(ヤトウの攻撃が全て弾かれる)
――!
は?
ヤトウ、どうした?
おかしい……この双剣……リオレウスにダメージを与えられるはずなのに、効果があまり見られない。
どうしてこんなことに?私の使用方法が間違っているからか?
ノイルホーン、援護しろ!もう一度試してみる!
おう!あっ、ちょっと待て、盾は仕舞っておいたんだった。この太刀っていったいどう使えば――
(ヤトウが走り去る)
ちょっ、待っ――おい!ったく!待てって!
学者ネコ、なにか対策は思いついたか?
待つニャ、今考えてるニャ!急かすんじゃないニャ!
リオレウスの弱点、リオレウスの攻撃方法、ここじゃない……確か“ハンターノート”から写したはずなのに、どこに書いたんだニャ?
おい、ホントに大丈夫かよ?
(攻撃が全て弾かれ、リオレウスが飛翔する)
ノイルホーン、リオレウスがそっちに向かった!気を付けろ!
盾を構えとく――って俺の盾は?
左のほうへ避けるんだ!
太刀は大振りに攻撃する武器、気をもって刃を制する必要がある。勝敗はその刃を解き放つ瞬間に決まるものだ。
この声は……さっきの……ッ!
……
なんだこりゃ?
ばかノイルホーン!そいつもアイルー、オトモアイルーだニャ!
角が生えた異国の“ハンター”殿、わしは長年狩りに付き添ってきたオトモアイルーだ……ニャ。
ヤトウ、あいつが火を噴くぞ!
学者ネコ、こいつの頭を見てみろ!これのどこがアイルーなんだ?
この装備はわしが長年付き添ってきた“ハンター”殿から授かったもの。数えきれない狩りの思い出が詰まっている、勇気と歴戦の証なのだ……ニャ。
全然そんな風に見えねえよ!それと学者ネコ、アイルーってのは戦うこともできたのか?あんたいっつも逃げ回ってただけだったろ?
ノイルホーンには分からないニャ!彼はオトモアイルー、狩りを専門としているアイルーだニャ!
オトモたちが仲間として“ハンター”殿に付き添って狩りに行くことは古くからの伝統。アイルーだけでなく、噂によれば東にある集落ではガルクを訓練させて狩りに連れて行くとも……
君たちはいったい何をしているんだ!ノイルホーン!真面目にやれ!
分かってるよ!考えるんだ、大振りな攻撃、大振りな攻撃ってのは……
ッ!そういうことか!これでも食らえ!
(ノイルホーンが一太刀をリオレウスに浴びせる)
効果ありだ!
チャンスだ!
柏生さん!何をしているんだ!?今なぜ私を押しのけた!?
あれは儂の獲物だ!
貴様らはとっとと消えろ!
ヤトウ、リオレウスがまた来るぞ!
バケモノめ!こっちを見るんだ!
ノイルホーン、方法を思いついたニャ!
ノートには、近距離武器を扱う場合はリオレウスの頭部が最大の弱点、その次点は翼の尻尾って書いてあるニャ!
一番肝心な技はリオレウスが尻尾を振る攻撃!彼は敵の位置を見定めた後に尻尾を振るニャ、だから頭部が見てる方向が尻尾を振り出す向きになるニャ!
それを避けた後に、あいつがあのデカい図体の体勢を整える隙を利用するということか?以前私とノイルホーンが試したのと同じだな、了解した。
わしからすれば、それが必ずしも隙になるとは思えん。このリオレウス、ここに来てから異常な行動を見せるばかりだ……
何はともあれ、ものは試しだ。攻撃なら私に任せてくれ。
なら俺が尻尾を振るように誘導するぜ。オトモアイルー、あんたのほうが動きはすばしっこい。あいつが尻尾を振り出した時に、あいつを妨害してくれねえか?
尽力しよう……ニャ。
(柏生義岡が駆け出す)
あっ、柏生の爺さんがまた突っ込んでいったぞ!学者ネコ、彼を止めてくれ!
