アークナイツストーリー翻訳

【明日方舟】将進酒 IW-ST-2「万物に霊魂あり」翻訳

夜が明ける。
ふと気付いた、尚蜀に来てから、俺は一度もまともに寝ていなかったな。
外が騒がしい。どうやら誰かがケンカし始めたようだ。
だが分かっていた、そいつらがケンカし始めたのは、相手に原因があるからではない。おっぱじめたのは、俺と、そしてあの盃のせいなんだ。
人や物事を見分ける目は悪くないと自分では思ってる。だから今回の事件はそう簡単なもんじゃないとも思った。
予感だって割と当たるほうだ。だから俺は手紙を二通書いて、机に置いた。

リー
リー

……やっぱリャン様に面倒をかけるんじゃないな。

リー
リー

というか、この梁府ってのは誰でも好き勝手出入りできる場所なのか?いくらメンツは気にしないとはいえ、これはさすがに無警戒すぎだろリャン様。

リー
リー

はぁ……

ドゥ嬢
ドゥ嬢

待ちなさい!

ブラックナイト
旅でやつれた女性

(レムビリトン語)チッ、ネームリストにこんなやつはいなかったはずなのに……!

ドゥ嬢
ドゥ嬢

……フンッ、もう逃げられないわよ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

言え、誰の指図でここに来た!?

ブラックナイト
旅でやつれた女性

……

ドゥ嬢
ドゥ嬢

……いや、アンタそもそも炎国人じゃないわね!どっから来たのよ?

リー
リー

……どうした?

ドゥ嬢
ドゥ嬢

アンタあのまま永眠していたのかと思っていたわ。

リー
リー

君は……

リー
リー

(この野獣、長吻眠獣?)

ブラックナイト
旅でやつれた女性

……

ドゥ嬢
ドゥ嬢

こいつはアンタの部屋の外で明らかになにかコソコソしていたわ、絶対曲者よ!

ブラックナイト
旅でやつれた女性

旅でやつれた女性](レムビリトン語)見つかってしまった以上、やるっきゃないか……

リー
リー

えーっと、レムビリトンからいらしたお嬢さん、ひとまず落ち着いて……

リー
リー

ここは尚蜀知府の敷地内だ、俺は別に構わないが、もし役所の人のお怒りを買っちまったら、そちらも対処しづらいと思いますよ。

ブラックナイト
旅でやつれた女性

(レムビリトン語)……私の言葉が分かるの?

リー
リー

少しは。

リー
リー

お名前を伺っても?それとこんなリスクを負ってまでここに来た理由も教えてくれますかね?

ブラックナイト
旅でやつれた女性

……

ブラックナイト
ブラックナイト

夜半、ブラックナイトよ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

炎国語が喋れたのならなんで最初から喋らなかったのよ!?

リー
リー

レムビリトン人なのに、炎国の名前?

ブラックナイト
ブラックナイト

名前はいいの。めったにない状況とはいえ、この都市での面倒事はゴメンよ。

ブラックナイト
ブラックナイト

罠も策略もない狩りなんて、どのみち失敗するのがオチだからね。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

諦めなさい、このアタシがいるかぎり、アンタがどんな謀を企んでいようと徒労に終わるわ。

リー
リー

……意外と正義感が強いんですね、ドゥお嬢さん。

ブラックナイト
ブラックナイト

……仲間だったのね、君たち。

ブラックナイト
ブラックナイト

けどちょうどいい、君たちが私に注意を向けてくれたおかげで……

ブラックナイト
ブラックナイト

ライト、ドリル!

???
近くにいる獣の鳴き声

アオーン――!

リー
リー

(まだほかにも眠獣がいたのか!)

ドゥ嬢
ドゥ嬢

チッ!あの獣、盃を咥えているわ!

ブラックナイト
ブラックナイト

それじゃあね!

(ブラックナイトが走り去る)

ドゥ嬢
ドゥ嬢

待ちなさいッ!!

ドゥ嬢
ドゥ嬢

ちょっとアンタ、なにボサっとしてんの、追いかけるわよ!

