アークナイツストーリー翻訳

【明日方舟】未尽の篇章 スキウース「ブラウンテイル」 翻訳

(回想)

ラタトス
ラタトス

ウース、準備はもう済ませてるか?

ラタトス
ラタトス

ヴィクトリアはイェラグとは違うぞ。今回の協同を結ぶにあたってはこちら側が下座だ、向こうはきっと隙を伺っては威圧してくるだろう。

ラタトス
ラタトス

いくら私とて相手の具体的な動きは読めない、だからアドバイスだけをやる。今回は自分で色々と判断するんだよ、分かったか?

スキウース
スキウース

はいはい、分かったわよ!耳にタコができるっての!

スキウース
スキウース

そんなにあたしが信用ならないのなら、なんで自分で行かないのよ!

ラタトス
ラタトス

一度も封を切っていない自分の脳みそで考えることだな。

スキウース
スキウース

あんたねぇ……!

ラタトス
ラタトス

さあ、こっちはあんたと口論してる暇はないんだ。いいかい、よく覚えておくんだよ、今回はタダで旅行しに行くわけじゃない、あんたは私らブラウンテイル家を代表してヴィクトリアへ向かうんだ。

ラタトス
ラタトス

ユカタン、嫁をしっかりと見ておけ、外でバカな真似をしてブラウンテイル家に恥をかかせないようにするんだぞ。

ユカタン
ユカタン

あはは……

スキウース
スキウース

頷くんじゃない!ユカタン、あなたどっちを味方してるのよ!?

ラタトス
ラタトス

話を逸らすな。

ラタトス
ラタトス

ともかく今回は何事にも気を配っておけ。よく見てよく聞いて、口数は少なめに、この前みたく喋り出したら止まらないようなヘマをするんじゃないぞ。

ラタトス
ラタトス

あんたもそろそろ見識を広めないとな。イェラグの外を、ヴィクトリアがどういう国なのか見ておくといい。

スキウース
スキウース

フンッ、言われなくても……

スキウース
スキウース

……

スキウース
スキウース

ねえ、あのさ……ラタトス。

ラタトス
ラタトス

なに?

スキウース
スキウース

本当は自分も行きたかったんじゃないの?

ラタトス
ラタトス

……

ラタトス
ラタトス

ウース、ちょっとこっち来な。

スキウース
スキウース

なによ?……なっ、何するんのよ、クソ女!手をどけなさい、熱なんかしてないわよ!

ラタトス
ラタトス

だったらなに訳の分からんことを言ってるんだい?

スキウース
スキウース

て、適当に聞いただけよ。

スキウース
スキウース

もしあの時も今みたいに行く機会があったら……あんたも、ヴィクトリアに行ってみたかったんじゃないの?

(回想終了)

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

おお、お二人とも、ここにいらしていたか!

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

挨拶が遅れてしまって申し訳ない、ほかにもお客人が多くいらしてな。

スキウース
スキウース

お気になさらず、ハリソンさん。

スキウース
スキウース

本日はご招待して頂き本当に感謝しております、おかげで愉快な一日となりました。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

いえいえ、滅相もない!

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

遠路はるばるいらしたのだから、これぐらいもてなして当然だ。目の前に置かれてるワインや料理ならどうぞご自由に召し上がってくれ、もしほかに必要なことがあれば、近くにいる召使いたちに伝えてやれば結構だ。

スキウース
スキウース

お気遣いに感謝致します。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

そうそう、よければ食器の使い方をレクチャーしてあげようか?

スキウース
スキウース

……いえ、結構です。

スキウース
スキウース

そんなことよりもハリソンさん、そろそろブラウンテイル家と御社の協同事業に関してご相談したいのですが。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

ふむ、スキウース夫人、中々に率直だね……

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

しかし協同事業のことなら、この前双方ともすでに一定の共通認識を得られたと思っているのだが、違ったかな?

