
通信がつながった!!

隊長か?

うん、私だよ!そっちの状況は?

みんな平気だ、今は地下の建物の中に閉じ込められてしまったが、通路につながるドアを見つけた。

しばらくしたらほかの出口を見つけてそちらと合流するよ。

こっちはすでに再起動機能の遮断に成功した、そちらも安心してこっちに来れるだろうし、全区域こちらの防衛に使用できるようになった、もう不意打ちされる心配はないよ。

だが……

エメラルドシルバーの姐さんが、姐さんが……

くっ!

……よせ、やめるんだ、ロスモンティス!落ち着け!

任務続行が優先だ……俺たちを探すことは許可できない!俺たちが作戦に出発する前に、誓約書にサインしただろ!

でも……!

誓った以上、後悔はなしだ!でなければ隊長に与することも、隊長と一緒にチェルノボーグに来ることもなかった。

俺たちが隊長の小隊に入ったときに、最初に何を相談したか憶えているか?

聞いてくれ、隊長、俺の話を聞いてくれ……あのときは、一人一人のエリートオペレーターとそいつらのそれぞれの小隊にできることは違うって話をしたはずだ。

あんたは色んなことができる、アーツも強力だ、実際俺たちが隊長に支援できることなんて何もないんだ。

だけどな、隊長が耐えられないものを抱えているのであれば、俺たちも一緒に受け持ってあげるって話をしたじゃないか、アーミヤと同じように、ほかのエリートオペレーターと同じように。

でもあなたたちは私の隊員なんだよ!

早まるな!

エメラルドシルバーの姐さんが最期に言ったんだ、隊長に約束したってな……

隊長を立派な戦士に育て上げるって、ただの一兵卒でも、兵器でもなく。

隊長、君は君のやるべきことをするんだ。俺たちなら必ず無事に脱出してやるから。

聞いてくれ、隊長、難しい事かもしれないが。でもエメラルドシルバーの姐さんはこうも言っていた。

「あなたはただのエリートオペレーターじゃない、あなたはロスモンティスだ。隊員だけじゃない、ロドスや感染者、失うことと破壊を嫌うものたち全員……あなたを愛している。」

だから、隊長、「考えるんだ、『ロスモンティス』なら何をやるべきかを。」

もう切るぞ、アーミヤによろしくな。

……

もう私の傍から消えないで。絶対に帰ってきて。

絶対だ。
(通信音が切れる音)

……通信終了。

状況はどうでしたか?

あ、アーミヤ。エンジニアチームの一人が犠牲になってしまった。ほかのメンバーならしばらくは安全とのことです。

ロスモンティスさん……こちらの正面火力が少し不足しています。遊撃隊の迫撃砲小隊にも補給が必要です。予定をずらす必要があります。

……大丈夫ですか?

……アーミヤ、Aceが死んだあと、あなたは何を思ったの?

あぁ……!

言いたくなかったら別にいいよ。私はただすごく知りたいだけだから。

ごめんなさい、あまり思い出したくないんです。

アーミヤも逃げたいって思ったの?

いいえ、ただまだ再会できる時ではありませんので。涙はすべてが終わったあとに取っておきたいんです。

憶えてることといえば、私は……思い出しました――

彼とロドスのオペレーターたちの死を無駄にすることはできないという考えだけでしたよ。

そう。

偵察オペレーター、方角を教えて、私が行く。

レユニオンはすでに極めて混乱な状態に陥っています、気を付けてくださいね。

それって私たちは彼らの敵だから?

彼らにとって何もかもが敵になってしまったからです。敵が欠けたとき、自分のために敵を再び創り出す人もいますから……

何を心配している?先鋒小隊、突撃!

・狙撃小隊、後退だ!
・重装オペレーターたち、彼らを援護してくれ!
・術師小隊、アーツ停止!

了解!隊列を整えて、弾薬を補充する!

了解!持ちこたえるんだ!通路を遮断させるな!

アーツ停止!味方への誤射に気を付けろ!

