第二幕
正月
…。
武器を置いて退け。
…
ちっ、やはり交渉は無駄か、やれ!
こいつらは人間じゃない、手加減の必要はなしだ!
聞こえるか!ここが小隊の隠れ家だ!7区全ての目標の判断条件に合致するこを確認した。全て”兵俑”だ!
本当にレユニオンなんです?
ただの目くらましの可能性もありますし、先に彼らの身分を確認しましょう。
ウェイ長官!事態が変わりました!
あいつらの数が…ふ、増えています。ほぼ全ての巡回部隊がレユニオンを発見しています!
さ、更に報告、市内の一部の場所にて短気での急激な温度上昇が確認されています、監視部門は何をしている!?
何の反応もないぞ!それに他のデータを見る限りでは確かに正常に動作もしている!
敵が接近している小隊に襲撃を始めたが、返答一つ返ってこない、あいつらとは意思疎通が出来ない。
敵軍は壊滅!あいつらはとても脆く弱いし、ほぼ抵抗もしていない、だが数がとても多い!
本当にレユニオンなのか?
熱源も移動している、何とか追跡してくれ!
都市の防衛には何の抜かりもないはずなのに!あいつらが市内に現れることなんて出来るはずが――。
慌てるな!
…
偶数番号の編隊には集合をするように通達、最悪の場合は市内で敵と交戦。大衆を優先的に批難させるように。
下城区には市民が密集しています。特に寺街。この街の全ての警察官は優先的に民間人の批難を。
国境都市にも連絡をし、防衛線に穴が無いか優先的に調査。敵の輸送手段を確認し、今は様子見してください。相手の策には乗らないように。
レユニオンは既に姿を消しましたが、敵の身分は明らかにすべきです。事態のコントロールを最優先にしてください。龍門が年の瀬で特別な状況に遭遇するというのは何も今回が初めてではありません。
一致団結を。近衛局が恐れる必要はありません。
はい!
…
申し訳ありません、アーミヤ、ドクター。あなた達は龍門に着いたばかりでしょうが休憩をする時間も無いかもしれません。
大丈夫です、ロドスが龍門に着いた時点で契約はもう有効となっていますので。
私達におまかせを、近衛局の行動に協力させていただきます!
…
…。
え、えっ、あいつらどうしたの?
あいつらが何なのかは知っているけど、だけどあいつら――!?。
うわあ!こっちにもいる!
…
ちっ、どけ――!
あ、ありがとう!
一般市民は放送に従って指定された避難区域に避難しろ、ここでブラブラするな!
大通りに沿って進み、警官達と合流しろ、急げ!
わ、分かりました!
…。
話も出来ず、血も流さず、スポンジを切ったような感触で死体も消える。
「兵俑」というのが本当に似合う名前だな。
これらを「レユニオン」と呼ぶと不必要なパニックを招きかねません。チェン警官。彼らは生身の敵ではありません。
分かりました。都市部の安全を確保します。
あなたの努力には感謝しますが、残念なことに単純に敵を殺すだけでは意味がないでしょう。
過去数時間、私達はまだ「兵俑」の特性を把握出来ていないにも関わらず、彼らの兵力は途切れること無く続いています。
それが最も頭の痛いところで、オリジ二ウム反応監視はまだ反応していません。だからこそ彼らは本当のレユニオンではない。
…とは限らないということですね。よく分かりました。
これはただの偽り、幻だと。
しかし、レユニオンは堂々と龍門の街を歩いている。
実に…不快だ。
彼らはオリジ二ウムとは完全に絶縁しています。それがこの大地ではほぼ不可能なことにも関わらず。
敵は何処から龍門に入ったのですか?
我々の通常の手段では観測は出来ていません。敵が「どうやって現れたのか」についての報告は全く無い状況です。
彼らはずっとそこにいたように、音もなく整列をし、突撃し、壊乱する。これを繰り返しているようです。
…まるで波のようですね。
予備案に基づいて封鎖線を組織します。
気をつけて下さい。
近衛局はあなたを失うわけにはいきませんので。
――
あいつらの主人が誰であろうと、こんな現実と混ざったような幻を作り出し、少し混乱をもたらす程度で、龍門に対してどういう脅威をもたらすっていうんだ?
