
あんたたちみたいなターラー人なんてくたばっときゃいいのよ!もうホント今日は厄日だわ!

ぶった斬っちゃいなさい!ほらもっとよ!痛めつけてやりなさい!他人様のモノを奪ったらどうなるか今度こそたっぷりと教えてやりな!

おうよ!文字通り死ぬほどターラー人どもを懲らしめてやるぜ!

そういうことだ!聞いたなこのクズどもが!
(斬撃音)

うぐッ……俺の腕が……

……俺たちターラー人は……くたばっとけだってェ?

ハァ……ハァ……やれェ!このクソ行商人どもを殺しちまえ!どっちがくたばんのかやってやろうじゃねえか!
(ターラーの流民が殴られる)

ぐふッ――

下がれ!

ちょっとあんた、なんで鞘なんかでぶん殴ってるだけなのよ?こっちはあんたたちに金を払ってるんだから、もっとマジメにやってちょうだい!

鞘だけで十分だ。お前たちもこれ以上手を出すのであれば、暴徒もろとも取り押さえるぞ。

何より、私とバグパイプはお前たちと同行してるだけで、お前たちのボディガードとして雇われたわけではない。勘違いはしないでもらいたいな。
(チェンとセルモンが戦闘を始める)

チッ、テメェもあっちで矛を振り回してるヤツも、とんだバケモノ揃いだぜ……

どうやらアタシらがこの前聞いた情報はホンモノだったらしいな。普通のキャラバンだったらこんなとこを通るはずがねえ。

お前がここの連中を率いてるボスか……その恰好、かなり目立つな。

……チェンさん、もう行くわよ、はやくここから逃げなきゃ!

ハッ、どうしたんだ急にビビりやがって?さっきまでターラー人を懲らしめてやるとかほざいてたくせによォ。

ダブリン……ったく、この亡霊どもめ、どいつもこいつもイカレてるわ!やっぱりターラー人が集まってる場所はロクなとこじゃないわね!

ああそうさ、アタシらに茶々を入れるってんなら、顔を見た瞬間にもぶちのめしてやるよ。

ほう、そうなのか?

友人と長らく調査し回っているものだから、ゴーストがどういう部隊なのかは心得ていたつもりだったんだがな。

チッ、なんなんだよテメェは。

隊長殿、キャラバンを連れてはやくここから脱出してくれ。このチンピラどもは私とバグパイプが食い止めておこう。

ダブリンの調査なら、この先は自分たちでやる。これ以上お前たちの厄介になるつもりはないさ、世話になったな。

そ、そう……ああもう、今日は厄日だわ!
(キャラバンの長が走り去り、追いかけようとするセルモンをチェンが止める)

おっと、まだ追いかけるつもりなのか?

ぶへェ――!ガハッゴホッ……

……おいセルモン、なんとかしてくれよ!あのクソ野郎どもを取っちめてやらなきゃ!

物資のことだけじゃねえ……もしあいつらを逃したら、きっとここに俺たちがいることを警察とか、あと軍にも知られちまうかもしれねえぞ!

んなことテメェに言われなくても分かっとるわ!

自分たちだけでは、私一人にすら敵わないことをよぉく知っているはずだ。だから先ほど、お前は虚勢を張って私たちを脅かそうとしていたんだな。

……クソが。

おいマジでどうすんだよ!なんか方法はあるんだよな、なァ!?

……なるほど。お前、どうりで厄介がつき纏ってくると分かっていながらその恰好のままでいたいわけだ。

お前、この連中の“ボス”でいたいんだな。
(バグパイプがターラーの流民に体当たりをする)

がはッ……!
(ターラーの流民が倒れる)

軽く体当たりしただけだから、せいぜい眩暈程度で済むはずだよね?これまで人質の救出任務で何度も同じことをやってきたから大丈夫なはず!

……あっやべっ、気絶しちゃった。えぇ、もしかして力入れ過ぎちゃったのかな?それともおめーさんら、もう何日もまともに飯も食べられていないとか?

ご、ごめんよぉ……でも、強盗は悪いことだからさ。

――むっ、不意打ちは通用しないべ!
(バグパイプがリードの長槍を防ぐ)
背後から長槍が振り下ろされるも、その瞬間バグパイプは本能的にその攻撃を防いだ。
攻撃が防がれた後、両者ともに一歩後に退く。そして相手の顔を目に入れた瞬間、バグパイプは目を大きくかっ開いた。

――リードちゃん!?