リー
リー

……長吻眠獣は炎国では生息していない、あんな多数の眠獣を躾けてるヤツなんてもってのほかだ。あの人は大方ほかの場所からここまで追ってきたんでしょうね。

リー
リー

……うーん……

ドゥ嬢
ドゥ嬢

どうしたのよ?このアタシが手を貸していなかったら、アンタは危うくアイツが仕掛けた罠で死んでいたかもしれないのよ!

リー
リー

俺を殺す意思は見られませんでしたよ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

……盃は奪われたってのに、アンタちっとも焦ってないわね、リャン様から責任を問われても怖くないわけ?

リー
リー

盃が奪われたことでお嬢さんが望んでいたこともようやく叶うんです、そっちのほうが好都合なんじゃないんですか?

ドゥ嬢
ドゥ嬢

チッ……そうだけど、それでもアタシたちの想定外で事態が進展して、もっと大袈裟なことになった場合は収拾つかなくなるでしょ?

ドゥ嬢
ドゥ嬢

アタシはただジェンにギャフンと言わせたいだけ、別に鏢局そのものを潰すつもりなんてないんだから。

リー
リー

……リャンは?

ウユウ
ウユウ

……恩人様、その……今話したことですが……あまりにも恐ろしすぎます、少しの間だけ頭の中を整理させてください

クルース
クルース

気にしないで。ニェンともう長い付き合いになるけど、私だってそう簡単には受け止められないよ。

ウユウ
ウユウ

……恩人様はなんの躊躇もなく全部教えてくださいましたね。

クルース
クルース

君も一応ロドスのオペレーターだからね。

ウユウ
ウユウ

それも確かに。

クルース
クルース

でも……私たちがイエスを言えどノーを言えど、大国の政府上層機関が直接ロドスに注意勧告してきたことは事実……本当にヒヤヒヤさせられるよ。

ウユウ
ウユウ

司歳台、礼部、聞いただけでもおぞましい。

ウユウ
ウユウ

しかし話を聞く限り、向こうはまだ敵対する意思はないようでしたが?

クルース
クルース

……もしかしたら、私たちは“ニェンさんの家庭事情”を甘く考え過ぎていたのかもしれないね。

クルース
クルース

はぁ、本当ならアーミヤちゃんとドクターにもこの件を伝えてから決めたほうがいいんだけどなぁ……

クルース
クルース

でもクロージャさんもアーミヤちゃんもこのことを知らないはずがないし……むしろあの時のニェンの要求に応えていたし……

クルース
クルース

ラヴァちゃんが事務所のところに行けてるかどうかもまだ分からないままだし。

ウユウ
ウユウ

では恩人様、今のところ一先ず様子見にしておきましょうか、それとも……?

クルース
クルース

……先にリーさんと相談しておこう、ニェンさんはともかく、シーさんはわざとはぶらかすような人じゃないから彼女とも相談してみよう。

クルース
クルース

もしシーさんの言ってたことが本当だったら、今回の事件は相当ややこしくなるね……

ウユウ
ウユウ

そのほうが無難ですね、さすがは恩人様。

クルース
クルース

炎国の司歳台がわざわざ直接注意してきた以上、無難もなにも――

クルース
クルース

――

奇妙な物体
奇妙な物体

……

ウユウ
ウユウ

……恩人様?急に止まってどうしたんですか?

クルース
クルース

あれって――

奇妙な物体
奇妙な物体

ガウ!

クルース
クルース

――!ウユウちゃん、避けて!

(奇妙な物体がウユウに襲いかかる)

ウユウ
ウユウ

……うわぁッ!

ウユウ
ウユウ

な、なんだこれは……!?

奇妙な物体
奇妙な物体

ガルル……

クルース
クルース

これって、金属でできた……生き物?

(奇妙な物体が沢山現れる)

クルース
クルース

いや違う、急須に、絵巻……全部生きてる――!?

ウユウ
ウユウ

一体どこから湧いて――ま、待て、急須に足が生えてるぞ?

奇妙な物体
奇妙な物体

ガァァ――!

クルース
クルース

……うわぁ!

(奇妙な物体がクルースを押し倒す)

ウユウ
ウユウ

恩人様危ないッ!

(ウユウが奇妙な物体に攻撃をする)

ウユウ
ウユウ

よし、当たった!