スキウース
スキウース

仰る通り、共通認識はある程度得られております。

スキウース
スキウース

ただ細かい点について、もう少しだけ詳細に確認したいと思いまして。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

もちろんさ、それについては安心してくれたまえ。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

うちの補佐役がすでに正式な契約書類を用意してくれているから、お暇な時に目を通してやって……

スキウース
スキウース

そちらの契約書類ならすでに一通り目を通しておきました。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

ほう?

スキウース
スキウース

ただ先に申し上げたいのですが、その内にある一つの項目がブラウンテイル家として受け入れ難いものがございまして。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

ふむ……

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

それで、何を仰りたいのかな?

スキウース
スキウース

改めて人材供給と利益分配の方面で具体的な数字を確認したく存じます。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

ふむ。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

夫人が仰ったそれらについてなら、こちらでも考慮しておこう。

スキウース
スキウース

では――

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

まあまあ夫人、そう焦らずに。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

今回の協同、とりわけ発注費用の控除においては、すでにそちらへだいぶ譲歩したつもりだ。

スキウース
スキウース

しかし……!

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

ご安心くだされ、元より我々は相互利益の関係にある上、私個人としてもイェラクには非常に好感を持っている。協同で夫人や夫人一家に損をさせるようなことは絶対にしないさ、約束しよう。

スキウース
スキウース

……

ユカタン
ユカタン

失礼、“イェラク”ではなく“イェラグ”でございます、ハリソン殿。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

お?あ~しまったしまった、これは大変失礼した。いや~中々発音しづらい音でしてな、申し訳ない。

ユカタン
ユカタン

イェラグへ行かれたことがあるのですか?

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

それは……まだないが、しかし近年はしょっちゅうそこの情報が耳に入ってきてね。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

聞いた話によれば、イェラグは宴会を開かれる際に肉獣を一匹丸ごと焼くようじゃないか?酒も人ひとりぐらいの高さがある樽に注いだり、雑技まで披露してくれるとなれば、是非ともこの目で直接伺いたいものだね。

ユカタン
ユカタン

……

スキウース
スキウース

……恐縮です。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

さて、まだほかのお客人との挨拶を済ませていないから、私はこれで戻らせてもらうよ。お二人とも、どうぞごゆっくり今日のパーティを楽しんでいってくれ。

スキウース
スキウース

ま、待ってください……!まだ話が――

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

失礼させてもらうよ。

(ヴィクトリアの豪商が立ち去る)

セレブな女性
セレブな女性

(ハリソンさん、ようやく来てくださいましたか。あちらのお二方はどちら様でして?)

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

(イェラクからいらした客人だ、向こうではかなり有力な一族らしい。)

セレブな女性
セレブな女性

(まあ、聞いたこともないような場所ですね……)

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

(山間の奥にあるような田舎に過ぎんよ、マダムが気にするほどでもないさ。)

スキウース
スキウース

……

スキウース
スキウース

帰るわよ、ユカタン!

(スキウースが立ち去る)

ユカタン
ユカタン

ウース……

(ユカタンが立ち去る)

スキウース
スキウース

……

スキウース
スキウース

ふぅ……

スキウース
スキウース

すぅッ……ハァ……

ユカタン
ユカタン

ウース。

ユカタン
ユカタン

もう周りに誰もいないよ。

スキウース
スキウース

……

スキウース
スキウース

(深く息を吸いこむ)

スキウース
スキウース

チックショオオオオオ――!!

スキウース
スキウース

チクショチクショチクショオオオ!!

スキウース
スキウース

何よあの態度!お高く見下してきて!あたしらやイェラグを舐め腐ってる態度が分からないとでも思ってんのかしら!

スキウース
スキウース

食器の使い方を教えようか!?宴会に雑技の披露!?イェラグの発音もロクにしないで!提携先じゃなかったら一発ぶん殴ってたわよ!

スキウース
スキウース

ああもうムカつくッ!!