奴らは一撃すらも耐えないのに。
…
(こいつらは本当に不気味だな…もし俺たちが関わりでもしなかったら、あいつらはずっとあそこで突っ立っているつもりなのか?)
(でが俺たちが顔を出すと、あいつらはすぐに駆け寄ってくる)
(声を小さくしろ。あいつらはとても弱い。機会を見つけてやつらを奇襲し、速攻で終わらせるぞ)
(――待て、何をするつもりだ!?)
…
おい、何をしている!さっさと戻ってこい!
――違う!お前は俺たち人じゃない!
…。
こいつらいつ入り込んできやがった!?
ヘルメットの下の顔は、ど、どうなってるんだ?
何だ、お前一体何なんだよ!どけ、こっちを見るな!
…。
何をしている?今の近衛局は自分と同じような敵を見るだけで動揺するのか?
立て!
は、はい!大変申し訳ありません!
…いや、チェン殿じゃないのに何故俺に命令するんだ?
あ、つい。
チェン殿は?
チェン殿は城区の防衛線を組織している。敵を本城区に封鎖して一網打尽にするそうだ。
これらのものが何処から出てきたのかわからないのに、彼女は何を考えているんだ?
それがウェイ長官の判断だから。
お前たち近衛局は緊張して敵に穴を開けられた訳だろう、お前たちの判断を信じろと?
…。
くそ、まだ頭が重いな…おい!最後の質問だ!
俺には一般人に答える義務はない。近衛局はウェイ長官の命令を実行するだけだ。
いいや、近衛局は普段どんな人と付き合っている?ウルサス人かそれとも姜斉城から来た人か?
それともいつも酒を水として飲んでるのか?
ええっと…本当に答えられないんだ。それに本当に分かっていない…。
ちっ、チェンとかいうのに飲み倒されて、ひどく馬鹿にされたからな。
しっかりしろ!準備運動をしておけ!
俺たちに一般人の手は必要は――。
――。
あー、頭が痛え、酔いを覚ますべきか…お前さっき何て言った?
あ、えっと、ですけども、熱心な市民の協力をあえて拒否する必要も無いかなあと…
熱源はいなくなったようだが、計器で追跡は出来ないのか?
だ、だめだ!通常のモニタリングでは意味が無いし、気温で位置を把握するしかないがタイムラグがひどい!
各小隊の連絡を受けたところ、敵は暇を見つけては市街区に現れていますが、依然としていかなるオリジ二ウムアーツの痕跡はありません!
先にあいつらを前のように叩き潰すしか――
れ、報告を受信、兵俑の性状が再び変化、あいつら――あいつらが
…敵がどうかしましたか?
ウェイ長官!あいつらは武器を使う技術を身に着け始めています!さらに重要なことに交戦中には明らかな個体差も見つかっています!
まるで、あいつらが本当に生きている人のようだ――。
あり得ない!何故こんなにもリアルな幻影がいるんだ?必ず術者がいるはずだ。斥候チームを呼んで探させろ!
あいつらは癪なことに俺たちの装備すらも破壊することが出来る!あいつらは偽りなのか?あいつらは幻じゃなくて、実体があるんだぞ!
しかし…ですが…それでは…全く意味が通じません!
・滅茶苦茶だな。
・…
・何か手伝えることはあります?
…ご親切にありがとうございます。そしてご心配をお掛けしました。
城内に近衛局に協力をするロドスのオペレーター達を手配します。それが私達にとって最大の助力です。
ウェイ長官はいます――あいたっ!
す、すみません!わざとじゃないんです!あ、あなたは…。
ロドス製薬会社の…合同指揮官です。とりあえずはそのように理解してください。私達は彼をドクターと呼んでいますが。
ほほほほほ本当に申し訳ありませんですドクター!ウェイ長官もいるようですが、外はどうなりましたか?
「兵俑」の全ての情報は端末を通して近衛局のメンバーには同期されているはずだが。
あ、すみませんです、そんなことすら忘れてました――
――。
ま、まだこの熱源は捉えられていないのですか?これはどう見てもおかしいのに…。
いや、龍門全体の気温はもう戻り始めている。熱画像を使っても何の意味もない。全ての探知機が熱源本体を見つけられていなくて――
また「兵俑」と熱源が直接関わっているのかどうかすらも確認出来ていない。だが人手を割くと防衛線が崩れてしまう可能性がある。
えっと…。
逆に見れば良いんじゃないですか?