奇妙な物体
奇妙な物体

(悲鳴)――!

(奇妙な物体が消える)

クルース
クルース

なんか効いてるっぽいよ――!

ウユウ
ウユウ

――お待ちを、こいつら、ただの紙に変わりましたよ……?

(奇妙な物体が沢山現れる)

クルース
クルース

(まずいよ――そこら中にいる――!)

奇妙な物体
奇妙な物体

アギャァ!

クルース
クルース

くっ!

ウユウ
ウユウ

――恩人様!

街の青年
好奇的な通行人

なんだ?なんか騒がしいな……えっ、えっ、あの花瓶なんで動いてんだ……?

雪掻きする人
慌ただしい通行人

キャアアア――どういうこと!なんなのよコイツら!?

ウユウ
ウユウ

こいつら一体どこから……!?

ウユウ
ウユウ

(おっとっと!なにかを踏んでしまったか?)

ウユウ
ウユウ

これは――恩人様のポケットから落としたもの?

ウユウ
ウユウ

――!

奇妙な物体
奇妙な物体

……グゥ?

クルース
クルース

……ウユウちゃん!

奇妙な物体
奇妙な物体

グギャァァ――!!

(奇妙な物体がウユウに襲いかかる)

ウユウ
ウユウ

チッ!

(ウユウが奇妙な物体を蹴散らす)

ウユウ
ウユウ

なんで急に私を襲ってくるんだ!?

クルース
クルース

まだ一匹いるよ!

ウユウ
ウユウ

(クルースが奇妙な物体を撃ち倒す)

ウユウ
ウユウ

危なった!ありがとうございます恩人様!

クルース
クルース

いててて……

ウユウ
ウユウ

しかしこれは一体何事ですか?まさかまた誰かが私たちを貶めようと?

クルース
クルース

……というよりは、こいつらどっかで見たことがあるような……

ウユウ
ウユウ

えっ、そうだ!シー殿の墨魎だ、こいつらあの墨魎とすごく似通っていますよ!

奇妙な物体
奇妙な物体

ガルル……

ウユウ
ウユウ

うわっ、まだ残っているのか?

クルース
クルース

こいつらはニェンさんがラヴァちゃんに渡したこのお守りに向かってるんだよ、見たら分かると思うけど――

クルース
クルース

――もうほぼ墨魎みたいなものだってことだよ!

リャン
リャン

……

(リーが部屋に入ってくる)

リー
リー

……リャン!

リャン
リャン

リー。

リー
リー

盃が盗まれたって?

リャン
リャン

油断した、どうやら調教師が操っていた獣に盗られたらしい……

リャン
リャン

荒野に生息する長吻眠獣の体内には特殊な器官があって、そいつらは特殊な催眠物質を分泌する。

リー
リー

尚蜀にあんな生物は生息していない。盃を奪いたいのであれば、身ごなしも軽やかで、尚且つ人を眠らせる生き物を従わせている人はいい助け船になる、考えてみりゃ当然だな。

リャン
リャン

……

リー
リー

だがあの旅館の人ではなかった。

リャン
リャン

そこまで分かったのか?

リー
リー

全然驚きはしないんだな。お前は俺がとっくに事態を掴んでいたことを分かってたんだろ、違うか?

リャン
リャン

……

リー
リー

その表情、今度ばかりは自分の想定外のことが起こったって顔だな。

リー
リー

心当たりはあるんだろ?

リャン
リャン

……盃を置いた場所は誰にも教えていない。

リー
リー

それはこう言ったほうが正しいだろ、盃は今自分の手元にあるってな。

リャン
リャン

……そうだな。

リー
リー

……そうかい。

リー
リー

しかし、書斎は荒らされておらずキレイなままだ、お前が盃を入れた箱だけが消えちまってる。

リー
リー

この状況でリャン様の書斎に侵入し、こんな短時間の間にその盃を盗めるのはどこの誰なんだろうな?

リャン
リャン

……

リー
リー

――おっと、それ以上のことは言わないでおこう、お前たちのいざこざに巻き込まれるのはゴメンだからよ。

リー
リー

俺が盗人を背後で糸を引いてる主犯を引きずり出してやろうか?