ユカタン
ユカタン

……はぁ。

ユカタン
ユカタン

ほら、水飲んで。

スキウース
スキウース

いい、ムカついて飲めるかっての。

ユカタン
ユカタン

飲まなかったらまた夜に胃がムカムカするよ?

スキウース
スキウース

じゃあマッサージして!

ユカタン
ユカタン

はいはい、マッサージね。

ユカタン
ユカタン

ずっと我慢できてすごいじゃないか、ウース。

スキウース
スキウース

フンッ、我慢するしかないでしょうが。

スキウース
スキウース

あそこで我慢しきれなかったら、絶対帰った時ラタトスに怒られるハメになるし。

ユカタン
ユカタン

……本当にお疲れ様。

ユカタン
ユカタン

これからどうする?

ユカタン
ユカタン

パーティ会場に戻る?それとも、今日はもう休んで……

スキウース
スキウース

会場に戻るに決まってるでしょ!戻らない選択肢なんてない!

スキウース
スキウース

ちょっと腹を立たせられただけじゃないの!協同のこともまだ話し終えてないんだし、このまま帰ってやるかっての!

ユカタン
ユカタン

……ホントに?大丈夫?

スキウース
スキウース

大丈夫に決まってるじゃない、むしろピンピンしてきたわよ。

スキウース
スキウース

今回のヴィクトリアとの提携はブラウンテイル家の対外接触に際しての重要な一歩になる、だから絶対にヘマをするわけにはいかない。これぐらいラタトスに言われなくとも分かるわよ。

スキウース
スキウース

ヘマをしない上に、なるべくこっちに有利な条件も結ばないといけないし……

スキウース
スキウース

だからあたしは平気、我慢ならできるわ。

ユカタン
ユカタン

ース……

スキウース
スキウース

ここ二日であなたも見てきたでしょ、ユカタン――

(ヴィクトリアの様々な地を回る2人の回想が流れる)

スキウース
スキウース

あんな大きな機械なんて初めて見たわ。見るからに鈍そうなのに、あんな高速に移動することができるなんてビックリよ。

スキウース
スキウース

それに整然と舗装された道路と街、あちこちに立てられた列車駅、目が回るほど色鮮やかに飾られたショーウインドーの品々。

スキウース
スキウース

今日のパーティだって、蝋燭じゃなくて電気を使ってた……

スキウース
スキウース

あんなもの、イェラグは持ってないのよ、ユカタン。

ユカタン
ユカタン

……

スキウース
スキウース

あたしらもそれを所有すべきだって、その時そう思ったわ。

スキウース
スキウース

たかが列車に綺麗な街にカラフルな商品ってだけじゃない!そんなのあたしら自分たちで作ってしまえばいいのよ!

スキウース
スキウース

そしたらあたしらの子供がこれから生まれてきても、そういったものに慣れ親しむことができえるでしょ?大きくなってから留学するにしても、観光するにしても、好きなところに行けるようになるんだから。

ユカタン
ユカタン

えっと、子供って……

スキウース
スキウース

……あっ。

スキウース
スキウース

ち、違う!子供ってのはその……そう!イェラグの未来の子供たちのことよ!な、なに考えてんのよこのスケベ!

ユカタン
ユカタン

ちょちょちょ、落ち着いて!考えてない、何も考えてないから――

スキウース
スキウース

ハァ!?あたしらの子供について何も考えたことがないですってェ!?

ユカタン
ユカタン

いや考えたことはあるけど……そういう意味じゃなくて!

スキウース
スキウース

……オホン。

スキウース
スキウース

ともかく、将来のためにも、ここらでもうひと踏ん張りしましょうってこと。

スキウース
スキウース

あの目に入れるだけで不愉快なエンシオディスもこんなことを考えてたのかしらね?

スキウース
スキウース

難しいことはよく分かんないけど、あいつが作った鉄道や工場は……確かにイェラグに色々と変化をもたらしてきてくれた。

ユカタン
ユカタン

ウース……

スキウース
スキウース

何よ、ニヤニヤして……ちょッ、頭撫でるな!髪が乱れるじゃない!

