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【明日方舟】レッドパイン「レッドパイン ソーナ」

???
競技解説員

十五人の騎士!十五回の賞金獲得のチャンス!!

???
競技解説員

今夜、君はどの騎士に賭けるか決まったかい!今夜、また誰が、血を踏みしきりながら金を奪い、暴力の中で賛美を得られるのだろうか!

???
競技解説員

試合開始まで残り10分に差し迫ろうとしている!この一攫千金のチャンスを見逃さないでくれ!こんなチャンスを諦める人などいるだろうか!新たなスターの誕生を共に見届けよう!

ソーナ
ソーナ

……あなた名前は?

グレナティ
冷淡な騎士

……なにか用ですか?

ソーナ
ソーナ

そう警戒しないで、騎士をやってるザラックはここじゃめったに見られないんだから、ちょっとアイサツしにきただけ。

グレナティ
冷淡な騎士

……

ソーナ
ソーナ

緊張してるの?

グレナティ
冷淡な騎士

あなたも……感染者なのですか?

ソーナ
ソーナ

ここにいる連中なんて、そうじゃない人のほうが少ないわよ。感染者しかこんな試合には参加しない……命がけだもの。

グレナティ
冷淡な騎士

……

ソーナ
ソーナ

アタシをじっと見つめてどうしたの?ビクビクしちゃうでしょ。

グレナティ
冷淡な騎士

いえ……少し……見覚えがあったものなので。

ソーナ
ソーナ

ん-?それって一種の口説き?

グレナティ
冷淡な騎士

違います。ただあなたの言う通り、ザラックの騎士は……めったに見られませんね。

ソーナ
ソーナ

じゃあここで出会ったのも何かの縁だし、手組む?

グレナティ
冷淡な騎士

……は?

グレナティ
冷淡な騎士

冗談はよしてください、私がここにいるのは――

ソーナ
ソーナ

騎士貴族連中をギャフンと言わせたいからでしょ?

グレナティ
冷淡な騎士

……どうしてそれを……

ソーナ
ソーナ

目を見れば分かるわ。

ソーナ
ソーナ

わかりやすいもの、その目に宿る不屈が、怒りがね、ただちょーっとばかし睨め過ぎちゃったかもね――観客席にいるあの貴族の旦那様方に、もう気付かれてるわよ。

グレナティ
冷淡な騎士

そんな感情などここでは余計なものです。

ソーナ
ソーナ

まあまあそう結論に急がないでってば……周りを見てみて、ここにはどういう感染者騎士がいると思う?

ソーナ
ソーナ

大企業の社長さんに買われ、ギャンブルの消耗品扱いにされたヤツとか、勝ったら少しおこぼれを貰えるけど、負けちゃったら、言わなくてもわかるよね。

ソーナ
ソーナ

もちろん、どこにも所属してない無名の人達もいる、彼らはむしろ本物の騎士様や商人のお眼鏡にかなって、道具に……なろうとすら望んでいる。

ソーナ
ソーナ

彼らは仕方なくそうしてるだけ、感染者なんていつだってそうよ。

グレナティ
冷淡な騎士

……なにが言いたいんですか?

ソーナ
ソーナ

だから、手組まない?

ソーナ
ソーナ

混戦だよ、裏で手引きしたら、勝率がちょっぴり上がるかもしれないでしょ?

グレナティ
冷淡な騎士

……ではあなたはなぜ勝ちたいと思ってるのですか?莫大な賞金のためですか?

ソーナ
ソーナ

いいえ、ほかの人に勝ってほしくないからよ。

グレナティ
冷淡な騎士

――それはどういう。

ソーナ
ソーナ

実を言うとこの試合には裏があるの。いくつかの感染者は……まだ確証は得てないけど、おそらくその人たちはすでに“話が通ってる”はず。

ソーナ
ソーナ

自分がもっといい暮らしを過ごせるように、その人たちはほかの連中を土台に上へ上がろうとしてる。

ソーナ
ソーナ

なんて正しい選択、そう思わない?ここにいるほとんど人もそう思わざるを得ないほど正しいわね。

ソーナ
ソーナ

――だからこそ勝ってほしくないのよ。誰かが勝てば、誰かが負ける、そんなのは当たり前。けど誰かが生き残れば、誰かが……死ぬ。

グレナティ
冷淡な騎士

……空っぽな正義感では他人から信頼を得られませんよ。

グレナティ
冷淡な騎士

ただまあ、いいでしょう、今は騎士協会から承認を得る大切な時期ですし……

グレナティ
冷淡な騎士

組んであげます。ザラック同士なら、あの身元も分からない連中と組むよりかはマシです。

ソーナ
ソーナ

あら?ホントに組んでくれるの?

