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【明日方舟】理想都市:常夏の狂宴祭 IC-3「ほらばなし」行動後 翻訳

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

各部位ノ動作ガ円滑ニナリマシタ、久シブリノ感覚。

ユーネクテス
ユーネクテス

あはは、待て待て、喜んでくれて嬉しいが、そうグルグル私の周りを回らないでくれ。

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

ズゥママ、メンテナンス、上手。

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

ソコデズゥママニ、一ツお願イガアリマス。

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

0428号、スデニ退役シタ仲間デスガ、連絡ガ途絶エテシマイマシタ、ドウカ手ヲ貸シテクダサイ。

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

当機体ト同時期ニ出荷サレ、共ニ町ヲ建設シタ仲間デス、シカシスデニ音沙汰ハナシ。

ユーネクテス
ユーネクテス

連絡が途絶えた?

ユーネクテス
ユーネクテス

まあ焦らないでくれ、とりあえずその仲間がいるところまで案内してくれないか?

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

コチラデス。

???
活動停止した機械

……

ユーネクテス
ユーネクテス

この構造とパーツ……ふむ、単純なメンテナンスだけでは一筋縄いかないな。

ユーネクテス
ユーネクテス

どういう原理で動いていたんだ?お姉様とまったく構造が違う……師匠からもこんなものは聞いたことがないぞ。

ユーネクテス
ユーネクテス

ここを繋げればいいのか?……いや、お前の友だちだと言うしな、慎重にいこう。

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

友ダチ?ズゥママ、何度モ友ダチデ関係ヲ定義ヅケテイマス、理解不能。

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

メンテナンスハ不可能、トイウ意味デスカ?

ユーネクテス
ユーネクテス

そんなところかな、お前たちに関する資料か何かがあればいいのだが……

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

資料?デシタラ、図書館ニ資料ガ、保管サレテイマス。

ユーネクテス
ユーネクテス

おお!ではそこまで案内してくれないか?

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

ハイ、喜ンデ。コチラデス。

(ユーネクテスと奇妙な機械0429が立ち去る)

通りすがりのドゥリン
通りすがりのドゥリン

あの二人、面白いわね……

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

今まで本には書いてなかった交流の仕方だわ。地上人……研究する価値は大いにありそうね。

フラつくドゥリン
酔っ払ったドゥリン

なあエリジウム、どっちが先に速くスライダーから滑り落ちるか競争しようぜ!

エリジウム
エリジウム

いいね~!だったらこのロドスの水上のレジェンドと言わしめられたボクの実力を見せてあげるよ!これに関してはソーンズに負けたことはないからね!

スティッチ
スティッチ

……チッ、アンタとこうして一緒に歩いてるぐらいならアカフラの獣に食い殺されたほうがマシだ。

カチ
カチ

まあまあそう言うなよ、ボクはただキミの真意を聞きたいだけなんだ。

カチ
カチ

ここのみんながどう思っていようが、少なくともキミやキミの師匠は優秀な建築デザイナーだってボクは思っているよ。

カチ
カチ

この立派なドームは、ドゥリンのどんな建築学の書籍にも載っていない設計が施されているんだ、だからキミさえよければなんだが……

スティッチ
スティッチ

そんなことのためだけにオレを呼び出したのか?チッ、時間の無駄だ……

カチ
カチ

ボクの“大水溜まり”のデザインが気に入らないのは分かるよ。ここにあるスライダーにしろ噴水にしろ、キミからすればどれも美しくないものね。

カチ
カチ

でもね、ボクが本当にデザインしたいものが何なのか、キミは知ってるかい?キミと同じように、ボクもあのドームを……キミと切磋琢磨してきたあのドームをデザインしたいんだよ!

スティッチ
スティッチ

……ハッ、わざわざオレの目の前でそれを言うとはキモが据わってるな。マジで殴られたいのか?

カチ
カチ

キミが相手ならボクは本望さ。

スティッチ
スティッチ

ハッ、そうかい!そこまでオレに一目置いてくれているのなら、今ここでお互いに抱き合って涙を流しながら仲直りするか?そんなのゴメンだね!