ユカタン
ユカタン

じゃあ動かないでね、ウース、ボクが梳いてあげるから。

スキウース
スキウース

ホント信じられない……ここ外よ!

ユカタン
ユカタン

ごめん、我慢できなかった。

ユカタン
ユカタン

君の言う通り、ボクたちはここにあるものをどれも持っていない。

ユカタン
ユカタン

でもいつかは持てるってボクも信じてるよ。

スキウース
スキウース

当たり前じゃない……!

ユカタン
ユカタン

しかし……ウースがエンシオディスを持ち上げるとはね。

スキウース
スキウース

フッ、バカ言わないで、シルバーアッシュ家を持ち上げるだなんて死んでもイヤよ!

スキウース
スキウース

ただ事実を言っただけ。エンシオディスは気に食わないけど、あいつもこの国を見たっていうのなら、今は少しだけ……あいつのやってきたことも理解できなくはないわ。

スキウース
スキウース

だからあいつの実力をちょ~っと認めてあげただけよ、それぐらいの器量ならあたしにだってあるんだから。

ユカタン
ユカタン

確かに、エンシオディスは手腕のある男だ。

スキウース
スキウース

まあ、エンシオディスよりもその傍にいるノーシスのほうがよっぽど嫌いだけどね!

スキウース
スキウース

あのクソ野郎が裏切ったフリをしてあたしらに漬け込んできたせいで……

ユカタン
ユカタン

あの状況じゃ、ああいった判断も間違いではなかったよ。みんなイェラグのことで頭が一杯だったんだから、彼ひとりを責めるのはよくないよ。

スキウース
スキウース

そんなの知らない!あなたなんで彼を庇おうとしてるのよ!?

ユカタン
ユカタン

えっ、いやそんなことは……

スキウース
スキウース

(ジロッ)

ユカタン
ユカタン

……はい、ごめんなさい。

ユカタン
ユカタン

でもさ、あの一件も終わって、これからもシルバーアッシュ家との関わりでどうしても相手と顔を合わせなきゃならないだろ……ウースはいつまで根に持つつもりなんだ?

スキウース
スキウース

一生よ。

ユカタン
ユカタン

一生って……

スキウース
スキウース

あれはあれ、これはこれなの!ラタトスからのおつかいは全うするし、生涯あいつらがやったことも根に持ってやるんだから!

ユカタン
ユカタン

……はぁ。

ユカタン
ユカタン

お義姉様のほうはもう全然気にしてないように見えるのに。

スキウース
スキウース

そんなわけないでしょ!ラタトスって女はね、顔ではもう気にしてません~ってフリをしてるけど、実際あたしよりもよっぽども根に持ってるんだからね!

スキウース
スキウース

あなたまた忘れたの?ほら、あたしらが小さい頃遊びに行った時あいつを呼ぶのを忘れて、後でお爺様に捕まえられて一週間も写経させられたじゃない?

スキウース
スキウース

ありゃきっとラタトスの報復だったんだわ、絶対そうよ!

ユカタン
ユカタン

あれはボクたちが長時間外で遊んでたせいで怒られただけだよ、お義姉様のせいじゃないさ。

スキウース
スキウース

もう!あいつのこと信用し過ぎでしょ!

スキウース
スキウース

でもさ、それを言って思ったんだけど……

スキウース
スキウース

ユカタン、あなた気付いてない?あいつ、結構エンシオディスのことを評価してるわよね?

スキウース
スキウース

口では言わないけど、あたしにはなんとなく分かるのよ。

ユカタン
ユカタン

うーん……そうかも。

ユカタン
ユカタン

もしあの後エンシオディスが過激な手段に出ていなかったら、お義姉様もあんなに反対しなかったと思う。

スキウース
スキウース

そう思うよね?だからさ……お姉様があたしをここに寄越したのって、あたしにもこの国を見せたかったんじゃないのかしら?