グレナティ
冷淡な騎士

……さっきのが冗談だった場合、真っ先にあなたから始末しますよ。

ソーナ
ソーナ

いやいやホントだってばホント、じゃあこれからの混戦、よろしくね、カイちゃん。

グレナティ
冷淡な騎士

グレイナティ・カリスカです。

ソーナ
ソーナ

……カリスカ……?

グレナティ
冷淡な騎士

ただの滑稽な名字です、聞いたことがあったとしても、知らないままでいてください。

(冷淡な騎士が立ち去る)

???
競技解説員

ではでは!盛大にお迎えしよう――

ソーナ
ソーナ

アタシはソーナ、よろしくねカイちゃん。

グレナティ
グレイナティ

……ソーナ。

ソーナ
ソーナ

ん?どうしたの?

グレナティ
グレイナティ

あの時、あなた最後、急に私のポイントを取りましたよね?

ソーナ
ソーナ

……あははは……カイちゃん……あれは……

ソーナ
ソーナ

まさかまだ根に持ってるの?

グレナティ
グレイナティ

私って結構根に持つタイプなんですよ、まだ分からないのですか?

ソーナ
ソーナ

うぅ……

グレナティ
グレイナティ

ただ今はあなたにチャンピオンを奪われた話をしてるわけではありません。

ソーナ
ソーナ

えっ……

グレナティ
グレイナティ

あの時あなた言ってましたよね、「誰にも勝たせたくない」と……私も同じ考えです。

ソーナ
ソーナ

うげっ!

グレナティ
グレイナティ

なにをそんな大げさに反応してるんですか、あの時はまだお互い知り合ったばかり、信用し合ってないのは普通じゃないですか。

ソーナ
ソーナ

ちがっ……えっと……違わなくはないけど……

グレナティ
グレイナティ

……もういいです、それよりまだ感染者が集まってる区域に行って様子を見に行くんですよね?はやく行きましょう。

ソーナ
ソーナ

あれは騎士団内での信頼関係を挽回するためにやった行為です!言い訳をさせてください――!

グレナティ
グレイナティ

私たちはいつから騎士団になったんですか!?

ソーナ
ソーナ

……ふっ。

ソーナ
ソーナ

それはいずれの話よ、カイちゃん。

グレナティ
グレイナティ

……それって、あの感染者で構築された騎士団のことですか?

ソーナ
ソーナ

レッドパインね。

ソーナ
ソーナ

アタシの故郷ってヴィクトリアから近いの、昔は結構マツとかいっぱい生えてたんだよ。ただここ数年すっかりなくなっちゃった。

グレナティ
グレイナティ

……レッドパイン……?

グレナティ
グレイナティ

あなたは……あの天災に遭ったザラックなんですか!?じゃああなたも当時騎士たちに――カリスカ家に見捨てられた……

ソーナ
ソーナ

そんな顔しないでよカイちゃん、昔のことだってば。

グレナティ
グレイナティ

しかし……じゃああなたが感染したのも……私の一族のせい?

ソーナ
ソーナ

あなたはもう一族から脱却したんでしょ、だからあの一族の者じゃないわよ。

ソーナ
ソーナ

アタシに罪悪感なんか抱かないでよね。あ、じゃあこうしよう、さっきあなたからチャンピオンを奪ったって話をしてたでしょ?

ソーナ
ソーナ

それでチャラにしましょう。

グレイナティ
グレイナティ

……

感染者騎士
感染者騎士

……お前があの……“フレイムテイル”のソーナか?

ソーナ
ソーナ

おら、アタシを知ってるの?

感染者騎士
感染者騎士

はは、騎士称号を得られる感染者はそう多くないんでな、全員憶えているよ。

感染者騎士
感染者騎士

レッドパイン騎士団の団長は“フレイムテイル”のソーナだったのか……そうであれば、俺も安心だ。

ソーナ
ソーナ

……あの子たちって、みんなあなたが預かってるの?