何?
つまり、城内の全てのオリジ二ウムで駆動している機器の電力を最大にし、「オリジ二ウム反応が無い」ところを監視すれば…。
…。
す、すみません、おかしな話をしていますよね、実はこういうの私の専門分野では無くて…。
いや…それなら本当にいけそうだ!おい、近衛局が直接配置している設備はどれくらいある?
民間用のも含めれば更に多くなるかと。
だが過負荷運転をした場合、熱源本体を見つけた後に龍門全体がしばらく麻痺してしまう恐れがあるな…。
麻痺…?損失はどれくらいです?
知りうる限りではうん千万か?
――
それはややややめませんか….?
いえ。そうしましょう。
移動都市に関する技術が発達してからとうもの、ニェンの出現頻度はますます少なくなっています。私には「ニェン」を知る機会が足りていない。
「ニェン」に秘密が解明されるのであれば、それが氷山の一角だろうと近衛局は辞さない。
私はスノーズントの判断を信じます。
ありがとうございます。で、ですが予算を作ってからにしませんか?
――待て、4区の望遠線が突破された!隊長も喪失!。
他区域の防衛線も苦戦しています!敵の数が多すぎる!
…。
各小隊は無線を常に確保しておくように、繰り返す。各小隊は無線を常に確保しておくように!
動的コードは10分ごとに各小隊長に送信、各チームはこれで身分を確認せよ!
切っても切ってもどんどん出てきて、キリが無いぞ!?
文句を言うな!残りの人員は全員集合しろ!負傷者は戻れ、あいつらにバリケードを破らせるな!
――。
くっ、本当に悪いことを思い出させてくれるな
あいつらは強いがレユニオンにも及ばないし、レユニオンに打ち勝った俺たちに及びはしない!
陣形を立て直す!
――
待て、お前、お前は?
お前は…いや、お前はもう死んでいるはずだ、お前は…。
馬鹿野郎!これは偽物だ、お前が知っている感染者じゃない!
――
た、隊長!
*龍門での悪口*、全部偽物、偽物だ!
分かっています、分かってるよ!だけど、突然戦場に知り合いが現れたら――
何があるっていうんだ!?俺はさっき既にお前を殺しているんだぞ!
え…?
同僚に対して不満を持っている人はいるだろ?これがどんなに良い機会だったとしても俺は死ぬまで戦い、歯を食いしばって頑張ってやる!
防衛線をもう戻すことは出来ないんだ、お前はあいつらに近衛局ビルに突っ込んでもらいたいか!?
はい!
龍門近衛局
熱が異常なエリアを発見しました、ウェイ長官!!
熱源をロック!うまく行ってくれ!
俺たちはもう引き伸ばすことは出来ない…一部の敵は封鎖エリアの外の都市にまで逃げ込んでいしまっているんだから!
ほ、報告!救援信号が大量に来ています!
チェン警官は?
チェン警官はロドスのオペレーターであるアーミヤと合流をし、近衛局に近い敵を迎え撃っています!
・本当に手伝う必要はないんです?
・私が手を出す必要は無いんですか?
…ウェイ長官?
龍門はドクターの能力を信じていますし、ロドスのオペレーターが既に戦闘に参加している異常、チェン警官と同等の指揮権を彼は持つべきでしょう。
ドクターに渡しなさい。
封鎖区域を離れた敵は一般人を傷つけているんです、俺たちは必ず――。
待って下さい、突然強いオリジ二ウム反応が…砂嵐?こ、これは――。
特別通信を受けました!こ、これはリン警察長です!
リンさんが退職して7、8年だろ!?彼は何を言っているんだ?
彼は封鎖エリアから抜け出した敵は全てゴミ箱に捨てておいたと…。
あの、ウェイ長官にもメッセージが…。
…リン警官は近衛局の英雄です。彼の意見は尊重すべきでしょう。
はい!
ウェイさん、許可はもらっておる、私とウェイさんを入れてもらえないか、10分以内に終わることを保証しよう。
…。
…
…ウェイ長官?