スキウース
スキウース

出発する前にラタトスに訊いてみたの、もしあの時に行く機会があったら、あんたもヴィクトリアに行ってみたかったんじゃないのって。

スキウース
スキウース

……姉の考えを知らない妹なんていないわよ。

(回想)

スキウース
スキウース

ラタトス!ねえラタトス!

スキウース
スキウース

ラタトス、いるなら返事してちょうだいよ!こんなに叫んでるのに、また聞こえてないフリをしてるわけ?

スキウース
スキウース

ちょっと、なに無視して……あれ、あんたなに読んでるのよ?

ラタトス
ラタトス

お姉様と一言も呼んでくれないようなイキがってるバカに返事する道理があると思うか?

スキウース
スキウース

誰がバカですって!?

ラタトス
ラタトス

自分はこっそり逃げ出して遊んだくせに、帰ってきたら私に庇ってもらうとしていたバカのことを言ってるのさ。

スキウース
スキウース

あ、あれは……確かにあたしが悪かったけど……

スキウース
スキウース

次はちゃんとあんたも呼んであげるわよ、今度はユカタンに残ってもらいましょ!

ラタトス
ラタトス

いい、私はあんたらほど暇じゃないんだ、それにお爺様の容態だって……なんでもない、あんたも面倒事を起こさなければそれでいい。

ラタトス
ラタトス

それと、いつもユカタンに八つ当たりするんじゃないよ、イジメてやるな。

スキウース
スキウース

イジメなんかしていないけど?

ラタトス
ラタトス

あるって言ったらあるんだ。

ラタトス
ラタトス

それで、私のことはなんて言うんだった?

スキウース
スキウース

ラタトス……

ラタトス
ラタトス

ん?

スキウース
スキウース

……お、おお、お姉様!

ラタトス
ラタトス

言えたじゃないか、私の可愛い妹よ。

スキウース
スキウース

フンッ……

スキウース
スキウース

待って、またあたしをおちょくったでしょ?もう話を逸らさないで、一体なにを読んでるのか教えてちょうだいよ!

ラタトス
ラタトス

定期連絡とその情報ってだけさ、特段に面白いものはないよ。

スキウース
スキウース

お爺様はそういうこともあんたに任せ始めたの?信頼されてるのね……

ラタトス
ラタトス

フッ、まあ私はこれを処理できるだけの実力があるからな、私のかわいい妹とは違って。

スキウース
スキウース

なっ……!

スキウース
スキウース

もういい、今はあんたと口論する気はないの。

スキウース
スキウース

それで、一体なんの情報なのよ?そこまで熱心に読み込むなんて……

ラタトス
ラタトス

……

スキウース
スキウース

別段面白そうなものは書いてないわね……

スキウース
スキウース

待って!ここ、シルバーアッシュ家のあの長男がイェラグを出た?

スキウース
スキウース

ヴィクトリアへ留学……ふ~ん、中々の言い訳ね、どうせもうイェラグには居場所がなくなったから、ほかの場所へ逃げていったんでしょ!

ラタトス
ラタトス

……そう思うかい?

スキウース
スキウース

みんなそう言ってるから絶対そうよ。残れるんだったら、誰があんな言葉も通じないような場所に行くもんか!あたしなら絶対にイヤね。

ラタトス
ラタトス

……

スキウース
スキウース

どうしたのよ?ラ……お姉様、顔色が悪いわよ?

ラタトス
ラタトス

……手を下ろせ、あんたにそこまで心配されるほど落ち込んじゃいないよ。

スキウース
スキウース

このクソ女……何よ、せっかく親切に心配してやってるのに!

ラタトス
ラタトス

そうかそうか、ならその親切心には一応感謝しておかなければな。

ラタトス
ラタトス

……はぁ……

ラタトス
ラタトス

私はただ感心してただけさ。ああいう決心は、今のシルバーアッシュ家の境遇と諸々の懸念やしがらみを置いていかなければできるようなもんじゃない。

スキウース
スキウース

決心って?