カチ
カチ

ドームの一件……ボクは本気だよ、スティッチ。

カチ
カチ

ただキミに教えてほしんだ、なぜあの時キミはドームの改造を諦めてしまったんだい?

カチ
カチ

採決会からも、あれ以降キミは姿を消した。昔みたいに、みんなに自分の美学を納得させることもしなくなった……

カチ
カチ

キミは本当にそれでいいのか?マスター・ヴィンチは何も言わずボクたちの目の前から姿を消したんだぞ?それに彼はキミの……

スティッチ
スティッチ

もう黙ってろ!

スティッチ
スティッチ

……俺はただ……何もかもが面倒臭くなっただけだ!

スティッチ
スティッチ

自分の心血と野心を全部あのドームに注ぎ込むことに、ここにいる連中を全員説得してやることに疲れたんだよ!

スティッチ
スティッチ

アンタみたいな“夢見る建築デザイナー”と一緒にせっせとあちこち駆け回って、お互いのデザインの案を売りつけることにはもうウンザリなんだ!

スティッチ
スティッチ

いいかよく聞け!このドームから水が漏れようが崩れようが、アンタらが投票で取り外すことになろうが――

スティッチ
スティッチ

オレには知ったこっちゃない!もう勝手にしろ!

カチ
カチ

でも、このドームはキミの師匠の……

スティッチ
スティッチ

もう一度言うぞ、カチ!もう俺に関わるなッ!勝手にしろッ!

カチ
カチ

……わかった。

カチ
カチ

本当はもう一度、キミと一緒にドームを設計しようと思ってたんだけど、叶いそうにないね……きっと、今ならここにいるみんなも認めてくれるはずだったのに。

カチ
カチ

そこまで拒むのなら、ボクも無理は言わないよ。キミの意思を尊重する。

カチ
カチ

でも、これだけはお願いできないかな?ボクのドーム改造案に、少しだけキミのアドバイスを貰いたいんだ……ダメ、かな?

スティッチ
スティッチ

だからもうオレに――いや……聞くだけ聞いてやろう。

カチ
カチ

本当に?ありがとう!

カチ
カチ

まず、ドームには色彩に欠ける。もっと彩を付け加えたほうがいい。

カチ
カチ

そう……まるでステンドグラスのように!複雑な幾何学模様を描いてドームの美しさをさらに引き立てるんだ!

カチ
カチ

見上げる際に息を飲んでしまうほどの黄色と緑と赤の豪華絢爛なコントラスト!

カチ
カチ

そうすれば昼でも夜でも、生まれ変わったドームはいつまでもみんなの目を虜にしてしまうほどの……

カチ
カチ

輝かしい巨大な宝石に生まれ変わるはずだ!

カチ
カチ

どうだいスティッチ!この斬新でクリエイティブ精神に富んだ素晴らしいデザインを!ぜひともキミの意見も参考にしたい!ボクもキミの意見なら謙虚に受け止めて……

スティッチ
スティッチ

カチ。

カチ
カチ

なんだい、スティッチ?もしかしてあまりの素晴らしさに考えを改めてくれたのか?それはよかった!ならもう一度も昔みたいに……

スティッチ
スティッチ

ドームに指一本でも触れてみろ!全力でその指をへし折ってやる!

カチ
カチ

それはないだろ、勝手にしろって言ったのはそっちだぞ?

スティッチ
スティッチ

アンタらがこのドームを復活させようが葬ろうが、オレにはどうでもいい。

スティッチ
スティッチ

だが!そんな形でこのドームを穢すことは断じて許さないッ!!!

カチ
カチ

これでもキミを尊重して、キミなりのシンプルな美を取り入れてあげたんだよ?

スティッチ
スティッチ

――いいや許さない、今日という今日だけは絶対に!何がなんでも一発ぶん殴ってやる!

