Loading...

【アークナイツ大陸版】イル・シラクザーノ IS-3「獲物」行動前 翻訳

エクシア
エクシア

おー、この礼服めちゃくちゃキレイじゃん。

クロワッサン
クロワッサン

やな、ソラはんにはきっとぎょうさん似合っとるはずやで。

エクシア
エクシア

これだったらアタシも女優になるって言っとけばよかったなー。

クロワッサン
クロワッサン

あんたは無理やて、まったく演技っちゅうもんを分かっとらんもん。

エクシア
エクシア

このキャラのまま出ればオールオッケーじゃん。

クロワッサン
クロワッサン

シラクーザにあんたが演じれるようなサンクタはおらんわ!

エクシア
エクシア

そんなことないよー!だって聞いたよ、シチリア夫人の傍にも一人は――

エクシア
エクシア

ん?

ガードマン
軽薄なファミリーメンバー

シャーリー嬢、俺たちのボスからお食事のお誘いだぜ。

女優
女優

えっ……でも……

冷静なヒットマン
厳格なガードマン

シャーリー嬢はこれから劇場に行かなきゃならんのだ、そこをどけ。

ガードマン
軽薄なファミリーメンバー

ボスは今すぐシャーリー嬢に会いたがってるんだ、劇場なら後にしろ。

女優
女優

じゃあ先に、ディレクターに伝えてさせちょうだい……

ガードマン
軽薄なファミリーメンバー

ディレクターだぁ?前までだったらこっちもあいつのメンツに免じてそうしてやってたけど、こんなことになっちまったらなぁ……

女優
女優

イヤ、やめてちょうだい……

ガードマン
ムカついてるファミリーメンバー

おい、こんな連中に遠慮することなんてないだろ?

ガードマン
ムカついてるファミリーメンバー

ボスはお前に会いたがっているんだ、少しはありがたいと思え。痛い思いをしたくなきゃ大人しく俺たちについてくるんだな。

ガードマン
軽薄なファミリーメンバー

おいちょっと待て、ボスはそこまでやれとまでは……

ガードマン
ムカついてるファミリーメンバー

まだ兄貴の考えが分かってねえのかお前は?昔っから俺たちはベッローネに辟易していただろ。

ガードマン
ムカついてるファミリーメンバー

ベッローネはもう落ちぶれた。上の連中も見直そうとしてるだろ、今が俺たちのチャンスだろうが!

ガードマン
軽薄なファミリーメンバー

それもそうか。おいテメェら、この目障りな野郎どもをぶっ殺しちまえ!

冷静なヒットマン
厳格なガードマン

チッ、シャーリー嬢を守れ!

(ガードマンとファミリメンバーが戦闘を始める)

クロワッサン
クロワッサン

エクシア、あっちなんか……ってあれ、どこ行った?

ソラ
ソラ

もう行っちゃったよ、あたしたちも手伝いに行こ!

冷静なヒットマン
厳格なガードマン

ぐふッ……

(ガードマンが倒れる)

ガードマン
軽薄なファミリーメンバー

フンッ、こんな程度でガードマンが務まるかよ?

女優
女優

……ううぅ……

ガードマン
軽薄なファミリーメンバー

んじゃシャーリー嬢、来てもらうか。

女優
女優

わ、分かった……

(ファミリーメンバーの一人が銃撃で倒れる)

女優
女優

えっ、あなたたち――

ガードマン
軽薄なファミリーメンバー

誰だ!?

(ファミリーメンバーの一人が銃撃で倒れる)

エクシア
エクシア

こっち!

ガードマン
軽薄なファミリーメンバー

クソォ、追え!

(クロワッサンが追いかけるファミリーメンバーを盾で殴る)

ガードマン
ムカついてるファミリーメンバー

邪魔すんなテメェ!

クロワッサン
クロワッサン

ほら逃げるで!

(エクシア達が走り去る)

エクシア
エクシア

キミ確かシャーリーだったよね、大丈夫?

女優
女優

あなたたち……

女優
女優

一体自分らが何をしたのか分かっているのッ!?

女優
女優

なんで私を助けたのよ、むしろいい迷惑だわ!これで余計あいつらの恨みを買うことになっちゃったじゃないの!

エクシア
エクシア

じゃあどうやってあの場面を丸く収めるつもりだったのさ?

女優
女優

……我慢するしかなかったでしょ。

エクシア
エクシア

えぇ?でもキミ、ケガしそうだったよ……

女優
女優

それでも……ケガするだけで済むでしょうが。

女優
女優

彼らが私を攫おうとでも思ってたわけ?フッ、向こうはただ時期を見計らって面倒事を吹っ掛けに来ただけよ。

エクシア
エクシア

でもさ、あそこは助けを呼ばないとダメでしょ。

女優
女優

呼んでもムダよ。ファミリー同士の争いに手を貸してくれる人なんていないもの。

エクシア
エクシア

あのラヴィニアって裁判官がいるじゃん?あの人いい人だと思うけど?

