



マリア
……

マリア
……お姉ちゃん?


チェルネー
いや……あれはマリアのアーツではない……

チェルネー
一体何が起こったんだ?

企業職員
チェルネーさん!さきほど――無冑盟の守衛から報告が届きました!一筋の光が競技場の北西1km先から競技場に衝突していったと!

企業職員
とてつもないスピードでした!あれが何なのかすらはっきりと分かりませんでした!

チェルネー
……まさかテロですか?

企業職員
いえ、兵器の類には見えませんでした、人です、クランタに見えました、しかしあの速さを出せるのは、最上級の騎士だけかと――

チェルネー
……

チェルネー
……いや。

チェルネー
あり得ない……あの光は……まさか……


腐敗の騎士
グァ……敵はどこだ?光が眩しすぎて、何も見えん……!

凋零の騎士
任務は、最後まで遂行しろ。誰の仕業だろうと――最優先で目標を殺せ!

腐敗の騎士
グアァ……!

腐敗の騎士
拳だけで……このオレを吹っ飛ばしただと……?貴様何者だ?

マーガレット
薄汚いアーツだ……迫害されしサルカズの感染者だろうと、「騎士」として恥ずかしくないのか?

腐敗の騎士
グァ……

マリア
お姉ちゃん……?

マリア
待って……本当にお姉ちゃんなの?幻覚じゃないよね……?

マーガレット
ああ。

マリア
……

マリア
ほ、本当に……?

マーガレット
そうだ。

マリア
……お姉ちゃん?

マーガレット
よくここまで頑張ったな、マリア。

マリア
うぅ……お姉ちゃん……どうして……今頃帰ってきたの……

腐敗の騎士
……邪魔だ!まとめて殺してやる!

マーガレット
いいや、これ以上の勝手は許さない。

腐敗の騎士
なっ……斬撃を食らっても微動だにしないだと……

凋零の騎士
……奴の光が束になって、俺たちのアーツを抑制しているんだ、お前は下がれ、オレが片付ける。

ビックマウスモブ
光の中で登場したのは――光の中登場したのは、ま――ま――紛れもなく耀騎士だぁ!!

ビックマウスモブ
何ということだ!?追放されたはずの耀騎士が再びここに戻ってきたぁ!!

ビックマウスモブ
(おい!はやくアンバサダーを探してこい、何なんだこの状況は!?なにが――あ?)

ビックマウスモブ
ル、ルール違反ではあるが!だがもうそんなもんは関係ねぇ!妹を救うため、危険承知でカジミエーシュに耀騎士が帰ってきたぁ!!

ビックマウスモブ
常人ならざる迫力!常人ならざる気迫!地獄からやってきたような騎士二人を前にしてもまったく恐れていない!!

ビックマウスモブ
耀騎士のために――歓喜の声を上げよう!!

ゾフィア
あれって……マーガレット?あの盾を持ってる騎士って、耀騎士……?

ゾフィア
な、なんでカジミエーシュに戻ってきたの……?

ハゲのマーチン
すっかり様変わりしたな……

ハゲのマーチン
……あの子が帰ってきたのか、あの子はあれから……何を経験してきたんだ?

ゾフィア
あぁ……

ハゲのマーチン
耀騎士、あの意気軒昂なマーガレットが……帰ってきたのか?


老騎士
ふぅ……いい加減そこをどいてくれないか?

プラチナ
残念だけど、それはできない。

老騎士
つまり、死ぬ気でやらないと通してくれないわけじゃな?

プラチナ
……もし出来るなら、これ以上死ぬ気を出さないでほしいんだけどね。

プラチナ
もう一度言う、これ以上やっても無駄だ、私は決まったターゲットは必ず処理するけど、関係ない人は見逃す主義なんだ。

プラチナ
競技場に向かうことさえしないければ、命だけは――ん?

プラチナ
――周りが明るくなった?

老工匠
おい!フォーゲル、あそこを見ろ!

老騎士
なんだあれは……

老騎士
あの……あの光は……

老騎士
ニアールの爺さんの……?

プラチナ
(あの明るさ、マリアが以前放ったアーツではなさそうだ、まさか……)

プラチナ
(いやでも……ラズライト二人がかりだぞ……そんなまさか……)

プラチナ
ん。

プラチナ
こちらプラチナ。

???
お遊びはそこまでだよ、ペガサスちゃん、撤収だ。

プラチナ
……なんだって?