リャン
リャン

……まずは盃の奪還を優先しよう。

リャン
リャン

その人の捜索も……行動を早めないといけないな。

リー
リー

……おい、お嬢ちゃん。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

名前で呼んで!

ドゥ嬢
ドゥ嬢

いっつもそうやってノロノロと……リャン様からなに言われたの?

リー
リー

ちょっとした面倒事をな、だが今回のはお前の親父さんとはなんの関係もないから安心してください。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

フンッ……

リー
リー

……どうやらヤオイェーお嬢さんは自分の父親のことをまだよく思ってるらしい。

リー
リー

若い連中は年配方に文句がある、自分はそんなおつかいみたいな仕事は受けたくないっていつも口にしているが、本当は別のことを考えているんじゃないんですか?

ドゥ嬢
ドゥ嬢

あ、アタシのことはどうでもいいでしょ!分かってんのなら、今すぐあの人を捕まえる方法でも考えなさいよ!

リー
リー

まあ捕まえられなくはないさ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

あの夜半ってヤツ、それなりの実力者みたいだけどそう簡単に捕まえられるの?

リー
リー

そりゃ好都合だ、実力があればあるほど、これが引っかけやすくなるんですよね。

リー
リー

ただ重要な点として、なぜレム・ビリトン人の彼女が、ここ尚蜀までやってきたってことだ。それと彼女は誰に糸を引かれているのかも。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

龍門から来たんじゃないの?

リー
リー

俺が龍門からここに来るまでの間はそんなに急いではいなかった、もし俺の後をつこうとしていたのなら、適当にどっかのトランスポーター中継所で待ち伏せでもしていれば盃は手に入れられたはずだ、俺が尚蜀についてから動く必要はない。

リー
リー

なにより、レム・ビリトン人がなんの弁えもなく知府を襲撃したってことは、そいつがバカじゃなければ裏で誰かが糸を引いてるってことですよ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

フッ、それってどっちもバカって言ってるようなもんじゃない?

リー
リー

いいや、人はなにかとバカなフリをする時があるんですよ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

それっていつよ?

リー
リー

人に頼まれた時とか。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

……当て擦ってるわけじゃないんでしょうね?

リー
リー

そんなことないですよ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

アンタが部屋に残したあの二通の手紙だけで、本当にそれでロドスは動いてくれるの?

リー
リー

ちゃんとこちらの意図を理解してくれるので動いてくれますよ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

……そんなにロドスと親しいの?

リー
リー

そりゃいい人同士ですからね、関係も深くなりますって。

(クルースが駆け寄ってくる)

クルース
クルース

部屋の鍵が開いてる……でもリーさんは?

ウユウ
ウユウ

恩人様、ここに二通の手紙があります、どうやら一通は私たち宛てのようです。

クルース
クルース

どれどれ……

ウユウ
ウユウ

恩人様、実は前々から気になってたんですが、あのリー殿、一体どういうお方なんですか?

クルース
クルース

……うーん。

クルース
クルース

探偵をやってて、結構前からロドスとも交流があって……彼の探偵事務所に所属してるメンバーがロドスと交流があるって言ったほうがいいかも。

クルース
クルース

けどまあそうこうしてるうちに、知り合ったって感じかな。

ウユウ
ウユウ

なるほど、探偵ですか……どうりで周密で繊細な方だ。あの恰好を見るに、それなりのアーツを習得した天師の方ではと思っておりましたよ。

ウユウ
ウユウ

それでリー殿の手紙にはなんと?

クルース
クルース

手紙には……

クルース
クルース

自分で読んでみて。

ウユウ
ウユウ

「盃は奪われた、渡り場でシェンさんを探してくれ」、それと……

ウユウ
ウユウ

これ……私たちを部外者として扱っていないようですね。シェンさんとは、あのちょっと怪しげな水夫のことでしょうか?

クルース
クルース

この一見をしっかりと解決しない限り、ロドスも他人事ではいられなくなるからね。今はリーさんの言うことを聞いたほうがよさそうかも。

クルース
クルース

……リーさんは最初から事態は複雑化すると分かっていたから、私たちを巻き込ませないようにしていたのかな……まさか最初から気付いていた?