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

ココデス。第五十九プロファイル保管室ノオープンラックニ置カレテイマス。

ユーネクテス
ユーネクテス

ここにあるのか?

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

ハイ。

ユーネクテス
ユーネクテス

どれどれ……ふむ、これはドゥリンの文字か?まったく分からんな……

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

コチラハ『大冒険家の地上紀行』、コチラハ『美酒の72の醸造法』。

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

ソシテコチラハ『私たちの前代未聞のクレイジー大計画』ト『情報規制がどのように社会に影響をもたらすか』、トナッテオリマス。

ユーネクテス
ユーネクテス

……本当に資料はここに置いてあるのか?

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

ドゥリンタチが整理整頓ヲ行ウコトハ希少ナタメ、ココニ置イテアル確率は42.377%ニナリマス。

ユーネクテス
ユーネクテス

そ、そうか……ん、向こうに読める本が置いてあるな。

ユーネクテス
ユーネクテス

『ほらばなし』……こ、ここにある三つの本棚全部がそうなのか……どれも十数年前の発行物みたいだが、これはヴィクトリア語版か……ん?カジミエーシュの『ワイン』も置いてあるのか?

通りすがりのドゥリン
通りすがりのドゥリン

その本は私たちが地上を知る唯一の手掛かりなの、文化にしろ言語にしろ、地上の情報にしろ。

ユーネクテス
ユーネクテス

そうなのか、どうりで私たちとも言葉がほとんど通じるわけだ。

ユーネクテス
ユーネクテス

『爆走!クレイジー自走車!』、「本雑誌を購入すればもれなくプロトタイプ車が一台ついてくる」って……これはここの雑誌か?自走車とは、外で走り回っている車両のことだな?

通りすがりのドゥリン
通りすがりのドゥリン

クロッチって人がすごい自走車改装の商売を推し進めていてね、補充やらパーツやらはここじゃかなりの売れ上げを叩き上げてるの。

通りすがりのドゥリン
通りすがりのドゥリン

彼女が言うには「みんなカスタマイズ性が大好き」らしいんだけど、私にはよく分からないわね。

ユーネクテス
ユーネクテス

そうなのか。しかし、なぜサルゴン語で書かれているんだ?

通りすがりのドゥリン
通りすがりのドゥリン

『ほらばなし』の素晴らしい伝統を引き継ぐため、雑誌ではサルゴン語が使われているの、ここじゃ常識よ。

通りすがりのドゥリン
通りすがりのドゥリン

それよりも、この本を探してるんじゃない?ほらこれ、『3秒で作れるサポートロボット』。

ユーネクテス
ユーネクテス

どれどれ……うん、少しは役に立てそうだな。ありがとう。

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

デコルテ様!

ユーネクテス
ユーネクテス

うん?知り合いだったのか?

通りすがりのドゥリン
通りすがりのドゥリン

ごめんなさい、自己紹介がまだだったわね。私はデコルテ・シルバーコイン、ここゼルエルツァの工業代表よ。

デコルテ
デコルテ

サポートロボットたちの管理者でもあるわ。

ユーネクテス
ユーネクテス

管理者……

デコルテ
デコルテ

そっ、ゼルエルツァにあるロボットの製造、監視と管轄はすべて私の担当なの。

デコルテ
デコルテ

ところでR2-E3型サポートロボット0429号、ここで何をしているの?

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

現在、ズゥママニ0428号ノメンテナンスヲオ願イシテイマス。

デコルテ
デコルテ

0428号ならすでに退役済みよ、メンテナンスしたって意味はいないわ。あなたもすぐに持ち場へ戻りなさい。

奇妙な機械0429
奇妙な機械0429

……了解シマシタ。

デコルテ
デコルテ

ねえズゥママ、ずっとそのロボットと交流してる場面を遠くから見させてもらったのだけれど、あなたと関わってからこの子……なんだから変なのよね。

ユーネクテス
ユーネクテス

どこか不可解な箇所でもあったのか?