???
耀騎士がもう中に入っちゃったんだよ、これ以上入口を守っても、意味ないでしょ?

プラチナ
……

プラチナ
状況は大体分かったよ……でもアンタたち二人がかりで失敗したの?

???
上位者の力を甘く見ないでほしいね、ペガサスちゃん、理事会が私たちに与えた任務はただ「耀騎士を見張っておけ」だった、別に戦えとは言われなかったし……

???
私もね、戦うにしても、あのしかめっ面と手を組めば、どうってことなかったんだよ。

???
ただちょ――と予想外のことが起こってね、一つは耀騎士本人が前よりも強くなったことでしょ……それから、彼女何人か厄介な連中を連れているんだよ、それが面倒臭くてね。

プラチナ
あぁ……アンタたちですら面倒臭いって思うんだったら、相当な相手なんだろうね。

???
うん、あとそれとね、わざわざ君に連絡したのは、ターゲットが進んでるルートに君が立っていてこのままだとぶつかっちゃ――あ、もう間に合わないかも。

???
とにかく、絶対相手にしちゃいけないよ、あとのことは自分でなんとかしてね、プラチナちゃん。

プラチナ
はぁ?ちょっと待っ……

プラチナ
まったく、何がしたいんだか……

プラチナ
まさかマイナが動き出した?いや……彼はずっと自分の執務室に籠ってたはず……じゃあ……

プラチナ
(な、なんだ?さっきのあれは……青い影?)

老工匠
フォーゲル……!

老騎士
分かっておる!

老工匠
何が起こったんじゃ?今までにない感覚じゃったぞ……

老騎士
……下手に動くな、呼吸を整えろ、周囲もよく見張っておけ。

プラチナ
(何かに掴まれた感じだった……あの二人すら厄介に思う奴って……)

プラチナ
ん、来たか。

老騎士
……

老工匠
……

プラチナ
……

シャイニング
……

プラチナ
……はぁ、そりゃメンドクサイって言うよね……だって最初から騎士じゃないんだもん……

シャイニング
……

プラチナ
彼女たちを通してあげて、どうせターゲットリストに名前は載ってなかったんだし。

シャイニング
……ありがとうございます。

シャイニング
リズ、まだ歩けそう?

ナイチンゲール
大丈夫……あそこ、すごく明るい。

シャイニング
ニアールのアーツだね。

ナイチンゲール
じゃあ早く行きましょ?

シャイニング
そうだね。

プラチナ
……ホント、今日はなんて日だ。

老騎士
さっきのサルカズ……マーガレットを知ってるのか?一体何が起こってるんじゃ……?

老工匠
本当にマーガレットじゃ!フォーゲル!マーガレットが帰ってきたぞ!

老騎士
……耳元でわめくな。

老騎士
そんなことより……わしらはどうする?まだ続けるか?

プラチナ
そんなに睨まないでよ……命拾いしたね。

老騎士
……

プラチナ
任務がキャンセルされちゃったんだし、これ以上アンタたちを止める理由はないよ。

プラチナ
その余生を大事にしてね。

老騎士
そのまま帰るつもりか?待て!

老工匠
フォーゲル!先に競技場に急ぐぞ、奴らは放っておけ!

老騎士
チッ……憶えておれ無冑盟……!


チェルネー
マーガレット・ニアール……耀騎士だと!

チェルネー
競技場の警備はどうなっているのですか?

企業職員
け、警備ですか……?しかしあの全力の耀騎士ですよ、市内で対抗できるものなんて用意しておりませんよ……

チェルネー
……

チェルネー
耀騎士……

チェルネー
はは、耀騎士ですか……今更、ここに戻って何のつもりですか?騎士たちの卒塔婆を一目見ようというのですか?

企業職員
チェルネーさん、連合会からご連絡が来ています……その……

チェルネー
……

チェルネー
ミスター・マルコヴィッツ。

企業職員
はい?

チェルネー
このあと何が起きようと、私がここに戻ってこなかろうと、絶対にこの部屋からは出ないでください。

企業職員
は、はぁ……

チェルネー
ええ、とっくに全部要用意周到です……そうです、チェルネー、君は全部やり遂げました、あとは幕が下りるのを待つだけです。

企業職員
チェルネーさん……?

チェルネー
あぁ、失礼……

チェルネー
……

企業職員
チェルネーさん?お電話が鳴っておりますよ……?