女優
女優

……ラヴィニアさんなら確かにいい裁判官よ、めったにいないけど。でもね、彼女でもどうにもならないことってがあるの。

女優
女優

それにもし私がこの公園から出なかったら、周りに私はファミリー間の争いに巻き込まれて消されたと思われちゃうでしょ?

ソラ
ソラ

だから……我慢しなきゃならないんですか?

女優
女優

それ以外に方法を知らないから仕方ないでしょ。私たちはずっとそうやって暮らしてきたんだから。

女優
女優

向こうが決着をつけるまでどこかに隠れて、それから勝った側についていく、そうするしかないのよ。

ソラ
ソラ

そんな……

女優
女優

……

女優
女優

ごめんなさい、別に本気であなたたちを責めるつもりはないの。でもまあ、正直生まれて初めて、本当に守られたんだって気持ちになったわ。

女優
女優

さっき吹っ掛けてきたファミリーなら別に大したとこじゃないから、ディレクターが代わりに処理してくれると思うわ。

女優
女優

それでも忠告しておくけど、もしシラクーザにいたいのなら、今度はそんなマネしないほうが賢明よ。

女優
女優

特にこれからは……

エクシア
エクシア

これからは?

女優
女優

ニュース見てないの?建設部部長のカラッチが死んだのよ。

クロワッサン
クロワッサン

ウチは見たで、暗殺されたって。

ソラ
ソラ

可哀そう……

女優
女優

あなたたちの優しさに免じて、もうちょっとだけ教えてあげる。

女優
女優

私も普段から一部のファミリーの相手をしてやってるから、多少は彼らから聞いた話ではあるのだけれど。

女優
女優

カラッチを殺した犯人ならまだ見つかっていないわ。それにどうやらカラッチが殺されたと同時に、ベッローネのお坊ちゃまも襲われたっぽいの。

ソラ
ソラ

えっ?ベッローネが!?

女優
女優

そう、今までベッローネが一番デカいところだったんだけれど、今回のは明らかにそこを狙った襲撃だわ。きっと前々からずっと企んでいたんでしょう。

女優
女優

おかげで諦めていたほかファミリーも、今じゃみんなまた動き出したわ。

ソラ
ソラ

あの、その際彼らがテキサスって名前を挙げていたりしていませんでした?

女優
女優

テキサス?ここシラクーザでその名前を知らない人はいないと思うわ。

女優
女優

でも、確かに向こうがなんか、“最後のテキサス”とか言ってた気がするわね……

ソラ
ソラ

ホントですか!

女優
女優

あなたも変な人ね、あれはどう聞いてもウソよ。テキサスファミリーの人間がまだ生きてるわけないでしょうが。

ソラ
ソラ

でも……いや、そうですね。

女優
女優

とにかく、あなたもすでに知ってると思うけど、ウチの劇団はディレクターのおかげもあって、多少はベッローネとも関わりを持っているの。

女優
女優

さっきの連中もそうだけど、前までだったらみんなディレクターの顔を立てていたんだけど、今は……

女優
女優

まあ、見ての通りね。

エクシア
エクシア

シラクーザのファミリーってみーんなこんな好き放題やっちゃってる感じなの?

女優
女優

……いい?これだけは憶えておいて。

女優
女優

シラクーザで暮らしたいのなら、ファミリーの一員になるか、もしくはそういった人たちからできるだけ離れるしか方法はない。

女優
女優

……それでこう自分に言い聞かせるのよ、ウソだったとしても。彼らから遠ざかれば面倒に巻き込まれることはないってね。

女優
女優

まあこんなところかしら、それじゃあ私は劇場に行かせてもらうわね。

ソラ
ソラ

あっ、はい。

(女優が立ち去る)

女優
女優

イヤアアアアア!!!

エクシア
エクシア

今度はなに!?

女優
女優

ここに……誰かが縛り付けられているわ!

ガンビーノ
ガンビーノ

上手くいきゃ、そろそろあの可愛そうな野郎が見つかる頃だな。

ガンビーノ
ガンビーノ

にしても分からねえ、なんでわざわざあんなヤツを生かして、今またそいつを解放せにゃならねえんだ。本当にそこまで特別な人間なのかよ、あいつは?

