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【明日方舟】サイドストーリー 孤島風雲 MB-7「裏切り」後半

パットン
パットン

チッ、おかしいなぁ、カードキーがないぞ……

パットン
パットン

まさかトイレに行った時に流されたとか?

(看守Aが駆け寄ってくる)

看守A
看守A

パットン隊長、どうかしたんですか?

パットン
パットン

黙って仕事に戻れ!

看守A
看守A

は、はいぃ!

(看守Aが走り去る)

看守A
看守A

チェッ、何を偉そうに……

看守
看守B

おそらく……また誰かにイラついているのだろう。

看守A
看守A

ヘッ、なら十中八九アンソニーだろうな。

看守A
看守A

なんか知らねぇけど、あいつを殺そうと企んでる輩がいるらしいからな。

看守A
看守A

俺たちの刑務所がどれだけ素晴らしくてどれだけ完璧ってほざいていたパットンも、こりゃきっと居ても立っても居られねぇだろうな。

看守
看守B

私たちだって看守だろう。

看守A
看守A

いや、何も誰かが殺されるのが好きとは言ってねぇ、ただあの野郎がムシャクシャしてるとこを見てるとせいせいするってだけだ。

看守A
看守A

それにぶっちゃけるけど、これまでの間にさんざん見てきただろ、レンデルとパットンが企んできた邪なことをよ?

看守A
看守A

俺に言わせると、レンデルは絶対あの殺し屋たちの来歴を知ってるはずだ、きっと金だけ貰ってあとは好き勝手ほったらかしにしてるだけだぜ。

看守
看守

……そうかもな。

(アンソニーが殴る音)

ロビン
ロビン

ぐっ……

(ロビンが倒れる)

アンソニー
アンソニー

動くな、ロビン。

アンソニー
アンソニー

でないと君まで殺さなければいけない。

ロビン
ロビン

……

カフカ
カフカ

チクショー、いやまさか、ロビンがスパイだったことをこのカフカでも見抜けなかったなんて。

カフカ
カフカ

君結構そういう才能あると思うよ。

アンソニー
アンソニー

待て、手に持ってるものはなんだ?

カフカ
カフカ

あれは爆薬のスイッチ!?

アンソニー
アンソニー

カフカ、早く塔を下降する装置を起動させろ!

(爆弾の起爆音)

カフカ
カフカ

うわああ!燃えだした!

アンソニー
アンソニー

はやく!

カフカ
カフカ

どれがそうだったのか分かんなくなってきちゃったよ!

カフカ
カフカ

しかももう使い物にならなさそうだし!

カフカ
カフカ

あ、見つけたッ、きっとこのスイッチがそうだ!

カフカ
カフカ

お願いッ、動いてくれ!

カフカ
カフカ

ポチッとな!

カフカ
カフカ

動かないぞ、まさか本当に壊れちゃったのか!?

アンソニー
アンソニー

ロビン、なぜ君がこんなことを?

ロビン
ロビン

私は……

(起動音)

カフカ
カフカ

動いた!

パットン
パットン

※クルビアスラング※

パットン
パットン

まあいい、前回上の層に行ったのも大分前の話だしな。

パットン
パットン

今度レンデルさんにまた予備をもらえればいいか。

パットン
パットン

クソッタレ。

(看守Aが駆け寄ってくる)

看守A
看守A

パットン隊長、その……

パットン
パットン

あぁん?

看守A
看守A

何をしに?

パットン
パットン

あのクズどもがしっかり掃除してるかどうかを見に行くんだ!

(警報音)

看守A
看守A

な……なんだぁ!?

パットン
パットン

なんだ、一体何事だ!?

アンソニー
アンソニー

そばにあるものに掴まれ、カフカ!

カフカ
カフカ

アンソニー、あそこッ、ロビンがエレベーターに巻き込まれちゃうよ!

アンソニー
アンソニー

……

アンソニー
アンソニー

掴まれッ、ロビン!

ロビン
ロビン

どうして……

アンソニー
アンソニー

今はそんなことどうでもいい!

アンソニー
アンソニー

歯を食いしばれ、舌を噛むなよ!

(爆発音)

カフカ
カフカ

アンソニー、それとロビンも無事かな。

アンソニー
アンソニー

俺は平気だ、ロビンもしっかり私に抱きついている。

アンソニー
アンソニー

どうやら刑務所中の電気システムが麻痺したようだ、あたりも真っ暗だ。

アンソニー
アンソニー

だが我々にとってはまたとないチャンスではあるな。

カフカ
カフカ

そうだね。

カフカ
カフカ

さっき塔が無理やり下のフロアをぶち抜いたようだね。

カフカ
カフカ

今のカフカたちは多分地下二階あたりにいるだろうね、でも医務室までちょっと距離があるなぁ。

アンソニー
アンソニー

ああ、看守たちが混乱してる間に、先に進もう。

アンソニー
アンソニー

ロビン、無事か?

ロビン
ロビン

……

ロビン
ロビン

私が……無事なんかでよかったの?

アンソニー
アンソニー

いいんだ。

アンソニー
アンソニー

それにそんなに気にすることもない。

アンソニー
アンソニー

前にも言ったはずだ、「君は私の暗殺を続けることもできる」とな。

アンソニー
アンソニー

それに君は自分のこの行いがある種の裏切りと思っているのであれば、私が言えるのは――

アンソニー
アンソニー

私たちの間に裏切られるほどの信頼関係なんてないということだ。

カフカ
カフカ

えッ、それカフカにもないの?

