お前のガラス刀がもう何度もこっちを掠めそうになってるんだが。
あなたの射撃スキルもまあまあね。
どうやら意識だけじゃなく、戦術でも合わないようだな。
かなり説得力ある結論ね、ならさっさと分かれて行動しましょう。
待ってください。
……こうしましょう。
お互い息が合わないのはよくわかりました、けどチームを組んだ以上、なるべきチームらしく動きましょう。
以前も言いましたが、試合中の通信は使用できません、それにお二人とも銅金を奪うだけじゃなく、危険人物の存在も調査しなければなりませんよね。
お二人の実力は申し分ありません、けど炎国にこういう諺があるじゃないですか、念には念をって言葉が。
ですので、銅金の収穫がどうであれ、一時間後にここに集合する、ってのはどうです?
片方が来なかった場合、もう片方が臨機応変に行動しましょう。
私は構わない。
いいわ。
ふぅ、お二人が協力してくれて本当に助かります、ではそうしましょう。
じゃあ私は先に行くから。
(ユーシャが去る足音)
リンさんもう行っちゃいました……
チェンさん、単独行動にしますか、それとも俺も一緒に行きましょうか?
私とアイツのために遠慮する必要はない、私もアイツも意地のためなら何も顧みないような人じゃないし、正しいことを間違ってるとも言わない、やるべきことはきちんとこなすさ。
うーん……客観的に言わせますと、合う合わないはともかく、手分けしての行動は第一試合じゃ常套手段です。
ただ、俺たちのチームは三人ですけど、三人ともバラバラになる必要はないと思います。
なので俺はチェンさんについていきますよ。
いいだろう、では行こう。