感染者騎士
感染者騎士

ああ。いや、まあみんな拾ってきたヤツらだけどな……中には感染者じゃない子も混ざってる、いつかみんな救護センターに送ってやりたいんだ。

感染者騎士
感染者騎士

だからずっとお前たちとは活動できない、すまないな、フレイムテイル。

ソーナ
ソーナ

じゃああなたの名前を教えて?

感染者騎士
感染者騎士

……ジェミー。ジェミーだ。

ソーナ
ソーナ

それならジェミー、この前言ってたわよね、何人かの感染者の騎士を知ってるって?

ソーナ
ソーナ

ああいうまだ独立してる勢力の感染者は、みんなアタシらの潜在的な盟友だから。

ソーナ
ソーナ

確か、最近頭角を現してる感染者がいたわね……リーベリで、狙撃手だったはず。

感染者騎士
感染者騎士

そうだ、あと一人クランタもいる……一部の感染者の騎士たちの間じゃ姉御って呼ばれてる、“ワイルドメイン”とも呼んでるヤツらもいるぞ。

イヴォナ
粗暴な騎士

……ふぅ。

ソーナ
ソーナ

あら、イヴォナ、お疲れなの?

イヴォナ
粗暴な騎士

ソーナか。

イヴォナ
粗暴な騎士

お前……まだピンピンしてんのかよ、すげーな。

ソーナ
ソーナ

そんなことないわ、ただ……いつも余裕そうに見せてるってだけ。

イヴォナ
粗暴な騎士

……お前も疲れたりするのか?てっきりずっと今みたいに余裕ぶっこいてるのかと思ってたぜ。

ソーナ
ソーナ

あはは……

イヴォナ
粗暴な騎士

……ハッ、でも、お前がオレの前で疲れた顔を見せるってことは、アタシを信用してるって証なんだろうよ。

イヴォナ
粗暴な騎士

そんじゃあ、この……無冑盟だが、どう片付ける?

ソーナ
ソーナ

なるべく……こいつらに感染者集落の具体的な位置がバレないようにしましょう。

イヴォナ
粗暴な騎士

こんな都市に潜んでる限り、感染者に逃げ道なんてねぇよ。

イヴォナ
粗暴な騎士

遅かれ早かれいずれ見つかっちまう、ソーナ、根本的な解決にはならねぇぞ。

イヴォナ
粗暴な騎士

もっとほかの方法を――

ソーナ
ソーナ

……うん。

イヴォナ
粗暴な騎士

――いや、責任をお前ばっかに押し付けるべきじゃねぇな、すまん。

イヴォナ
粗暴な騎士

こういうことを考えるのは性に合わねぇが、それでも背負い過ぎるんじゃねぇぞ、ソーナ、アタシたちもいるんだからよ。

ソーナ
ソーナ

……

ソーナ
ソーナ

そうね!

ユスティナ
表情が冷たい騎士

……

観戦してる騎士A
観戦してる騎士A

あいつ感染者だよな?なんであんなにポイントが得られるんだ……?

観戦してる騎士B
観戦してる騎士B

それだけじゃない、この前ナイトオブナイツも彼女をインタビューしていたぞ!

観戦してる騎士A
観戦してる騎士A

感染者は闇試合で金を稼ぐか、まったく旨味がないポイント争奪試合で協会から身分を得るしか方法はないはず、彼女みたいなヤツは、一体どうやって生き延びてきたんだ?

グレイナティ
グレイナティ

ほう、あれがユスティナですか?

グレイナティ
グレイナティ

ヒョロヒョロですね、あまり凄腕には見えませんが。

ソーナ
ソーナ

人は見た目じゃ判断しきれないのよ。

ソーナ
ソーナ

けど、最近の新聞じゃ……あまり彼女の的を得ている評価ができていないのも事実。

グレイナティ
グレイナティ

あの連中が感染者の的を得た報道したことなんてありますか?

グレイナティ
グレイナティ

いや、相手が感染者じゃなくても、メディアが公正中立だった時なんてあると思いますか?

ソーナ
ソーナ

……この前捕らえた無冑盟の捕虜の話は信用できるのかしら?