リー
リー

……

ドゥ嬢
ドゥ嬢

さっきから黙りこくってどうしたのよ?全然先に進んでいないんだけど?

ドゥ嬢
ドゥ嬢

アンタは手紙を残したって言ったけど、アイツらがアンタの言うことを聞いてくれる保証でもあるわけ?

リー
リー

それをドゥお嬢さんみたいな若い連中に話したところで、身も蓋もないでしょうよ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

偉そうに……だからアンタたちみたいなペテン師は嫌いなのよ。

リー
リー

ちょっとちょっと、俺だって曲がりなりにも探偵事務所を経営してる社長なんですよ、経営許可だってちゃんと取ってる。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

探偵事務所の社長が探偵をやってる必要なんてあるのかしら?

リー
リー

いや、それはその……

ドゥ嬢
ドゥ嬢

まさかあの盃の持ち主を探し出すためだけにこんな骨を折ってるわけじゃないんでしょ?

リー
リー

もちろんそれだけじゃないさ、俺だって自分なりの答えが欲しいですからね。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

じゃあ、あの夜半とかいう女盗賊、本当にアンタの言う通りに尚蜀から出ないの?

リー
リー

リャン知府の書斎の間取りを完璧に知り尽くしていた盗賊ですからね、ここに残って黒幕のところに行くのは間違いないはずです。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

万が一逃げられたら?

リー
リー

梁知府のものを盗んだレム・ビリトン人がここから逃げしたってことなら、きっと彼女の逃走を助けたってことになる――だが逆を言えば、ここから逃げ出すことは不可能だ。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

自信ありありね?

リー
リー

それほどでもないですよ、これはちょっとした賭けですからね。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

じゃあもう手遅れじゃないの!?

リー
リー

もし逃げられたりしたら、ドゥお嬢さんの手を借りて追いかければ済む話です。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

軽々しく言わないで!アイツがどこに逃げたかなんてアタシに分かるわけないでしょ?

リー
リー

相手は事前に備えていた以上、確かにこんなだだっ広い尚蜀で見つけ出すなんて無理な話です。ドゥお嬢さんがしらみ潰しに走り回って一か所ずつ確認するとしても現実味はない。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

じゃあどうやって……待った……

リー
リー

別に俺はあの盃を欲しがってるわけではない

リー
リー

だがちょうどそれを盗まれた、だから様子でも見てみましょう、一体どれだけの人が、大物がそれで釣り上げられるのかどうかを。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

黒幕はもう分かったってこと……?

リー
リー

俺がその方々を一堂に集めさせておきますよ、それが俺の今の役割ですから。

ネイ
ネイ

……リャン様が朝っぱらから私を呼ぶなんて珍しいですね。

リャン
リャン

ネイ殿……

ネイ
ネイ

ここに来る時、庭でササンガが咲いていたんです、ご覧になられましたか?

リャン
リャン

君が植えた花だったな。

ネイ
ネイ

ええ、けどあなたがお世話をしてくださったおかげでもありますよ。

ネイ
ネイ

リャン様はまったくお庭に興味がないのですから、今はもう私が暇つぶし用にお庭を使わせて頂いてるといった感じになっていますね。

ネイ
ネイ

今度は紅梅でも植えてみましょうか。

リャン
リャン

……好きにしたまえ。

ネイ
ネイ

そんなソワソワしてどうしたんです?

リャン
リャン

少しネイ殿に尋ねたいことがあってな。

ネイ
ネイ

……

リャン
リャン

……

ネイ
ネイ

……言って下さいな、いつからそんな回りくどい人になってしまったのですか?

リャン
リャン

私の友人に関することなんでな。

ネイ
ネイ

私を信用していないのでしょうか?

リャン
リャン

私はいつだってネイ殿を信用しているさ。

ネイ
ネイ

……本当ですか?なら、なぜわざわざこんなまどろっこしいことを?

リャン
リャン

すまない、だが信じてるのは本当だ……

ネイ
ネイ

あなたに会えるのなら幾らでもこちらから伺いに参上しますが、今回はそんなことを尋ねるためにわざわざ私をここまで呼び寄せたのですか?

