9:37a.m. 天気/曇り
ロンディニウム、オークタリッグ区、都市防衛軍総司令塔付近
アーミヤ特別行動隊のオペレーターの皆さん、計画通り、私たちはこれから自救軍と共に、ロンディニウム都市防衛軍の司令塔へ急襲作戦を実行します。
私たちの目標はただ一つ、都市防衛システムに記録されているサルカズの補給線に関する情報の取得です。
その情報は私たちがこのロンディニウムにおける今後の作戦の成否に大きく関わってるものとなっています。
もしかしすれば……私たちはもう、大公爵たちに向けたテレシスの宣戦布告を阻止してやれないのかもしれません。
しかしその情報さえ手に入れれば、私たちは戦争の遅らせ、戦争がもたらす犠牲を可能な限り抑えつけることができるかもしれません。
私たちはすでにできる限りの準備をしてきましたが、突発的な事態だけはどうしても避けられないでしょう。
皆さんもきっと心の中では分かっていると思います。これからの戦いは、きっとますます辛いものになっていくのだと。
しかし私たちは、同じ目標のために、揺るぎない目標のためにここまでやってきました。
だから私たちも、怯まず前へ進みましょう。
ドクター……
・アーミヤ、突発的な事態なら他にもある。
・サルカズ王のうちの一人が戦線に現れるかもしれない。
……
ドクター、私のことを心配してくれているのは分かっていますよ。
私も、自分は覚悟を決めたとはとても言えませんけど……でもサディアン区を離れてから、何度も何度も彼女と再会する場面を考えてきたんです。
もし彼女が私たちと相対することになっても、それはきっと彼女なりの理由があってのことでしょう。だから私は感じたいんです……彼女が感じてるすべてを。
けど私がオペレーターたちに言ったように、ここへ来た当初の目的は忘れていませんよ。
私には分かります。テレジアさんが望んでいたサルカズとこの大地の未来は、今も次第に私たちから遠ざかっている。
その未来は、私やケルシー先生、それと私たちと一緒にロンディニウムへ来てくれたオペレーター一人ひとりが掴もうとしている未来でもあります。
だからそのために、私たちは起こり得るすべての可能性に備えて準備を重ねてきました。最後まで私たちは全力で戦ってみせますよ。
なら、出発しよう。
はい、ドクター、行きましょう。
近頃のサルカズ軍はやけに動員してるようだな。
仰る通りで、中佐。
みんなも最近は……その……
なんだね?
サルカズはもうすぐ公爵と戦争をおっ始めるんだと言っています。その時になれば、ヤツらは我々を肉の傀儡として扱い、最前線に捨てていくんだとも。
……
申し訳ございません、中佐。中佐が定められた規律に反する言動であるのは重々承知しております。
君らは悪くないさ。
我々は中佐のことを信じています。サルカズとの交渉はとても困難を極めますが……あなたはそれをやり遂げた。
これまでずっと、中佐が我々を多くの困難から救い出してくれたのですから。
スタンフォード公の反乱の時もそうです。もしあの時、中佐が適切な判断を下していなければ、我々はとっくに反乱軍に殺されていましたよ!
中佐は我々と、とっ替えひっ替えする野心家どもからこの都市を何度も救ってくださったんだ。
だから中佐が下した決断であれば、我々は決して疑ったりはしませんよ。
……分かっている。
分かっているからこそ私は……
(遠くから騒ぎの声が聞こえてくる)
下の街が騒がしいな?
貨物路線のところですね……きっとサルカズ用の物資が運ばれてきたんでしょう。
……
いや違う、速やかに警戒態勢に移るんだ!
なんだ?
――ご機嫌よう。
なんだ?お前ら一体どっから湧いてきたんだ!?
野暮なことは聞かないでくれ、金を出してくれるのなら別だがな。
傭兵か……どこの所属だ?どっかの大公爵が寄越してきたのか?
アタシたち大公爵のことなんか知らないし、向こうもアタシたちのことを知らないはずだよ。
じゃあ……お前らレジスタンスか?
……ロンディニウム市民自救軍、ね。
自救軍?自救軍って……あの自救軍か……
なんであたしたちがここに来たのか、分かる?
本当はサルカズと戦うべきなのは君たちだったのに……なのに君たちは投降を選んだ。だから仕方なくあたしたちが、こうして自分たちで立ち上がるしかなかったんだよ。
(ロックロックがアーツを放つ)
チッ、食い止めろ!ヤツらを司令塔に入らせるな!
……兵士たちよ。
キミたちはヴィクトリア人か?
……そうだがなんだ。
都市全域に配置された二万もの防衛軍。
戦死や捕虜の類を除いて、その者たちはみな同じ命令に縛り付けられ、サルカズどもの共犯者へと成り下がった。
キミたちだって知っているのだろう?サルカズはもうじきヴィクトリアと戦争を始める。
その時になっても、キミたちは相も変わらずサルカズに味方するのか?味方して、キミたちの親兄弟を自らの手で殺めるつもりか?
……
キミたちが生きたいからそうしてるのは理解できる。だがキミたちはサルカズではない、向こうの信頼を得るのは夢のまた夢だ。戦争が始まれば、キミたちは真っ先に捨て駒扱いにされるだろう。
……
迷っているな、兵士よ。何と言ってもキミたちはただの兵士である。我々の相手はキミたちではない、キミたちに命令を下している人だ。
だからそこを、どいてくれ。
……
みな下がるな、下がるんじゃない!一人もだ!ここを死守しろ!
我々は司令官の兵士だ、司令官を信じろ!
必ず命令を守るんだ!
(戦闘音)
……
中佐!防衛エリアが今、敵に攻められています!
連中は一体どこから湧いてきたんだ?いくら貨物列車に隠れて、地上に配置されてるサルカズの歩哨所を掻い潜れたとしても、司令塔の監視システムの目を誤魔化すことはできないはずだ。
そのシステムをハックして、短時間で歩哨を全員倒す以外に方法は……
いやまさか……そんなのありえない!
(ヴィクトリア兵が何者かに斬られる)
一体何がどうなって……あぐッ!
(ヴィクトリア兵が倒れる)
……ありえないことなどない。
……
レイトンに向かって、影が素早く襲い掛かっていく。
その際レイトンは死の匂いを嗅ぎつけた。先のブラッドブルードの大君から感じた粘つくような息苦しさとは違って、苦痛はなく、いとも容易く死ぬことができるものだと彼は察した。
だから彼は、避けることをしなかったのだ。
ッ――!
そこをどけ!
(マンフレッドがレイトン中佐を庇い、???に攻撃をする)
……ロドス。
やはり来たか。
アスカロンよ……いつぶりかな?
(アーツと斬撃音)
九日前、お前が西部大広間へ侵入してきた時も今みたいに、将軍から賜った得物をあのお方へ向けるつもりだったのか?
……ああそうだ。
お前と違ってな。
(アスカロンが得物を構える)
私は躊躇しないのでな。