グレイナティ
グレイナティ

信じないより、信じたほうがマシです。

グレイナティ
グレイナティ

どうします?

観戦してる騎士A
観戦してる騎士

そうだ――ユスティナ!あの飛羽騎士を逃すな!

観戦してる騎士A
観戦してる騎士

そいつは左にいるぞ!岩の後ろに隠れてるんだ!そうだ!そのまま――いや違う違う!顔を出すな、バレちま――おいぃぃぃ!

ソーナ
ソーナ

……かなり人気があるわね。

グレイナティ
グレイナティ

もしかすると私たちに加わる考えはないかもしれませんよ?

グレイナティ
グレイナティ

このまま頑張れば、いずれは騎士称号も得られますからね。人気があるうちにがっぽり稼いでおけば、あとは静かに余生を過ごせるかもしれないので。

グレイナティ
グレイナティ

ソーナ……彼女がそういう感染者だった場合、本当に私たちに力を貸せるよう説得できるのでしょうか?

ソーナ
ソーナ

……誰も説得なんかしないわ。

ソーナ
ソーナ

けど感染者はいずれ必ずこの都市によって選択を迫られるわ。

ソーナ
ソーナ

いいや、もしかしたら全員かもね。

グレイナティ
グレイナティ

……あなたがそんな悲しい顔をするなんて珍しい。

ソーナ
ソーナ

いや、そっちが聞いてきたんでしょ!

グレイナティ
グレイナティ

こっちはあのフレイムテイル騎士がこう言ってくれるとばかり思ってましたよ、「大丈夫、すべて計画のうちだ」って。

ソーナ
ソーナ

……あはは。

ソーナ
ソーナ

大丈夫……すべて計画のうちだから。

イヴォナ
イヴォナ

監察会だと!?

ソーナ
ソーナ

シ――ッ。

ユスティナ
ユスティナ

……まだ確証は得ていない。

ユスティナ
ユスティナ

それに、監察会の感染者に対する態度も、未だ不明慮のまま。

グレイナティ
グレイナティ

感染者を憂う騎士一族がいると思いますか?

グレイナティ
グレイナティ

あいつらにとって、私たちもこの都市の部外者に過ぎませんよ、スキが生じれば、あいつらは決して私たちを見逃すことはしない。

イヴォナ
イヴォナ

あいつらがどれだけ傲慢だろうと、厚顔無恥な商業連合よりは数百倍マシだとはアタシは思うがな。

グレイナティ
グレイナティ

……あなたは征戦騎士に対して結構いい目で見ていますよね。

イヴォナ
イヴォナ

ハッ、あいつらは舞台の上で観客たちの機嫌を取り繕うピエロじゃなく、草原を駆け巡ってウルサスに打ち勝った騎士だからな!

ユスティナ
ユスティナ

……ウルサス、小さい頃新聞でしか見たことがない……

イヴォナ
イヴォナ

ウルサスが極東と戦争して負けたんだ、当然騎士たちは大袈裟に宣伝するさ。

グレイナティ
グレイナティ

……あなた……ウルサスが極東と戦った歴史も知っていたんですか?

イヴォナ
イヴォナ

小せぇ頃アタシも勉強させられていたからな、ちなみに内容は全部征戦騎士の近代史だ。

ユスティナ
ユスティナ

……想像できない。

ユスティナ
ユスティナ

イヴォナが机に座って本を読んでるなんて、不思議に。

イヴォナ
イヴォナ

……なにが言いてぇんだ?

ソーナ
ソーナ

確かイヴォナって……征戦騎士の生まれだったよね?

ソーナ
ソーナ

お勉強かぁ……だったら……変でもないんじゃないかな、あはは……

イヴォナ
イヴォナ

ケッ!なんでどいつもこいつもそんな目でアタシを見てんだよ!

