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【明日方舟】サイドストーリー 孤島風雲 MB-8「激闘の末」後半

アンソニー
アンソニー

このクソッタレ!

(アンソニーがジェストンを殴る)

ジェストン
ジェストン

無駄ですよ、アンソニー。

ジェストン
ジェストン

ロビンさん、君も相当見事な腕前をお持ちだったとはね、ますます気に入りました。

ジェストン
ジェストン

どうですか、今こちら側について頂ければ、命を残してやらなくもないですよ。

ロビン
ロビン

必要ない!

(ロビンがジェストンを殴る)

カフカ
カフカ

あいつの手一体どうなってんだ、黒く変色したあとガッチガチに固くなったぞ!

ジェストン
ジェストン

では少しだけ紹介してあげましょう、これは私のアーツです、鉄の元素を操れるんですよ、そして私の身体も、少しだけ改造を施してましてね。

ジェストン
ジェストン

君の先ほどの攻撃、鉄板を殴った感じがしませんでしたか?

ジェストン
ジェストン

あれは私のアーツの能力だけではないんです。

ジェストン
ジェストン

私の皮膚の下層には、ライン生命の技術の結晶――小さな金属板が埋め込まれているんです。

ジェストン
ジェストン

まあ、私も正式名称は知りませんが、とにかくこいつは大幅に君の攻撃威力を弱めてくれるんですよ。

カフカ
カフカ

待って、お前ってライン生命の人なの!?

ジェストン
ジェストン

いいえ、残念ながら、違います。

ジェストン
ジェストン

まあしかし、枷に制限されてもなお、ここまで善戦してきたとは、驚きです。

ジェストン
ジェストン

では私も本気を出していきましょうか。

ロビン
ロビン

あいつの手が、剣状に変化した……

ジェストン
ジェストン

知っていますか、アンソニーさん。

ジェストン
ジェストン

私がこの刑務所に来て、初めて君を見た時、一種の不協調を感じたんです。

ジェストン
ジェストン

君は必死にご自分を抑えて、自分があたかも無害なように、礼儀正しいように振舞っていきた。

ジェストン
ジェストン

しかし君という存在は力の表れのようなもの。

ジェストン
ジェストン

私はあの時から、ずっとこの場面を期待していました。

ジェストン
ジェストン

君が優雅で温厚な化けの皮を剥がし、凶悪が露になった姿を――

アンソニー
アンソニー

ならてめぇを失望させてないだろうな。

ジェストン
ジェストン

そうです、だから私にもっと見せてください。

アンソニー
アンソニー

てめぇに俺の本性を決めつける資格なんざねぇ!!!オラァ!!!

ジェストン
ジェストン

私とてわざとではありません。ただ言いたいのは、今の君は、見てて実に心地いい。

(アンソニーとジェストンが殴り合う)

ジェストン
ジェストン

とうとう牙すらも使い始めましたか、やれやれ。

ジェストン
ジェストン

しかし残念ながら、君の牙では私の表皮を破くことはできませんよ。

アンソニー
アンソニー

……クソ、チクショォォォ!

ジェストン
ジェストン

はぁ、言わせておきますけど、アンソニー、ここから脱出しても何ができるというのです?

ジェストン
ジェストン

ご両親を助けられるとでも?君の家族を挽回できるとでも?

ジェストン
ジェストン

教えてあげましょう、ここから脱出しても、得られるものなど一つもありませんよ。

ジェストン
ジェストン

君はこの刑務所でいい暮らしをしているじゃないですか、所長だって君をよくよくもてなせと言ってくれている。

ジェストン
ジェストン

さっきは君に手をかけるのは容易だと言いましたが、実はそんな簡単なものでもなくてね、もし君が脱獄しようとしなかったら、君を処理するにも大きな代償を払わなければならないんですよ。

ジェストン
ジェストン

脱獄しなくてもいいじゃないですか、このままここで君の優雅な暮らしを過ごせばそれでいいじゃないですか?

アンソニー
アンソニー

……六年前の7月24日、俺は晩餐会に参加するつもりだった、だがボディーガードが突然俺に、家で何かが起こった、親父が俺に逃げろと教えた。

アンソニー
アンソニー

何が何だかさっぱり分からなかった、親父とおふくろに顔も見せずに、俺は逃亡の道に足を踏み込んだ。

アンソニー
アンソニー

キャストアイアン市に逃げ込んだが、それでも俺は逮捕された。

アンソニー
アンソニー

そん時俺はもうおしまいだと思った、だがここにぶち込まれてからしばらく経って、分かったんだ、そうではないと。

アンソニー
アンソニー

俺はここに来て囚人ではありえないような好待遇を受けた、そしてすぐに察した、俺の入獄は、おそらく親父が手配してくれたんだと。

ジェストン
ジェストン

奇遇ですね、私もそう思っていました。ではそう思うのであれば、なおさら君の父親の想いを無駄にするわけにはいきません、そうでしょ?

アンソニー
アンソニー

俺の親父の想いだと?

アンソニー
アンソニー

……てめぇは他人の考えと歩む道を上から偉そうに決めつけるのが好きなようだな、ジェストン。

アンソニー
アンソニー

てめぇ、人から器が小さいって言われたことないか?