……

……ケガはもう大丈夫なんだべか?あっ、もう平気?なんでおめーさんがここに……

いや違う違う違う、っていうかおめーさんも強盗しに来たんだべか?それだったらウチ、手加減はできねえべよ。

……違う、彼らを止めようとしたけど間に合わなかった。

でも、彼らのことは傷つけたくない……それに捕まってほしくもないの。

えっとぉ、じゃあウチらとやることはあんまり変わりないってことだべな!だからその、そんな警戒しながら睨みつけないでよ~。

ヴィクトリアの軍人としても、ロドスのオペレーターとしても、ウチらは一般人を傷つけるつもりはないべ。ウチもチェンちゃんも、この騒動を止めに来ただけだよ。

……あっ、でもー、ごめんね……ちょ~っとウチ、この人に力を入れ過ぎちゃったみたいで……

よかったらこの気絶しちゃった人をそこの日陰んとこまで運んでおこっか?この人たちって、この村の住人なんだべ?

……もうここから、出てって。

騒動ならすでに収まったから。

収まったは収まったけどさ、やっぱり少しぐらい手伝いたいかな。ほらおめーさんも、なんか悩ましい顔してるしさ?

……

はぁ、分かったよ。やっぱおめーさん、相変わらず無口だべなぁ。

ロドスにいた時も、おめーさんに接触してもらえないし、理由も教えてくれないしで。ヒロック郡で起こったことを思い出したくないからかなーって、一応そう思ってたんだけど。

……なのにおめーさん、なんでこんな場所に現れたんだべか?

それに、なんだか何日もずっと荒野を彷徨ってたようだべな。一体どういう任務を受けてるんだべか?よかったらウチとチェンちゃんで手伝おうか?

ああああ!聞きたいことが多すぎて頭がこんがらがってきたべ!

……いや、大丈夫。私はただ、たまたまここにいる人たちに……護衛を頼まれただけ。

以前は確かに、荒野で長い間一人でいたけど、大丈夫。荒野での危険も、私からすれば大したものじゃないから。

あと、これはロドスからの任務ではない。

……個人的に、ダブリンについて追ってるだけ。

ははぁ、なるほど道理で……実はウチとチェンちゃんもそいつらを追ってるんだべよ、だからこうしてばったり出会ったんだべか。

ヒロックの時も、おめーさんあんな重傷を負ったもんだから、きっとダブリンのこともすっごい気になってるはずだもんね……

ダブリンには、私の運命を変えた人がいるの。だから……そこからまた何かを、取り戻せないかと思って。

彼らがもたらした苦しみを取り除くためにも、私自身の平穏のためにも。

……そっか。

実はウチら、あのキャラバンと一緒にあっちに向かおうとしてたんだよ。本来なら最近この近くに現れたダブリンを探そうとしてたんだけど、ここでおめーさんに会ってホントびっくりしたべ。

でもよかった、おめーさんらダブリンとまったく無関係みたいで。

……

じゃあこうしよっか、一旦任務を数日ぐらい置いてもらえないか、チェンちゃんに聞いてみるよ。きっとチェンちゃんも、この人たちのことを喜んで助けてくれるはずだべ。

この客室に入るまでの間、私が一体どれだけの目を掻い潜ってきたのか、この大変さが分かる?

ターラー人にもヴィクトリア人にも肩入れをしないのが、お前への要求だったはずだが?

あら、ならあなたがわざわざトロントにまでいらして注意を惹きつけてくれたことに感謝しなきゃね。てっきり、軍でもうしばらく引き籠もってるつもりだと思っていたわ。

リーダーの計画もいよいよこの段階にまでやって来た。であれば、私がウェリントン公の前衛部隊のメンバーであろうがダブリンの士官であろうが、もはやどうでもいいことだ。

お前を監視してる人間がカスターの者なのであれば、向こうはきっとすでに一連の情報は入手してるはずだぞ。

市外で断続的に現れるダブリンの小規模な部隊と、ダブリンの本部隊が現れたという噂話……全部向こうのために仕向けたものなのね。

それとあの怪しい取引案件も加えれば、おそらく情報通な商人たちならもうすでに察したんじゃない?あの鉄公爵がこの都市を狙っているかもって。

みーんなあちこちに探りを入れて、必死に予測し合っていたわよ。あの公爵は一体、トロントを舞台に何をしようとしているのかしらね。

リーダーの期待通りだ、何も心配することはない。

そうね。もし私たちの目的が事前にバレて、公爵らもリーダーの決心に勘付いてしまっていたら、今頃オーク郡もロンディニウムみたいに賑やかになっていたはずだわ。

ねえ、あの人たちってばサルカズかターラー人のどっちを恐れているんでしょうね?

ターラー人をあんな魔族どもと一緒くたにするつもりか?フンッ、くだらん冗談だ、お前にヤツらと同列に語られる筋合いなどないぞ、フェリーン。

……ところで、“スパイ”が死んだらしいじゃないか。

ええ、あれからロンディニウム市内で得られる情報もごっそりと減ってしまったわ、惜しい人を失くしてしまったね。

あとあそこ、サルカズ以外にも……結構面白そうな勢力が潜んでいるわよ。

前にも言ったはずだぞ。自身の計画を頓挫させたくなければ私情を任務に挟むなと。

私情ですって?そうやって私のことを見てる人間なら、もう随分と減ったものよ。

マンドラゴラのことを言っているんだ。。あんな奴のために、なぜわざわざ生かす道なんかを残してやった?