カポネ
カポネ

それがあの胡散臭いバーテンのクソ野郎の考えだよ。

カポネ
カポネ

なんでかって言われても……普通に考えりゃあれは罠だろうが。

ガンビーノ
ガンビーノ

チッ、まったく陰湿なクソ野郎だぜ。

カポネ
カポネ

だがもしあれで成功したら、あいつの評価も陰湿から知略に富んだってことに変わるだろうな。

ガンビーノ
ガンビーノ

フンッ、下らねえ。

カポネ
カポネ

……はは。

ガンビーノ
ガンビーノ

なに笑ってんだよ。

カポネ
カポネ

急に思い出したんだ。随分と昔、俺たちがまだガキだった頃も、よくこうしてケンカしてたっけなって。

カポネ
カポネ

それがまさかこんなに歳を食っても、あちこち回り道しても、お前とつるむことになってるとは。

カポネ
カポネ

運命ってモンは、ほんと掴みどころがねえモンだぜ。

ガンビーノ
ガンビーノ

……フンッ、そうだな。

ガンビーノ
ガンビーノ

龍門であんなことが起こるたぁ、考えもしなかったさ。

ガンビーノ
ガンビーノ

それがあんなことが起こった後に、シラクーザに戻ることになるなんてよ。

カポネ
カポネ

なあガンビーノ、もしも、もしもの話だ。もしラップランドが本当に最後に俺たちを解放して、生きるなり死ぬなり好きにさせてくれるとしたらだ。

カポネ
カポネ

お前、このままシラクーザに残るつもりなのか?

ガンビーノ
ガンビーノ

なんだよ、龍門が恋しくなっちまったのか?

カポネ
カポネ

俺は……いやいい、お前に言ったところで分かってもらえるわけがねえんだし。

カポネ
カポネ

現実的な話に変えよう。お前、本当に雇い主を変えるつもりはないのか?

カポネ
カポネ

新聞を見てみろよ、昨日俺たちがぶっ殺そうとしてたの、あのベッローネのお坊ちゃまだぜ。それに、どうやら同じタイミングでえらいヤツが死んじまったみたいだ。

カポネ
カポネ

俺たちはどう見ても、どっかしらの素性の知らねえファミリーの手先として扱われてる。

ガンビーノ
ガンビーノ

そいつらの手先になりたきゃなりゃいいさ。

ガンビーノ
ガンビーノ

だが俺は今のままがいいね、ちんけな小口の仕事になんざ興味はねえ。

???
???

いいねぇ、シラクーザに戻ってすぐ十二ファミリーのうち一つんとこのお坊ちゃまを暗殺しにいったなんて、キミたちも結構成長したもんだ。

カポネ
カポネ

……平穏な日々もこれでおしまいか。

ガンビーノ
ガンビーノ

……ラップランド。

(ラップランドが近寄ってくる)

ラップランド
ラップランド

おやおや、結構いい朝飯を食ってるじゃないか。

ガンビーノ
ガンビーノ

……食いたきゃ自分の金で注文しろ。

ラップランド
ラップランド

それがボスに向けていい態度なのかな?

カポネ
カポネ

お前、これまでの間どこをほっつき歩いてたんだ?

ラップランド
ラップランド

ちょっと実家に挨拶しに帰っただけだよ、久しぶりに家の雰囲気を味わったね。

ラップランド
ラップランド

うちのあの憎たらしい顔を久しぶりに見て反吐が出そうになったもんだから、ボクも安心したよ。

カポネ
カポネ

家?

ラップランド
ラップランド

あれ?言ってなかったっけ?ボク、サルッツォだよ?

ガンビーノ
ガンビーノ

サルッツォ?

ガンビーノ
ガンビーノ

サルッツォって、あのサルッツォか?

カポネ
カポネ

……

ラップランド
ラップランド

ねえカポネ、ボクが三番目に嫌いなことがなんなのか、知ってる?

その時カポネは急に寒気を感じたが、自分は錯覚していたのかと疑ってしまうほど、それは瞬く間に消え去った。

ラップランド
ラップランド

ボクのファミリーネームを聞いて驚いたような反応を見せて――

ラップランド
ラップランド

“あぁ、だからやり口が似てるのか”って、思われることだよ。

カポネ
カポネ

じゃあ二番目と一番目はなんなんだ?よかったら教えてくれないか?知らないまま殺されちまっても死にきれねえよ。

ラップランド
ラップランド

キミはいい感じにボクとの付き合い方が分かってきたようじゃないか、アハハ。

ラップランド
ラップランド

でも、今のはさっき思いついたヤツだよ。

カポネ
カポネ

なんなんだよ、クソが。

ラップランド
ラップランド

まあ下世話はこんなところにして。そろそろ教えてもらおうか、なんでキミたちがベッローネの暗殺に関与してるのかな?