ニャ?ボクにどうすれと?
行くぞ!おりゃあああ!
(ノイルホーンがリオレウスに一太刀を浴びせ、リオレウスが咆哮を上げる)
――!
尻尾を振る時の予備動作ニャ!
(隙……)
(ここだ!)
(ヤトウが駆け出す)
待て、なにかがおかしい……ニャ。
(リオレウスがヤトウを弾き飛ばす)
――!
リオレウスがヤトウの攻撃を察知したニャ……そんなバカニャ?
彼は見えていなかったはずなのに……
あいつの周りに飛散してるのは……源石粉塵!
気を付けろヤトウ!あいつが火を噴くぞ!
(ヤトウが逃げ出した後に周囲で爆発が発生する)
危なかった……もし今のを食らっていたら、私は……
リオレウスがこんな恐ろしい炎を噴き出すことができるなんて、聞いたことがニャいぞ?
似たような行動も今までに一度だって記載されたことがないのに……
ヤトウ!リオレウスがそっちに向かってるぞ!
いや違う、あいつが狙っているのは――
(斬撃音)
お前を相手取る資格を持つ者は、この儂だけだ!
(リオレウスが吼える)
ヤトウ!あれは突進じゃない!また尻尾を振ってくるぞ!
そこをどくんだ!
(ヤトウが柏生義岡をかばう)
がはッ――
ヤトウォ!
貴様――とっとと消えろと言ったはずだ!なぜこっちに来る!?
私のことは放っておけ!リオレウスに集中しろ!
(リオレウスが飛翔する)
ニャ~~~!リオレウスがボクに向かってきたニャ~~!
ノイルホーン!助けてくれニャ!ウニャ~~~~~!
今行く!
わしも加勢するニャ!
(学者ネコがジャンプする)
ニャッ!避けた!掴まったニャ!無事!ボクは無事ニャ!
リオレウス、こいつを食らえ!
(ノイルホーンがリオレウスを攻撃する)
学者ネコ、はやく手を放せ!
無理ニャ!手を放したらリオレウスに食われちゃうニャ!
俺の言う通りにしろ、手を放すんだ!俺がしっかりキャッチしてやる!
シャーッ!手を掴み損ねた!
よし、学者ネコ!捕まえたぞ!
あれ、太刀が、なんで――引っかかっちまった!
ニャッ!二人とも……
(リオレウスが飛翔する)
ノイルホーン!ボクたち――
うわああああああ!俺たちなんで空の上にいるんだ!?
ノイルホーン!
(リオレウスを火球を3回吐き出す)
クソッ、厄介な炎だ。
君たちはここで何を突っ立っているんだ?はやくリオレウスを撃ち下ろす方法を考えてくれ!
あのバカ者め!
閃光玉以外に思いつく方法はない……ニャ。
いや、そんなはずがない。私なら……
これ以上行ってはダメニャ!貴殿だけでは相手にならないニャ!
でも!
はやく安全な場所に逃げるニャ!わしにまだ考えがある!
キャンプが……燃やされてしまった……
装備も全部燃えちゃったニャ……
リオレウス……わしの推測通りなら、彼はおそらくこの地にある洞窟に戻ったはずだ……ニャ。
洞窟?
うむ。わしがここに着いた後、ずっとリオレウスを追跡して行動を観察していたんだ。そしたら彼がとある洞窟に入っていったところを見かけた……ニャ。
……申し訳ない、ずっと“ニャ”を言う癖を改めようと努力しているのだが、こういう種族のせいか、どうしても“ニャ”をやめることができない……ニャ。
話を戻そう。わしなら二人をそこに連れていくことができる……ニャ。
今はそれしか方法はなさそうだ、頼んだぞ。
それと柏生さん、もしまたリオレウスと戦うようなことがあるのなら……
私たちと同行するしか選択肢はないぞ。