コレ以上進ムンナ!ナント恐ロシイ。

攻撃シナイデクレ、苦痛ダ!ドコモモカシコモ苦痛ダラケダ。

まったく不快になる感染傾向だ。

・彼らはもう人ではなくなった。
・……
・龍門の変異した感染者よりよっぽど不安になる。

君がもし私にロスモンティス、アーミヤ、それと彼女らの小隊のことを心配していないのかと聞かれれば……

心配したところで無意味だ、と正直に言うしかない。

計画はすでに制定済みで、すべてが敷かれたレールの上を走ってる、そのとき君が他人のレールに押し寄せれば、二つの電車は諸共脱線してしまうというわけだ。

牧群の戦士たちに前進する様子は見られません……!

油断するな!こちらの目標は通過であって、殲滅ではない!

数回に分けて解決しよう。我々に全戦局を整理する能力は備わっていないからな。

・アーミヤが心配だ。
・ロスモンティスが心配だ。
・戦況が心配だ。

アーミヤは指導者としても優秀な戦士としても成熟している。彼女なら小隊の運用方法と我々の作戦目的を熟知している。

ロスモンティスは最も強力な殲滅戦専門オペレーターで最も小隊から支持されているエリートオペレーターでもある。彼女ならいかなる任務も完璧かつ合理的にこなしてくれる、その任務が彼女のために制定されたものであればな。

チェルノボーグはすでに嵐の目の中だ、その状況下で、我々の取るに足らない心配は戦局に何の作用も働かない。

こちらが彼らに与えられる最大の支援は、我々の小隊戦略目標の達成を成功させることだ。

・それだけなのか!?
・……
・ちょっと薄情すぎやしないか?

私は反対だ。

彼女は全七項目の訓練を耐えられた、各テストで収めた成績も合格ラインを超えている。

ある三部門では特に優秀だ。

あんなアーツ使いなんざ信用できるか。ケルシー、術師とはな、アーツが誇りなんだ、アーツを使って他者を豊かにすることを誇りにしているんだ。

だがあのRosmontisとやらはそんな術師ではない。彼女のアーツは決して人類のためになるような類のものではない。

彼女にはいずれ戦闘にも参加させたい、一つだけ心配事があるのでな。

もしRosmontisをずっと温室に身を置き、その平和な環境が破壊されてしまえば、彼女はすぐさま災難と化してしまうからだ。

お前が手が出せないのであれば私がやってやる。

Pith!

お前もアーミヤもあいつらの未来を過信している。一歩でも踏み外せば、ほかの人の未来は永遠に失ってしまうことになるんだぞ。

そう決断を出す前に、せめて様子を見てみようじゃないか。

私はその決断しなかった未来を恐れているんだ。

今からでも遅くはない。彼女をエリートオペレーターにさせる。未来にではなく、今から。

今から彼女を指導し、彼女を磨き上げ、彼女の力を形作り、最高の水準を彼女に要求し、天災に襲われたとしても決して動揺しないように彼女を育て上げよう。

彼女がこの大地のいかなるものでも左右されないようになるまで。

そのときになってやっと彼女はクルビア人が彼女に投げ捨てた哀れな運命から抜け出すことができ、自分で自分の運命を決めることができるようになる。

これが私の目的だ。

そう言うと思っていたよ、ケルシー。

だがそんなこと誰が保証してくれる?誰がそれをやってくれると?

君の力が必要だ、エリートオペレーターたちにも共に協力してほしい。

それに、私が生きている限り、私たちなら必ず成し遂げられる、君に保証しよう。

温情と優しさで戦争を染めれば、その戦争はむしろより危険なものになってしまう。

私はそんなことでこれ以上こんなことをより恐ろしく残酷なものにしたくはない、こんなことが起こるべきではないことだったとしても。

アーミヤとロスモンティス、彼女らの保護者はロドス全体と、ロドスにいる責任感ある全オペレーターたちだ。

それ以上に、彼女たちは小隊戦術の核でもあるんだ、Dr.●●。

彼女たちを信じることは、自分を信じることでもある。

ねぇ、ホーク、見た?