…はあ、私達がまだ若かった頃が懐かしいですね。
ですが近衛局はまだ落ちぶれてはいませんが彼らに頼る時でしょう。チェン警官に連絡しても、ドクターがロドスのオペレーター達の指揮する面倒が増えるだけ。
反撃の時間としましょう。
見てみろ、やはりお前が書いた春聯は演技が悪い。さっき生きてはいけない人を何人も見たぞ。
これは私のせいなのか?あと何度も言っているが、同僚の前で昔の名前を呼ばないで頂きたい。。
餃子の中身なんて一体誰が計算するかのう?
…。
それは大変。彼女は長男じゃったか。
勝手にしろ。今はどうすればいい?
ふむ、生きている間にもう一回年の瀬を見ることになるとは。
私達の在りしでも日を思い出したか?
いいや、どうせ娘も家にいないじゃろうし、家に帰ってもつまらないからな。
今回はまた何か新しい様式でもあるのかね。一般大衆を守る役目と儂らの身分は無関係じゃがな。
…ああ、腕の間隔が無くなったな…くそ…。
こいつら、だんだん強くなっているような…。
――。
何だ?
どういうこと?この人達はどうして常に一言も発さずに突っ込んでくるんです?
ワイフー姐、あなたが蹴ったものは形さえなくなっている、おそらく”人”じゃないんじゃない?。
幽霊みたいなものとか?
ゆ、幽霊などがこう簡単には対処出来ないでしょう、まさか。
年の瀬が近づいてくると様々な怪物が夜陰に隠れて民衆に害なすってことじゃないかな。
化け物だって目に見えるんですよ。幽霊とは違うでしょう!
そう反論してあいつを蹴ったのも確かだけどね
…
うん?どうして急に俺たちを引っ張るの?ワイフー姐、ちょっと表情硬いよ。
勇気を出します。
お前たち――一般市民は指定された都市に避難すべきだ、ここに滞在をするな!
でもね、あなたの怪我もひどくない?右上で骨折してるし出血も多すぎる。ここから近衛局までは少なくとも1時間半は掛かるから、あなたは耐えられないかもしれない。
いや…俺は大丈夫だ…。
阿、お前まさか…。
実を言うよ、俺は医学の家族の出身で、幼い時から傷を治すことが自分の務めにしているんだよね。街の動きに気付いてすぐに駆けつけたんだよ。何か手伝えることでもあればって――
お、お前は何がしたい?
――止血、包帯、薬物麻痺、重煥新生。
最後のことはちょっとおかしくないか?。
節度はあるよ、来てきて、無料で治療するなんて機会少ないんだからさ。
好意には感謝するが、お前とても怪し――いた!勝手に触るな、おい!
これは何の薬だ?証明書は持っているのか?お前の証明書を見せろ、でなければ――。
――あ。
え、え?本当に痛くない…?
しかも何かフルーティーな味がするんだけど…。
スイカの味の新商品、初めてのお客様だよおめでとう!
注射剤をどうしてスイカの味にしたんだ?
正直言えば、痛みが軽減されるのは体の錯覚なんだよね。血が止まって、無事に近衛局に戻れるのであれば大丈夫。
その後はきちんとした治療を受けてよ。応急処置じゃ問題を解決することは出来ないんだからさ。傷口を作った物質が何なのかも分からないんだし。
…お前は自分が正式じゃないことを容認するのか?
だから応急!
起きて、大丈夫だから。
本当に大丈夫みたいだ…
本当にありがとう、戦闘が終われば今回の協力を上司に報告するよ。
いやいや、むしろ報告しないでほしいかな。それじゃあ行ってらっしゃい、お気をつけて!
…本当に変な人だな。
よし!今日も良いことしたなあ!
三号実験アドレナリン試薬…有効と…短期間での副作用は無し…監察継続…原因不明のスイカの匂い…よし、このままで!
原因不明って。
試してみたけど、使っても死にはしない薬だからいい薬だよ!
幸い効果はありましたね、そうでなければあなたを気絶させて近衛局に任せて事態を沈めていましたよ。
あの幽霊達あちこちで邪魔をしているみたいだな。これが鯉が急に外を見てくれと言った理由か?
あいつらのむちゃくちゃを放任したくはありませんが、本当にゆ、幽霊だったのであれば…拳や足が届かないのであれば仕方ないですよね?