チェルネー
分かってます、分かっていますよ。

チェルネー
では……少々失礼します。


マーガレット
……騎士としての技量は中々だ。

マーガレット
しかし、薬物と、アーツ多用の痕跡があるか、それに……

腐敗の騎士
グルァァ――

凋零の騎士
俺が奴を抑える!お前は目標を殺せ!

凋零の騎士
――目標を殺せ!

マーガレット
むっ、爆発のエネルギーで相殺したのか――

腐敗の騎士
――死ねぇ!

マリア
――

腐敗の騎士
グワァ……!まだ、力が残っていただと!?

マーガレット
マリア、まだ傷が――

マリア
お姉ちゃん……!言ってたでしょ、他者を守るために、騎士は盾を持つことを選んだんだって……そうでしょ!

マリア
でも今は、ここのステージには――

マリア
――お姉ちゃんが心配に及ぶ弱者はもういないんだよ!

マーガレット
……!

マリア
私がお姉ちゃんの盾になるから、だから――

凋零の騎士
そこをどけ、二人まとめて粉々に吹き飛ばしてやる!

マリア
――全力で行こう!

腐敗の騎士
グァ……やつが盾を捨てたぞ!お前のアーツはどうしたんだ!

凋零の騎士
……そんな、馬鹿な……あのハンマーが奴のアーツロッドだったのか、奴は……


マーガレット
マリア……準備はいいか?

マリア
うん!

マーガレット
……騎士なるものとは。

マリア
……即ち大地を隅々まで照らす崇高なる者!

ビックマウスモブ
戦場に突入した耀騎士が二三手交えたあとになんと盾を捨てた!待て!いや違う!!

ビックマウスモブ
みんなは耀騎士がもらたしたダブルハンマー使いのブームを憶えているだろうか!?今の彼女は、盾を放棄しハンマーのみで挑む完全なる臨戦態勢の姿になった!これこそが耀騎士の本来の姿だ!

ビックマウスモブ
強者の群れに突進していく耀騎士!帰ってきたレジェンド!おそらく試合終了後すぐさま国民院に連れて行かれるだろうから、耀騎士の風采が見れるチャンスは、今だけだ!


レフトハンドナイト
この……アーツは、この輝きは……

レフトハンドナイト
貴様はなぜそう平然とその光が出せるのだ……?この狂妄者が――自分が太陽にでもなったつもりか!?耀騎士!

シャイニング
マーガレットが盾を下ろした様子を見るのはいつぶりだろう?

ナイチンゲール
彼女の光……とても熱い。

ナイチンゲール
彼女なら大丈夫、だよね?

シャイニング
あの姿の耀騎士が敗北したところは一度も見ていないからね。

ナイチンゲール
あの子、ニアールにそっくり。

シャイニング
そうだね、彼女の妹だろうね。

シャイニング
ふふ……可愛らしい騎士だ、彼女そっくり。

凋零の騎士
……矢が……尽きた!

腐敗の騎士
ガァ――!アーツを使え!

マリア
彼はアーツで矢を作ってるんだ……私が防ぐよ!

マーガレット
ああ、あとはこちらに任せてくれ。

凋零の騎士
射貫けないだと――鬱陶しい光め!

ゾフィア
……

ハゲのマーチン
……観客が静まりかえった。

ハゲのマーチン
マーガレットは未だ劣勢だ、あの二人のサルカズは強い……それにコンビネーションも完璧だ。

ゾフィア
でもなぜかマーガレットなら絶対に負けないって心のどこかで思っている……それに彼女がまったく劣勢だなんて思えないわ……

ハゲのマーチン
彼女の武芸が人々を魅了してるんだろう……彼女はあれだけ平然としているが、光はどんどん明るさを増している……

ハゲのマーチン
ニアールの爺さんがまだ若かった頃を思い出すよ。

ビックマウスモブ
な、なんということだ!オレは夢でも見ているんだろうか!

ビックマウスモブ
マーガレットのウォーハンマーが振りかざされる度に、光が放たれ相手のアーツを尽く駆逐していく!耀騎士が踏み込んだ亀裂からも尽く光が満ち溢れていく!

ビックマウスモブ
なんと不思議で目が奪われるアーツなのだろうか!何なんだあの技の数々は!!

ビックマウスモブ
これこそがチャンピオンのなせる技!真なる騎士の実力だ――!!