奴は“オラター(雄弁家)”に誑かされ、ダブリンを分裂しようとしていたんだぞ。本来であればあの六人の裏切者と一緒にヒロックで死んでおくべきだったのだ。

マンドラゴラは“スパイ”が一番信頼していた人間よ。“スパイ”が本当に裏切りを企んでいたかの確証を得る前に、彼女の処分は賢い判断だとは思えないわ。

フンッ、ただの言い訳にしか聞こえんな。

なら“スパイ”の救援任務、私やお前が出向かわなくとも、もっと妥当な人にあたらせておけばよかっただろ。

あら、じゃああの時あなたも殺しておいたほうがよかったのかしら?ほら私たち、仲悪いでしょ、やっぱり殺されたほうがあなたにとっても都合がよかった?

フッ、そうやって盾突いても滑稽に見えるだけだぞ。

公爵様とリーダーが最終的な判断を出すまで、あなた絶対下手に動いちゃダメなんだからね。

私だってロンディニウムから届く情報の重要性ぐらい理解しているわよ。まあ、私たちがロンディニウムに軍を動かすかはまだ分からないけど。

それは公爵との協力関係の進展次第ということか?

そりゃそうでしょ、じゃなきゃなんで私がこうやってあちこち走り回ってると思っているわけ?

……フッ。確か四年前の飛び地での戦役で我々は随分と長い間、大貴族たちとの協力関係の結果を待ちわびていたものだったな。

これもすべて、各々やましいことを秘めていた使者が数千キロも外れのところで飽きもせず徘徊し、公爵にたった一言を申し上げるためだけに数週間も時間を先延ばしにしてくれたからだ。

アルモニ、お前がリーダー側の人間であることを切に願っているよ。

私がほかの人に仕えているとでも?

マンドラゴラはすでに死んだ。だからお前が奴に手を貸した件については、こちらもこれ以上追及しないでやろう。

だが、例の人はまだ生きている。

あぁ、あの可愛くて可哀そうなラフシニーちゃんのことね。

“オラター”がヒロックで企てた謀反の再演はもはや断じて許すことはできない。あの女が生きている以上、ダブリンとリーダーにとっては脅威だ。

あの女を追跡する任務なら、リーダーからお前に任せると言われた。これ以上私情を挟むんじゃないぞ、アルモニ。もう後がないからな。

はぁ、私情を挟むだなんて。プロスパイの私も舐められたものね、ちょっと幻想を抱き過ぎなんじゃないの?

……

あーはいはい、もうそんな睨まないでよ、“将校”さん。私にお化粧を施してくれるんだったら別だけどね、こっちはまだパーティに参加しなきゃならないんだから。

お前結構やるじゃねえかよ、ヴィーン、あん時と一緒だな。なんもできねえとは思ってたんだが、いつも肝心な時に役に立ってくれるなんてよ。

はぁ、これだけの食料を貰ってもまったく腹の足しにはならないだろ?

なああの二人、ヴィクトリア人のはずだよな?あいつら言ってたぜ、代わりに町に行って、使えないものを交換したり、護身用の棍棒ぐらい調達してくれるって。

ようやくそれらしい武器が手に入るんだ、お前も嬉しいだろ?

まあいいや、とりあえず強盗に遭ったキャラバンのニュースがないか、ラジオでも聞いといてくれや。もしかしたら今日の連中、ダブリンからの報復にビビって通報しなかったかもしれねえし……

……っておい、ヴィーン?

なにキョロキョロしてんだよ。

……あの感染者たち、村を出てからずっと私たちについて来てる。

ったくあいつらまだついて来てんのかよ?こっちは足を速めたっていうのに、あんな病人の足で、しかもガキを抱えながらよくついて来れたものだな。

そうだね、きっと大変だったんだろうな。

それと……モニのことも心配だ。

彼女の両目、数年前の飢饉で悪くしてしまったんだ、夜道がまったく見えないらしい。それに今はどこも消灯の鐘のせいで街灯一つすらついちゃいないだろ、きっと苦労してるはずだよ。

へー、そりゃ可哀そうだな。で、あいつらはなんでアタシらについてきてんだ?まさかアタシらが慈善団体にでも見えたのかよ?

さあ。でも、君のその恰好が原因なんじゃない?

ほら、私以外、みんな君のことを本物のダブリンとして見てるからさ。

ダブリンはターラー人によくしてくれるってみんな知ってるから、そのせいなんじゃないかな。

……私、彼らのところに行ってくる。

うわっ、ビックリしたぁ……っていうか、なんか声が震えているよ?大丈夫?

……

見回りの人手は、多いに越したことがないでしょ……きっと巡察隊も避けやすくなるかもしれない。

だから私が……彼らを連れていくよ。