ラタトス
ラタトス

何もかも捨て去るという決心さ。

ラタトス
ラタトス

……エンシオディスめ、中々肝が据わっているじゃないか。

(回想終了)

スキウース
スキウース

その時あいつはそう言ってたわ。

スキウース
スキウース

本当ならもう忘れてたんだけど、あいつとエンシオディスがあの火事場にいた時……なぜだか知らないけど、それで何年前のことを思い出したの。

スキウース
スキウース

あの時ラタトスは、あたしらが想像してたのとはまったく違い思いを抱いていたんじゃないかって、そう思ったわ。

スキウース
スキウース

もしかしたら……あいつはずっと、ブラウンテイル家の重荷を背負わされていたんじゃないのかしら?

ユカタン
ユカタン

それって大旦那様が亡くなられる前に……?

スキウース
スキウース

うん……それからしばらくしないうちに、お爺様が亡くなられたわ。

スキウース
スキウース

あなたも知ってたでしょ、あの頃お爺様はもう長くなかったし、ラタトスもずっとそれをあたしに隠してた……

スキウース
スキウース

あの頃のブラウンテイル家は各方面から狙われていたからね。当主になられたお義姉様もまだ若かったし、必ず誰かがよからぬことを考えていた。

スキウース
スキウース

そうね、あの頃のあいつは多忙が極まってロクに睡眠を取ることもできていなかったわ。あんなすごいクマをしちゃって、見たら一発で分かるっての……そのせいもあってかかなりイライラしてたから、しょっちゅう怒られるハメになったわ。

スキウース
スキウース

……

スキウース
スキウース

ねえ、ユカタン。

ユカタン
ユカタン

なんだい?

スキウース
スキウース

あの頃のあたし……負けず嫌いのせいでずっとラタトスに歯向かっていたあたしって……やっぱりバカだったのかな?

ユカタン
ユカタン

そんなことは――

スキウース
スキウース

ストップ、あなたはなにも言わないで!

ユカタン
ユカタン

むごご!

スキウース
スキウース

自分がバカなのは知っているわよ。何も力になれない上に、むしろ色々とやらかしてきた、もうご先祖様が泣きっ面をかくぐらいどうしようもなかったわよ!

スキウース
スキウース

ほかの人があたしのことをどう言おうが別に構いやしない、でも……あなただけは言わないでね。

スキウース
スキウース

絶対に言わないでよね!じゃないとあたし……耐えられないから。

ユカタン
ユカタン

ウース……聞いて。

ユカタン
ユカタン

君は十分立派だよ、バカなんて一度も思ったことはないさ。

スキウース
スキウース

……ウソよ。

ユカタン
ユカタン

ウソじゃない。

ユカタン
ユカタン

本当に思ってないさ、お義姉様だってきっと……

スキウース
スキウース

あいつなら思ってるわよ!

ユカタン
ユカタン

……分かった、でもお義姉様ならきっと君を責めたりはしていないよ。君はいつだって何かにチャレンジしようとしているし、お義姉様のほうも君を信じようと頑張っている、今がそうじゃないか?

スキウース
スキウース

そんなの分かってるわよ、でもやっぱり……ムカつくの。

スキウース
スキウース

自分にムカつくし、あいつにだってムカついてる。

スキウース
スキウース

なんで自分はあいつがあんなに強がってるところを察してあげられなかったのかって。

ユカタン
ユカタン

それ……本当のこと聞きたい?

スキウース
スキウース

ロクでもないことならいい。

ユカタン
ユカタン

そりゃダメだよ。

ユカタン
ユカタン

強がりってのはもうブラウンテイル家の遺伝みたいなもんさ。ウースだってお義姉様とさほど変わらないよ。

ユカタン
ユカタン

それで、我らが負けず嫌いなスキウース夫人、この後あの強欲なハリソン殿を改心させる方法は思いつきましたか?