ルビオ
ルビオ

どうぞ、入って。

(ラヴィニアが入ってくる)

ラヴィニア
ラヴィニア

失礼します、ルビオ部長。

ルビオ
ルビオ

ラヴィニア裁判官じゃないか、これはまた珍しい。

ラヴィニア
ラヴィニア

……執務室、中々豪華ですね。

ルビオ
ルビオ

ワハハ、いつもお客人をもてなす際、みーんなこうやって着飾ろうとしているからね。だからワシもいっそのこと真似してみようと思ったんだよ。

ルビオ
ルビオ

それで、ワシになんの用かな?

ラヴィニア
ラヴィニア

カラッチの死について少しお伺いしたことがあって参りました、ルビオ部長。

ルビオ
ルビオ

ん?証言ならもう記録してもらったはずだと思うが。

ラヴィニア
ラヴィニア

ええ。

ラヴィニア
ラヴィニア

ただ――私の個人的な理由で、もう少しお話がしたいと思いましたので。

ルビオ
ルビオ

……ふむ、聞いたよ。犯人を見つけ出してカラッチを弔ってやるんだってね。

ルビオ
ルビオ

いいじゃないか、若者はやっぱり勢いを持たなきゃ。

ルビオ
ルビオ

それで、進展はあったのかね?

ラヴィニア
ラヴィニア

……残念ながら、まだ。

ルビオ
ルビオ

そうか、それは残念だ。

ラヴィニア
ラヴィニア

ルビオ部長はカラッチ部長とかなり親交があったと聞きましたので、それで……

ルビオ
ルビオ

あぁ、それは確かに。カラッチは市民の暮らしをとても気に掛けていたからね、飲食とか、衛生環境とか。

ルビオ
ルビオ

でも、君の助けにはなれないかな。

ルビオ
ルビオ

ワシは本当の意味で、彼の内輪には入っていなかったからね。

ルビオ
ルビオ

いやぁ、情けないことだ。

ラヴィニア
ラヴィニア

疑わしい点や、政府関連で注意すべき人物などがありましたら、なんでも構いませんので。

ルビオ
ルビオ

それがまた多すぎるのだよ、言ってること分かるね?

ルビオ
ルビオ

……裁判官殿、カラッチが死ぬ前にも、どれだけの建設部部長が死んだか、憶えているかね?

ルビオ
ルビオ

七人か?いや八人だったか?

ルビオ
ルビオ

この席に座ってる人たちはみんな所詮ただの操り人形なのさ、どこのファミリーも自分たちの人をそこに座らせようとしている。

ルビオ
ルビオ

で、最後はほかのファミリーに殺されるのがオチだ。

ルビオ
ルビオ

分かりやすく言おうか。あれだけ重要なポストに、どこのファミリーも自分のモンを座らせることをせず、逆にどことも繋がっていないカラッチを座らせた。

ルビオ
ルビオ

このまま次から次へと死んでもらっては、都市の建設が進まなくなるというのが理由だよ。それだけのことだ。

ルビオ
ルビオ

こっちの人間が上がれなくても、お前んとこの人間も上がってくることはない。そういうこともあって、カラッチはあの席に座ることになった。

ルビオ
ルビオ

確かに、彼はベッローネと近しかった、なんならそこのお坊ちゃんを秘書として傍に置いたぐらいだ。でもね、彼はほかのファミリーとも同じぐらい近しかったのさ。

ルビオ
ルビオ

炎国にこんな諺がある、“朱に近づけば赤になるし、墨に近づけば黒になる”。そりゃワシも彼は実直な人間だと思うよ、でもそれがなんだと言うのだね?余所から見りゃどうだっていいことだ。

ルビオ
ルビオ

シラクーザ人から見れば、ワシらは所詮どこかしらのペットに過ぎんのだよ。

ルビオ
ルビオ

カラッチの死は決まっていたのさ、どのファミリーが計画してる将来にも彼の姿はいない。それを本人が知らないと思うかね?

ルビオ
ルビオ

彼が今日死のうが、一か月前に死のうが、あるいは一か月後に死のうが同じことだ。

ラヴィニア
ラヴィニア

しかし彼は多くの貢献をしてくれました、それを知らないあなたではないでしょう。

ルビオ
ルビオ

]貢献して、彼は何か得られたのかね?

ルビオ
ルビオ

いや、今は君の言うようにしておくか。仮に彼が無私の人間だった場合、彼が貢献してやった人たち、彼がいつも口にしていた“市民”たちとやらは、最後彼に何か分け与えてやったのかね?