アンソニー
アンソニー

ない。

カフカ
カフカ

えぇぇッ、薄情するぎるよアンソニー。

アンソニー
アンソニー

知り合って数か月しか経ってない相手を完全に信頼しきるほうが問題だと思うがね。

アンソニー
アンソニー

もちろん、私も少しばかりは失望した、だがそれだけだ。

アンソニー
アンソニー

それよりも気になるのは、君が私たちと過ごした時間の中で見せた感情は演技ではなかった、私には分かる。

アンソニー
アンソニー

何が君にそのような選択をさせたんだ、ロビン?

ロビン
ロビン

……

ロビン
ロビン

私の父さんは、たくさん仕事が出来たし、私にもすごく優しかった、父さんは私の誇りだった。

ロビン
ロビン

でもある日、彼の会社は突然倒産した。

ロビン
ロビン

そして父さんは変わってしまった、酒に溺れ始め、短気になって、傍にあるすべてを憎むようになった。

ロビン
ロビン

母さんもそれのせいで家を出て行って、借金もたくさん背負った、そして、肝臓の病気と見たことも聞いたこともない合併症で入院した。

ロビン
ロビン

母さんからは自分と一緒に暮らそうとよく言われたよ。

ロビン
ロビン

でも父さんの過去の優しさが忘れられないんだ。

ロビン
ロビン

父さんのために何かしてあげたい、だから私は自分の趣味を諦めたし、色んな仕事も働いた、でも父さんの医療費を支払うにはあまりにも高かった。

ロビン
ロビン

そしてある日、ある人が私の元に来てこう言ったの、私に多額のお金をやるから、一人の男を殺しに行けって。

アンソニー
アンソニー

その殺す相手が私だったというわけか。

アンソニー
アンソニー

なるほど、私が君になんの報酬も与えてやれなかったから、君はそんな選択をしてしまったのか。

ロビン
ロビン

いや、その人は刑務所内で看守を装ってずっとあなたを観察していた、名前はジェストン。

ロビン
ロビン

あなたに誘われたあと、彼は私の元に来て、こう言った――

ロビン
ロビン

サイモン一族の最後の悪あがきで私の父さんの会社は潰されたんだと。

アンソニー
アンソニー

……そんなことがあったのか。

アンソニー
アンソニー

であれば、君を責めるどころか、君に謝罪をしなければならないな。

ロビン
ロビン

ううん、謝らないで、言いたいのはそれじゃないんだ。

ロビン
ロビン

そうじゃないんだよ、アンソニー。

ロビン
ロビン

私だってこんなの間違ってる、正しいことではないとは思ってるよ。

ロビン
ロビン

でも私は考えるのを諦めてしまったんだ。

ロビン
ロビン

ほかに方法を知らなかっただけだったんだ、何も知らなかった。

ロビン
ロビン

もう疲れた、母さんに選べと言われて、父さんにも選べと言われて、生活も私の選択次第、ジェストンにも、あなたにも選べって言われてきた。

ロビン
ロビン

もう何も選びたくない、もういちいち何が正しくて何が誤りかなんか判断したくない、いいのか悪いのかなんて、もうどうでもいいの。

ロビン
ロビン

もう疲れたの、どうして何もかも私に選ばせるの!

アンソニー
アンソニー

だとしても、自分の選択権を他人に譲り渡してはダメだ、ロビン。

アンソニー
アンソニー

自分で物事を考え、一つ一つ選択し、その選択に責任を負うべきだ。

アンソニー
アンソニー

でなければ、己の運命を背負えなくなってしまう。

アンソニー
アンソニー

これは私が刑務所に収監された日々から学んだ最も大切なことだ。

アンソニー
アンソニー

力も、知恵も大事だ、しかし最も大事なのは、勇気だ、自分の選択にケジメをつけるための勇気だ。

アンソニー
アンソニー

私とて自分の過ちに恐れることもある、だがだからといってそれを言い訳に逃げてはダメだ。

アンソニー
アンソニー

以前までは自分には頼れる存在なんて誰一人存在しないと思っていた、だがそうじゃなかった、そんな相手など最初からどこにもいない。

アンソニー
アンソニー

私たちは自分自身に頼るしかないんだ。

ロビン
ロビン

……

アンソニー
アンソニー

君の苦しみを見つけてあげられなくてもすまなかった、ロビン。

アンソニー
アンソニー

そしてもう一度強調もしておく、君がしてきたことは私の脱獄計画を水の泡にしてしまった、だから君を簡単に許してやるつもりはない。

アンソニー
アンソニー

だが君と同じ苦しみの立場にある者として言いたい、君にはしばらくその苦しみを忘れてほしい。

アンソニー
アンソニー

もう一度自分を見つめ直し、考え、自分は一体何がしたいのか考え直してほしい。

ロビン
ロビン

私の……やりたいこと……

アンソニー
アンソニー

ドゥーマの医務室はこの先にある、じっくり考えるといい。

ロビン
ロビン

……もう私の話を信用してくれないと思うけど、でも、ジェストンは私からあなたたちの計画のすべてを聞き出した、彼ならきっとどこかであなたたちを待ちわびているはずだよ。

アンソニー
アンソニー

感謝する。

???
???

いや、逃げも隠れもしませんよ、私ならここにいます。

アンソニー
アンソニー

!?

ロビン
ロビン

ドゥーマの部屋からだ!

アンソニー
アンソニー

まさか……!

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