デコルテ
デコルテ

それが分からないのよ……関わり合い自体がおかしいのかしら?

ユーネクテス
ユーネクテス

お前はこのロボットとは交流したり、会話をしたりはしないのか?

デコルテ
デコルテ

ええ、そうね……だってこの子たち、所詮ロボットじゃない。

ユーネクテス
ユーネクテス

それは勿体ない、ぜひともロボットたちとの交流をオススメするぞ。私とお姉様みたいに、お姉様のひんやりとしたボディとしなやかなアーム、そして駆動音を堪能できるんだからな。

デコルテ
デコルテ

えっ、え~っと……

デコルテ
デコルテ

地上にはそんな変わった文化までもがあるの……?

トミミ
トミミ

えへへ、大収穫~!

トミミ
トミミ

身長に合う服はなかったけど、この装飾品だけでも大満足です!知らない鉱石、見たこともない金属の風鈴、それとかわいいペンダント……

トミミ
トミミ

何よりガヴィルさんに選んでもらえたなんて!

トミミ
トミミ

ふふ~ん、あぁ……ガヴィルさんも私とお揃いのネックレスを買ってくれればよかったのになぁ~!

アヴドーチャ
アヴドーチャ

……この子本当に大丈夫なんですの?

ガヴィル
ガヴィル

ああ、いつもこんな感じだから気にすんな。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

こういったモノを貯め込んでしまう行為は“ザラック症”と呼ばれていると本で読んだことがありますわ、ストレスか別の原因で起こってしまうんだと……

トミミ
トミミ

いやいや、ストレスなんて全然感じてませんよ!この品々は、どれも私にとって大切な思い出そのものなんですから!

アヴドーチャ
アヴドーチャ

そ、そうですか……

ガヴィル
ガヴィル

んでさ、アヴドーチャ、その名前ウルサスのだよな?実家はウルサスにあるのか?

アヴドーチャ
アヴドーチャ

妾の名前はアヴドーチャ・ライティング。標準的なドゥリンの命名基準から名前を取っておりますの。

ガヴィル
ガヴィル

でもアヴドーチャだけウルサス語だぞ。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

それを聞いてどうしたんですの?

ガヴィル
ガヴィル

そう身構えるなよ、お前と話がしたいだけなんだって。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

……妾はそこからやってきただけです、もう故郷でもなんでもありません。

ガヴィル
ガヴィル

……お前ってさ、なんでそこまで地上をあんなに警戒してるんだ?

アヴドーチャ
アヴドーチャ

……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

小さかった頃、妾には家族が招いてくれた文学の教師がいましたの、よく面白い話をしてくれるものですから、ずっと一緒にいたいぐらい先生のことは大好きでしたわ。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

ウルサスには故郷を描いた文学作品が数多く存在しておりますの。妾たちはいつもそれらの中にある素晴らしい真意を探り当て、物書きの文法を学びながら日々を送っておりましたわ……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

あの時の妾は、誰もが故郷を懐かしみ、いつかはその故郷に戻り、そこで永久の眠りにつきたがっているんだと、そう思っていました……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

けど、そんなことはなかったのです。故郷に苦痛の思い出しか存在しないのであれば、誰だろうとそんなところに帰りたいと思える人はいないでしょ?

アヴドーチャ
アヴドーチャ

そう思ってしまった暁には……故郷とは、人生の旅を行く際の道すがらの宿場でしかなくなるのです。

トミミ
トミミ

ではアヴドーチャさんは、どうしてウルサスを離れたのですか?