イヴォナ
イヴォナ

第十次カジミエーシュ=ウルサス戦争の十年後、ウルサス皇帝は重い病を患った、だからカジミエーシュから奪ってきたものは、全部貴族のおもちゃにされちまった。

イヴォナ
イヴォナ

まだ皇位を継承していない皇族が軍内部の腐敗に察知したせいで、二つの師団は急いで不満の視線を外に向けさせざるを得なくなった。

イヴォナ
イヴォナ

ウルサスの貴族どもが意見をまとめることなんてできるわけがねぇ、あそこは昔っからああいうゴチャゴチャしてる国だからな、そんで罪を隠すために貴族どもは有無も言わず極東に出兵させた……

イヴォナ
イヴォナ

だが予想外のことに極東は積極的にウルサスを攻め、最終的にウルサス領内で決戦が勃発した。

ソーナ
ソーナ

……ウッソでしょ。あのイヴォナが平然と歴史を語ってるなんて。

グレイナティ
グレイナティ

途中明らかにいくつか誤魔化しましたよね。

イヴォナ
イヴォナ

……あん時のカジミエーシュにはこう思ってた騎士も少なくねぇ、ウルサスが戦線を両面に展開していて、なおかつ国内が不安定の時に十年前に奪われた都市を奪い返すべきだったってな……

ソーナ
ソーナ

イヴォナ?

イヴォナ
イヴォナ

……あれは1072年、二十五年前の話だ。

イヴォナ
イヴォナ

ウルサスに抵抗を画策しようとしたが、それを察知してた師団に辺境で殺された斥候の中には、アタシの祖父、アタシの祖母、そしてアタシがガキの時に会えるはずだった親族がいた。

ソーナ
ソーナ

……

イヴォナ
イヴォナ

……ったく、そんなお通夜みたいな雰囲気にすんな、もう昔の話だよ。今のアタシはもう征戦騎士じゃねぇんだ、だからソーナに従う。

イヴォナ
イヴォナ

アタシのことはもういいだろ、それよりお前の考えを教えてくれ。

ソーナ
ソーナ

……今朝だけど、ジェミーのところにまた三四人の感染者が来たわ。

ソーナ
ソーナ

鉱業労働者よ、小規模な工業事故によって感染した、ただ請負業者が彼らの医療費の支払いを拒否したから、行く宛てもなく、結局は警察に追われる身となったわ。

ソーナ
ソーナ

それだけじゃない……今月アタシたちに加わってきた感染者は、もう十数人もいるのよ?

ソーナ
ソーナ

彼らは大騎士領の一番暗くて湿った隅っこに暮らしている……アタシたちじゃ彼らを安心できる場所に置けてやれないわ。

グレイナティ
グレイナティ

……ソーナ。

ソーナ
ソーナ

けどアタシたちにはまだ時間が、力がある、なんとかするよ。

ソーナ
ソーナ

でも……あの無関係な感染者がアタシたちに付き添ってリスクを背負うことなんて……アタシにはできない。

ソーナ
ソーナ

もし監察会が本当にアタシたち全員に合法的な身分と、カジミエーシュでの安定した暮らしを約束してるって言うなら、あるいは――

ソーナ
ソーナ

アタシたちに選択はないわ。

私達には他の選択肢は無い

ソーナ
ソーナ

――すごい賑やかね。

(無冑盟構成員の足音)

無冑盟構成員
無冑盟構成員

……フレイムテイル騎士の、ソーナか。

無冑盟構成員
無冑盟構成員

お前には感染者を匿った違法の容疑がかけられている、騎士協会条例違反だ、抵抗は諦めてもらいたい。

無冑盟構成員
無冑盟構成員

その非合法感染者を渡せ、後ほどお前のことは騎士協会へ報告する。

ソーナ
ソーナ

いつから無冑盟は警察と騎士たちに代わって決定を下せるようになったの?

無冑盟構成員
無冑盟構成員

……

ソーナ
ソーナ

正直に言うけど、堂々と法律を利用して言い訳を作り出して、恥ずかしく思わないわけ?

無冑盟構成員
無冑盟構成員

挑発しても無駄だ、焔尾騎士。

無冑盟構成員
無冑盟構成員

お前たちはすでにレッドラインを越えた、この大騎士領で、協会に狙われた以上、死ぬことと変わらん。

ソーナ
ソーナ

死ぬ?そりゃたいそうおっかないことで。

無冑盟構成員
無冑盟構成員

……肉体的な死のみが死だとは思うなよ、焔尾騎士。

無冑盟構成員
無冑盟構成員

カジミエーシュは我々に多くの生存の機会を賜ってくれたが、我々により多くの死の機会をももたらしてる意味でもあるんだからな。

無冑盟構成員
無冑盟構成員

全員、狙え!