マリア
ふぅ……傷口が、痛くなくなった……これもお姉ちゃんのアーツのおかげなの?

マリア
(あんな激しい攻防を繰り広げてるのに、私に構う余裕がまだあるなんて――)

腐敗の騎士
ガァ――!オレのハンマーが……!

腐敗の騎士
武器がなければ、この手で、貴様を引き裂いてやる――!

凋零の騎士
奴を殺せ!

マーガレット
……

マーガレット
……マリア。

マリア
あっ、はい!

マーガレット
援護を頼む。

マリア
――うん!

腐敗の騎士
やれ!

凋零の騎士
分かっている!

マーガレット
懺悔しろ。

凋零の騎士
――

腐敗の騎士
――

マーガレット
――

腐敗の騎士
……

マーガレット
お前たちは己の運命をまだ諦めるべきではない。

腐敗の騎士
いや……

腐敗の騎士
……

マーガレット
マリア。

マリア
えっ、え……?

マーガレット
私たちの勝利だ。

ビックマウスモブ
眼下の起こった出来事が信じられるだろうか!己の目を信じれる人などいるのだろうか!!

ビックマウスモブ
このオレですら信じられねぇ!突然試合に乱入してきた耀騎士!!この一切の行為を黙認した騎士協会!!オーマイ、これ、これって――

ビックマウスモブ
オレの長い解説人生でこんな出来事に遭遇したのは初めてだ!!国民院が今回の乱入をどう処理するかはわからねぇが、眼下のこの勝利が覆えられることはない!!

ビックマウスモブ
今――

チェルネー
(ミスター・モブ。)

ビックマウスモブ
(……いやぁ、やっと来てくれましたか。)

ビックマウスモブ
今ここに栄えある勝者を発表しよう!!

ビックマウスモブ
(アンバサダーさん、どうすればいい?)

チェルネー
(彼女の名を言いなさい。)

ビックマウスモブ
勝者は!若き奇跡のマリア・ニアール!及び、遥か遠い荒野から帰ってきた、誰もが知っている天馬、耀騎士!マーガレット・ニアール!!

チェルネー
(そうです、その調子です、ミスター・モブ、あなたの人々の情緒を盛り上げる実力は本当に尊敬に値します。)

チェルネー
(その調子で現場を盛り上げてください、あとで処理致しますので。)

ビックマウスモブ
彼女たちのために大いに歓声を上げよう――!!

ゾフィア
――

ハゲのマーチン
おいゾフィア!?どこに行くんだ?

老工匠
マーチン!二人はどこじゃ――その、あ、あの子はどこじゃ?

老騎士
本当にマーガレットなのか……なぜ今頃戻ってきたんじゃ?

老騎士
で、でも彼女は仮にも追放者じゃぞ、せめてわしらに一声かけて――

ハゲのマーチン
わかったわかった、落ち着け、マイナも前々からこのことは知っていたのかもしれんな……だが今は、まずはここを出よう。

ハゲのマーチン
記者や観客ですぐに出入口が塞がれてしまうからな、先に裏道を探そう――耀騎士が我が家に帰れる道をな。

観客
耀騎士!!前大会チャンピオンの耀騎士だ!!

観客
どけ、どいてくれ!写真を撮らせてくれ!!

ビックマウスモブ
おいおい、みんな!落ち着いてくれ!予想外の事態だとしても、今回の試合を正式なプロセスで最後まで終わらせなきゃならねぇんだ!

ビックマウスモブ
(次はどうすりゃいいんだ!?アンバサダーに連絡が取れないって?バカ野郎!VIPルームに行って探してこい――!)

ビックマウスモブ
ちょっと待ったぁ!あれは、あれはウィスラッシュナイトだ!ウィスラッシュナイトが観客席から直接ステージに上がって耀騎士のもとに走っていた――

マーガレット
ゾフィ――

マリア
えええぇ――ゾ、ゾフィア叔母さん!?

ゾフィア
バカ……なんで今頃帰ってきたのよ!?

ビックマウスモブ
――か、彼女はもしかして先ほど耀騎士に平手打ちをしたのか?ん?いや?ちょっと待てよ、これはこれで需要のある場面だ――

マーガレット
すまない、でも、ただいま。

ゾフィア
……さっきの平手打ちはマリアの分だからね。

マリア
――!?