ラヴィニア
ラヴィニア

……

ルビオ
ルビオ

裁判官殿、君のことはよく聞いている。

ルビオ
ルビオ

色々と素晴らしいことをやってきたようじゃないか。

ルビオ
ルビオ

しかしだね、その内のどのくらいが君のやったことで、どのくらいが君の後ろにいるあの方の影響から出たことなのか、君自身では理解していないのかな?

ラヴィニア
ラヴィニア

何を――

ルビオ
ルビオ

正直に言おう、裁判官殿。君がベッローネに代わって、探りを入れにここへ来たわけではないという保証はあるのかね?

ラヴィニア
ラヴィニア

そのつもりだけは絶対にありません。

ルビオ
ルビオ

……私からすれば、そうであってほしいんだがね。

ルビオ
ルビオ

一つ忠告をしよう、裁判官殿。

ルビオ
ルビオ

死んだ人はもう戻らない。

ルビオ
ルビオ

自分らが今抱えてる面倒事だけでも精一杯なんだから、死んだヤツのことなんかはもう放っておきなさい。

ラヴィニア
ラヴィニア

……それがカラッチ部長と深い親交を築けてきた人間の態度ですか?

ルビオ
ルビオ

もしヴォルシーニでもう少し長く生きていきたいのであれば、君はもう少し学んでおいたほうがいい。

(電話が掛かってくる)

ルビオ
ルビオ

もしもし?あぁ、まだ仕事中だが、そっちはもう準備できているのか?

ルビオ
ルビオ

分かった、じゃあ今からそっちに向かうよ。

ルビオ
ルビオ

はい、分かった。

(ルビオが電話を切る)

ルビオ
ルビオ

今晩新しく開いたお店から、そこの食材をチェックしてほしいと依頼があってね。

ルビオ
ルビオ

だからここで失礼させてもらうよ。

ラヴィニア
ラヴィニア

……

ルビオ
ルビオ

そうそう、レオントゥッツォの坊やにも伝えておいてくれないかな。もし美味しいものに興味があったら、いつでも私に言ってくれ。

ラヴィニア
ラヴィニア

……憶えておきます。

ルビオ
ルビオ

では、失礼するよ。

ラヴィニア
ラヴィニア

……はぁ。

(携帯のバイブ音)

ラヴィニア
ラヴィニア

もしもし?はい?人が気絶して縛り付けられているですって?トラットリアで襲撃を行った人たちの主犯ですか?

ラヴィニア
ラヴィニア

分かりました、今すぐそちらに向かいます。

ガンビーノ
ガンビーノ

だから、俺たち二人はたまたまあの襲撃に加わっちまっただけなんだって。お前の欲しがってる情報なら持ってねえよ。

カポネ
カポネ

俺たちに命令したヤツがどこのファミリーの所属かはまったく分からねえんだ、まあ羽振りはよかったけどよ。

ラップランド
ラップランド

向こうは明らかにキミたちみたいな経歴不明の殺し屋を必要としているのさ、そうすれば死んでもどこに雇われたのか調べれても出てこないからね。

ラップランド
ラップランド

もしかしたら、たまたま加わってしまったと思っていても、向こうはとっくにキミたちに狙いを定めていたのかもしれないよ。

カポネ
カポネ

まあ、ありえない話ではないが。

ラップランド
ラップランド

そこでだ、その雇い主が誰なのか考えてみよっか?

カポネ
カポネ

……どうせロッサーティかサルッツォだろ。十二ファミリーはこの街でずっと争ってきたんだ。ベッローネを除けば、そんな気力が残ってるのはこの二つぐらいしかいねえよ。

ラップランド
ラップランド

確かに、普通ならそう考えるだろうね。

ラップランド
ラップランド

でもね、サルッツォにそんなつもりはないって、キミたちもう分かったでしょ。

ガンビーノ
ガンビーノ

じゃあ――ロッサーティか?

ラップランド
ラップランド

ほかにも可能性はあると思うなぁ。

ガンビーノ
ガンビーノ

どういう意味だ?

ラップランド
ラップランド

最初キミたちにやられたあのツいていない連中がいたでしょ?あいつらの本来のターゲットは建設部の人間だったんだよ。

ラップランド
ラップランド

で、ベッローネのお坊ちゃまは今や建設部で働いている。つまりキミたちが片付けたあの連中は、ベッローネを目障りに見ていた連中だったのさ。

カポネ
カポネ

……つまり、俺たちはあの時ベッローネを助けることになってたが、その後ベッローネに盾突くようなあの襲撃にも加わっちまったってことか。

ガンビーノ
ガンビーノ

……だからなんだよ?ファミリー同士の軋轢なんざ珍しくもねえだろ?