見えてないわけがないだろ。

大声出さないでよ、バレちゃうでしょ。

(じゃあ何で聞いて来たんだ?しかもデッカい声を出しやがって。)

(シー、シーーッ、言うな、隊長さんに怒られちゃうよ。)

(彼女だって喋れないんだ、どう思いついたら俺が怒られるようになるんだ、それか彼女の名を借りて俺に怒るつもりだったろ。)

(そんなことしないってば。)

(分かってるよ。)

(……)

(……)

(ねぇ……)

(分かってる、コイツのことが聞きたいんだろ。)

(この箱に詰まった武器と鎧。きれいに整理整頓された機械。ここに置いてるものを拾えば、タダで数百万ヴィクトリア幣を拾ったようなもんだね。)

(この軍備品を見るに、二百賭けてもいいぜ、絶対ウルサスのものだ。ラバルで密輸してたときに見たことがある、こりゃあ全部最新モデルだ。)

(中央軍を除いて、ほかの部隊がこの武器を装備していた期間は……おそらく、五年は超えないはずだ。)

(ねぇ、この武器とか鎧ってさ、レユニオンが奪ってきた可能性って何パーセントあると思う?)

(レユニオンのあのパイプ持ってる連中に、これらを奪ったところでどうオイルを塗ることすら分からないだろうな。)

(じゃあ遊撃隊かな?遊撃隊はウルサス出身って聞くし。)

(遊撃隊ねぇ、遊撃隊が軍から外れてくらい経ってると思ってるんだ?あんなデカくて重い、水に沈めたらみんな仲良く溺れ死んじまうような連中だぞ。)

(当時連中が勤務部隊を連れて離脱したとしても、その勤務部隊も今頃はみんなとっくに死んじまってるよ。)

(考えてみれば分かるだろ、あいつらの装備を見るに、自分の鎧をピカピカにできるだけでもありがたいもんなんだ。)

(そんなあいつらにこの武器を使わせるだって?連中はどっちが後ろでどっちが敵に向ける先端かも知らないだろうな。)

(そう言われると、彼らがなんだかアホっぽく思えてきたよ。)

(アホと無知は違う。後方勤務の仕事は何も実力だけじゃなく、知識も必要なのと一緒さ。遊撃隊だってバカじゃない、ただ感染して逃げ出した勤務隊員にばったり出会うことなんて、夢にも思うなって話だけだ。)

(ウルサスがあいつらを処刑する前に感染した勤務隊員を救出するなんて……夢のまた夢だよ。)

(ほれ見ろ……装備のナンバーが削られている。こんなことをするのは逃走兵か、あるいは……)

(誤魔化したい人ぐらいだね。)

(にしてもやり方が下手くそだな、この削り痕、使ったやすりがどのタイプでどこのメーカーすらはっきりと分かってしまう。おそらくは、ハッ、急いでいてこうせざるを得なかったんだろうな。)

でも今、最も大事なことは……

……連絡を入れるんだ。今すぐに、この情報が有益かどうかなんて今は考えないで良い。

間に合うといいんだけど。隊長、Raidian経由で連絡をアーミヤたちに送ったほうがいい?それともぼくたちが直接伝えに行ったほうがいい?

ぼくたちは後ろでレユニオンとあの変な模様をした連中を牽制する必要があるって?了解。

ちょっと待て。

不明ユニットがこちらの位置に接近している。

Mantra、お前が行くのか?あいつらに目的を忘れさせるようにするだけでいい、命令の捏造やアホにすることはまたあとでいい……

お前の体力は貴重だ。俺たちがもしレユニオンと正面衝突しちまう場合になったときは、お前が頼りだ。

え?うん。

「分かった、そっちも気を付けて」だってさ。

ああ。

それじゃあ……連絡を入れるね。隊長、送ったからね。

「ウルサス軍は中心街にあり」っと。