ゾフィア
私の分はチャラにしといてあげる。

マーガレット
うん、手加減してくれてありがとう……でも、さっき右手でぶっただろう……もう大丈夫なのか?

ゾフィア
……今はそんなことを言ってる場合じゃないわ、あなたは突然現れた、国民院は追放者がカジミエーシュに戻ってくることを許しちゃいないわ。

ゾフィア
記者と国民院が来る前に、さっさと逃げるわよ。

マリア
い、今逃げるの?でも試合結果がまだ……

ゾフィア
そんなの構ってる暇なんてないわよ!この人が突然乱入してきたことのほうがとんでもないことなのよ!

ナイチンゲール
ニアール。

マーガレット
リズ、気を付けて!

マーガレット
……そう心配するな、ほらっ、私の腕に掴まって。

ゾフィア
この二人のサルカズは……

マーガレット
安心してくれ、私の戦友だ、シャイニング、手伝ってくれるか?

シャイニング
うん。

腐敗の騎士
……!

腐敗の騎士
お……オレは気絶していたのか……これは治療アーツ?

腐敗の騎士
誰だ……お前は!?

腐敗の騎士
サルカズなのか、お前……お前は!そんなのあり得ない、サルカズのお前が?オレを治しているのか?

シャイニング
ひどい傷をされています、でもこの試合で負った傷ではありませんね。薬物が残した傷跡は取り除くことはできません、もっと自分を大切にしてください。

腐敗の騎士
どけ――オレに触るな!グァ……

腐敗の騎士
オレは……

腐敗の騎士
……待て、お前は……お前はまさか……

シャイニング
――ニアール。

マーガレット
ああ、分かっている。

マーガレット
あの二人の無冑盟が今もこちらを見張っている……今は勝利に喜ぶ時ではない。

ゾフィア
む、無冑盟?それってどういう――

ナイチンゲール
逃げるの?ニアール?

マーガレット
――いいや。

マーガレット
勝利を収めた騎士が怯えて逃げまどう理由などない。行かせないのなら、試してみればいい。

ナイチンゲール
ニアール、あっち。

マーガレット
ああ……コワルさんとフォーゲルヴァルデさんか。何か見つけたのかな?

ゾフィア
何とぼけたこと言ってるの!逃げる裏道を準備しているに決まってるでしょ!

ゾフィア
私と彼らの三人で雪崩れ込む観客たちを抑え込むわ、でも国民院ならその後きっとあなたたちの家に来るはずよ、その時は自分たちで何とかして頂戴――

ゾフィア
――それとマーガレット!

マーガレット
ん?

ゾフィア
おかえりなさい……本当に、よかった。

ゾフィア
あとでいつもの場所で会いましょ、遅刻厳禁よ。

マーガレット
ああ……もちろん。

ナイチンゲール
あれは……ニアールの家族?

シャイニング
彼女は家に戻ってきたからね、顔には出さないけど彼女は喜んでるよ、そうでしょ?

シャイニング
だから、彼女のことはひとまず放っておいてあげよう。彼女はあの耀騎士だ、ここカジミエーシュで、彼女をどうこうできる人なんていないよ?

ナイチンゲール
うん。

シャイニング
私たちもあとで……アーミヤたちと合流しよう。

マーガレット
……マリア。

マリア
ん、なに?

マーガレット
……家に帰ろう。


チェルネー
……

プラチナ
……やっと来た。隣にいつもいる人はどうしたの?

チェルネー
……彼が次を務めます。

プラチナ
あー……そりゃまた残酷だね。

チェルネー
話はこの辺で、はやく答えを教えてください。

プラチナ
さすが仕事ができるね……でも答えはもう知ってるんでしょ、なのになんで私に聞くの?

チェルネー
……

プラチナ
アンタはこれからマシな暮らしができるかもしれないよ。

チェルネー
いいえ……私は追放された流浪の荒野で野垂れ死ぬか、あなたの手によって死ぬかのどちらかです。

プラチナ
……そうだね、その時は私のせいにしないでね。

チェルネー
もちろんです。

プラチナ
アンタの追放に国民院の工程は挟まれないから、今晩にもここを離れないといけないよ、何か言い残したいことはある?

チェルネー
……

チェルネー
シェブチックに小さい息子がいます、事件が起きたとき、彼はその場にいました。

プラチナ
うん。

チェルネー
そこでお願いしたいのですが……

チェルネー
……彼の口から永遠に真相が出ないようにして頂きたい。