リャン
リャン

もし不快にさせてしまったのなら謝ろう。

ネイ
ネイ

うふふ、そんな強張ってどうしたんです、私ってそんなにおっかないですか?

リャン
リャン

……

ネイ
ネイ

昨日の朝、チョウさんのところの宝石店に行って、あなたから頂いた腕輪を保養してもらいました。それからお昼は、ブンお嬢さんのお店で家具を物色していました、いい加減もっと大きなテーブルに変えようと思っていましたから……

ネイ
ネイ

それからついでとしてブンさんの旦那様にも挨拶に行きましたよ、ブンさんと一緒に。

ネイ
ネイ

それから午後は一緒にフーさんのところでご飯を食べて、色々世間話をしておりました……

リャン
リャン

……

ネイ
ネイ

……そして最後にはハクさんのところに行って、陶芸を習ってる弟子たちへの指導を見学させて頂いて、少しだけ一緒に散歩しに行きました。

ネイ
ネイ

ほかになにか聞きたいことはありますか?

リャン
リャン

……君に贈ったあれは普通の銀の腕輪だ、そんな大した値段はついていないから保養する必要はないだろう。

ネイ
ネイ

あら、値段が高くなければ気に入っちゃいけないのですか?

リャン
リャン

ハク殿は近頃風邪を引いたと聞いた、もうかなりのお年だ、無理をしてはいけない。

ネイ
ネイ

彼なら自分でも分かっているはずですよ。

ネイ
ネイ

けどハクさんはここ尚蜀でももう十年も陶芸家をしてらっしゃるお方です、毎日午後三時にならない限り、誰に言われてもビクともしませんよ。

ネイ
ネイ

もう習慣になっちゃったんですから、今更ルーティーンを変えるのもキツいかと。

リャン
リャン

昨日だけで、その五人全員と会ったのか?

ネイ
ネイ

恒例の挨拶としてね。

リャン
リャン

そうか。

ネイ
ネイ

それで、聞きたいことも聞き終えたら、このまま私を帰らせるおつもり?

リャン
リャン

……そろそろ夜が明けるな。

ネイ
ネイ

この時間帯ですと、劇を見に行くにはまだちょっと早すぎですよね?

リャン
リャン

確かにまだ早いな。

ネイ
ネイ

私は身体が弱いのはあなただってご存じのはずですが……

リャン
リャン

ではお茶を淹れこよう、君はここで待っててくれ。

ネイ
ネイ

ええ。

リャン
リャン

そうだ、昨日私の書斎から持って行ったあの本だが……もう読み終えたか?

ドゥ嬢
ドゥ嬢

夜が明けたわね。

リー
リー

……雪はまだ融けていませんけどね。

リー
リー

ちょいとお嬢さんにも聞きたいことがあったんです。

ドゥ嬢
ドゥ嬢

なに?

リー
リー

このどんどん数を増やしてるヤツらなんですけど……あなたにも見えます?

奇妙な物体
奇妙な物体

ガルル……グギャァ!

ドゥ嬢
ドゥ嬢

……なにこれ?

奇妙な物体
奇妙な物体

ガルル……

リー
リー

……

リー
リー

もしこいつらは盃によって生まれたモノだというのなら……

リー
リー

来た道は正しかったってわけですね。

ブラックナイト
ブラックナイト

(……もう追っかけてきていない?生ぬるい仕事ね。)

ブラックナイト
ブラックナイト

(ちょっと手紙を確認……あの講談師、転職したんだっけ?トウゲイ?トウゲイってなにかしら……)

???
???

どこか急いでいるのかね?

ブラックナイト
ブラックナイト

――誰!?

ジェン総支配人
ジェン総支配人

……あの“行方不明”になった盃、なぜお前が持っているんだい?

墨魎
墨魎

……クゥ……

奇妙な物体
奇妙な物体

フガッ?

墨魎
墨魎

……ンガッ……!?

奇妙な物体
奇妙な物体

グギャァ!

墨魎
墨魎

フガッ……ギャ……?

墨魎
墨魎

クゥ……

奇妙な物体
奇妙な物体

ガルル……

シー
シー

……

シー
シー

……やっぱりここにいたわね。

この記事を書いた人
おーちゃん

フロストノヴァ推し

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