(砲撃音)

無冑盟構成員
無冑盟構成員

――後方から砲撃だと!?

グレイナティ
グレイナティ

ソーナ!来ましたよ!

無冑盟構成員
無冑盟構成員

レッドパイン騎士団の援軍か、ヤツらも囲め!

(イヴォナの走る足音)

イヴォナ
イヴォナ

……ユスティナ!

ユスティナ
ユスティナ

了解。援護射撃を行う。

イヴォナ
イヴォナ

すまんソーナ、先に行かせてもらうぜ!

(イヴォナが無冑同構成員を倒す)

プラチナ
プラチナ

……感染者って泣くのかな?

無冑盟構成員
無冑盟構成員

……はい?

プラチナ
プラチナ

感染者だよ。急に連合会に突っかかってくる度胸がある騎士のことじゃなくて、ごくごく普通のあの感染者たちのこと。

プラチナ
プラチナ

彼らってただただ鉱石病を貰っただけなんだよね?

感染者騎士
感染者騎士

えっと……そうですね?

プラチナ
プラチナ

彼らはバケモノでも、極悪非道な大罪人でもないんだもんね。

プラチナ
プラチナ

こういう任務は好きになれないなぁ。

無冑盟構成員
無冑盟構成員

それ絶対ラズライト様に聞かれないようにしてくださいね!

無冑盟構成員
無冑盟構成員

そのぉ……プラチナ様、まさかヤツらに情けの念でも生じたのですか?

プラチナ
プラチナ

情けか……そうでもないよ、だって今自分のことだけでも手一杯だもん。

プラチナ
プラチナ

そんな状況の中じゃ情けなんて贅沢品だよ。

無冑盟構成員
無冑盟構成員

……そうですか。

プラチナ
プラチナ

私はまだ別の任務があるから、感染者を処分するような軽い仕事は、そっちに任せるよ。

プラチナ
プラチナ

監察会がいくら商業連合会と仲悪くても、感染者たちを大騎士領でのさばらせるようなマネはしないと思うからさ。

プラチナ
プラチナ

貴族様たちにとって感染者の生死なんてどうでもいいんだよ、そうでしょ?

ソーナ
ソーナ

……そんな……

感染者騎士
感染者騎士

フレイムテイル!

感染者騎士
感染者騎士

無冑盟だ……無冑盟が急に俺たちを襲ってきたんだ!

ソーナ
ソーナ

落ち着いて、一体なにがあったの?

感染者騎士
感染者騎士

二時間前にあいつらはここ付近の街を封鎖した、俺たちはとっくに位置がバレてたんだ、それからあいつらは……ガスを使って俺たちを家から炙り出しやがった……!

ソーナ
ソーナ

――

感染者騎士
感染者騎士

……何人かの騎士はそれを察知して、我が身を盾に無冑盟の矢を防いでくれた、でも何人かはもう……

ソーナ
ソーナ

……

感染者騎士
感染者騎士

……俺たちは……

感染者騎士
感染者騎士

俺たちはこれからどこに行けばいい?無冑盟に一回でも狙われたら、二回も、三回も襲ってくる……俺たちは……

ソーナ
ソーナ

傷心するのはひとまず後よ、今は……残った人たちを移動させましょう。

感染者騎士
感染者騎士

大騎士領から離れるのか?もう少し田舎のほうに……

感染者騎士
感染者騎士

せめてだ!せめてあの感染した一般人をここから出して――

(グレイナティが近寄ってくる)

グレイナティ
グレイナティ

私たちは感染者の騎士という身分があるおかげでに辛うじて彼らを庇ってやれてるだけです。

グレイナティ
グレイナティ

この身分を捨てれば、この大騎士領から離れれば、状況は悪化するしかありません……

感染者騎士
感染者騎士

じゃあ俺たちは……ここで死を待つってのかよ!?

ソーナ
ソーナ

……監察会。

ソーナ
ソーナ

まだ……この方法があったじゃない。

グレイナティ
グレイナティ

ソーナ!

イヴォナ
イヴォナ

戻ってきたか。

ユスティナ
ユスティナ

……どうだった?