さっきは――。
幽霊は拳法では解決出来ません!だから解決出来ない!だめです!出来ません!
速攻で解決してたけどね….
あ~まあいいか。ちょうど最近俺の仕事も何もないし、あいつらに患者を作ってもらうのはどうかな?
自転車の修理業者は街に行って釘を吐くっていうしさ。
あまり悪いことしてるとバチが当たるぞ。
罰を受けるべき人を俺は多くしっているけど、大丈夫だし、それは罰がまだ俺の番には来てないってことだよ。焦る必要なし。
それよりも、吽、「ニェン」って一体何なのか気にならないか?
みんなが無事なら俺はそれで良いんだが。
つ!ま!ん!ね!え!ワイフー姐は?閉鎖エリアにこっそり入ってみたくない?
邪魔はしませんが、鲤には逐一教えておきますよ。
生々しい伝説とやりあいたくない?ボコ!バキッ!ドーン!殴る!「ニェン」は強靭な身を持つ血に飢えた魔物だって聞いたことあるけど、決して見えない手の届かないものじゃないと思うんだよね!
あ。もし君が勝てば、君も武の道を極めたってことでお父さんも一緒に過ごしてくれるかもしれないよ。そしてお父さんとお母さんは武で心を通わせるんだ。これまた美談だなあ…。
…。
あ、ワイフー姐さん、俺のてきとう言ってるだけだから、本気にしないで…おい!吽!早く彼女を止めろ!
――ママ?
…
おじさん…ママを見なかった?
おじさん?
…。
――あ、熱い!
え?
お姉ちゃん、さっきのおじさんは?
何も喋らない武装しているやつに子供が近寄るのは良くないよ?
でもママが道に迷ったら警察官を呼ぶのよって言ってた…。
お母さんの話が全部とは限らないんだからさ。
でも…。
分かった分かった。でも、今は新年の喧嘩の盛典をやってるし、早いところ他のところに隠れよう。
うん、そうだよね…ありがとうお姉ちゃん!
良い子だね。
…。
…
うん…。
一般的にはこういう温かい感動的な場面を見たら「ああ、彼女は悪い人じゃないかもしれないな」って考えて、ナイフを手放すべきじゃないの?
普通、龍門近衛局を自分の力で疲弊させる人なんていないだろ。
先入観はあるみたいだけど、そういう直感的なのは好きだよ。あなた普通の将兵じゃないでしょ、名前は?
ラヴァ。
現代人は何ていうか、変なこと聞くけど、それってあなたの名前じゃないでしょ?
コードネームだ。
それは面倒くさい。名前ってもともとコードネームの一種じゃないの?自分が生物個体として独立性を強調することってそんなに重要?
お前が先に言って聞いてきたんだろ!
それにお前は確かに私達のことは理解できないだろうな「ニェン」。
あら、私が来たってことすぐに分かったんだ。
確かに昔は私のことはそう呼ばれていたけど、「ニェン」ってちょっとかっこ悪い感じするよね。名前を変えてもらえない?あなたみたいに。
…お前は逃げられない。近衛局はもうお前を追跡する方法を見つけ出した。
まあ私だって走り回る必要ないんだけどね、来て、ブリキ達
…
それがお前が龍門セントラルデータベースから手に入れた武器か。
そんなもろい創造物に何の意味がある?
おお――ナイフで空間を切り裂いた?そういうアーツは初めてだな、ちょっとかっこいい!
褒めて頂き光栄だな。もっと学ぶか?
はは――もういいよ。
この移動出来る大都市を見た時私はとっても驚いたんだ。あなた達も面白いものを作れるんだって。
あなたのアーツもね、うん、これほど熟達して実用的も方法は見たことが無かったよ。
本当に嬉しいな、あなた達ってあまり進歩しないと思ってたから。
その記録とデータを利用して、近衛局の兵士たちとレユニオンの幻影を作りだしたということか。
お前の能力はオリジ二ウムアーツとは異なっているが、私を騙すことは出来ない。お前の行動パターンを知る限りでは龍門は数千年以上この怪物に困らされていた。
よく知ってるね。何で?