カポネ
カポネ

それは……まあそうなんだが、でもたまたまだろ。俺たちが片付けたのは所詮、周りが見えてないバカに過ぎなかったのかもしれない。

ラップランド
ラップランド

でもあれは“口滅ぼし”だったよ、間違いない。

カポネ
カポネ

それってまさかッ!?

ガンビーノ
ガンビーノ

まさか、ベッローネの中に裏切者がいるってことか?

ラップランド
ラップランド

まだ可能性に過ぎないけどね。

ラップランド
ラップランド

でも、こうじゃないと面白くもないでしょ、アハハハハ。

ラップランド
ラップランド

まっ、とりあえず今はそう考えておこっか。

ラップランド
ラップランド

建設部部長のカラッチは死んだ。その前にも、建設部に関わってる人たちは次から次へと暗殺されてしまっていた。

ラップランド
ラップランド

普通ならこの二つの事件は結びがちだ、特にあの可哀そうな裁判官だったら。

ラップランド
ラップランド

でも、一つ前の暗殺を企てたヒットマンは口を封じられてしまったし、そいつらを率いてたボスも未だに見つかっていない。捜査のしようがない彼女は一体どうすればいいんだろうね?

ラップランド
ラップランド

こんな時に、都合よく手掛かりが出てきてくれればいいんだけど。

ラップランド
ラップランド

まっ、キミたちが見逃してやったあのヒットマン、あれが一番の手掛かりなんだけどね。

カポネ
カポネ

だからこのタイミングであいつを見逃すように言ってきたのか……

カポネ
カポネ

しかしまあ、筋は通ってる。

カポネ
カポネ

じゃあその後、待ち伏せなりなんなり仕込んで、あの裁判官を危険な目に遭わせれば……

ラップランド
ラップランド

“バーン”!

ラップランドは大袈裟に、両腕を大きく広げながらそのままソファーへ倒れ込んだ。

ラップランド
ラップランド

みーんな仲良く巻き込まれるってわけさ。

ラップランド
ラップランド

アハ、中々考えたね。

ラップランド
ラップランド

もしそうやって事が進まなかった場合でも、ボクがそうなるようにしてあげたいぐらいだよ。

ガンビーノ
ガンビーノ

……じゃあお前らが言うには、これはベッローネの自作自演ってことか?

カポネ
カポネ

まだ可能性だけどな。

カポネ
カポネ

なんせ一番ベッローネのことを分かってるのは、ベッローネだけだ。

ガンビーノ
ガンビーノ

ハッ、俺から言わせりゃ、そいつは無理があるぜ。

ガンビーノ
ガンビーノ

ファミリーの未来に関わるようなこんな節目に、自分のモンを手にかけるバカなんざシラクーザにはいねえよ。

カポネ
カポネ

そろそろ気付けよ、ガンビーノ。そういう根拠もない自信のせいでシチリアーノは消えちまったんだろうが。

ガンビーノ
ガンビーノ

んだとテメェ――

カポネ
カポネ

だが、今回ばかりはお前と同意見だ。癪に障るが。

ラップランド
ラップランド

アハッ、向こうは自作自演して、周りにいる全員に“こいつはもうダメだ”って思わせるようにするため、あえて弱みを見せているのかもしれないね。

カポネ
カポネ

……でも、ベッローネはほぼ勝ち確だったろ。

カポネ
カポネ

まさかお前、ベッローネは実は内側ですでに話をつけていて、手に入れられたはずの都市を手放してまで、この街をしっちゃかめっちゃかにしようと企んでるとでも言いたいのか?

ガンビーノ
ガンビーノ

]イカレやがったのか、あいつら?

ラップランド
ラップランド

さあ、どうなんだろうね。この大地にいるイカレた連中なら、もしかしたらキミたちが想像するよりもたくさんいるのかもしれないね。

ラップランド
ラップランド

ヒヒッ、もし本当にそうだとしたら、楽しい食事の時間もそろそろおしまいだ。

ラップランド
ラップランド

諸君、存分に楽しんでやってくれよ。

カポネ
カポネ

おい待て、お前本当に顔を見せに来ただけなのか?

ラップランド
ラップランド

なんだい、もしかしてとうとうボクを手伝い気にもなったのかな?

カポネ
カポネ

そんな趣味はない。

カポネ
カポネ

だが少なくともこれだけは教えてくれ、お前は一体どっちについてるんだ?

カポネ
カポネ

それを知らないで訳も分からねえまま殺されるのはゴメンだからな。

ラップランド
ラップランド

ボクかい?そりゃもちろんテキサスについているよ、最も忠実なる後ろ盾としてね。

ディミトリー
ディミトリー

ちゃんと人員は配置しておいたか?