ジェストン
ジェストン

……似たようなことなら以前言われたことがありますよ。

ジェストン
ジェストン

だが、私の器の大きさと、君が脱獄できるかどうかとは関係ないと思いますけどね。

アンソニー
アンソニー

俺はここで気持ちよく暮らすことができる、あるいはここを俺の王国に仕立て上げることもできるだろうな。

アンソニー
アンソニー

だがだからといってなんだ?そんなことしても自由ではあるが俺が囚人であることに変わりはない。

アンソニー
アンソニー

俺はここで六年も過ごしてきた、この六年間、俺はいつだって脱出することだけを考えてた。

アンソニー
アンソニー

脱出したいのは、俺がどれだけすごいかを証明するためじゃない、あの時一体何が起こったかをはっきりするためだ、俺の家族を破滅に追いやったあの連中に、俺はまだ終わってないって教えてやるためだ!!

ジェストン
ジェストン

正直に言うと、君のその激昂した喋り方を聞いていると君のことが嫌いになってしまいますよ、アンソニーさん。

ジェストン
ジェストン

まあいいでしょう、どうあがいても、君はここから出られないのですから。

ジェストン
ジェストン

君を倒せなかったとしても、十分時間は稼ぎました、ほかの警官も封鎖を解除してそろそろここに駆けつけてくるでしょうね。

ジェストン
ジェストン

素晴らしかったです、君のお仲間さんたちも素晴らしかった、君は何も間違っていませんでしたよ。

ジェストン
ジェストン

ただこの大地では人の意に介さないことがあまりにも多く起こってしまっているだけです。

ジェストン
ジェストン

残念ですが、君の脱獄もここでおしまいです。

(扉が開く)

ジェストン
ジェストン

ほら、死神がやってきましたよ。

ロビン
ロビン

ここまでなのか……

カフカ
カフカ

チッ、どうすれば……

???
???

残念だが、死神はしばらく来ない。

???
???

それと、アンソニー、声が大きすぎる、来る途中からすでに筒抜けだ。

アンソニー
アンソニー

君は……誰だ?

ジェストン
ジェストン

ん?あなたは……

???
???

お前たちの計画は私からしても予想外だった、と言わざるを得ない。

???
???

お前たちのためにほかの警官を阻止するのに少しだけ時間を食ってしまった。

カフカ
カフカ

あれっ、どっかで見たような……

ジェストン
ジェストン

ライン生命、警備課主任、サリア!

サリア
サリア

お前のことなら私も知っているぞ、ジェストン。

ジェストン
ジェストン

まさかあなたのような大物に憶えて頂いたとは、光栄です。

サリア
サリア

私の手元までに来れる履歴書はそう多くないのでな。

ジェストン
ジェストン

あなた自らに不合格を言い渡られたあの時のこともしっかりと憶えておりますよ。

ジェストン
ジェストン

]だがそれより、なぜです、なぜ警備課主任であるあなたがこんな刑務所に現れたのですか?

サリア
サリア

その点に関しては知らなくていい。

サリア
サリア

今お前が知るべきことは、お前には退場してもらうことだけだ。

ジェストン
ジェストン

……退場?

ジェストン
ジェストン

いやいやいや、何か勘違いされてるんじゃないですか、サリア主任、いや、サリア。

ジェストン
ジェストン

あなたの能力と私の能力は似通ったところがあると聞きました、しかしまだあなたと一手交わることもなく、私はあなたに門前払いされた。

ジェストン
ジェストン

それ以来、あなたは本当に私より強いのかと、ずっと小さな疑問を抱き続けてきました。

ジェストン
ジェストン

そして今、ようやくそれを確かめるチャンスが訪れたようですね。

サリア
サリア

ふん。

(アーツの発動音)

カフカ
カフカ

彼女の手の色も変わった!

ロビン
ロビン

白くて、きれい……

サリア
サリア

お前のアーツは確かに私のと似通ったところがある。

サリア
サリア

だが……

死体安置所の中で、重苦しい衝突音がした。

ジェストンの両手の凝縮した黒い凶刃の前では、サリアの手刀は無力に見えた。

しかし、事実はそうではなかった。

一歩。

二歩

三歩

衝突するたびに、ジェストンは数歩後退しなければならなかった。

セリアの手刀には、ひびさえ入っていなかった。

サリア
サリア

あの時教えたはずだ、ジェストン。

サリア
サリア

お前は変えようともせず現状に甘え過ぎている、私の部下にそんなヤツは必要ない。

ジェストン
ジェストン

……

サリア
サリア

お前の器は、小さすぎる。

サリアの横斬りによって、ジェストンの両刃にはひびが入った。

1回。

2回。

3回

ジェストンは攻撃の余地さえなく、守るしかなかった。

ジェストン
ジェストン

この……

サリア
サリア

その地に根を張らない浮草のような心構えを変えない限り、何度私の元に来ても無駄だ。

サリア
サリア

そこをどけ。

ジェストン
ジェストン

サリアァァァ!!

(金属音と血の滴る音)

サリア
サリア

言ったはずだ、どけ。

サリアの最後の一撃は、ジェストンの刃を断ち切り、細長くも血肉が見える傷を負わせた。

ジェストン
ジェストン

サ……リ、ア……

(ジェストンが倒れる)

カフカ
カフカ

つ、強すぎ……

カフカ
カフカ

警備課主任はめっちゃ強いって昔聞いたことあるけど、にしても強すぎるでしょ……

カフカ
カフカ

彼女に睨まれなくてよかったぁ。

アンソニー
アンソニー

感謝します、サ……サリアさん。

サリア
サリア

礼なら後だ、動けるのであれば計画を続けろ。

サリア
サリア

しかしその前に、一つ聞きたいことがある、アンソニー・サイモン。

アンソニー
アンソニー

何なりと。

サリア
サリア

フェルディナント、という名前は聞いたことないか?

アンソニー
アンソニー

フェルディナント……親父から聞いたことがあります

サリア
サリア

やはりそうか、フェルディナント。

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