古い記録や現代の推測からお前たちのことを知ろうとしているから。
何で?つまるところ、私が何年も寝ている間、あなたはずっと私に関する小さな知識を補っていたってこと?
そんなところだ。
私はお前とお前の仲間を狩るために育てられた。
え?あなたもしかして私のファン?
…お前を殺そうとしている点で言えば。
まさかあなたみたいな人に会えるとはね…自分が誰だったか忘れてしまう前に。
うん、ちょっと感動したよ。涙が出そうになった。昔からファンに出会うのってこういう気持ちなんだろうね。どう?しばらく休戦して、バーを探してゆっくり話でもしない?
待ってるから…えっと、あいつらの名前忘れちゃった…そう!近衛局がだんだん潰れていくのを待つのはつまらないしなあ。何とかして時間を潰さないといけないね。
…記録によればお前たちが龍門を最近襲撃したのはもう数十年も前のことだ。
私達の進歩について何も知らないくせに、それで自分にはかなわないと思っているのか?
あるの?ビルの高さ以外に技術の含有量が少ない鉄の塊が多くなったり、火鍋の味が物足りなくなったり…。
他に何の違いがあるの?あなたは何を見せてくれる?
楽しみにしておけ。
本当に楽しみ。
理解しろ。これが…占いの結果だと思っておけ。
今ってその手の占いって出来るの?庶民が勝手に天象を議論するのは昔は重罪だったんだけどね。
占いが重罪なら、私はとっくに罪を犯しているだろうな。
あなた…
あなたの身分についてもっと知りたい。話をしない?
あれらを止めてるのであれば
あなた「捕まっても命だけは許してやる」とでも言いたいの?
殺し合いをする前に、それよりも真相のほうが気になる。
真相?何が知りたいの?私達の息が会っているのであれば教えてあげようかなって思ってるけど。
お前たちの目的。そして、それをどうやって根本から解決するか。
お前たち?
ニェンはお前だけの名前だが、災害はお前だけでは無いはずだ。私はよく知っているぞ。
分かったよ、どうすればいい?まだ殴り殺すつもりじゃないの?
そうだ。もしお前たちの「本体」が本当に殺せるならばだけどな
…。
…。
…ふう。
(勢いが変わった…というよりも圧迫感が…)
ねえ、ラヴァ。
呼んでくれるな、私とお前はそこまで親しくはない。
そう言わないでよ、本当にびっくりしたんだから。あなたが身につけている知識は予想以上のものだった。
あなたの言う通り、もともと私はこの都市に対してどうかするっていうつもりは無かった。結局、私の印象の中じゃあなた達ってとても弱いし。
だけど、あなた達の進歩は確かなものだと認めざる負えないみたい。
特にずっと私達を見てくれている人がいるなんて意外な喜びもあったし。
お前たちは地域ごとに恐ろしい伝説を残しているからな。私達は注意しておく必要がある。
それは、巨人だったり、軍隊だったり、天災のよう術というものもあるが…。
私達は強くなる、生きていくために。
だが、何故大昔の炎国の民は槍鉄戦を持っていたにも関わらず、近代の龍門は城を守る大砲を持っていたにも関わらず、最後は同じ結末になってしまうのか。
過去のお前たちは寛容すぎたのか?それとも今はもっと強くなっているのか?
あるいは――
程よい破壊と殲滅は最高の教育だ。
これって面白いことじゃない?目が覚めると何年も変わらない子どもたちが突然真実に近づいてきたんだから。
それじゃあ…
これ以上ふざけないで、難易度は上げるべきだよね。
お前はやれはしない。
お、炎――?
やっぱりあの短刀は勝手はいいだけで、実際は法杖を重要なシーンで使うのかな?
あなたたちは自分の力を効率的に使いたくはない、あるいは出来ない、その点に変わりはない。
盾碑…?
今まで見たこともないし質感と、オリジ二ウムアーツの作用範囲を抑えてこんなものどうやって…。
わあ!オリジ二ウムアーツという言い方はとてもかっこいいよね!
(しかし、先程の炎…あいつはわざわざ力を使ってまで防ぎ止めたということか?)
(空間関係のオリジ二ウムは複雑なのに…まさか…)
でも、私にはまだ小さな疑問があるんだよね。私、或いは私達はぐっすり寝ていたのに、何を頼りにしてあなたはこれらの情報を集めたの?