ソーナ
ソーナ

……相手は老人の騎士だった。監察会の上層部の一人で確実、間違いないわ。

グレイナティ
グレイナティ

それでも大騎士領の貴族は信用しないほうがいいです、ソーナ。

ソーナ
ソーナ

……ダミアン、騎士協会の副会長だったわ。

グレイナティ
グレイナティ

……!

イヴォナ
イヴォナ

ハッ、そりゃ大物だな、副会長のダミアンつったら、誰もが知ってる征戦騎士じゃねーか。

イヴォナ
イヴォナ

当時急に引退して、大騎士領に戻って事務仕事に転じて、あげくに好き勝手報道されてたよ、まだ憶えているぜ。

イヴォナ
イヴォナ

どれも英雄の末路だ、あのマリアそっくりだぜ。

ユスティナ
ユスティナ

……条件は?

ユスティナ
ユスティナ

ソーナが戻って来たってことは、つまり、進展はあったってことでしょ?監察会はどういう条件を出したの?

ソーナ
ソーナ

……大遮断よ。

ソーナ
ソーナ

彼はアタシたちの手を借りて……この都市を……眠らせるつもりだわ。

グレイナティ
グレイナティ

……

ユスティナ
ユスティナ

……

イヴォナ
イヴォナ

……はぁ?どういう意味だよそりゃ?

ソーナ
ソーナ

大まかな計画はこんな感じよ。

ソーナ
ソーナ

……アタシたち、成功できるんだよね?

グレイナティ
グレイナティ

……私に聞いてるんですか?

グレイナティ
グレイナティ

たぶん成功するでしょう。あの愚かな騎士貴族どもが私に首を垂らさない限り、私は諦めませんよ。

ソーナ
ソーナ

あなたたちは?

イヴォナ
イヴォナ

簡単だ、失敗するってことはまだ力が足りねーってことだ、次また強くなればいいだけの話よ。

イヴォナ
イヴォナ

ただ死ななきゃそれでいい、だろ?

ユスティナ
ユスティナ

……緊張しなくても大丈夫、リラックス。

ユスティナ
ユスティナ

レッドパイン騎士団がレッドパイン騎士団である限り……それだけで十分。

ユスティナ
ユスティナ

成功しようがしまいが、私たちには一本の道しか残されてない、大して変わらない。

ソーナ
ソーナ

……大して変わらないか。

ソーナ
ソーナ

……

グレイナティ
グレイナティ

ソーナ!

ソーナ
ソーナ

うおっ。

グレイナティ
グレイナティ

最近よくボーっとしてますけど、どうしたんですか?

ソーナ
ソーナ

ううん……なんでもない。

ソーナ
ソーナ

行こう、まだアタシたちを頼りにしてる感染者たちを安心させないといけないからね。

……
逃げるんだ……はやく!
木くずから離れろ……全部燃えて……息が……ここは焦土だ……
鉱石……源石……擦り傷で……
カリスカ家は領民を見捨てたんだ――

ソーナ
ソーナ

――!

ソーナ
ソーナ

(アタシ……眠ってた?ベンチで?)

ソーナ
ソーナ

……カイちゃんが隣に居たらまたうるさくしてたわね。

ソーナ
ソーナ

んーッ……

ソーナ
ソーナ

街……人が多いわね。

ソーナ
ソーナ

(……騎士協会で管理されてる感染者は、勝手な移動を許されていない。)

ソーナ
ソーナ

(もしここにいる通行人が……ここに感染者が堂々と座ってるって知ったら、どう思うんだろ?)

ソーナ
ソーナ

……

なぜだか、ソーナの脳裏にある考えが素早くよぎった。
「なんとも思わない」と。
人々は行き交い、日々は過ぎ去る、明るく照らす街灯へ溶けて。
“焔尾”と名を冠したザラックは、静かに目の前の街を眺めていた。

(無線音)

ソーナ
ソーナ

ん?もしもしカイちゃん、どうし――

グレイナティ
グレイナティ

まずいです、ソーナ、ヤツらに地下の隠れ場を見つかってしまいました!

グレイナティ
グレイナティ

もう全員の救助は無理です、今逃せるだけ逃がしています!あなたもはやく戻って――

ソーナ
ソーナ

……これが……

ソーナ
ソーナ

感染者なのよ!

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