アヴドーチャ
アヴドーチャ

……強いて言うのであれば……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

一夜にして、身分と家族と友人を瞬く間に失ってしまったから、でしょうね。だから妾はそこから逃げ出したんです。

ガヴィル
ガヴィル

ウルサスからサルゴン、そしてこのドゥリンの地下都市までとなると……大変だったろ。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

当初は目的地もなかったものですから、大変もなにも……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

ただ思い返せば、妾は運がよかっただけだったのでしょうね。ここにゼルエルツァなる小さな都市があっただなんて。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

ここにいるドゥリンたちは妾を受け入れてくれた、だから妾も最大限の恩義をもって彼らにお返しがしたいのです。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

……ここは妾を受け入れてくれた、妾の拠り処ですから。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

そういうこともあって、妾はどうしても地上から来た者たちのことが信用ならないのです。その者たちが善意をもっていようがいまいが。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

ですので、この街と人々を傷つけるものなら、妾は絶対に許しませんわ。

ガヴィル
ガヴィル

……そうかい。

ガヴィル
ガヴィル

本当なら友好の印として一杯奢ってやろうと思ってたんだが……この感じだとやめておいたほうが――

アヴドーチャ
アヴドーチャ

いえ、その……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

そう言うのでしたら、甘んじて奢られると致しますわ。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

――ふぅ。

ガヴィル
ガヴィル

へへ、いい飲みっぷりじゃねえか。まさにウルサスって感じだな。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

その言葉を口にしないでくださいまし、ドゥリンだって似たような飲みっぷりではありませんか。

ガヴィル
ガヴィル

メンタルの分野を扱ってる医者じゃないから、お前が心に抱えてる蟠りやトラウマについてはとやかく言えたものじゃねえが……

ガヴィル
ガヴィル

でもいくら自分を偽ったって、ドゥリンになることは不可能だぜ?

アヴドーチャ
アヴドーチャ

……デリカシーに欠けてますわよ、あなた。

ガヴィル
ガヴィル

さっき屋台との会話が耳に入ったんだが、どうやら雪原を題材にした話を書いてるようじゃないか。その、なんだ、あんまり人気は出ていないようだけど。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

……そうですわね。ここには雪もなければ平原もない、人気が出ないのも当然ですわ。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

けど言っておきますけれど、あれを書いてるのは別に懐かしがっているからではありませんからね。ただ……そこはネタが豊富だからってだけですわ。

ガヴィル
ガヴィル

確かにネタは尽きねえな、どういうもんを書いてるからドゥリンらしくなれねえんじゃねえのか?

アヴドーチャ
アヴドーチャ

どうしても種族として決められた特徴をなくすことができないのは、妾とて承知しておりますわ。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

けど、少なくとも近づくことは可能でしょう。

ガヴィル
ガヴィル

そんなこと気にしなくったっていいのに。ドゥリンにならなくとも、ここにいる連中ならそのままのお前も迎え入れてくれるはずだろ?

アヴドーチャ
アヴドーチャ

ではそんな妾が悪人だった場合でも、迎え入れてくれるのですか?

ガヴィル
ガヴィル

……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

ここのドゥリンたちが他者を喜んで迎え入れてくれるのは確かですわ、今回はそれが運よく妾とあなた方でしたけれど、次も同じような人たちが来るとは限りません。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

自分は医者だと言うのであれば、他人の心中にある悪も必ず理解しているはずなのでは?己の利益のためなら、人はどんな愚行に走ってしまう……そういう生き物です。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

何も特定の種族のことを言ってるわけではありませんわよ、あくまでも地上がそういう風に出来上がっているというだけです。暴力に訴え、金に貪欲で、野心に満ち溢れてるこんな大地なんて……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

そんな妾とて、地上のこういった穢れに染まり切ってしましました、だから新しく生まれ変わりたいのです。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

悪は必ず伝播するものですわ、地下のドゥリンたちはそんな悪に対して免疫力を持たないものですから、いつかは必ず……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

あなたの言う通り、妾はドゥリンにはなれない。けど一ゼルエルツァの住民として、この穢れを知らない街を守るためなら……

アヴドーチャ
アヴドーチャ

――妾は喜んで我が身をこの街のために捧げて差し上げますわ。

ガヴィル
ガヴィル

でもよ、ここにいる連中も、自分のケツは自分で拭けるって言ってたじゃねえか。

アヴドーチャ
アヴドーチャ

いちいち細かいことを掘り返さないでくださいまし!

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