ノーコメント。
そう。
話を変えようか。さっきあなたが言った。私の能力はデータでそのおもちゃの兵士を作ることだって。
残念だけど、それは間違った答え。こんなにも短期間でこんな複雑なものが手に入ると思う?
手元にある一番良いデータっていうのは、あなた達の過去の敵や、心の中の恐怖や不安なんだよね。こういったものに少しばかり小さな泡吹いただけ。
興を添えるとしてはなかなか良いでしょ?
…何が言いたい?。
あなたが私を知っていてくれて、本当に嬉しいってこと。
もしあなたが本当に出来るならだけど。
お前がいるから…。
な…建物の頂上が…溶けている?
安心して。この近辺に一般人はいない。
…お前は何をするつもりだ?
溶かす。鋳造にかける。錬磨する。
この都市は鋳造炉として丁度いい。
――!
ラヴァ、これならばあなたもいい鍛冶屋になれるんじゃない?
誰が鍛冶屋になるだと!?
(ちっ、信じられないほどに大げさだった仮説と一緒だ。ニェンは伝統的な術を使わずとも大袈裟とも言えるような能力を扱うことが出来る)
(だが、やはり研究の結果と同じ…もう一度試してみる必要はありそうだ)
ん?短剣を横切っている空気が圧縮されてるね、これもあなたの言うオリジ二ウムアーツの応用?
どんな記録と考察からも、お前たちの本当の姿は見えなかった。お前たちが個人ではなく、集団であるという結論を出すためだけにすら私達は時間が掛かりすぎた。
だが、それだけで私がここに立つと思うか?
耳を塞ぐんだな、ニェン。
え…この騒音は…!
”群石の将、魂の兄弟よ!”
え――これは――。
萎縮したな、珍しく。
あなた一体何者!?どうしてこれを知って――。
ああ…いや、弱点を知っているってことは誰だか分かったよ…。
くそ、夕は人間にどれだけのものを教えたの――。
驚いたか?
多くの研究者があれほどの時間をかけて、読める記録を一枚ずつめくっても、年の瀬に対処する方法は見つからなかった。
しかし、炎国には無数の古い伝説がある。お前と無関係な部分にこそ逆に興味深い部分がある。
伝説?
”爆竹の音で一年が明ける”とな。
あ…。
なるほど、そういうこと。
あなたたちが理解出来ずとも、恐怖は伝説となって伝わるってことね。
天災の大地だろうと、あなたたちは秩序良く何かを受け継ぐことが出来るって、それって良いことじゃない?
じゃあ私もちょっと考えてみようかな…そうだ、退屈しないものを作ろう。
目を閉じた?
ちょっと待て、口から取り出しているそれは…それは…剣の柄?
またせたね、でも他の人の公演中に割り込まないでもらえるかな。喉に詰まったらどうするのよ?
空間をオリジ二ウムアーツで…切った?
何を驚いているの、ただ切っただけ、あなたは出来ないの?
まあ、いつも昔ながらの職人技っていうのは無視してきて、退屈な刺繍枕を探しにいくっていう悪い癖ができちゃってね。
歴史の重みをあなたにも感じさせてあげるよ。
くっ!
あ、ごめん、ちょっと重すぎたかな、まだ生きているよね?
これが”ニェン”の力、それほどでも無いみたいだな。
えっと、さっきよりも更に重いでしょ、強がる必要はないよ。
大丈夫だ、どう対処すれば良いか分かったからな。そっちこそ少し驚きすぎじゃないか?
私が虫のように叩き殺されなかったからか?
…はっ。独りよがりなのは一体誰のことかな?
――地面が、いや、大地が震えている。お前はこの都市をお前のものにしたいのか?
あなただけを相手にしているだけなのに、大袈裟すぎじゃない?
今のあなたたちの最高水準を探って暇つぶしをしているだけだよ。
どのくらい戦い続けることが出来る?10分?1時間?それとも1日?
お前のその思わせなぶりな謎を解くまで。
それは間違いだよ!凡百な人間が人でないものをどうやって分かるっていうの?
空を指差している…?
”天に炉あり、地に五金あり、輝くは寒冷照雲なりて!”
起きろ!