スキウース
スキウース

方法なら――

(ガヤガヤとした声)

スキウース
スキウース

……待って、なんの騒ぎ?

(複数人の従者と貴族が姿を現す)

男性貴族
男性貴族

まったく見ずぼらしいパーティだな。

男性貴族
男性貴族

ハリソン殿には貴族の土地を買収する度胸はあるのに、私如きの客人を出迎えることすらしてくれないのか?

男性貴族
男性貴族

おい、お前たち。

粗暴な男
粗暴な男

へい、なんでしょう。

男性貴族
男性貴族

我らがハリソン殿に礼を尽くしてやれ。

男性貴族
男性貴族

なあに遠慮はいらんさ、商人の貴族へ対する態度ってものを教えて差し上げろ。

粗暴な男
粗暴な男

へい!

(粗暴な男が物を壊す)

セレブな女性
セレブな女性

キャーッ!

セレブな女性
セレブな女性

はやく、はやくハリソンさんを呼んできてちょうだい!

スキウース
スキウース

(何が起こってるの?あいつらパーティをめちゃくちゃにしてない?)

スキウース
スキウース

(あのゴロツキを率いてるのはヴィクトリアの貴族かしら?一体なにが目的で……)

ユカタン
ユカタン

(どうやらハリソン殿といざこざを抱えているように見えるな。)

スキウース
スキウース

(他人ん家に殴り込みに来るなんて、ただのいざこざじゃなさそうね。)

ユカタン
ユカタン

(様子を見に行こうか?)

スキウース
スキウース

(もう少し待ちましょう、そうズカズカと関わっていいもんじゃないわ、少なくとも今はね。)

スキウース
スキウース

(けど、もしかしたらこれはチャンスになり得るかもしれないわね……)

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

エヴァンス子爵!

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

よ、ようこそお越しくださいました!しかし、来られるのなら一声かけて頂ければよかったではありませんか、リターニアで休暇を楽しんでおられると聞いたものですから、つい疎かに……

男性貴族
男性貴族

ほう、私のスケジュールまでをもきちんと把握してらっしゃるとは。

男性貴族
男性貴族

さしずめ私を抜きにしたほうが好都合だったのかな?

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

な、な……何を仰いますか……

男性貴族
男性貴族

まあまあ、ハリソン殿、そう固い顔をしなさんさ。

男性貴族
男性貴族

君があれこれと我々の協同先の株を買い占め、私がヴィクトリアを留守していた間に土地を格安で購入した時にはそんな惨めな顔はしていなかったぞ。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

……

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

しかしエヴァンス子爵!こ、このような仕打ちはあんまりです!

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

我々との間に結ばれた契約はまだ期間を満了しておりません、もし利益上に不備がございましたら、いつでもお声がけして頂ければよろしかったものを……こんな仕打ち、協同パートナーに向けていい態度ではございませんよ!

男性貴族
男性貴族

結んだ契約のことなら当然忘れちゃいないさ。

男性貴族
男性貴族

しかしだね、こうやって発散しないと私も堪えてしまってね。

スキウース
スキウース

(商人と貴族の間に生じた利益間の齟齬……)

スキウース
スキウース

(来る前からラタトスに言い付けられてかなりの資料を頭に叩き込んだから知ってはいたけど、まさか目の前でそれが起こるとはね。)

スキウース
スキウース

(だとすれば……)

ユカタン
ユカタン

(何か思いついたかい?)

スキウース
スキウース

(ええ、さっきハリソンさんとどう話をつけるかって聞いてきたでしょ?)

スキウース
スキウース

(いいことを思いついたの――行きましょう、ユカタン、チャンス到来よ!)

(物が壊される音)

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

エヴァンス子爵……もうおやめください!

男性貴族
男性貴族

やめてほしいのか?