ガードマン
ガードマン

……ええ。

ディミトリー
ディミトリー

なんだか話がしたいって顔だね。

ガードマン
ガードマン

……俺はただ、ラヴィニアさんが可哀そうだって思っただけです。

ガードマン
ガードマン

だって彼女、なんたって俺たちファミリーと仲良くやってくれていたじゃないですか。

ディミトリー
ディミトリー

……もしもだ、もし彼女がレオンと、ベッローネの次期当主と仲良くやっていなかったら――

ディミトリー
ディミトリー

俺だってこんなことはしたくなかったさ。

ディミトリー
ディミトリー

正義ごっこがしたいのなら、好きなだけすればいい。

ディミトリー
ディミトリー

だがな、ドンが後ろについているとは言え、彼女が近頃やってきたことや、レオンに対しても……いや、俺たちファミリー全体にとっちゃもう無視できないぐらいの悪影響だ。

ディミトリー
ディミトリー

そんなことまで許すような情けなんざ、ベッローネには必要ない。

ディミトリー
ディミトリー

それを彼女にしっかりと叩き込まないといけないんだ、もちろんレオンにもな。

ディミトリー
ディミトリー

さもないと……

ディミトリー
ディミトリー

俺たちは来たるべき混乱の中から、勝利を掴むことなんざできなくなってしまう。

ガードマン
ガードマン

でも、坊ちゃまは……

ディミトリー
ディミトリー

あんたらが色々と心配してるのは分かっている。だが今回の一件の責任は全部俺が持つ。後でレオンに問い詰められたとしても、あんたらまでは巻き込まないさ。

ガードマン
ガードマン

……はぁ。

チェッリーニア、お前にはしばらくシラクーザに行って、そこで生活してもらう。
必ずだ。
クルビアのほかファミリーたちは、自分を着飾って、豪華な別荘に住み着いて、いわゆる上流階級に足を踏み入れれば、シラクーザと決別できたとでも思いこんでいる。
連中が言うには、シラクーザはとてもじゃないが野蛮で、自分らはそんなシラクーザよりも上らしい。
そんな浮ついた思想に、お前の父親はどっぷりと染まりきってしまった。
だからお前には、見てやってほしいんだ。
私たちがどこから来たのかを。本当に私たちと彼らは違うのかを。

(何者かが近づいてくる)

テキサス
テキサス

……誰だ?

ラップランド
ラップランド

チョコを持ってきてやったよ、いる?

テキサス
テキサス

……シラクーザにある刑務所の警備は本当に信用ならないな。

ラップランド
ラップランド

ほかの街のと比べれば、この刑務所の警備は厳重なほうだよ。

テキサス
テキサス

……

テキサスは軽くため息をつき、ラップランドの手からチョコを奪い取ってかぶりついた。
しかし、チョコのテイストは彼女の一番嫌いなヤツだった。

ラップランド
ラップランド

アハッ、てっきりボクを追い出すのかと思ったよ。

テキサス
テキサス

追い出すよりも、無視しておいたほうが何かと楽だ。

テキサス
テキサス

だから私の邪魔をしない限りは好きにしろ。

ラップランド
ラップランド

いやぁ、ジーンと来ちゃうね、テキサス。どんどんボクとの付き合い方が上手くなってきたじゃないか。

ラップランド
ラップランド

邪魔するなんて、ボクはそんなことしないさ。むしろ喜んでその人のために霧を払うよ、前に何があるのかを見てもらうためにね。

テキサス
テキサス

サルッツォはどこまで知ってる?

ラップランド
ラップランド

キミよりは少ないよ。

ラップランド
ラップランド

ベッローネは勝機を握っていたが、ロッサーティを牽制するためにわざわざ龍門からキミを呼び戻してきた。何事も未然に防ぐために。

ラップランド
ラップランド

でもよりによってそんな節目に、あの襲撃事件が起こってしまった。

ラップランド
ラップランド

あまりにもタイミングが良すぎるって、そう思わざるを得ないね。手を出した側も、本当に隠れてるつもりあるのかな?

テキサス
テキサス

……

ラップランド
ラップランド

でキミはどうするのさ?まさかあの裁判官に出してもらうまで、ここでぽつぽつと龍門の思い出に耽ってるつもりなのかい?

ラップランド
ラップランド

さっさと龍門に帰りたかったんじゃなかったの?

テキサス
テキサス

待つことで帰りが早まるのなら、それだけの我慢強さなら私だって持っている。

ラップランド
ラップランド

でもさ、もしあの裁判官が危険な目に遭ったらどうする?

テキサス
テキサス

……

ラヴィニア
ラヴィニア

例の縛られてる人はどこですか?目は覚めましたか?

書記
書記

あっ、ラヴィニアさん、やっと来た!現場ならすでに取り押さえていますよ。

書記
書記

容疑者ならまだ目は覚めていません、街角にあるゴミ箱の中で縛り付けられていたんです。病院にもすでに連絡はしています。

ラヴィニア
ラヴィニア

発見した方は?

書記
書記

ルーチュ・デル・ジョルノ劇団の役者数名です。ただお稽古があるからと、先に行ってしまいました。

ラヴィニア
ラヴィニア

 ルーチュ・デル・ジョルノですか……ならベルナルドのとこの人間ですね?

ラヴィニア
ラヴィニア

まったく、どこに行っても影がつき纏ってくるんですから。

書記
書記

ラヴィニアさん、前回報告したあの殺人事件なんですけど、殺されたのってこの容疑者の仲間でしたよね?

ラヴィニア
ラヴィニア

ええ、ただ彼らからは何も証拠は見つけられませんでしたけど。

書記
書記

にしてもこの人、なんでこんなところに……

書記
書記

私が呼び起こしましょうか?

ラヴィニア
ラヴィニア

お願いします。

(初期がヒットマンをアーツで起こす)

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

ゲホゲホッ……ゲホッ!

ラヴィニア
ラヴィニア

抵抗しないでください、あなたはすでに取り押さえられていますので。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

……ラヴィニアか。

ラヴィニア
ラヴィニア

今自分が置かれてる状況は理解できますか?一体誰があなたをここに縛り付けたんです?

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

裁判官殿、そんなこと聞いてどうする?

ラヴィニア
ラヴィニア

答えなさい。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

フッ、不当な尋問には黙秘権を行使することができるって、確か刑法の第十四条に書いてあったはずだったな。

ラヴィニア
ラヴィニア

……法律のことをよく知っているのですね。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

なんだ、第百三十二条にある特別処置の権限を私に使うつもりか?

ラヴィニア
ラヴィニア

あなた、一体誰なんです?

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

ただの殺し屋さ。

ラヴィニア
ラヴィニア

いや、思い出した……あなたのことは見たことがあります。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

昨日のトラットリアでだろう?あの建設部の雑務を、君は助けてやったもんな。

ラヴィニア
ラヴィニア

三年前の法律に関する弁論会で、ですよ。ソレント市のボルトロッティ氏、非常に異彩的で興味深い演説をしてくださいました。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

……

ラヴィニア
ラヴィニア

そこでのあなたの報告文ですが、とても印象深かったですよ。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

今の私は殺しの稼業をやっているんだ、まったく楽なもんだよ。君が言ってることなら、なんのことだか。

ラヴィニア
ラヴィニア

なぜ……あなたはそんな人じゃなかったのに。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

思い上がるな、ラヴィニア。私を理解してやってるとでも思っているのか?体裁を見繕っていただけの討論会の、そこで出された根拠もない幻想まみれな報告文で?

ラヴィニア
ラヴィニア

しかし、あの時の情熱は本物でした。あなただってあの時……

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

あれは全部ただの戯言、幼稚な議論に過ぎなかったさ。若いうちはみんなそうだ、自分なら世の中を変えられると思い込んでいる。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

私はな、ただ君よりもはやく目が覚めただけだよ、ラヴィニア。

ラヴィニア
ラヴィニア

「全員を救える最低限のラインを、私たちは見つけるべきだ」と、あなたはそう言っていたじゃないですか。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

ファミリーに加わって、ボスの言うことをしっかりと聞いて、邪魔なヤツらを全員片付ければ、見つかるかもしれないな。

ラヴィニア
ラヴィニア

ボルトロッティさん、私ならあなたを助けてあげます。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

ハッ!助けるだと!?

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

あぁそうだったよ、君の後ろにはあのご立派なベッローネがついていたんだったな。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

名誉も尊厳も失うことはないし、一時的な甘っちょろい考えで攫われることも、殴られることもないだろうな!家に帰ったら、家族もろとも家が燃やさていたなんてことも!

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

君は何も分かっちゃいないんだ、ラヴィニア。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

自分が手に持ってるその法典の重みを、我が身をも滅ぼしかねないほどのその重みを。

冷静なヒットマン
冷静なヒットマン

だが、そんな君ももうおしまいだ。

書記
書記

ラヴィニアさん、危ないッ!

(矢が飛んでくる)

ラヴィニア
ラヴィニア

へ……?

(テキサスがラヴィニアを突き飛ばし、矢の雨から避ける)

テキサス
テキサス

今すぐここから逃げるぞ。

ラヴィニア
ラヴィニア

テキサスさん?

テキサス
テキサス

向こうは人が多い、こっちだ。

タイトルとURLをコピーしました