男性貴族
男性貴族

言っておくがハリソン殿、私が本気を出せば、次の日の新聞には“ハリソン氏、子爵との決闘に敗れ不幸にも逝去”という見出しを見ることになるぞ。

男性貴族
男性貴族

フッ、それでもなお私に歯向かうつもりかね?

粗暴な男
粗暴な男

(エヴァンス様。)

男性貴族
男性貴族

なんだね?

粗暴な男
粗暴な男

(こちらの連れがだいぶやられてしまいました、動ける者もそう多くはありません。)

粗暴な男
粗暴な男

(どうやら客の中に通報したヤツがいるようでして、如何致しましょうか……)

男性貴族
男性貴族

……

男性貴族
男性貴族

中々賢いなハリソン、助っ人を呼ぶとは。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

な、なんのことでしょうか……?

男性貴族
男性貴族

とぼけるな!

男性貴族
男性貴族

本来なら融通を利かせればまだ講談の余地はあったものの、どうやらそれすら必要がなくなったようだな。

男性貴族
男性貴族

フッ、まあいい、今日はちょいと痛めつけに来ただけだ。この先まだまだ長い付き合いになりそうだから今後ともよろしく頼むよ、ハリソン殿。

男性貴族
男性貴族

帰るぞ!

(男性貴族が立ち去る)

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

……

スキウース
スキウース

もう帰ったの?

スキウース
スキウース

ねえ……この人たちどうしよう?

赤髪のザラックが肩に担いでいた人を適当に豪商の目の前に放り投げた。

ユカタン
ユカタン

ここに置いておこう、あとで誰かが片付けてくれるさ。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

この者たちは……エヴァンス子爵が連れてきた……

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

まさか、先ほどヤツの言っていた助っ人とは――

ユカタン
ユカタン

ほかにいないのであれば、きっとボクたちのことを指していたんでしょうね。

ユカタン
ユカタン

ご無事ですか、ハリソン殿?

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

私なら平気だ、お見苦しいところをお見せして申し訳ない。はぁ、しかし……

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

ともあれ、お二人には大変感謝してるよ。

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

ただ、この者たちに手を出したとなれば今後はきっと……はぁ……

スキウース
スキウース

……

スキウース
スキウース

ハリソンさん。

スキウース
スキウース

その点についてですが、率直に申し上げますと――今後あの貴族との協同は些かやり辛くなってしまったのではないでしょうか?

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

それは……

スキウース
スキウース

向こうの連れに手を出してしまった上、先ほどの貴族はハリソンさんよりもご身分が高い方だと伺います、罪を着せられるのは免れないでしょうね。そんな彼が今後ともあなたと協同を結ぶでしょうか?

スキウース
スキウース

私の知る限りだと、ハリソンさんが所有してらっしゃる会社は今まさに発展に差し当たってる重要な時期ではないでしょうか?もし先方が途中で撤退してしまえば、そちらへの打撃も甚大なものではなくて?

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

な、何が言いたいのかね……?

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

まさかさっきのはわざと手を出したと言うのか!?

スキウース
スキウース

あら、私はただ事実を述べただけでしてよ?他意はございませんので、どうぞお気になさらず。

スキウース
スキウース

ただ引き続きあの貴族に縋ったり、あるいは圧をかけられたまま新しいパートナーを探すよりも、ご興味を持たれるかもしれない提案がございまして……

ヴィクトリアの豪商
ヴィクトリアの豪商

……

スキウース
スキウース

私たちブラウンテイル家はイェラグにおける三大氏族のうちの一つでございます、たかだかヴィクトリアのいち小貴族など恐るるに足りません。ですので、もしご意向がございましたら、ブラウンテイルはそちらとの協同のために尽力致しましょう。

スキウース
スキウース

どうです、ハリソンさん?私たちの協同も――

スキウース
スキウース

――少しは改めて話し合われてもよろしいのではないかと?

この記事を書いた人
おーちゃん

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